
「バードランドが僕の出身校だ。(中略)自ら範を垂れて教育してくれる輝かしき教授陣は、世界最高のジャズ・ミュージシャンたちであり、その学長とでもいうべきはチャーリー・パーカーだった。」の書き出しはベーシストのビル・クロウ著「さよならバードランド」(村上春樹訳、新潮社刊)である。バードランドとはパーカーのニックネームから付けられたジャズクラブで、副題のように「あるジャズ・ミュージシャンの回想」が綴られている。
ジェリー・マリガン「ナイト・ライツ」、スタン・ゲッツ・プレイズ、アル・ヘイグのEsoteric盤、ジャズ史を彩る名盤に参加しながらも意外にその名前は知られていない。それは派手なソロを取らないことと、決して輪を乱さない堅実なバッキングによる。ベーシストにはふたつのタイプがあり、オスカー・ペティフォードやレイ・ブラウンのように華麗なプレイで前面に出るタイプと、クロウのように常にバックでリズムを支えることに専念するタイプだ。黒子的存在の後者は損なタイプに思えるが、歌舞伎でも静止画的画面構成を支える黒子がいてこそ役者が映えるように、ジャズもまた同じでステージに欠かせない重要な存在である。
この著書がきっかけとなって95年に録音されたのがこのアルバムで、何とこれが初リーダー・アルバムというから驚く。クロウは当初ドラマーとしてマイク・レイニーに雇われ、次いでグレン・ムーア楽団ではトロンボーンを吹いていたという。そしてベーシストとして名前が知られるようになったのはテディ・チャールズのバンドに加わったころで、ベーシストとしてのキャリア40年目にしての初リーダー作になる。オリジナルを数曲とスタンダードのバランスの取れた構成で、なかでも「ジャスト・フレンズ」は、このセッションに駆けつけたテナー奏者のカーメン・レギオやギタリストのジョー・コーンとの旧交を温めるに相応しい曲だ。
おそらくクロウにとって初めての長いベースソロは、その文章の語り口と同じように温かく優しい。行間からにじみ出る共演したミュージシャンへの愛情を、そのままベースの一音一音に重ねているようだ。そして人柄なのだろう、どこまでも控え目で、常に周りのプレイヤーを立てることを忘れない。ときに我がままで勝手なスタープレイヤーとバードランドが衝突したときに仲裁に入ったクロウの苦労もこのアルバムで報われたかもしれない。
ジェリー・マリガン「ナイト・ライツ」、スタン・ゲッツ・プレイズ、アル・ヘイグのEsoteric盤、ジャズ史を彩る名盤に参加しながらも意外にその名前は知られていない。それは派手なソロを取らないことと、決して輪を乱さない堅実なバッキングによる。ベーシストにはふたつのタイプがあり、オスカー・ペティフォードやレイ・ブラウンのように華麗なプレイで前面に出るタイプと、クロウのように常にバックでリズムを支えることに専念するタイプだ。黒子的存在の後者は損なタイプに思えるが、歌舞伎でも静止画的画面構成を支える黒子がいてこそ役者が映えるように、ジャズもまた同じでステージに欠かせない重要な存在である。
この著書がきっかけとなって95年に録音されたのがこのアルバムで、何とこれが初リーダー・アルバムというから驚く。クロウは当初ドラマーとしてマイク・レイニーに雇われ、次いでグレン・ムーア楽団ではトロンボーンを吹いていたという。そしてベーシストとして名前が知られるようになったのはテディ・チャールズのバンドに加わったころで、ベーシストとしてのキャリア40年目にしての初リーダー作になる。オリジナルを数曲とスタンダードのバランスの取れた構成で、なかでも「ジャスト・フレンズ」は、このセッションに駆けつけたテナー奏者のカーメン・レギオやギタリストのジョー・コーンとの旧交を温めるに相応しい曲だ。
おそらくクロウにとって初めての長いベースソロは、その文章の語り口と同じように温かく優しい。行間からにじみ出る共演したミュージシャンへの愛情を、そのままベースの一音一音に重ねているようだ。そして人柄なのだろう、どこまでも控え目で、常に周りのプレイヤーを立てることを忘れない。ときに我がままで勝手なスタープレイヤーとバードランドが衝突したときに仲裁に入ったクロウの苦労もこのアルバムで報われたかもしれない。
