ジャズに夢中になった高校生のころ、ようやく小遣いを貯めて買った1枚のレコードは宝だった。繰り返し聴いたあとジャケット裏のライナーノーツを読むのだが、英語力の貧困さとスラングが理解できずうまく訳せない。特にジャズは辞書に載っていない隠語が多く、ときには曲のタイトル自体がスラングだったりする。そんなとき英語の先生が頼りだった。教科書を広げて職員室に行くのはよく見るが、レコードを抱えて先生の横に立つのは小生だけかもしれない。
辞書を引き引き数時間かけて訳したノートに、僅か数分で赤ペンのチェックが入る。何故、この片田舎で英語教師をしているのか謎だった京都大学出身の先生だ。「ジャズはスラングのかたまりだからねぇ、これも多分まともな意味ではないだろうね」と。これとは「hot house」である。バップナンバーのベスト3に数えられるタッド・ダメ ロンの曲で、ビ・バップの喧騒と熱情がほとばしるテーマはジャズが大きく変わる象徴であり、そこから発展するアドリブはジャズの核心ともいえる即興性を大きく広げることになる。タイトルにしても、どの演奏にしても熱い展開だが、意味が直訳した「温室」ではないことぐらいは分かった。
バップ期から変わらず愛されている曲で、カヴァーは枚挙にいとまがないが、キューバ出身のトランペット奏者アルトゥーロ・サンドヴァルが素晴らしい演奏を残している。ラテン・ジャズ、それもビッグバンドとなるとお祭り騒ぎのようで鑑賞派のファンから敬遠される向きもあるが、ガレスピーを敬愛してやまないサンドヴァルのソロは派手なだけの南米のそれではなくバップ特有のスリルを持つ。ガレスピーの生涯の愛奏曲をタイトルにしたアルバムは、全体にラテンビートが強調されていて、ジャズ初期のビッグバンドが踊る音楽であったように音楽で踊る楽しさも教えてくれるだろう。
「hot house」の隠れた意味は君が大人になったらわかるよ、とニヤリと笑った先生は安藤美紀夫という。のちに日本女子大学の教授を務めた人であり、イタリア児童文学の翻訳や、自らの創作で児童文学者としてつとに著名な人である。安藤先生から高校の授業では絶対教えることのできないスラングの味わいを教わった。「hot house」の意味は恩師が仰った通り大人になってようやく理解する。
辞書を引き引き数時間かけて訳したノートに、僅か数分で赤ペンのチェックが入る。何故、この片田舎で英語教師をしているのか謎だった京都大学出身の先生だ。「ジャズはスラングのかたまりだからねぇ、これも多分まともな意味ではないだろうね」と。これとは「hot house」である。バップナンバーのベスト3に数えられるタッド・ダメ ロンの曲で、ビ・バップの喧騒と熱情がほとばしるテーマはジャズが大きく変わる象徴であり、そこから発展するアドリブはジャズの核心ともいえる即興性を大きく広げることになる。タイトルにしても、どの演奏にしても熱い展開だが、意味が直訳した「温室」ではないことぐらいは分かった。
バップ期から変わらず愛されている曲で、カヴァーは枚挙にいとまがないが、キューバ出身のトランペット奏者アルトゥーロ・サンドヴァルが素晴らしい演奏を残している。ラテン・ジャズ、それもビッグバンドとなるとお祭り騒ぎのようで鑑賞派のファンから敬遠される向きもあるが、ガレスピーを敬愛してやまないサンドヴァルのソロは派手なだけの南米のそれではなくバップ特有のスリルを持つ。ガレスピーの生涯の愛奏曲をタイトルにしたアルバムは、全体にラテンビートが強調されていて、ジャズ初期のビッグバンドが踊る音楽であったように音楽で踊る楽しさも教えてくれるだろう。
「hot house」の隠れた意味は君が大人になったらわかるよ、とニヤリと笑った先生は安藤美紀夫という。のちに日本女子大学の教授を務めた人であり、イタリア児童文学の翻訳や、自らの創作で児童文学者としてつとに著名な人である。安藤先生から高校の授業では絶対教えることのできないスラングの味わいを教わった。「hot house」の意味は恩師が仰った通り大人になってようやく理解する。
タッド・ダメロンは多くのバップ・ナンバーを書いておりますが、なかでもホット・ハウスはタイトルの通り熱い曲です。パーカーやガレスピーの十八番でもありました。今週は暮れの賑わいを思わせるホット・ハウスのお気に入りをインスト全般でお寄せください。楽器別は機を改めて話題にします。
管理人 Hot House Best 3
Charlie Parker / Jazz At Massey Hall (Debut)
Barry Harris Plays Tadd Dameron (Xanadu)
Eric Dolphy / Berlin Concerts (Enja)
チャールス・マクファーソン、ソニー・クリス、フランク・モーガン等、パーカー派が好んで取り上げております。ピアノ物もパウエルを初め、テテ・モントリュー、ドン・フリードマン等々、多くの名演があります。他にもバーバラ・ディナーリーン、ラリー・コリエル、楽器を問わず広く愛されている曲ですので何が挙がるのか楽しみです。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
タッド・ダメロンのホット・ハウスは、大好きな曲です。
Jazz At Massey Hall/ Charlie Parkers、最高の演奏だと思います。パーカーのプレイは、素晴らしい。パウエルもこの時期としては良いと思います。
私も1枚目は、パーカーを挙げます。
vib好きの小生としては、真っ先に
「It's Time For Dave Pike」(Riverside)
Pike のアルバムというと、一般的にはエバンスとの
共演盤が人気のようですが、私はこっちの方が断然好きです。
ことパイクとの相性でいうと、エバンスよりハリスの方がいいように思うんですが。
Hot Houseでは、パイクもハリスも熱く燃え盛ってます。
管理人さん、敢えてこれを挙げなかったのは、
私に逃げ道を作っておいてくれたのかな?
