とうさん、とうちゃん、とっつあん、ととさま、父を呼ぶ言葉である。語源を調べてみると「ちち」は母音交代により「てて」になり、幼児語の「とと」にもなり「と」が付くらしい。父親を親しんで呼ぶ語に「親父」があるが、こちらは「おやちち」が転じ語のようだ。呼び方は様々だが、6月第三日曜日の今日は父に感謝を表す日である。ジャズ・ピアニストばかりか、ジャズ・ミュージシャンそしてジャズ・ファンが感謝する父というと・・・
Earl "Fatha" Hines ジャズ・ピアノの父アール・ハインズである。ルイ・アームストロングのホット・ファイヴで不朽の名演を残したそのホーンライクな奏法は、トランペット・スタイルと称されるもので、ルイのトランペット奏法を力強い右手のシングル・トーンで表現したものだ。加えて左手のベース・パートもそれまでの通念であった画一的な単純な動きではなく、複雑でより開放されたリズムにより躍動感を生む。同じスイング期のファッツ・ウォーラーやテディ・ウィルソンが後進ピアニストに与えたものも大きいが、ハインズのフリージャズの時代にまで影響を及ぼしたスタイルは、 "Fatha" の称号に相応しいものだろう。
コンタクト盤の「ヒア・カムズ」は、リチャード・デイヴィス、エルヴィン・ジョーンズというコルトレーン・カルテットを支えた強力なリズム陣との異色の顔合わせに驚く。66年録音当時、ハインズ61歳、デイヴィス36歳、エルヴィン39歳、還暦を過ぎたハインズから見ると子どもみたいなものだが、世代を超えたセッションは互いの持ち味を存分に発揮したエネルギッシュな作品である。このアルバムのハイライトともいえる「ザ・スタンリー・スティーマー」では、デイヴィスのウォーキング・ベースに絡むハインズがゾクッとするほどスリルがあり、エルヴィンのシンバルワークは火花を散らす勢いだ。偉大な父の前で緊張しながら「親爺」と尊敬の念で呼ぶ子どもに、ジャズ・ピアノの父の眼差しは優しい。
日本では母の日に比べ印象の薄い父の日だが、アメリカで始まったのは100年ほど前であり、アメリカでは国民の祝日に制定されている。家庭のことは母親に任せきりで、子どもを叱らない父親が増えた昨今、父権も失われつつあるが、今日の父の日くらいは父に感謝を表したいものだ。
Earl "Fatha" Hines ジャズ・ピアノの父アール・ハインズである。ルイ・アームストロングのホット・ファイヴで不朽の名演を残したそのホーンライクな奏法は、トランペット・スタイルと称されるもので、ルイのトランペット奏法を力強い右手のシングル・トーンで表現したものだ。加えて左手のベース・パートもそれまでの通念であった画一的な単純な動きではなく、複雑でより開放されたリズムにより躍動感を生む。同じスイング期のファッツ・ウォーラーやテディ・ウィルソンが後進ピアニストに与えたものも大きいが、ハインズのフリージャズの時代にまで影響を及ぼしたスタイルは、 "Fatha" の称号に相応しいものだろう。
コンタクト盤の「ヒア・カムズ」は、リチャード・デイヴィス、エルヴィン・ジョーンズというコルトレーン・カルテットを支えた強力なリズム陣との異色の顔合わせに驚く。66年録音当時、ハインズ61歳、デイヴィス36歳、エルヴィン39歳、還暦を過ぎたハインズから見ると子どもみたいなものだが、世代を超えたセッションは互いの持ち味を存分に発揮したエネルギッシュな作品である。このアルバムのハイライトともいえる「ザ・スタンリー・スティーマー」では、デイヴィスのウォーキング・ベースに絡むハインズがゾクッとするほどスリルがあり、エルヴィンのシンバルワークは火花を散らす勢いだ。偉大な父の前で緊張しながら「親爺」と尊敬の念で呼ぶ子どもに、ジャズ・ピアノの父の眼差しは優しい。
日本では母の日に比べ印象の薄い父の日だが、アメリカで始まったのは100年ほど前であり、アメリカでは国民の祝日に制定されている。家庭のことは母親に任せきりで、子どもを叱らない父親が増えた昨今、父権も失われつつあるが、今日の父の日くらいは父に感謝を表したいものだ。
72年のアール・ハインズ来日公演は聴きましたが、ホーンライクなピアノは健在でした。サイドメンが酷かったのですが、ハインズは始終笑顔を絶やさず、人としての大きさを感じたものです。お好みのハインズのアルバムをお寄せください。
管理人 Earl Hines Best 3
South Side Swing (Decca)
Here Comes (Contact)
At Home (Delmark)
探している1枚
'Fatha' (Columbia)
トップに挙げたアルバムは、ハインズのビッグバンドでして、34年と35年のデッカ・セッションを収録したものです。当時の音源は様様な形でCD化されているようです。「That's A Plenty」が素晴らしいです。
At Home はソロ・アルバムです。タイトル通り寛いだ演奏で、「You Are Too Beautiful」の美しいこと。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
