少し画像も飽きた。といって最近は、足指骨折をいいわけに何もしていない。実は、それが結構心地よい時間だったりしている。
予想外の怪我で、こんなの軽く治るだろうと思い外科の医院を尋ねたら2ヶ月スポーツはできませんと診断され、その後二ヶ月間スイミングもダイビングもしないという生活にはまいった。それでも骨折した脚指を引きずりながらクロッキー教室には通っていた。一応私も芸術系出身者だからね。
動けない間、スマホのpinterestでデッサンの画像をひろいながら、少しは人体の勉強に努めていた(単に眺めていただけだが)。そのとき気がついたのだが、最近の漫画は、昔のポンチ絵などに比べると人体の描写もリアリティがあって描けているではないか。多分美大出身の漫画家も多いのだろう。
そう思って調べると、WEB(2018.4.16)によれば「手塚治虫文化賞 マンガ大賞」「文化庁メディア芸術祭 マンガ部門大賞」「マンガ大賞」受賞者36名のうち22人、6割が美術系出身者だった。もちろん美大をでなくてもデッサンを勉強すれば同等の表現は可能だし漫画はそこから少し簡略化しデフォルメしているうえに、なによりストーリー性が重要になってくるので、一概に美大賛辞とはゆかないけれど。
それにしても文化系の編集者から、もっとデッサンを勉強してよなんていわれている美大出身者がいたりして。それは多分デッサンが嫌いで絵画や彫刻の世界にはゆかないで漫画に逃避したのかもしれないなと、こちらは笑えた。
私が名市大の芸術工学部で教えていた頃の経験でも、大学のオープンスクールにくる親御さん達が多い。その質問が決まって「就職はどうなるのですか?」、そんな質問が関心事なのだろう。私の解答は「そこに書いてあるでしょう、参考にしてください」。そもそも大学の過去の実績を我が子の未来の人生に重ね合わせようとする、「過去・未来合体」という論理構造に無理のある話なのだが(笑)。
すでに美大を目指すということ自体が、暗黙のあるかないか不透明な社会のレールから外れてゆくわけであり、それはそれで面白い選択肢だと私は思うけど。何になるかわからないけど、今関心があるのはこれ!、いまの世代の選択肢は、そんな感じだろうか。それでも美大系は感性と技は磨いているので何かを作れるクリエイター達であり、何もできない文化系事務よりはるかに選択肢が広がり世渡りができると思うけど。
クロッキー帳NO36.から