
今の理髪店で通じないヘアスタイルにGIカットがある。アメリカ兵に多い短髪で、日本では50年代に若者の間で流行した。前髪を短く刈り揃えた角刈りに似たスタイルで、エルヴィス・プレスリーやジェリー・マリガンの若い頃の髪型を思い出してみるとよい。その後流行った慎太郎刈りは、前髪を額に垂らしておくというものだが、こちらのスタイルも死語になっているようだ。GIとは、Government Issue の略で、本来は官給品の意味だが、第二次世界大戦時に潤沢な官給装備品と共に戦う彼らを他国兵士が羨望を込めて呼んだアメリカ軍兵士の俗称でもある。
「G.I.JO」は、今月16日に亡くなったジョー・スタッフォードが自身で立ち上げたレーベル「Corinthian」から発売したもので、「Songs of World War Ⅱ」とサブタイトルが付いているように戦時中に歌った曲を集めている。戦時下という特殊な状況とはいえ、1年で劣化する玉音放送のレコードとは違い、録音がよく装備品ばかりでなく録音機材も潤沢だったのだろう。伴奏は夫君のポール・ウェストンで、愛するひとりの妻というより、多くの兵士に愛されたひとりの歌手であるスタッフォードが引き立つアレンジが施されている。語りかけるような優しさのある歌声は時に母を妻を、そして恋人を戦地で想い、士気を高めたのかもしれない。
「I'll Remember April」、「It Could Happen to You」等、センチメンタルな曲が並び、「I'll Be Seeing You」がアルバムの最後を飾る。不入りで打ち切りになったと言われるいわく付きのミュージカル「Right This Way」の挿入歌で、カラミティ・ジェーンや慕情でアカデミー歌曲賞を受賞したサミー・フェインの曲だ。ミュージカルは当たらなくも美しい曲は残るもので、ビリー・ホリデイが取り上げたことから一躍脚光を浴びることになる。名唱熱唱は数あるが、内へ内へと心の奥底に潜む女の性を見事に表現したのがホリデイなら、スタッフォードは異国の地で戦う愛する人に胸中を向けたエールといえるだろう。
戦時中、日本軍が米兵の厭戦気分を誘うため東京ローズがセクシーな声で呼びかけ、スタッフォードの曲を使ったようだが、士気を上げたにせよ、弱めたにせよ、低く太いアルト・ヴォイスに涙を浮かべ故郷に想いを馳せたに違いない。享年90歳。合掌。
「G.I.JO」は、今月16日に亡くなったジョー・スタッフォードが自身で立ち上げたレーベル「Corinthian」から発売したもので、「Songs of World War Ⅱ」とサブタイトルが付いているように戦時中に歌った曲を集めている。戦時下という特殊な状況とはいえ、1年で劣化する玉音放送のレコードとは違い、録音がよく装備品ばかりでなく録音機材も潤沢だったのだろう。伴奏は夫君のポール・ウェストンで、愛するひとりの妻というより、多くの兵士に愛されたひとりの歌手であるスタッフォードが引き立つアレンジが施されている。語りかけるような優しさのある歌声は時に母を妻を、そして恋人を戦地で想い、士気を高めたのかもしれない。
「I'll Remember April」、「It Could Happen to You」等、センチメンタルな曲が並び、「I'll Be Seeing You」がアルバムの最後を飾る。不入りで打ち切りになったと言われるいわく付きのミュージカル「Right This Way」の挿入歌で、カラミティ・ジェーンや慕情でアカデミー歌曲賞を受賞したサミー・フェインの曲だ。ミュージカルは当たらなくも美しい曲は残るもので、ビリー・ホリデイが取り上げたことから一躍脚光を浴びることになる。名唱熱唱は数あるが、内へ内へと心の奥底に潜む女の性を見事に表現したのがホリデイなら、スタッフォードは異国の地で戦う愛する人に胸中を向けたエールといえるだろう。
戦時中、日本軍が米兵の厭戦気分を誘うため東京ローズがセクシーな声で呼びかけ、スタッフォードの曲を使ったようだが、士気を上げたにせよ、弱めたにせよ、低く太いアルト・ヴォイスに涙を浮かべ故郷に想いを馳せたに違いない。享年90歳。合掌。
ヒット曲があります。今週は「アイル・ビー・シーイング・ユー」を選んでみました。お好みのバージョンをヴォーカル、インスト問わずお寄せください。
管理人 I'll Be Seeing You Best 3
Billie Holiday / Strange Fruit (Commodore)
Frank Sinatra / I Remember Tommy (Reprise)
Tony Fruscella (Atlantic)
女性、男性ヴォーカル、インストと定番の選出になりましたが、数多くの録音がありますので何が挙げられるのか楽しみです。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
今日はJo Staffordのアルバムを聴こうっと!
