「アメリカン・ハッスル」という映画を観た。「Hustle」は日本では本来の意味から大きく外れ、「張り切る」という意味で使われるが、アメリカでは「詐欺」を表すという。1970年代後半にアメリカで実際に起こった収賄スキャンダル「アブスキャム事件」を基にした作品だ。司法取引でFBI捜査官に協力を依頼された天才詐欺師が、政治家たちの汚職を暴くため、おとり捜査に加担する内容で、脚色されているとはいえ手の込んだ詐欺は痛快だ。
映画の冒頭、ジャズファン、それもエリントン・ファンなら思わず「おっ!」と声が出るシーンがある。主人公の詐欺師が、「この入りがいいんだなぁ」と言ってかけたレコードは、何と1956年のニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ盤だ。それもB面のジョニー・ホッジス・ファンが涙を流すという「Jeep's Blues」である。「この入り」とは頭のアンサンブルで、エリントン・バンドならではの重厚感は、その音量の大きさもあり迫力満点だ。私の楽器はオーケストラだ、と語ったエリントンが指先1本でこの音を創り出したと思うだけでゾクゾクする。そして、その音の隙間を縫うように出てくるホッジスの美しいこと。
この年の最終ステージを飾った熱狂的なライブはニューポートのハイライトとして今や伝説化されている。その伝説とは「Jeep's Blues」の次に収録されている「Diminuendo In Blues And Crescendo In Blue」で、ポール・ゴンザルヴェスが延々27コーラスにも及ぶ予期せぬソロをとったことだ。カウント・ベイシーやディジー・ガレスピーの楽団に参加したあと、1950年から亡くなる74年までエリントン・バンドに所属し、自己のリーダーアルバムも多数ある。どの演奏でも名ソロを聴けるが、この27コーラスはゴンザルヴェスにとってベスト・パフォーマンスであり、テナーサックスに於ける極上のソロとしてもジャズ史に残るものだ。
エリントンのニューポート盤は映画の最後にも出てくる。かけるのも「Jeep's Blues」だ。FBIをも騙し、映画の観客をも欺く天才とまで呼ばれた詐欺師のプランはエリントン・バンドのように大胆で緻密だった。そして、レコードをかけるとき、ニューポート盤のジャケットのように満足そうな笑みを浮かべていた。倫理観や正義感には無縁の詐欺師だが、エリントン・ファンに悪い奴はいない・・・と思う。
映画の冒頭、ジャズファン、それもエリントン・ファンなら思わず「おっ!」と声が出るシーンがある。主人公の詐欺師が、「この入りがいいんだなぁ」と言ってかけたレコードは、何と1956年のニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ盤だ。それもB面のジョニー・ホッジス・ファンが涙を流すという「Jeep's Blues」である。「この入り」とは頭のアンサンブルで、エリントン・バンドならではの重厚感は、その音量の大きさもあり迫力満点だ。私の楽器はオーケストラだ、と語ったエリントンが指先1本でこの音を創り出したと思うだけでゾクゾクする。そして、その音の隙間を縫うように出てくるホッジスの美しいこと。
この年の最終ステージを飾った熱狂的なライブはニューポートのハイライトとして今や伝説化されている。その伝説とは「Jeep's Blues」の次に収録されている「Diminuendo In Blues And Crescendo In Blue」で、ポール・ゴンザルヴェスが延々27コーラスにも及ぶ予期せぬソロをとったことだ。カウント・ベイシーやディジー・ガレスピーの楽団に参加したあと、1950年から亡くなる74年までエリントン・バンドに所属し、自己のリーダーアルバムも多数ある。どの演奏でも名ソロを聴けるが、この27コーラスはゴンザルヴェスにとってベスト・パフォーマンスであり、テナーサックスに於ける極上のソロとしてもジャズ史に残るものだ。
エリントンのニューポート盤は映画の最後にも出てくる。かけるのも「Jeep's Blues」だ。FBIをも騙し、映画の観客をも欺く天才とまで呼ばれた詐欺師のプランはエリントン・バンドのように大胆で緻密だった。そして、レコードをかけるとき、ニューポート盤のジャケットのように満足そうな笑みを浮かべていた。倫理観や正義感には無縁の詐欺師だが、エリントン・ファンに悪い奴はいない・・・と思う。
映画「アメリカン・ハッスル」で、主人公の詐欺師を演じたのは「バットマン」や「ターミネーター」で知られるクリスチャン・ベイルですが、髪型といい、髭といい、眼鏡といい、70年代のビル・エヴァンスにそっくりです。以前、クリント・イーストウッドがビル・エヴァンスの伝記映画を作りたいと言っていましたが、もし制作するならエヴァンス役はベイルで決まりでしょう。何でもベスト3、今週はニューポートのライブ盤のお気に入りをインストでお寄せください。ヴォーカルは機を改めて話題にします。
管理人 Newport Live Album Best 3
Duke Ellington / At Newport (Columbia) 1956
John Coltrane / Selflessness (Impulse) 1963
Cout Basie / At Newport (Verve) 1957
他にもマイルスをはじめモンク、ガレスピー、コールマン・ホーキンス、ライオネル・ハンプトン、ブルーベック、マッコイ・タイナー、セシル・テイラー等々、多くの名演があります。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
映画『アメリカン・ハッスル』予告編
http://www.youtube.com/watch?v=gZC4BxTMWHw
1.マイルスの1958年バンド~初出自はたぶん、Miles & Monk at Newport(columbia)かな。コルトレーン、キャノンボール、ビル・エヴァンスらとの6重奏団のライブ4曲はどれも素晴らしいが、特に straight no chaserでのコルトレーンのソロが凄まじい!
