にほんブログ村
20XX年11月28日。 強風 雪 のち 曇り
知床の深い森の中の林道をすすむとやがて道が終わった。そこから見下ろすと下の方に小さな渓流が静かに流れている。この渓流は春先の融雪時期には生き物の生息など許さないかのごとく轟々と流れる猛烈な激流に変身する。そのあとは、しばらくするとウソのように穏やかな流れにもどり、丁度今時期はやや渇水気味の渓流だ。この渓流には知床有数の色鮮やかで美しい色調のオショロコマが棲んでいる。赤紋が鮮やかで、若魚はひれが真っ赤で美しい。まるで金魚みたいな派手な色調の個体群である。主のような25cmの個体が一匹釣れたが、ここでは15-18cmの小型のものが主体であった。しかし年によって夏の終わりには大型個体が集結することもある。秋には婚姻色でさらに色鮮やかになることが多い。
今日は強風が吹き、鉛色の知床の海は大荒れ。海から数百mのこの場所はとても気温が低い。寒風で撮影にもたつくと、みるみるオショロコマが生きたままピキピキ音をたてて凍ってくる。撮影は特に手早く行う必要がある。この付近は知床でも特にヒグマが多いところだ。いたるところにヒグマの痕跡がある。寒さと熊の恐怖で草々に撮影を中止したが、気がつくと当たりはもう薄暗くなり午後3時を過ぎていた。 今日も撮影させていただいたオショロコマたちは全て丁寧にリリースした。
にほんブログ村
にほんブログ村