ジャスト・フレンズは、31年に書かれた古い曲ですが、チャーリー・パーカーが取り上げたことで一気にジャム・セッションで欠かせない人気曲になりました。今週はインストでお好みをお寄せください。ヴォーカルは機を改めて話題にします。
管理人 Just Friends Best 3
Charlie Parker With Strings (Verve)
Booker Ervin / Song Book (Prestige)
Paul Chambers / Go (VeeJay)
他にもコルトレーン、ビル・パーキンス、LA4、ソニー・スティット、マルサリス(笑)等々、多くの名演がありますので何が挙げられるのか楽しみです。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
ナイトライツ…昔ラジオでこのアルバムのショパンのプレリュードがおやすみなさいと聞こえてました
パーカーのストリングスが出てしまっては何を選んでもかなうわけは無いのです(笑)
匹敵するのはサラの歌ぐらいです……
私が選ぶベストはいつも偏愛するものばかりですが、大好きな曲なので書かせて頂きます
以前からこれが最高の解釈だねというのはいくつかあるんですが…?手元に無い!?…ということで不確かな記憶ですので間違いがありましたら申し訳ございません
1/デイブ・ベイリー・セクステット/バシュ(ジャズライン)
ナイトライツつながりでもありますが、ここでのトリオ演奏は素晴らしいです
2/ジーン・アモンズ+ドド・マーマローサ/ジャグ・アンド・ドド(プレスティッジ)
パーカーつながりでもありますが…手元にありません…どこいった…確かドドがサム・ジョーンズとシカゴの名手マーシャル・ホーキンスとトリオで演っていてえらいマブかった記憶があります
3/ジェイ・ジェイ・ジョンソン・クインテット/ライブ・アット・ヴィレ・ヴァン・スタンダード(エマーシー)
やはりパーカーにつながりますね、このジェイ・ジェイは、いや、いつでも凄いジェイ・ジェイですがこのアルバムのこの曲はエクセレント!バックのプレイヤーも最高の時期で特にルーファスとヴィクターのサポートは…あぁ生で見たかった
次点としてカール・パーキンスを
あれは他にもいい曲があるので
今日明日は感謝デーらしいのでジャスコの友達に会いにいかなくては…
Just Friends 、好きな曲です。
お気に入りは、
With Strings /Charlie Parker
涎が出そうになるくらい素晴らしい!
1位は決まり! (笑)
Tune-Up/Sonny Stitt
大好きで、何度聴いたかわからないアルバム!
バリー・ハリスの参加も重要だ!
Song Book /Booker Ervin
このアルバムのJust Friends は、今年一番聴いた!
トミー・フラナガンの参加が、ポイントだ!
ナイトライツといえばアスペクト・イン・ジャズを思いだしますね。夜の静寂のなんと饒舌なことでしょうか、あっ、これはジェットストリームか。(笑)
デイブ・ベイリーがありましたね。ついぞジャズライン盤を見ないままトミフラをリーダーにした再発盤で聴いております。バッシュと決まるベイリーの魅力満載です。
ジャグ・アンド・ドドは、バックの翌年の録音ですが、意外な組み合わせです。聴きかえしておりませんが、印象は悪くなかったように思います。
ジェイ・ジェイは88年のライブですが、パワーは衰えておりませんね。ライブで威力を発揮する人ですが、マシュマロから出たカフェボヘミアも凄かったなぁ。
しばらく中の島のジャストフレンズにご無沙汰ですので、紅茶でも飲みに行かなくては・・・
今週も初日でトップ決定でしょうか。(笑)パーカーが取り上げなければ、眠った曲ですので、演奏以上にその着目に敬意をはらいたいですね。
そして、スティットがきましたか。ハリスともども気負ったところがなく自然体の演奏はバッパーとしての誇りさせ感じます。しばらく棚に眠ったままですので、埃が被っているかもしれません。(笑)
アービンはおそらくどなたからも挙がらないと思っておりました。一時アービンの音色と癖だらけのフレーズにはまりました。評価されないまま終わった人ですが、コアなファンがいたことは確かです。
