
ミュージカルの楽曲を数多く話題にしているが、実のところミュージカルは苦手だ。突然歌い出して踊る理由がよくわからない。映画「ウエスト・サイド物語」はジョージ・チャキリスが恰好良くて最後まで観ることができたが、「マイ・フェア・レディ」はヘプバーンの美しさより眠気のほうが勝った。それでも「ラ・ラ・ランド」はデイミアン・チャゼル監督ときいて早速観た。先週発表になったアカデミー賞で作品賞は逃したものの6部門に輝いた作品だ。
チャゼル監督の前作「セッション」同様、ジャズファンならニヤリとする。パーカーをはじめマイルス、モンク、ケニー・クラーク等、ジャズマンの名前が出てくるし、「ジャズが死にかけてる」という台詞も泣かせる。更にLAが舞台でライブシーンは「ライトハウス」だ。パシフィック・ジャズと並んで西海岸を代表するレーベル、コンテンポラリーが誕生するきっかけになったのがこのジャズクラブである。ディキシーランド・ジャズ専門レーベル、グッド・タイム・ジャズのオーナー、レスター・ケーニッヒが、ここに通ううちディキシーとは大きく違うモダンジャズの魅力に引き込まれたという。
レスターが聴いたのはベーシストのハワード・ラムゼイを中心としたジャムセッションだ。アート・ペッパーをはじめハンプトン・ホーズ、バーニー・ケッセル、シェリー・マン等の名手が入れ代わり立ち代わりステージに上がるシーンを想像するだけでワクワクする。写真はタイトル通りラムゼイの6枚目のレコードで、バド・シャンクにコンテ・カンドリ、ボブ・クーパー、フランク・ロソリーノ等、錚々たるメンバーが並ぶ。どのトラックもひねりがあって面白いが、「ラ・ラ・ランド」にピッタリの曲があった。クロード・ウィリアムソンをフューチャーした「Isn't It Romantic」だ。バッキングに徹するラムゼイのビートが心地いい。
売れない女優とジャズピアニストの恋を描いたミュージカル映画は作曲賞と歌曲賞も受賞した。独立した曲としても完成度が高いので、歌うシーンも退屈しない。レナード・バーンスタインは、「物語が進行した結果、登場人物の心境や感情を歌として表現するのがミュージカルである」と言っている。スタンダード・ナンバーがミュージカルから出てきた理由がこの映画でわかった。
チャゼル監督の前作「セッション」同様、ジャズファンならニヤリとする。パーカーをはじめマイルス、モンク、ケニー・クラーク等、ジャズマンの名前が出てくるし、「ジャズが死にかけてる」という台詞も泣かせる。更にLAが舞台でライブシーンは「ライトハウス」だ。パシフィック・ジャズと並んで西海岸を代表するレーベル、コンテンポラリーが誕生するきっかけになったのがこのジャズクラブである。ディキシーランド・ジャズ専門レーベル、グッド・タイム・ジャズのオーナー、レスター・ケーニッヒが、ここに通ううちディキシーとは大きく違うモダンジャズの魅力に引き込まれたという。
レスターが聴いたのはベーシストのハワード・ラムゼイを中心としたジャムセッションだ。アート・ペッパーをはじめハンプトン・ホーズ、バーニー・ケッセル、シェリー・マン等の名手が入れ代わり立ち代わりステージに上がるシーンを想像するだけでワクワクする。写真はタイトル通りラムゼイの6枚目のレコードで、バド・シャンクにコンテ・カンドリ、ボブ・クーパー、フランク・ロソリーノ等、錚々たるメンバーが並ぶ。どのトラックもひねりがあって面白いが、「ラ・ラ・ランド」にピッタリの曲があった。クロード・ウィリアムソンをフューチャーした「Isn't It Romantic」だ。バッキングに徹するラムゼイのビートが心地いい。
売れない女優とジャズピアニストの恋を描いたミュージカル映画は作曲賞と歌曲賞も受賞した。独立した曲としても完成度が高いので、歌うシーンも退屈しない。レナード・バーンスタインは、「物語が進行した結果、登場人物の心境や感情を歌として表現するのがミュージカルである」と言っている。スタンダード・ナンバーがミュージカルから出てきた理由がこの映画でわかった。
「ロマンティックじゃない?」の邦題で知られる「Isn't It Romantic?」は、1932年のミュージカル「ラブ・ミー・トゥナイト」のためにロレンツ・ハートとリチャード・ロジャースの黄金コンビが書いた曲です。今週はこの曲のお気に入りをインストでお寄せください。ヴォーカルは機を改めて話題にします。