コロンビアが彼女の印税をごまかしたため、契約にのっとり彼女がマスターを所有することになったのです。
よって、このコリシアン盤はコロンビアの『アイル・ビー・シーイング・ユー』と同じ内容です。
欧州戦線に出征した英軍将校を見送る妻の
切々たる思い・・・
という内容の歌詞ではないんですが、イメージとしては、
そういう感じなのよねぇ。
ということで、英国絡みの女性ヴォーカルがワン、ツーです。
1)「The War Years/ Eve Boswell」(Capitol)
これは、群を抜いてる。
「アァァ~ィル・・・」というイントロを聴いて、
もうKO状態です。
ラリーン・ハンターの「ジョォォジィアァ~~」に
やられるのと、同じ構図かな。
ハンガリー生まれのイギリス育ちとのことですが、
ボスウェル姉妹のコニー・ボスウェルと姉妹なのか、
と長い間勘違いしてました。
2)「The Best of Vera Lynn」(EMI)
日本では知名度は高くないですが、日本で言えば
美空ひばりに匹敵する、英国の国民的歌手だそうです。
少し長めのバースのあと、浪々と歌い上げるテーマは
圧巻です。
3)「Autumn In The Air/ Sue Raney」(FSR)
ボブ・マグヌッセンのベースを大きくフィーチャーして、
少しアップ・テンポにかつ切々と・・・。
いいですよ!
>TAKASHI さん。
>ジョー・スタッフォードのコロムビア盤同タイトルのアルバムしか思い浮かばない。(ぼんくらだ)
ゴラァ~~!!
忘れちゃ、いかんがね!!
インストは、また夜にでも。
最初のコメントに TAKASHI さんの名がありましたので、ヴォーカルがずらりと並んでいると思い恐る恐る開きました。(笑)
三具さんのご指摘にありますように、スタッフォードの同タイトルのコロムビア盤と同じ内容です。
25-25 さんが、「妻にするならスーちゃん」を忘れているので怒っていますよ。まぁ、妻にすると忘れるわけでして。(笑)
「Jo+Jazz」もコリシアンから出ておりますので、やはりオリジナルはコロンビア盤でしたか。マスターをコロンビアから引き上げた話は、ソニーで「Jo+Jazz」を再発するときに知りました。『アイル・ビー・シーイング・ユー』のオリジナルは聴いておりませんが、コリシアン盤はカッティングのせいでしょうか、かなり若い声に聴こえます。「Jo+Jazz」は、オリジナル、ソニー、コリシアンと聴き比べましたが、段々と低域がフラットになり若返っております。シワは増えても若返るとは、テレビショッピングの健康食品みたいですね。(笑)
見送る妻の切々たる思い・・・とは多分にボスウェルのジャケからくるイメージでしょうか。このアルバムもスタッフォードの「I'll Be Seeing You」と同じ趣向ですが、第二次大戦中には泣かせる曲が多いですね。
Vera Lynn の名前は知っておりますが、このアルバムは未チェックです。調べましたらスタッフォードと年齢は変りませんね。英国の美空ひばりに匹敵するのは知りませんでした。英国の国民的歌手というと、ゴールドフィンガーのシャーリー・バッシーだと思っておりました。バッシーは日本の伊東ゆかりでしょうか・・・小指の想い出・・・無理があった。(笑)
以前、Sue Raney は TAKASHI さんに全アルバムをご紹介いただきましたが、依然として集まりません。「いいですよ!」と滅多に付かない「!」となれば聴きたくなりますね。
duke様、皆様、こんばんは。
今週はアイル・ビー・シーイング・ユーですか。
すぐに頭に浮かんだのは、
ヴォーカル 「奇妙な果実」ビリー・ホリデイ
インスト 「スタンダード」ソニー・ロリンズ
です。
3枚目が絞り込めないので、取敢えず2枚だけあげさせていただきます。
グリフィンも亡くなりジャズ界も寂しくなってきました。続けての訃報記事も寂しいものがありますが、来週は巨○に話題にしたいですね。今週はグリフィンを聴きながら巨○な1枚を選ぼうと思っております。
ビリー・ホリデイとは嬉しいですね。拙ブログでは支持される方は少ないようですが、女心を深く表現しており好きですよ。まぁ、陰のときは聴かないほうがよろしいようです。
ソニー・ロリンズが出ましたか。「スタンダード」自体いいアルバムと思いますが、演奏時間が短いのが難でしょうか。さぁ、これからだ、というときに巨○が萎えます。(笑)
なんと朝方(7時)は車にヒーターを入れてはしっていました。でも今はかなり温度も上がっていてよかったです。この異常気候ほんと不気味ですねぇ~。
さてさて、今回の御題は白人ヴォーカルだけのものじゃないですね(25-25さん、こめんやっしゃ!)
私の好きな順からいくとですね。
The Clayton/Hamilton Jazz Orchestraをバックに歌う。
Gladys Knightのヴァージョンです。
Gladys Knight ”Before me”2006
これはどちらかと言うと物語を聴いているような、そんな感覚に陥ります、Chris Bottiのトランペットと会話をしています。もう大好き!
お次はEtta JamesのMystery Lady:Songs of Billie Holiday 1994からのヴァージョンでシンプルなピアノの伴奏から始まるたんたんとしたエタの枯れた声がなんともいえません、彼を思う熱い気持ちがあふれ出ていてもう聴いてるだけで気持ちが高まります。
最後の一曲は、Jimmy ScottのBut Beautiful2002年の盤から。
このヴォーカルは好きか嫌いかに極端に分かれると思うのですが、この曲に限って何回でも繰り返して聴けるというかRenee Rosnesのピアノも素敵だしバックのメンバーのサポートが素晴らしいです。
そんな分けで私のベスト3はブラックヴォーカルのソウルフルなメンバーで固めてみました。
25-25さんにいちゃもんつけられそう(笑)!