スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演の映画「ターミナル」は、エスクァイア誌に掲載されたジャズメンの集合写真が重要な要素であった。ストーリーは社会的立場を無くした人間の心理と行動を描いたものでスピルバーグらしさのあるヒューマンドラマである。釈然としないエンディングや、ジャズをモチーフにしているのバックにジャズはあまり流れず、と少々不満も残るが、ハーレムで写された集合写真の一人、ベニー・ゴルソンがジャズクラブで代表作「キラー・ジョー」を吹くシーンはゴルソン・ファンには見逃せない。
58年に撮影された集合写真の経緯は、ドキュメンタリー・フィルム「ア・グレイト・デイ・イン・ハーレム」で知ることができるが、58人ものジャズミュージシャンを1枚の写真に収めるのは容易なことではなく、写真家のアート・ケインの熱意はジャズファンならずとも心打たれる。苦労の末写した写真もメアリー・ルー・ウィリアムスやロイ・エルドリッジは横を向き、ディジー・ガレスピーは舌を出す道化ぶりで、音楽以外は協調性を持たず勝手な行動をとるジャズメンの姿を如実に写し取っていた。半世紀前の写真ともなれば、現存するプレイヤーは少なく、映画ではいまだ現役で活躍するゴルソンに白羽の矢が立ったのだろう。
写真が写された翌年、59年に吹き込まれた「Groovin' with Golson」は、名盤として名高い「ブルース・エット」の後に吹き込まれたもので、ここでもカーティス・フラーが共演している。レイ・ブライアント、ポール・チェンバース、そしてアート・ブレイキーという当代きってのリズムセクションをバックに奏でるいわゆるゴルソン・ハーモニーが美しい。「ブルース・マーチ」や「アイ・リメンバー・クリフォード」等、作曲家としてのゴルソンの才能も抜きん出ているが、編曲家としても巧みで、まるで自作を飾り付けるような自在さを持つ。名コンビ、ロジャース&ハートの「時さえ忘れて」が収めれており、テーマ部の2管の絡み具合は作者以上の名コンビであり名編曲でもある。
「ビッグ・ピクチャー」と呼ばれるジャズ・フォト史上不滅の集合写真は、ニューヨーク近代美術館の永久コレクションになっていることからも、その貴重性と価値の大きさがわかるだろう。写真の最後列にアート・ファーマーと肩を並べているゴルソンは、映画でも写真から時代を超えて抜け出た笑顔をみせていた。ゴルソン・ハーモニーを聴く度、時さえ忘れる。
58年に撮影された集合写真の経緯は、ドキュメンタリー・フィルム「ア・グレイト・デイ・イン・ハーレム」で知ることができるが、58人ものジャズミュージシャンを1枚の写真に収めるのは容易なことではなく、写真家のアート・ケインの熱意はジャズファンならずとも心打たれる。苦労の末写した写真もメアリー・ルー・ウィリアムスやロイ・エルドリッジは横を向き、ディジー・ガレスピーは舌を出す道化ぶりで、音楽以外は協調性を持たず勝手な行動をとるジャズメンの姿を如実に写し取っていた。半世紀前の写真ともなれば、現存するプレイヤーは少なく、映画ではいまだ現役で活躍するゴルソンに白羽の矢が立ったのだろう。
写真が写された翌年、59年に吹き込まれた「Groovin' with Golson」は、名盤として名高い「ブルース・エット」の後に吹き込まれたもので、ここでもカーティス・フラーが共演している。レイ・ブライアント、ポール・チェンバース、そしてアート・ブレイキーという当代きってのリズムセクションをバックに奏でるいわゆるゴルソン・ハーモニーが美しい。「ブルース・マーチ」や「アイ・リメンバー・クリフォード」等、作曲家としてのゴルソンの才能も抜きん出ているが、編曲家としても巧みで、まるで自作を飾り付けるような自在さを持つ。名コンビ、ロジャース&ハートの「時さえ忘れて」が収めれており、テーマ部の2管の絡み具合は作者以上の名コンビであり名編曲でもある。
「ビッグ・ピクチャー」と呼ばれるジャズ・フォト史上不滅の集合写真は、ニューヨーク近代美術館の永久コレクションになっていることからも、その貴重性と価値の大きさがわかるだろう。写真の最後列にアート・ファーマーと肩を並べているゴルソンは、映画でも写真から時代を超えて抜け出た笑顔をみせていた。ゴルソン・ハーモニーを聴く度、時さえ忘れる。
数多くのプレイヤーが取り上げている「時さえ忘れて」ですが、今週はインストでお好みのバージョンをお寄せください。
ヴォーカル・バージョンとゴルソン・ベストは、機を改め企画しようと思っております。多分、時さえ忘れたころでしょうか。(笑)
管理人 I Didn't Know What Time It Was Best 3
Sonny Clark Trio (Blue Note)
Benny Golson / Groovin' with Golson (New Jazz)
Bud Powell / Blues In The Closet (Verve)
映画「ターミナル」をご覧になった方も是非ご感想をお寄せください。トム・ハンクスが喋っていたクラコウジア語は全てアドリブだそうですが、「そりゃ納得いかんのう」と日本語に聞こえる台詞がありました。
ゴルソンのこのアルバムのジャケ写は福田総理に似ていると思いませんか。ゴルソンは笑っておりますが、最近の総理は、「そりゃ納得いかんのう」というお顔のようです。(笑)
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
我慢できずに今聴きながら書いています。
モーガンの歌っているソロ、絶妙の間で入るブレーキーのドドン!それを受けて盛り上げるゴルソンのテナー。
ああ、涙が込み上げてきました・・・青春のほろ苦さと共に・・・。
管理人様ご推奨の3枚はもちろん、とても
素晴らしいのですが、私からは敢えてへそ曲がりの
選択で。
ピアノと、それ以外から、3枚ずつ。
○ピアノ
1)「ボビー・ティモンズ3・イン・パーソン」
シンプルなテーマ呈示のあとの、ティモンズの
自由奔放な目くるめくソロの展開が、堪らない。
2)「The Art of Trio/ ブラッド・メルドウ」
メルドウのピアノは、私はどちらかというと否定的に
観ているほうなのですが、この演奏はいい。
ややあとノリ気味の、変拍子仕立てで、なかなか
刺激的です。
3)「Misty/ 山本 剛」
4438miles さんイチオシの邦人ピアニスト、
さすが、お目が高い!