たくさんありすぎて、すぐには3枚選べませんが、
僕的にはトップは、これです。
◎「Back On the Scene / Bennie Green」(BN1587)
この曲の一種夢見心地のような曲想は、ボントロの
音色が実によく似合うと思います。
ジャズ聴き始めの頃、当時BN盤を再発していた
キング・レコードが、帯のシールを集めて持っていくと
LPプレゼントというキャンペーンやっていて、
当ったのがこのレコードだったので、とても思い出深い
ものがあります。
(当然、Label にはNot For Sale と記されています。)
グリーンのアーシーなボントロに、ラウズの
なかなか良く歌うテナーが絡み(決してイモ・テナーではないと思う!)、
ジョー・ナイトp、ジョージ・タッカーb、ルイ・ヘイズdsという、
必ずしも超一級品とは言えないリズム陣も、
結構スイングして好サポート。
この曲の初聴きがこれだったこともあり、
ジャスト・フレンズとこればベニー・グリーンと
インプットされてしまってます。
A面3曲目がこれで、1曲目がI Love You。
曲想が似てるので当時よく間違えました。
2曲目のMelba's Mood(メルバ・リストンの曲?)も、
エキゾチックで素敵。
「おお、あれが摩天楼か!」とでも言いたげに
指差して立っているグリーンの全身を写した
セピア・グリーンのジャケも、これまた秀逸。
Back On The Scene の蘊蓄、長々とすみません。
あと2枚は、後日。
多分、パーカーwithストリングスは、入れないかな。
あ、今更ながら気がついたんですが、
パーカー盤にオーボエでクレジットされている
ミッチ・ミラーって、あのミッチ・ミラー楽団の
親分でしょうか?
レコードに限らず、愛用品はその入手経路により特別な愛着を感じるものです。私は師の岩崎千明氏からいただいたアール・ハインズの初期ビッグバンドやトニイレコードの店主に、まずこれを聴きなさい、と渡されたグッドマンのカーネギーホールです。ジャケもディスクもボロボロですが非常持ち出しに入れてあります。
ベニー・グリーンのこの盤はVJ盤と並んでベストの出来栄えでしょう。ジャケの指差す右手同様、力強さがありますし、ラウズも光ります。ラウズはモンクと別のバンドでは豹変しますね。指差した先にブルーノートのスタジオがあって、張り切って早々と到着しましたが、ライオンに録音は夜になるよ、と言われたそうです。ジョー・ナイトは夜しか来ないだよなぁ。
>ミッチ・ミラーって、あのミッチ・ミラー楽団の親分でしょうか?
そうです。黄色いリボンを付けていたでしょう。(笑)
ラムゼイ・ルイスが来日したときのドラマー、モーリス・ホワイトをアース・ウィンド&ファイアーのメンバーで見つけたときは驚きました。
特にさよならバードランドは同じ写真のCDジャケと並べて、聞きながら読んだものです。
ビル・クロウとリロイ・ヴィネガーは過小評価ベースの二人ではと・・・。
そこで「Just Friend」ですか・・
最初に来るのは、やはりソニー・スティットですね。
次が、ポール・チェンバースのGOで・・三番目が問題だな。
ベニー・グリーンも好きだな・・・ピアノトリオものが少ないなぁ・・。
やはり、管の方がノリやすい曲だからかな。
最初の8小節でサックスが大きくスイングして出てきたら、ドンドンのれる曲でしょう。
ホーン向きの曲なのですね。やはり・・・。
アネクドーツも面白かったですね。クロウは記憶力がいいのか、メモで残していたのか、昔のことを今見たかのように書いているのは感心しました。
ソニー・スティットに私が挙げたチェンバースがきましたか。GOは手抜きのジャケですが、演奏内容はまさにGOです。あまり話題になりませんがベスト3には残らなくてもベスト5に入るでしょう。(笑)
ノリの良い曲ですのでやはりホーン向きですし、ブロウしやすいフレーズなのでジャムセッションでよく取り上げられるのでしょう。
3サウンズ好きのSHINさんが、
「LD+3 / Lou Donaldson With Three Sounds」を
推さないのは何故?