コタツ評論

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関口知宏の中国鉄道大紀行

2007-12-21 01:01:56 | ノンジャンル
たいていはBSで再放送を視聴している。

http://www.nhk.or.jp/tabi/

英語と中国語の日常会話ができて、絵心もあり音楽好きな関口宏と西田佐知子の息子の関口知宏の明るいキャラクターがいい。物見高く親切でよく笑う中国の人たちがいい。

列車に乗り合わせたおばあさんの言葉。「若い人たちは、周りの国に比べて、中国はまだまだ貧しいというが、私はいまのままで充分だよ」。農村で出会った山羊のような顎髭のおじいさんの言葉。「昔、この辺りには日本人がいて一緒に畑で働いていた。戦争が終わったらソ連兵が来て、夫婦や親子が引き離され、男はシベリアに送られた。見ていて辛かったよ」。

シルクロードはトルファンの農家では葡萄づくりが盛んだった。専用の小屋で葡萄を乾燥させて、干し葡萄として出荷するそうだ。関口が呼び入れられた農家の奥さんは、「うちの干し葡萄は農薬を使っていないんだ。美味しいよ」と勧める。傍らではにかむ美しい娘は、看護学校の入学試験に落ちて、来年再受験するそうだ。奥さんは、「うちは貧しいから無理なんだけど」とそれでも楽しそうに笑っていた。

台所にはカマドと一緒に電子レンジが鎮座していた。辺境のシルクロードの貧しい農家でも、奥さんは「無農薬」に胸を張り、専門職をめざす娘がいて、電子レンジがある。グローバリズムという言葉には辟易するが、たしかに私たちは同じ世界を生きている。
コメント (2)
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