Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE1596. 小説:小樽の翆16. オカマがつないだラブストーリー

2020年02月02日 | Sensual novel

 

 フィールドで毎日撮影しているのも飽きる。今日も夕方、翆の店で珈琲だ。少し代わり映えがしない小樽の街。前向きに捉えれば平和なのだろう。

「じゃ今日は房ちゃんのお店でアルバイトしていた頃のママからのまた聞き、オカマがつなぐラブストーリーね」

オ・カ・マ・ですか・・・

「北海道に藤女子大というお嬢さん大学があるの。当然カソリックのお堅い大学なんだけど、偏差値は北大より上という噂もあったぐらい。そこのOBの樹利さんのハ・ナ・シ」

東京でいえば聖心女子大か・・・、

「樹利さんが、ある仕事で東京の建築家と一緒に札幌の仕事をすることになったんですって。でっ、当然意気投合して・・・」

それでラブラブじゃ、オカマの立場がないじゃん(笑)。

翆「つまりラブラブは、東京へ飛んでからなの。つまり東京で初デートね。そこで六本木で待ち合わせて、でかけたのがオカマエンターテイメント、あの頃六本木の裏のお墓の前という怪しい場所に『金魚』というお店があったの。オカマオンリーのショーをやるお店ね」

・・・・でっ、それで・・・

「入り口に、おちんちんの看板がかかっていたりして、いかがわしさたっぷり。樹利さんは、初デートでいきなりこれですか?・・・、と愕然としたわけ。だからいやらしかったら水引っかけて札幌に帰るからね!、と怒っていたんだって。」

ホウ、それで・・・

翆「オカマエンターテイメントは、実は大変素晴らしい踊りと、こんな小さな小屋でどうしてこんな大仕掛けの舞台ができたのかとか、センスの良い音楽のショーだっりと、すごく中身が濃かったの。もうそれで樹利さんは、身構えていた心がホロホロと砕けて、その晩ホテルで樹利さんは、あっ汚いからシャワーを浴びさせてといいながら、そのまま大いになめられて、大胆に淫らに燃え上がっちゃったというお話、だからオカマが男と女の心をつないだラブストーリーなわけ」

なるほど、なにもかも普段とは違って、落差とかイレギュラーな仕立て方が女を陥落させたというわけだ。巧みな建築家ね(笑)。

「女って予想に反して、意外とか、落差とか、イレギュラーな展開があって感激すると、もうコロッといっちゃうのよ。だって樹利さんは、札幌でつきあっている彼氏がいた上での東京デートだったからね」

西洋の昔話があった。放浪の乞食が、あるとき変身して王子様だったというストーリー。

「でも、こちらは実話だからね」

女って、落差に弱いんだね。

「そうよ、最初から、この芝居はすごいです、劇場の構えもすごいです、セックスもシャー浴びてから・・・じゃ落差にならないでしょう。予想に反する落差があって、それから期待以上の感動とか快感が欲しいのよ・・・」

じゃ、今夜はたっぷりなめてあげる!。

翆「それ落差じゃなくて毎日のことじゃない・・・(笑)」

・・・

やはり翆の家で布団にくるまって暖まっていた方が心地よい、というのも冷たい風が小樽の街を走り抜けてゆくからだ。

コメント
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