ちあきなおみ「全曲集」というのをTUTAYAで借りてきた。
異様、奇怪なCDだった。ちあきなおみは周知のように、すでに引退した歌手だから、過去の別々な時期の録音を集めたはずなのに、どの曲もまるで黄泉の国に魅入られたような不吉な霧をまとっている。すべて長いイントロがつくが、「盛り上げる」という点ではことごとく失敗している。が、あの世で奏でられているような音が、囁くかと思えば、ときに切れ切れの悲鳴のように声を張るちあきの歌唱に不思議に合っている。死へ誘うというより、すでに半分死んでいる、歌うほうも聴くほうも。そんな気にさせる。
追記:和平飯店南楼http://6404.teacup.com/kerokero/bbsで以下のように間違いを指摘された。謹んでお詫びします。
「最初のヒット曲はどう考えても「四つのお願い」(1970)だろう。続く「X+Y=LOVE」(1970)もそこそこヒットした。ちなみに「喝采」は1972年リリース。」
ちあきなおみの最初のヒット曲は「喝采」。「黒い縁取りがありました~♪」という、かつての恋人の死を歌ったものだった。その後、宍戸錠の実弟で俳優の郷鍈治と結婚したが先立たれ、その死を境に歌手として高い評価にも関わらず歌の世界から消えたとされている。ちなみに郷鍈治は哀愁のある得難い俳優だった。そんな先入観が影響しているのかとも思い、何度か聴き直してみたが、不幸や薄幸を通り越して来世しているようなこの不吉さはそんな生易しいものではない。とくに、石原裕次郎の持ち歌をカバーした「赤いハンカチ」と「こぼれ花」。どちらの曲も、もともと暗い旋律で絶望的な歌詞なのだが、ちあきなおみが歌うと、霧が立ちこめた三途の川のほとりにいるように感じられる。ずいぶん昔に、ちあきなおみの「流転」をラジオで聴いて、そのゾッとするような陰惨な暗さに驚いて気にしていたが、彼女はあれからもっと先に行ったようだ。
異様、奇怪なCDだった。ちあきなおみは周知のように、すでに引退した歌手だから、過去の別々な時期の録音を集めたはずなのに、どの曲もまるで黄泉の国に魅入られたような不吉な霧をまとっている。すべて長いイントロがつくが、「盛り上げる」という点ではことごとく失敗している。が、あの世で奏でられているような音が、囁くかと思えば、ときに切れ切れの悲鳴のように声を張るちあきの歌唱に不思議に合っている。死へ誘うというより、すでに半分死んでいる、歌うほうも聴くほうも。そんな気にさせる。
追記:和平飯店南楼http://6404.teacup.com/kerokero/bbsで以下のように間違いを指摘された。謹んでお詫びします。
「最初のヒット曲はどう考えても「四つのお願い」(1970)だろう。続く「X+Y=LOVE」(1970)もそこそこヒットした。ちなみに「喝采」は1972年リリース。」
ちあきなおみの最初のヒット曲は「喝采」。「黒い縁取りがありました~♪」という、かつての恋人の死を歌ったものだった。その後、宍戸錠の実弟で俳優の郷鍈治と結婚したが先立たれ、その死を境に歌手として高い評価にも関わらず歌の世界から消えたとされている。ちなみに郷鍈治は哀愁のある得難い俳優だった。そんな先入観が影響しているのかとも思い、何度か聴き直してみたが、不幸や薄幸を通り越して来世しているようなこの不吉さはそんな生易しいものではない。とくに、石原裕次郎の持ち歌をカバーした「赤いハンカチ」と「こぼれ花」。どちらの曲も、もともと暗い旋律で絶望的な歌詞なのだが、ちあきなおみが歌うと、霧が立ちこめた三途の川のほとりにいるように感じられる。ずいぶん昔に、ちあきなおみの「流転」をラジオで聴いて、そのゾッとするような陰惨な暗さに驚いて気にしていたが、彼女はあれからもっと先に行ったようだ。