すずめの子

年寄りの自分は、暇にまかせて、時々、ベランダの向こうにお米やパンくずをばらまいている。すると、すずめがよく来て食べている。だんだん増えて、10羽を超えることもある。多くはこの春生まれたような小さいのが多い。それにしても警戒心が強く、お米を一粒ついばむと、キョロッ キョロッ と辺りを見る。私が部屋の中で、すずめの方にちょっと顔を向けると、一斉に飛び立って逃げるから、できるだけそうと、横目で見るようにしている。それでも影を感じてか逃げられることもある。最近は1~2羽逃げずに残って食べているのもいる。すずめもなかなかの個性の持ち主だ。すずめを見ていると、身の危険と食べ物と繁殖の3つの営みを超高度な感覚でこなしているように見える。3つの営みを「身を守る能力」とまとめて言うと、この性質や能力はどんな生き物も持って生まれた本能だろう。人間も同じはずだ。 しかし人間のこの本能は今、どうなっているだろう?どう見てもすずめのように機敏ではない。子供はまだしも、大人になるにつれ、私のように老人になるとなおさら逃げ足も遅くなる。
問題はそういうことではなく、世間的に言う成長発達と身を守る能力がちぐはぐでがんばればがんばるほど、身を守る能力が弱まっていくように見える。子供から老人まで、社会が作り出した画一的な能力や価値観を求め押し付け評価しているようだが結果は、本来の「身を守る」から次第に
離れていくようだ。人は社会的に成長発達して生き物を止めて何になりたいと考えているのだろうか?21世紀の人類にとって戦争ばかりでなく、環境や資源同様、社会の在り様そのものが平和だけでなく生き物としての人間の存亡をも脅かす重要な課題であるはず。

すずめの危険を察知能力と逃げ足はたいしたものだ。
臆病なすずめだが、可愛くも羨ましくも見えた。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )