コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

小説も映画もマンガのパクリ

2009-09-26 00:51:00 | ブックオフ本


久しぶりに、「モーニング」を手に取る。
「ひまわりっ」(東村アキコ)快調。「~なりい」がつい口から出そう。「僕の小規模な生活」(福満しげゆき)は(東村アキコ)をライバル視しているそうな。なるほど。

いちばん、驚いたのが、表紙にもなっている「きのう何食べた?」(よしながふみ)

以前にパラパラ読んだときは、ゲイカップルみたいに中性的な男同士の共同生活を淡々と描いていて、筆名や描線の細さから女性作家と思われ、これも「やおい」の変種かな、と思っていたのだが、今号を読んだらなんと、中年ゲイカップル同士の食事会の顛末であった。

「一度、食事でも」と打診され、招待してはみたものの、相手の「妻」はプロはだしの料理家らしい。マヨネーズや市販のだしつゆを使った、あり合わせ料理が得意なこちらの「妻」が、当日までどんなメニューにするか思い悩む、という筋。食事会の話題は、招待されたゲイカップルが、結婚ができない代わりに、養子縁組をして財産を残したい、という相談なのだ。

とはいえ、男女を男男に置換したというだけの他愛のないホームドラマに過ぎず、表紙にまでなる人気連載になった理由がよくわからない。いや、まったくわからない。いったい誰が、何がおもしろくて読んでいるのだろう。少なくとも、「青年」が読んでおもしろいとはとても思えない。

NHKのように健全路線の「モーニング」が、薄味とはいえゲイライフを登場させねばならないほど、ゲイが一般化しているということなのか。あるいは、伝統的で円満な一夫一婦制の家庭生活は、もはやゲイカップルに仮託しなければ描けないということなのか。わからないなあ。


「漫画アクション」『鈴木先生』(武富健治)にもびっくりした。

今回は、生徒会選挙をめぐり、棄権の正否について議論が交わされる民主主義マンガなのである。文芸の一翼を担う意気込みといえるほど、もう字ばっかり。絵も話も下手だが、熱いという「ナニワ金融道」の系列か。

「柔侠伝」や「博多っ子純情」「嗚呼!!花の応援団」などを連載した漫画アクション全盛期を知る者には、エロ漫画誌に成り下がった近年の同誌は手に取る気にさえならなかったものだが、こんな異色作を発掘できるなら、まだまだ捨てたものではない。

(敬称略)