あと2枚は、パーカーのマッセイホールに
ドルフィーのベルリンかな?
ブラウニーのBee Hive Live なんかもあるけど、
これはちょっと長尺過ぎかな?
やはりマッセイホールですね。メンバーを見るだけで、チャーリーちゃんを囲む豪華メンバーに圧倒されます。演奏内容といい、歴史的なバップ・セッションという意味合いといい、おそらくこれを凌ぐセッションは見当たりませんね。高校生のとき一番聴いたレコードです。
管、ピアノ、オルガン、ギターと思いつくままに挙げましたが、何か忘れているなぁ、と思っておりました。ヴァイブがありましたか。
今探しましたよ。このときパイクはまだ22歳だったのですね。エバンスとの共演盤でピークを迎える(笑)わけですが、バートン同様、早熟のようです。メンバー的にはこちらのほうがパイクのノリに合っているかもしれません。バリバリのハリスに、良く働くワークマン、器用が災いしてドラマーランクではいつもビリのヒギンズ、申し分ありませんね。
今日は、ダブルヘッダーです。(笑)
2枚目、3枚目は、
Hot House/Bud Powell
唸り声のホット・ハウス。
選んだ理由は、最近晩年のパウエルに強く惹かれているからです。
一週間の内、3日は51年までのパウエル。後は、60年以降のパウエルを聴いています。
Plays Tadd Dameron/Barry Harris
大好きなアルバム。
LPは、擦り切れるほど聴きました。
CDも擦り切れそうです。(笑)
何回聴いたかわからない愛聴盤です。
パウエル命病とバリー・ハリス大好き病は、一生治らないと思います。(笑)
ジャケ見ると、なかなかのイケメンですよね。
若い頃のトニー・カーチスにちょっと似た感じ。
後年のパイクは、ただのスケベ親爺にしか見えませんが。
ところで、ソニー・クリスはどのアルバムで
やってますか?
因みに私も高校時代、ダウンビートやLPのライナーノーツで分からないスラングがあると、アメリカ文化センターにいらした、野口久光先生の所へ直に聞きに行ったものです、怖いものしらずで・・・優しく教えてくれました。
かなりドギツイことでも・・・です。
学校の職員室で英語の先生に聞くと、自分が分からない事を棚に挙げて、下らないものを学校に持ってくるな・・と矛先を変えてしまいます。(笑)
リロイ・ジョーンズなどを持って聞きに行ったら、目を白黒させて、チャント教科書を読めとか言い出すしまつでした。
それを隣で聞いていた、作家志望の国語の教師が後でそっと教えてくれました。(笑)おまけに、「ミッドナイト サンは沈まず」の「ミッドナイト・サン」って何だか知っているか?と逆質問・・・話は卑猥な方向へと発展したのでありました。
Charlie Parker / Jazz At Massey Hall (Debut)
Barry Harris Plays Tadd Dameron (Xanadu)
Eric Dolphy / Berlin Concerts (Enja)
Hot House/Bud Powell
まあ、これをどのような順番に並べるかが問題だ!どれもいいなぁ・・・。
2枚目にパウエルが挙がりましたか。晩年のパウエルはかつての天才的な閃きがないとはいえ、凡人にはないオーラがありますね。指が動かないもどかしさからくる唸りはパウエルの魂の声ともいえます。
ハリスのダメロン集は私も挙げましたが、バップの精神が身にしみているだけにさすがの表現ですね。ダメロンの曲作りの上手さにも感心するアルバムです。
ソニー・クリスは、Jazz Showcase から出た「California Boppin'」に収録されております。ハワード・マギーやワーデル・グレイとの47年のバップ・セッションでして、のちの泣きはなく完全なパーカースタイルです。フレッシュサウンズからCDで出ております。