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女満別湖、秘密の絶滅危惧種ヤチウグイ生息地
20XX-6-4 晴れ
北見市は常呂川の流域に広がった広大な平野部の森林を切り開いて発展したとおもわれる。
今から50年ほど前、私が小さかった頃、北見市郊外にはどこまでも続く深い森と湿地があった。いまではその面影すらなく完膚無きまでに開発されつくされている。
湿地には無数の沼がありそこには、おびただしい数の小魚がいた。ウグイ、ヤチウグイ、トミヨ、エゾトミヨ、カジカ、フクドジョウ,スナヤツメ etc........。 なかでも5-15cmの小魚のヤチウグイは多かった。
北見市光西中学校の校庭裏の沼にはヤチウグイが群生していて、子供たちはここでヤチウグイ釣りトーナメントを毎日やった。
針金を曲げて作った釣り針と釘の重り、木綿糸の道糸、竿は柳の枝。エサはごはんつぶ。
日曜日は朝から夕方まで夢中でヤチウグイをだれが一番沢山釣るかをきそった。
ヤチウグイはえさ取りの名人で、あわせが一瞬遅れると、ご飯粒はとられてしまう。口は小さく、この沼のヤチウグイ釣りは実はかなりの熟練を要する。夏場のニジマス釣りよりは明らかに難しいと思う。
小学5年生のころ、ヤチウグイ釣りが上手だった私は釣りの王様の称号を得ていた。
その後、私が中学生になった頃、森はことごとく切り払われ湿地は埋め立てられ畑になり、ヤチウグイ釣りをしていた沼は一晩で埋め立てられヤチウグイとともに消えた。
その後、私はヤチウグイのことなどすっかり忘れて生きてきた。
近年、世の中は開発に飽きて自然保護の概念が急速に芽生えてきた。生息地である三日月湖や沼、湿原のヤチ(谷地 野地??)がこの世からほとんど消えたせいで、気がついたら超普通種であったヤチウグイはあろうことか絶滅危惧種に分類されていたのであった。オショロコマよりも危ないらしい。
そういえば私のまわりからもヤチウグイのいそうな環境は完全に消えていた。
急にヤチウグイが懐かしく感じられ、なんとかもう一度その姿を見たくなった。
しかし色々さがしてみたがヤチウグイに関する情報は何も得られなかった。
あるとき、偶然に膵臓癌末期の方と釣りの話をする機会があった。ベッドサイドに四つ切りに拡大した写真を顎に入れて飾っていて、それは大きな鯉をかかえて満面の笑みのお写真で女満別湖で釣ったという。
この方は地元では有名な野鯉釣り名人の方であった。
どこかヤチウグイのいるところを知りませんかと尋ねると、本当は誰にも教えていない秘密の場所ですがと前置きして女満別湖周辺のごく狭い沼地で今でもヤチウグイがいるという場所を丁寧に教えてくれたのだった。
20XX-6-4 晴れ
早めに仕事を終わらせて女満別湖の水門へヤチウグイを探しに出かけた。6時に北見市を出発。40分で現地に着いた。
教えたいただいた地図をたよりに試行錯誤しながらやっとヤチウグイの生息地に着いた。
そこは水門付近の汚い谷地の狭い古川で15cmほどのヤチウグイが入れ喰い状態に釣れた。
デジカメ撮影を試みたが、この間すざまじいヤブ蚊の猛攻にあい、耐えられず這々の体で退散した。
自宅で数えると170箇所ほどあちこち刺されてひどい目にあった。
顔もぼこぼこに腫れ、熱をもって死ぬほどかゆい。
今度は蚊のいない秋口にでも来てみようと思う。
私にヤチウグイの生息地を教えてくれた方はほどなく亡くなられたが秘密のヤチウグイの沼は私に伝えられた。
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女満別湖、秘密の絶滅危惧種ヤチウグイ生息地
20XX-6-4 晴れ
北見市は常呂川の流域に広がった広大な平野部の森林を切り開いて発展したとおもわれる。
今から50年ほど前、私が小さかった頃、北見市郊外にはどこまでも続く深い森と湿地があった。いまではその面影すらなく完膚無きまでに開発されつくされている。
湿地には無数の沼がありそこには、おびただしい数の小魚がいた。ウグイ、ヤチウグイ、トミヨ、エゾトミヨ、カジカ、フクドジョウ,スナヤツメ etc........。 なかでも5-15cmの小魚のヤチウグイは多かった。
北見市光西中学校の校庭裏の沼にはヤチウグイが群生していて、子供たちはここでヤチウグイ釣りトーナメントを毎日やった。
針金を曲げて作った釣り針と釘の重り、木綿糸の道糸、竿は柳の枝。エサはごはんつぶ。
日曜日は朝から夕方まで夢中でヤチウグイをだれが一番沢山釣るかをきそった。
ヤチウグイはえさ取りの名人で、あわせが一瞬遅れると、ご飯粒はとられてしまう。口は小さく、この沼のヤチウグイ釣りは実はかなりの熟練を要する。夏場のニジマス釣りよりは明らかに難しいと思う。
小学5年生のころ、ヤチウグイ釣りが上手だった私は釣りの王様の称号を得ていた。
その後、私が中学生になった頃、森はことごとく切り払われ湿地は埋め立てられ畑になり、ヤチウグイ釣りをしていた沼は一晩で埋め立てられヤチウグイとともに消えた。
その後、私はヤチウグイのことなどすっかり忘れて生きてきた。
近年、世の中は開発に飽きて自然保護の概念が急速に芽生えてきた。生息地である三日月湖や沼、湿原のヤチ(谷地 野地??)がこの世からほとんど消えたせいで、気がついたら超普通種であったヤチウグイはあろうことか絶滅危惧種に分類されていたのであった。オショロコマよりも危ないらしい。
そういえば私のまわりからもヤチウグイのいそうな環境は完全に消えていた。
急にヤチウグイが懐かしく感じられ、なんとかもう一度その姿を見たくなった。
しかし色々さがしてみたがヤチウグイに関する情報は何も得られなかった。
あるとき、偶然に膵臓癌末期の方と釣りの話をする機会があった。ベッドサイドに四つ切りに拡大した写真を顎に入れて飾っていて、それは大きな鯉をかかえて満面の笑みのお写真で女満別湖で釣ったという。
この方は地元では有名な野鯉釣り名人の方であった。
どこかヤチウグイのいるところを知りませんかと尋ねると、本当は誰にも教えていない秘密の場所ですがと前置きして女満別湖周辺のごく狭い沼地で今でもヤチウグイがいるという場所を丁寧に教えてくれたのだった。
20XX-6-4 晴れ
早めに仕事を終わらせて女満別湖の水門へヤチウグイを探しに出かけた。6時に北見市を出発。40分で現地に着いた。
教えたいただいた地図をたよりに試行錯誤しながらやっとヤチウグイの生息地に着いた。
そこは水門付近の汚い谷地の狭い古川で15cmほどのヤチウグイが入れ喰い状態に釣れた。
デジカメ撮影を試みたが、この間すざまじいヤブ蚊の猛攻にあい、耐えられず這々の体で退散した。
自宅で数えると170箇所ほどあちこち刺されてひどい目にあった。
顔もぼこぼこに腫れ、熱をもって死ぬほどかゆい。
今度は蚊のいない秋口にでも来てみようと思う。
私にヤチウグイの生息地を教えてくれた方はほどなく亡くなられたが秘密のヤチウグイの沼は私に伝えられた。
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