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北海道も桜が咲きはじめ、ここ札幌の満開日は5月1日だという。春の風は柔らかいものだが、今年はコロナ禍で景色が暗いせいか風さえも刺すように痛い。いつもの年ならこの時期は札幌ドームで贔屓のチームを応援した後、仲間とススキノに繰り出して宴会をするのだが、緊急事態宣言で一変した。営業自粛要請もあり馴染みのジャズバーや、根城にしている「DAY BY DAY」も臨時休業となれば外出を控えるしかない。
こんな時は派手なジャズに限る。迫力のあるアンサンブルに度肝を抜かれるビッグバンドや、めくるめくソロに七転八倒するハードバップもいいが、うってつけの1枚があった。「Emergency!」だ。トニー・ウィリアムスがマイルス・バンドを脱退後、結成した「Lifetime」のファーストアルバムである。ドラム、ギター、オルガンのトリオ編成とは思えない重厚感のある音にまずやられる。そして、トニーのシンバルレガートのスピードに負けないジョン・マクラフリンの高速フレーズと、「オルガンのコルトレーン」と呼ばれたラリー・ヤングのモーダルな旋律を彩るまさに緊急事態を思わせる不気味な音色が強烈だ。密度の濃い3人、いわゆる「3密」である。
発売された当時、ロックだのマイルスの呪縛から脱却できないだのという批判もあったが、ジャズシーンが混沌としていた時代に一つの方向を示唆した作品だ。このバンドに例えばロッド・スチュワートやロバート・プラント、イアン・ギランというヴォーカルが加わればハードロックの名盤になっていたかもしれない。録音は「Bitches Brew」と同じ1969年だが、マイルスは8月で、こちらは5月だ。トニー加入後のマイルスが、トニーのスピードに対抗する形で同じ曲でも年を追うごとにテンポが速くなったように、常に新しいスタイルを模索していたマイルスが、この作品から影響を受けた可能性もあるだろう。
スポーツ、コンサート等のイベントは中止になり、居酒屋やバーも閉まっている。5月6日までの緊急事態宣言と営業自粛要請ではあるが、延長すべきとの声も上がっている。いつまで続くのか先が見えない不安と、行動を制限された日常でストレスはたまる一方だが、いつかはコロナが消え、気持ちのいい春風を感じる時がくるだろう。それまでの辛抱だ。トニーのブルーノート・リーダー作に「Spring」がある。
こんな時は派手なジャズに限る。迫力のあるアンサンブルに度肝を抜かれるビッグバンドや、めくるめくソロに七転八倒するハードバップもいいが、うってつけの1枚があった。「Emergency!」だ。トニー・ウィリアムスがマイルス・バンドを脱退後、結成した「Lifetime」のファーストアルバムである。ドラム、ギター、オルガンのトリオ編成とは思えない重厚感のある音にまずやられる。そして、トニーのシンバルレガートのスピードに負けないジョン・マクラフリンの高速フレーズと、「オルガンのコルトレーン」と呼ばれたラリー・ヤングのモーダルな旋律を彩るまさに緊急事態を思わせる不気味な音色が強烈だ。密度の濃い3人、いわゆる「3密」である。
発売された当時、ロックだのマイルスの呪縛から脱却できないだのという批判もあったが、ジャズシーンが混沌としていた時代に一つの方向を示唆した作品だ。このバンドに例えばロッド・スチュワートやロバート・プラント、イアン・ギランというヴォーカルが加わればハードロックの名盤になっていたかもしれない。録音は「Bitches Brew」と同じ1969年だが、マイルスは8月で、こちらは5月だ。トニー加入後のマイルスが、トニーのスピードに対抗する形で同じ曲でも年を追うごとにテンポが速くなったように、常に新しいスタイルを模索していたマイルスが、この作品から影響を受けた可能性もあるだろう。
スポーツ、コンサート等のイベントは中止になり、居酒屋やバーも閉まっている。5月6日までの緊急事態宣言と営業自粛要請ではあるが、延長すべきとの声も上がっている。いつまで続くのか先が見えない不安と、行動を制限された日常でストレスはたまる一方だが、いつかはコロナが消え、気持ちのいい春風を感じる時がくるだろう。それまでの辛抱だ。トニーのブルーノート・リーダー作に「Spring」がある。
不要不急の外出を控え、お家でジャズを聴きましょう。
The Tony Williams Lifetime / Emergency
https://www.youtube.com/watch?v=Aq3LEC0T3Fw
エンディングが格好いいね
Tony Williams: DRUM SOLO: ME (1972)
https://www.youtube.com/watch?v=gh0fQOybq0U
やっぱり天才!
