試論:子供をメカ好きにするにはどうしたらよいか?。
私の小学校に入る以前の経験だが、親父がクイーンメリー号の木製模型を木を削って形にして制作していた。そしてペインティングし完成した姿は子供心にはスゲーの一言だった。その後この模型はどこかへ持ち去られてしまったようだが、そのモデルを制作して行くプロセスと立面の設計図とスゲーという3つの記憶だけがしっかり残っていた。なるほどものはこのようにしてつくりあげてゆく過程があるんだという経験的な記憶が残っていたわけだ。そのままゆけば工学科系コースだ。
その後、模型は持ち去られたので、どんな形だったんだろうとその模型を思い出しながら絵を描いていた。そのとき模型のそばには精密な船の立面図の記憶があったから、そこで船のドローイングが始まる。それは立面で描けるモノに展開してゆく。やがて絵が好きというコースをたどることになる。そうなると芸術系コースかな。
それがプラモデルとか東急ハンズなどで売っている外国製のメカ模型の完成品を与えたらどうか。そうすると世の中にはできあいのものがあるんだ。それを組み合わせればよいのかという経験になる。そうなるとメカ好きではなく、あるいはものをつくるのとは異なるコースをゆくだろう。
さらにガンダムの玩具を与えたらどうか。なんだ楽しいことは買ってくればよいのかとなる。そこまでくると買うという行為によって満足が生まれる、そして自慢できるのだから、買うためにはどうすればよいかに関心が移り、もう立派な文科系コースだ。
小学校の経験でもう一つあった。社会見学で新宿区の戸山団地に出かけた。そこにある箱根山に登った。標高60m程度の丘になった眺望台だったと記憶している。メカ好きは当然運動が苦手で途中でへたばっていた。そしたら しっかりもののS,Aという女の子が手をひいて頂上まで登らせてくれた。地味だけどおませなS,Aは、その後学校で私の体調が悪くなったときもただ一人面倒をみてくれた女の子だった。
その女の子に手を引かれて山へ登るのは男の子としても格好がわるいよ!。そうなるとせめて女の子以上に体力をつけようというので、体育会系への関心が高まったのだろう。だから中学へ入ったとき柔道部にはいったぐらいだ。あるいは女の子の面倒見の良さに女好きの素地ができたのか(笑)。
そのように小学校位までの経験が、その後の成長の種をすりこんでくれる。それが教育心理学上どんな概念だったかは、教員免許は取ったけど一度も中学・高校の先生の仕事をしなかったし、既に教科書は捨ててしまったのでわからない。
そして回りの環境からの影響を受けて羅針盤の針のようにぐるぐると回り出す子供の好奇心が、どこに針が定まるかは、その後の数多くの経験で紆余曲折して決まってゆくのだろう。
沖縄県渡嘉敷島知志
OLYMPUS E-M1、M,ZUIKO DG FISHEYE8mm/F1.8