"FATHA,NEW TRIO"
Lonehill Jazz の「Classic Trio Sessions」に
入っています。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2735983
アール・ハインズ 余り持っていないので、ベスト3は欠席なので、情報だけね。
「Classic Trio Sessions」には「Here Comes」も入っていますね。レーベルを超えたお徳用アルバムとでもいうのでしょうか。Lonehill Jazz も侮れませんね。
'Fatha' に収録されている「St. James Infirmary」は素晴らしい内容です。
それにしても1枚に3枚分か、1粒で100メートルのグリコより凄いや。(笑)
アール・ハインズは、ジャズの歴史の上ではピアノの親父ですが、晩年まで演奏が若々しく・・年さえ忘れて・・と言ったところでしょうか。
お気に入り
「ワンス・アポン・ア・タイム」
「ヒア・カムズ」
「ファーザ」
エルヴィンやリチャード・デイヴィスは嬉しかったでしょうね。
ところで最近店でかけるアルバムがこのブログの影響を受けております。
今日もクリス・コナーの「ガーシュイン・ソング・ブック」と「グルーヴィン・ウィズ・ゴルソン」を続けてかけてしまいました。しかも無意識にです・・・。
この悪魔のブログ(失礼)に囚われてしまったのでしょうか?(笑う)
24年くらい前に買ったLPを、久しぶりに
引っ張り出しました。
4半世紀近く経っているのに、盤面のきれいなこと!
それもそのはず、聴いた回数は多分片手で足ります。
私は「Stanley Steamer」より、その次の
「Bernies Tune」に惹かれました。
急速なディビスのウォーキング・ベースに、エルビンの
小気味のいいブラシが絡み、ハインズの硬質なピアノが
冴え渡ります。
バイ・バイ・ベイビーも、いいですね。
この曲、4438miles さんのテーマ曲の
「Once In Your Life」(でしたっけ?自信なし)に
コード進行が似てますね。
「音楽にジャンルなどない。
あるのは、いい音楽と悪い音楽だけだ。」
と言ったのは、エリントンでしたっけ?
確かに、このアルバムを聴くと、やれスイングだの、
バップだの、ポスト・モダンだの、そういうタイプ分けに
意味があるのだろうか?という気がしてきますね。
そんな訳で、今週もベスト3は、選べませんでした。残念!
いきなり「ワンス・アポン・ア・タイム」が登場しましたか。エリントニアンと組んだアルバムですね。こちらもエルヴィンが参加しておりますが、エルヴィンとは思えないほど静かです。錚々たる親爺の前ではタコも足が出なかったのでしょうか。(笑)
拙ブログで話題にしたアルバムをかけて頂くとは嬉しいですね。北からの発信ゆえ悪魔のブログに見えるのでしょうか。私は天使のブログと思っておりますが、限りなく悪魔に近い天使でしょうね。(笑)
Here Comes 1枚でもハインズというピアニストの魅力を十分に知ることができます。そして仰るようにジャズのタイプ分けには意味がないことを改めて感じさせます。記事にもありますように驚きの組み合わせではありますが、違和感どころか寧ろ快感さえ覚えます。エリントンは音楽の本質を見事に言い当てております。ご紹介頂いた「音楽にジャンルなどない。あるのは、いい音楽と悪い音楽だけだ。」に尽きますね。
「Bernies Tune」も確かに良い出来ですが、どうにも「Stanley Steamer」のインパクトが強くて、「Bernies Tune」ベストのときも YAN さんが挙げられるまで忘れておりました。(笑)
コンタクト盤の「スポンティニアス・エクスプロレーションズ」お持ちでしたか。このアルバムは私も持っておりますが、同じコンタクト盤の「ヒア・カムズ」とキングから同時発売されたものです。私はオリジナルが入手できずこちらで聴いております。チャーリー・シェーバース作の「アンディサイデッド」が好きです。
ジョニー・ホッジスとの共演盤(ヴァーブ)は、「ストライド・ライト」ですね。こちらは愛聴盤の1枚です。どちらのジャケもサングラスが印象的ですが、若い頃あのサングラスをかけておりました。外すとつぶらな瞳が可愛いこと・・・(笑)
お持ちのアルバムでも、鳴る鍵盤とでもいうのでしょうか、トランペットスタイルを楽しめると思います。ビッグバンド時代のほうがより顕著で、確かにホーンに聴こえますよ。私がトップに挙げたアルバムはその辺りを聴くうえでは最適かと思われます。
アルバムは、殆どもっていません。
ベニー・カーターの「SWINGIN' THE '20s」とコンピレーションに入っているものくらいなので、到底ベスト3には及びません。
今聴いても古さは感じませんし、難しいことを抜きにして楽しく聴けて、心地よいピアノだと思います。