管理人 Isn't It Romantic? Best 3
Tal Farlow / Tal (Verve)
Al Haig / Jazz Will O' The Wisp (Esoteric)
Gigi Gryce - Donald Byrd / Jazz Lab (Jubilee)
他にもビル・エヴァンスをはじめケニー・ドリュー、アンドレ・プレヴィン、ショーティ・ロジャース等の名演があります。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Chet Baker - Isn't It Romantic – 1964
https://www.youtube.com/watch?v=SLOjhqvvBwk
ベルギーのフルートさん、オーラで出ております
「ラ・ラ・ランド」本予告
https://www.youtube.com/watch?v=tlyqz57sHgM
「セッション」の鬼教官も出ています
好きな曲です。何かを問いかけるようなメロディから始まり、そのメロディが何度も繰り返されながら、しかしあまり押し付けるようなクドイ感じもなく、淡々とした雰囲気の曲かな、と感じております。そしてそういう「感じ」がよく表れていると僕が思える演奏は~
1.チェット・ベイカー~(pacific jazz) 1953年
チェットのトランペットの「すうっ」とした音色が、軽いと言えば軽いのだけど、その音色から漂ってくる、侘(わび)しさ・・・みたいな感じが絶品。
2.ビル・エヴァンス~at Shelly's Manne-Hole(riverside) 1963年
この曲・・・エヴァンスはメロディの出だしをイントロなしで、いきなり、それもとっても弱く弾き始める。テンポはゆったり。ピアノ、ベースのソロも全体がまったく力まずに進むのだが、その淡々とした感じが、なにかしらこの曲にはとても合っている・・・ように僕は思う。
3.アル・ヘイグ~jazz will o'the wisp(counterpoint→freshsound)1954年
エヴァンス盤よりもテンポは少し速めで、その分、よりあっさりした感じだけど、このピアノトリオも、なんというか・・・品があって良い。
おっしゃる通りのメロディですね。「?」のニュアンスの表現が聴きどころでしょうか。
53年のチェット・ベイカーがトップにきましたね。大人のラス・フリーマンと少年のようなベイカー、ジャケットも音もフレーズもそんな印象です。紹介した映像は64年のものですが、まだ瑞々しさがあります。
そしてエヴァンス、エヴァンスが書いたといっても不思議はない曲調とメロディにメリハリが付けられたいい演奏です。ラリー・バンカーのブラシが利いておりますね。
ピアノでは私が迷わず挙げたアル・ヘイグです。少し速いテンポで歯切れの良さが気に入っております。自然と足が動きます。ロマンチックな気分とはこの感覚なのでしょう。ビル・クロウは本を書くときのネタに何かを観察しているんだろう、と思って聴くと二倍楽しめます。
dukeさん、こんばんは。
今どきのネーチャンなら『ロマンチックじゃね?』となるのでしょう
I Thought About You / Shirley Horn (Verve)
この曲のベストがあればいつか出そうとジリジリしていたこのヴァージョン(笑)
このダイナミクスなプレイは私を揺さぶります。
ダントツのトップです。
The Tatum Group Masterpieces / Art Tatum Red Callender Jo Jones (Pablo)
ヴァーブよりジャケが好みなのでこちらを。
ソロでもかまわないのですがパパジョーのブラシで少しだけ親しみやすく。
Ahmad Jamal's Alhambra / Ahmad Jamal (Argo)
これもシャーリーのが出るまではこの曲の好きなヴァージョンとしてよくかけました、もうなんて3人!ヴァーネルのスタイルの現代性に口がふさがらないのです。
ドナルド・バードのワンホーンも捨てがたいのでした。
Tal Farlow / Tal (Verve)
この曲はタルで好きになりましたので一番はタルで決まりです。コスタもバークも申し分なしです。
The Formidable Benny Carter(NORGRAN)
ストリングス入りですが、スローに迫るカーターもどうでしょうか?