○ピアノ以外
1)「ドミノ/ ローランド・カーク」
再発されたコンプリート盤CDに収録。
カークはフルートを。
タンギングに鳥肌(笑)
ケリーのピアノもいい。
2)「Checkin In/ ウルフ・ワケニウス」
ウルフの少しくぐもったようなブルージーなギターの
アドリブの後ろで、Carsten Dahl のバピッシュな
ピアノが跳ねまくります。
3)「ウゲツ/ アート・ブレイキー&JM」
黒魔術押さえ気味のショーターのテナー・ソロの
独壇場。こういうショーターは意外に聴けないので
貴重ですね。
他に手持ちに、
ピアノで
「Pal Joey/ ケニー・ドリュー」
「Gesture of Faith/ マイケル・コクラン」
ヴァイブでは、
「Communcations/ スティーヴ・ネルソン」
「エディ・コスタ5」
が、ありました。
どれも、まずまずの内容。
LIKE SOMEONE IN LOVE には、涙が込み上げるほど青春の想い出が詰まっているのでしょうか。サンジェルマンライブの完全盤では2枚目の最後に収められている曲ですが、私も「モーニン」と合わせて、この2枚目が気に入っております。ブレイキーもこの曲が気に入っているようで、カフェ・ボヘミアでも演奏しておりましたが、ゴルソンのソロが素晴らしいこちらがいいですね。
ヴォーカルよしインストよし、この曲のベストも何れ企画しますので、迷わずサンジェルマンライブを挙げてください。(笑)
週初めで、この曲があらかた出揃いましたね。このあとからコメントをお寄せいただく方は悩むことでしょう。(笑)
ワンツーは迷わず選びましたが、パウエルはティモンズと迷ったあげく3枚目にしました。イン・パーソン自体ティモンズのベスト盤ですので、どの曲も唸る素晴らしいできです。
メルドウは筋のいいピアノと思いますが、The Art of Trio シリーズも VOL 数が増えるとやはり、といった感じでしょうか。パウエルのアメージングをみるようです。
山本剛が挙がりましたので、4438miles さんかと思いました。(笑)
ウルフ・ワケニウス、マイケル・コクラン、スティーヴ・ネルソンは未チェックです。さすが守備範囲が広いですね。
雨月は3管ではあまり話題にならないアルバムですが、おっしゃるようにショーターの独壇場です。銀座で綺麗なオネーさんと飲みすぎたのでしょうか、時さえ忘れて吹きまくっております。(笑)
書きすぎですか、すいません(笑)
ピアノの場合、テーマの部分を、
シングル・トーンでさらっとやる人と、
ブロック・コードを使ってドスを効かせる人に、
分かれるように思います。
後者の代表がソニー・クラークですが、
マイケル・コクランもそうです。
で、出だしの「ダッ、ダァ~ダ」のダァ~の部分が
両者とも半音ずれているように感じるのです。
きっとコクランは、クラークのこのヴァージョンを
鬼聴きしたんでしょうね(笑)。
ヱビスを飲みながら聴いて、無制限に酔いたい。(笑)
duke様、皆様、こんばんは。
時さえ忘れて・・結構好きな曲です。
お気に入りは
「ブルース・イン・ザ・クロゼット」バド・パウエル
イントロに天才の閃きを感じてしまうのです。
「ソニー・クラーク・トリオ」(ブルーノート)
この曲を初めて聴いたアルバムだったと思います。それ以来好きで・・・。
「イン・パーソン」ボビー・ティモンズ
25-25様に賛成です。
パウエルはソニー・クラークが録音する1年前に吹き込んだわけですが、クラークも相当パウエルを研究していたのでしょう。結果、先輩以上のこの曲の手本ともいえる結果が出たものと思われます。当然マイケル・コクランも手本を参考書というより教科書にしていたのでしょうね。このような形で受け継がれていくのはジャズの伝統的発展には欠かせません。
ブロック・コードというとガーランドですが、録音した形跡がありませんね。忙しすぎて時を忘れる暇もなかったのでしょうか。(笑)
ピアノ・トリオできましたね。パウエルのトップは予想しておりました。私はベスト3をパウエルにするかティモンズにするか苦渋の選択でしたが、ここはやはり KAMI さんを立てなくてはいけません。(笑)
この曲を最初に聴いたのは私もソニー・クラークでした。カラフルな鍵盤ジャケは、脚ジャケとともにジャズファンに実に多くのものを残したことでしょう。最初に聴いたときの感動が時さえ忘れて伝わってきますね。