もしかしてと思い、アクセスしてみるとさすが!時世に合わせたコメントでのアルバム紹介に脱帽です。
ご想像のとおりデイバイデイ の出演もしばらく休止。おまけに会社も在宅勤務ですので、個人練の時間がたっぷりあります笑。
堪能いたしましたトニーのEmergency!凄いですねど迫力!勉強になります。おまけにドラムソロのロールよりきれいな粒の揃った「ひとつうち」にハマります。そうですか!今までトニーのシンバルレガートに魅せられてましたが、スネアのシングルストロークも小気味よくてたまらんですね。これで巣篭もり鬱憤も晴らせそうです!ありがとうございました!早くライブ再開でき、またjazz&baseball談議できるのを心待ちしております。どうか。ご安全にお過ごし下さい。
ほぼ1箇月、ススキノに出ていませんので少しばかりストレスが溜まっておりますが、自宅でジャズを聴きながら元気に過ごしております。トニーのEmergency!は発売と同時にリアルタイムで聴きました。衝撃的でしたね。その数か月後に「Bitches Brew」が出ましたので、ジャズシーンが変わるのを体現しました。トニーを最初に聴いたのはマイルスの「フォー&モア」ですが、シンバルにやられました。今となっては笑い話ですが、1964年のマイルス初来日のとき、メンバー表に「プラターズのリードヴォーカルのトニー・ウイリアムスではありません」と注意書きがあったとか。生で聴いた人はマイルスバンド加入間もないドラマーに驚いたことでしょう。
予定表を開いてみると今日から札幌ドームでライオンズ3連戦、明日はデイゲームの後デイバイデイと組んでありましたが、全て消えました。一日も早くスケジュール通りに動ける日がくるように祈っています。メンバーの皆様と再会するのを楽しみにしています。
ご無沙汰しておりますが、お元気でなによりです。タイムリーな話題の記事で、落ちも決まっていて、流石です。
3月くらいからライブハウスが閉じ、コンサートが中止になっていて、CDやレコードを聴いているのですが、寂しいものですね。やはり実演の魅力は、計り知れないものがあります。ここは我慢しかありません。dukeさん、day by dayの皆さんに再会できる日を心待ちにしています。
まさかこんなことになろうとは思いませんでした。週末のススキノといえば肩がぶつかるほど混みあうのでですが、1丁先まで見渡せるほど閑散としております。早く賑わいが戻るように願うばかりです。
野球中継もありませんので、じっくりレコードを聴いております。それはそれで楽しいのですが、週末はライブを楽しむ習慣でしたので、やはり物足りなさはあります。緊急事態宣言は延長されますが、治療薬やワクチン等、良い兆しも見えますのでもう少しの辛抱です。頑張りましょう。
こんな洒脱な文章、ちょっと真似が出来ないですね。デュークさんの文章の特徴…意表を突く書き出しに「何が言いたいんだろう?」と思わせておいて、最後に見事なオチを付ける…
中学時代にジャズに目覚めて以来、あらゆる評論家の文章を目を皿にして読み漁りましたけど、そんな時代に、デュークさんの文章に出逢っていたらと、つい夢想してしまいます。
私がジャズを聴きだしたのは内間天馬さんより少し遅れた中学生後半の67年頃でした。当時の雑誌といえばSJ誌とジャズ批評誌でしたが、評論にしてもレコード紹介にしても硬い内容でした。ジャズを真剣に聴き、論じた真面目な評論家ばかりでした。ジャズ喫茶でも遊び心を持ってジャズを語る人はいなかったですね。69年に創刊されたjazz誌にいたってはジャズを使った言葉遊びとしか思えない難い文章でした。それはそれでフリージャズを論じるうえでは面白かったのですが、それを読んで果たしてレコードを聴き気になれるかどうか疑問が残ります。ジャズは難解だというイメージはこの辺りからきたものでしょう。
拙ブログの時事ネタと柔らかい内容からジャズに興味を持っていただければ嬉しいですね。この記事を見てトニーの「Emergency!」や「Spring」を聴く方がいらっしゃるならブログ冥利に尽きます。