僕の盤は傷だらけなので、尚更、哀愁に満ちています(笑)
Jean Thielemans/Man Bites Harmonica(RIVERSIDE)
ドリューもありましたが、珍しいハーモニカを
もの悲しいハーモニカとアダムスのゴリゴリバリトンの対比が面白いですね、おっと! ピアノはドリューでしたね、短いソロも良いですね。
ロジャース&ハートのコンビはいいですね。
今回のお題も結構好きな曲です。
The Great Jazz Trio / The Club New Yorker (Interface)
ヴァイオリンが入っていて、特にイントロとエンディングがドラマティックで好きです。
それから映画『LA LA LAND』について…
デュークさんが文章の最後に挙げていたバーンスタインの言葉は、私が“いいな”と思ったシーンに特に当てはまっているような気がします。
詳しくは述べませんが、女優さんが歌うシーンの中のひとつです。
ジョン・レジェンドも凄くいいなと思いました。
トニー・ベネットとのデュエットアルバムでしか聴いた事がありませんでしたが、もっと聴いてみたくなりました。
ラ・ラ・ツーの隣のビルには毎週行きますが、ラ・ラ・ツーは行ったことがありません。
シャーリー・ホーンがありましたか。カウンターの奥のママですね。この曲はピアノだけでしたか。「The Main Ingredient」を話題にしたことがありますが、歌もピアノもマイルスが惚れるわけです。
そしてアート・テイタム、今回レコードを出しておりませんので、聴き返してみましょう。日本では何故か人気のないテイタムですが、このレコードはメンツも選曲も申し分ありませんので、この辺りから触れてほしいものです。
ジャマルは残念ながら持っておりません。レコードで探すのは無理かもしれませんね。Argoを5,6枚集めたCDが安く出ておりますので聴いてみます。ヴァーネルのブラシが決まっているのでしょう。
タルで知る、いいですね。私も挙げましたが、ギターで妙に響く曲です。テーマも工夫がありますし、音の強弱と高低、フレーズの伸び、全体にメリハリがあり10分という長さを感じさせません。トリオでこの尺をこなすには適度な緊張が必要です。
ベニー・カーターは残念ながら聴いたことがありません。ストリングス入りだとジャズ喫茶では滅多にかかりませんので、エサ箱で見付けない限り知らないで終わるレコードです。その哀愁に満ちたロマンを聴いてみたいものです。
シールマンスがありましたね。恥ずかしながらこのアルバムでシールマンスがギタリストだったことを知りました。ハービー・マンがサックス奏者だったのも驚きでしたが、ともに転向したのは正しい判断です(笑)
このGJTはデンオンから出たアルバムですね。ヴァイオリン入りでよりロマンティックな展開になっていることでしょう。ヴァイオリンでジャズ、という企画は札幌でも聴いたことがありますが、クラシックの枠から抜け切れずあまり面白くなかったです。マイケル・ホワイトのような演奏なら聴きたいですね。ジョン・ハンディのモンタレー盤にホワイトが参加しております。BAR81にレコードがありますので、機会があればお聴きください。B面指定です。
バーンスタインの言葉はミュージカルを理解するうえで手助けになるでしょう。好んでミュージカルを観ようとは思いませんが、この映画で抵抗はなくなりました。
ジョン・レジェンドは初めて聴いたシンガーです。歌が上手い俳優がいるものだと感心しました(笑)
今朝、多摩堤を走っていたら早咲きの桜の木がピンク色に染まってきてます。東京の桜の開花が間もなくです!
さてさて、お題曲「Isn't It Romantic」:素敵な曲!良いアルバムが沢山有りそうです。
①Tal Farlow / Tal (Verve)
数年までFM番組のテーマ曲になってました。(確か?:サントリー・ウエイテングバー・アバンテ)ほぼ毎週聴いていましたのでミミタコに・・・・
②AL Haig Trio(Esoteric)
お題曲も!ヘイグも!後ろのB・クロウも!お気に入りです!こいつが、B・クロウが金貰って無い盤でしたっけ?
同率②The Tatum Group Masterpieces / Art Tatum Red Callender Jo Jones (Pablo)
鍵盤から零れるテイタムの八分音符&十六分音符が快感!
③Coleman Hawkins/ Hollywood Stampede (Capitol)
贔屓の引き倒しかもですが・・・
同率③Gigi Gryce - Donald Byrd / Jazz Lab (Jubilee)
D・バードの1ホーン!グライスが演って居たら金メダルだったにのに 惜しい!