オショロコマの森ブログ5

渓流の宝石オショロコマを軸に北海道の渓流魚たちと自然を美麗画像で紹介します、

知床半島のR川に50cmニジマス、密放流か?

2012-11-28 20:26:38 | ニジマスによる被害
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知床半島のR川。この渓流は従来多数の砂防ダム群があった。そのため海から上流域への魚類の遡上は完全に断たれ、各砂防ダム間の水域にR川独特のオショロコマが繁栄し比較的多くの個体が棲息していた。ところが最近、知床自然遺産指定にかかわる諸事情から急遽これら砂防ダム群にすざまじい大改修が行われ、大がかりな魚道群が造られた。要するに、いくつかの理由で、とりあえず何とかサケとマスを遡上させたかったものと思われる。皮肉なことに魚道群の最後には魚道のない巨大なダムがそびえ、せっかく遡上したサケマスは結局産卵場へたどり着くことはできない。このすざまじい大工事で安定していたR川河川環境は川底環境も含めて完膚なきまでに破壊された。この過程で豊富に棲息していたオショロコマは一時期ほぼ壊滅状態となった。これらの状況は、以前オショロコマの森ブログ4で紹介した。その後、魚道工事でオショロコマが消えたR川下流域に別の水系からと思われる標識されたオショロコマが放流されているのを確認している。

2012-8-15 その知床半島の渓流R川で私の知る限り初記録と思われるニジマス尾叉長30cmが釣れた。釣り上げたのは同日午前8時6分。エサはミミズ。このすぐ後に50cm越えと思われるニジマス1匹をかけたがオショロコマ用の仕掛けでは如何ともしがたく、最終的に釣り逃がしたという。自然繁殖を示唆するようなニジマス幼魚は見られなかったとのこと。この折りオショロコマ3匹とヤマベ2年魚も釣れている。釣り人は、さいたま市在住の 大石均氏で氏からの信頼の置けるお手紙と画像送付で私の知るところとなった。


体高のある 尾叉長30cmのニジマス。よく肥えてきれいなヒレの状況から、一年ほどはこのR川で過ごしているのではなかろうか。ヒレ、えらぶた、脂ビレ等を切るような標識はされておらず、プラスチック標識のようなものも見られない。


オショロコマは撮影のあと、丁寧にもとの場所にリリースされたとのこと。





従来は、知床半島でニジマスの記録がある渓流はTN川(地元青年団が過去に源流の湖に放流し現在も下流域に僅かに棲息)と小渓流OR川(二段ダム間のたまり等にブラウントラウトとともに大繁殖したが電気ショック機で全滅させられた)の2箇所のみであった。このほか川岸に作った小さな生け簀にニジマスを放し、夜間それを捕食しにくるシマフクロウを近距離からフラッシュ撮影させるのを生業とする民宿もある。また、U川にはシートラウト化したニジマスの群が産卵のため秋に遡上したのをただ一度だけだが確認している。今回、新たにニジマスが確認されたR川下流域は、私たちが長年10数回以上にわたって調査をしてきたがオショロコマのみでニジマスは見たことがなかったし、聞いたこともない。これはシートラウト化したニジマスが海から魚道群を遡上してR 川に侵入したか、何者かによって放流されたかのいずれかであろう。しかしシートラウト化したニジマスは知床では極めて稀に海で捕獲されることはあるが渓流、とくに羅臼川での遡上例など常識的にはとても考えられない。おそらく、密放流ではなかろうか。世界的に在来種の保護が叫ばれるこのご時世にオショロコマが棲息する知床の渓流にニジマスを放すようなお馬鹿がいるとは考えたくないが、今後の経過を慎重に見守ってゆこうと思う。



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