2.マッコイ・タイナー/at Newport(impulse)
これも好きなアルバムだ。my funny valnetineでのチャーリー・マリアーノ・・・切ないアルトが堪らない!
3.At Newport 1958/1959(FDC)~これ、海賊盤らしいけど中身が凄い。当時、未発表だったマイルス6重奏団のbye bye blackbird はこのLPが初出自。他にも、ロリンズのトリオ、リー・コニッツのトリオ(ベースはともにヘンリー・グライムズ) マリガン/ファーマーのバンド、チコ・ハミルトン(ドルフィー入り)と興味深いものが目白押し。この音源・・・CD化されてるだろうか?
トップにマイルスがきましたね。初出自は「Miles & Monk at Newport」ですが、ほとんどの方はマイルスとモンクが共演していると思ったことでしょう。マイルスが指を鳴らしてスタートのタイミングを計るところは格好いいですね。
そしてマッコイ・タイナーは、意外な組み合わせで驚きます。これがニューポートなのでしょう。チャーリー・マリアーノにクラーク・テリー、大物相手に果敢に攻めるマッコイが素晴らしい。
1958年のマイルスは、音源が散らばっておりましたが、今は本家がちゃんとした形で出していますね。ブラックバードは当時の主要なレパートリーですが、各メンバー、アイデアが広がるようです。
ドルフィー入りのチコ・ハミルトンは、CD化されていないようです。
dukeさんが仰るように『Miles & Monk~』は、まったくもって、Columbiaの確信犯的タイトルですよね(笑) 私も高校生の頃、「なんだ・・・これは、モンクのは1963年、マイルスのは1958年 の別々のステージじゃないか!」と憤慨しまして、その煽(あお)りで、このレコードをいまだに持ってません(笑) マイルスの音源は、別に編集されたCBSソニー盤(Miles Davis Sextet)で愛聴してます。
「アメリカン・ハッスル」は、面白そうな映画ですね。飯田市の近辺では上映されていないので、dvd化を待つしかなさそうです。ニューポートのライブ盤ですがよく聴いてきた順に挙げてみます。
Dizzy Gillespie / at Newport (Verve)
McCoy Tyner / at Newport (Impulse)
Miles Davis / Miles & Monk at Newport (Columbia)
ガレスピー楽団は、綺羅星のようなメンバーです。タイナーのものは、フレッシュで若々しい感覚があって、よく聴きました。マイルス、モンクとLPの片面づつの収録で、もっと聴きたくなるマイルスグループの演奏でした。他にも、レスターがゲストで演奏していたので、ベイシーのものも親しんでいました。
ニューポートといえばビッグバンドの名演が揃っています。
dukeさんを挙げられている
Ellington 1956
Basie 1957
これに
Gillespie 1957
がBest3でしょう。
次点は
Quincy Jones 1961
クインシーの解散直前のライブで、ヨーロッパのライブよりはやはりノリがいいです。
「Miles & Monk at Newport」は、二人が共演しているものと思い迷わず買いました。当然、ブツブツ一人で文句を言いました。(笑)
ニューポートはヴァーヴからもカップリング盤が出ておりますが、斜線で区切っておりますので混乱はありません。その点はグランツの配慮によるものでしょうが、絶頂期のエラとボロボロのビリーの組み合わせはいただけませんね。
「アメリカン・ハッスル」は面白かったですよ。予告編で主人公が手で拍子を取っているところがありますが、あれは「Jeep's Blues」に聴き惚れているシーンです。家に帰ってからこのレコードを取り出したとき、同じポーズをとっておりました。(笑)
トップにガレスピーがきましたか。お祭り男のガレスピーですので、ここでも熱いですね。メンバーの豪華さだけでも満足できます。
そしてマッコイにマイルス&モンク、素晴らしいですね。
レスターがゲストで出演したベイシーは、私が挙げた1枚ですが、古巣の空気のよさが伝わってくる演奏です。
おっしゃるように華舞台ですので、ビッグバンドの名演が揃っていますね。
エリントンは毎年出演する常連ですが、特に1956年は格別です。完全版も聴きましたが、どの曲も素晴らしいものばかりです。バンド全体に力があったのでしょう。
そしてベイシーにガレスピー、ともに1957年ですが、リーダーもメンバーも脂が乗っております。
クインシーの解散直前のバンドもいい感じですね。
落ち着いた古き良きアメリカが残った場所でとても気に入った場所だった。1972年に最初にゆき、それから数度行っている。アメリカ人の友人が別荘を持っていてカントリークラブのメンバーでもありもっぱらゴルフを楽しんだ。
1、マイルス/1958年
私もモンクとマイルスの裏表に騙された口だ。
2、ガレスピー
これはやはりお祭り男の面目躍如
3、Dukeさんお奨めのエリントン楽団。
こちらのお祭り男はゴンザルベス、延々と続く、タンギング不足のズルズルテナーソロ。
どこぞのファズフェスかで時間オーバーしても吹き続けるゴンザルベスを誰も止められず、最後は警官が来て笛をふいて止めさせたとか・・・
日本にきた時もやりました、延々と続くブルースのアドリブ、左肩を尖らせて独特のフォームで、ソロの内容よりあの格好でみんな興奮したものです。
ところで、次点として下記の盤を。
Complete at Newport 1958
マリガンカルテット、アートファーマーカルテット、チコ・ハミルトン/ドロフィークインテット
の三つのバンドの演奏が収録されている。
ニューポートといえば1958年、真夏の夜のジャズの時のはなしだ。
あの映画の演奏を収録した内容だ。
勿論、ドロフィー参加のブルーサンズも入っている。