ソチのG8サミットを控えながら、ロシアはクリミアに電光石火のごとく進駐し、ほぼ全土を掌握しました。当然、アメリカやEUはロシアの「侵略」を激しく批難、経済制裁も辞さない構えですが、プーチン大統領は、「あれはクリミアの民兵であって、ロシア軍ではない」とそらっとぼける始末。
もちろん、経済制裁の足並みなどそろわず、ロシア側からガス供給を受けているドイツなどは、逆経済制裁を恐れているほど。G8サミット中止の声が上がるも、「来たいなら歓迎するし、来たくないなら来なくてもよい」とプーチン大統領はまったく意に介さず。
その間にも、プーチンは着々と暴露作戦を遂行。ウクライナの暫定政権をつくった民主化勢力の幹部の背後にEUやアメリカがいることや、民主化要求デモに参加した人々やウクライナ軍兵士が次々に銃撃された惨劇は、暫定政権の幹部が雇った狙撃手によって行われたのではないかという電話盗聴テープを公開。民主化勢力のネガティブキャンペーンに得点を重ねています。
もうプーチンの一人勝ち、高笑いのようですが、どっこい、そうは問屋が卸さない。英語でいうと、 you can't have your cake and eat it too. <自分のケーキを持ちながら、他のケーキも食べることはできない>。「おいおい、どうしてだ? 手は2本あるだろ。左手に自分のケーキを持ち、右手を他のケーキに伸ばせば、簡単なことじゃん」と思うのは、あなたと私。プーチンは、手を伸ばそうとして止め、頬づえついて、「どうしたもんか」と考え込んでいます。
3月4日、クリミアのベルベック(Belbek)空軍基地を包囲していたロシア軍と基地内から出てきたウクライナ軍兵士が、あわや衝突という危機がありました。
クリミアに進駐したロシア軍は、たった3日で全土をほぼ掌握し、ウクライナ軍の海軍司令部や空軍基地を包囲しました。ウクライナ軍の陸海軍司令官や兵士がロシア軍に投降したという報道がありましたが誤報で、ウクライナ軍は司令部や基地内に閉じこもり、静観の構えを続けています。
もちろん、ロシア側も黙って包囲するだけの膠着状態を続けるつもりはなく、たびたび「投降」を呼びかけています。ベルベック空軍基地にも、「投降しなければ、電気とガスの供給を止めるぞ」と「最後通告」が伝えられていました。
そこで、ベルベック空軍基地司令官が勇気ある行動に打って出たのです。部下半数とともに丸腰で基地を出て、入り口を固めるロシア軍に向かって行進したのです。
The Standoff at Belbek: Inside the First Clash of the Second Crimean War http://time.com/12563/belbek-crimea-ukraine-russia/
ウクライナ軍が掲げた旗に注目です。手前の鎌に金槌の赤い旗は、ソ連空軍旗です。その横の黄色にブルーはウクライナ国旗です。第二次世界大戦のとき、ナチスドイツはソ連に侵攻しました。独ソ両軍合わせて約1600万人の戦死者を出した、凄惨な独ソ戦の最前線であり主戦場だったのは、ウクライナでした。ソ連空軍旗とウクライナ国旗を両立して行進したのは、ともにヒトラードイツと闘い斥けた戦友だったじゃないか、我々は。そういうメッセージです。
ベルベック基地から行進してくるウクライナ軍兵士に、基地の入り口を固め待ち構えたロシア軍兵士は、興奮して怒号を上げ威嚇射撃をしています。両軍の兵士が睨み合う間で、ベルベック基地司令官とロシア司令官は、言葉を交わしはじめます(Exchange of words)。
Ukraine crisis: Exchange of words in Crimea airbase stand-off
ちなみに、stand-off は「孤立」の意です。投降の最後通告を受けているベルベック基地司令官は、ロシア軍司令官に対し、こう要求しました。「基地の入り口に、ウクライナ軍からも10人の歩哨を立たせるべきだ」と。基地を共同で守ろうということです。「電気とガスの供給を止めるぞ」はブラフと踏んだのです。もちろん、プーチンにまでこの要求は伝えられ、結局、ロシア軍はその要求を呑み、あわやの事態は収拾し、ガスも電気も止められていないそうです。
(敬称略)
もちろん、経済制裁の足並みなどそろわず、ロシア側からガス供給を受けているドイツなどは、逆経済制裁を恐れているほど。G8サミット中止の声が上がるも、「来たいなら歓迎するし、来たくないなら来なくてもよい」とプーチン大統領はまったく意に介さず。
その間にも、プーチンは着々と暴露作戦を遂行。ウクライナの暫定政権をつくった民主化勢力の幹部の背後にEUやアメリカがいることや、民主化要求デモに参加した人々やウクライナ軍兵士が次々に銃撃された惨劇は、暫定政権の幹部が雇った狙撃手によって行われたのではないかという電話盗聴テープを公開。民主化勢力のネガティブキャンペーンに得点を重ねています。
もうプーチンの一人勝ち、高笑いのようですが、どっこい、そうは問屋が卸さない。英語でいうと、 you can't have your cake and eat it too. <自分のケーキを持ちながら、他のケーキも食べることはできない>。「おいおい、どうしてだ? 手は2本あるだろ。左手に自分のケーキを持ち、右手を他のケーキに伸ばせば、簡単なことじゃん」と思うのは、あなたと私。プーチンは、手を伸ばそうとして止め、頬づえついて、「どうしたもんか」と考え込んでいます。
3月4日、クリミアのベルベック(Belbek)空軍基地を包囲していたロシア軍と基地内から出てきたウクライナ軍兵士が、あわや衝突という危機がありました。
クリミアに進駐したロシア軍は、たった3日で全土をほぼ掌握し、ウクライナ軍の海軍司令部や空軍基地を包囲しました。ウクライナ軍の陸海軍司令官や兵士がロシア軍に投降したという報道がありましたが誤報で、ウクライナ軍は司令部や基地内に閉じこもり、静観の構えを続けています。
もちろん、ロシア側も黙って包囲するだけの膠着状態を続けるつもりはなく、たびたび「投降」を呼びかけています。ベルベック空軍基地にも、「投降しなければ、電気とガスの供給を止めるぞ」と「最後通告」が伝えられていました。
そこで、ベルベック空軍基地司令官が勇気ある行動に打って出たのです。部下半数とともに丸腰で基地を出て、入り口を固めるロシア軍に向かって行進したのです。
The Standoff at Belbek: Inside the First Clash of the Second Crimean War http://time.com/12563/belbek-crimea-ukraine-russia/
ウクライナ軍が掲げた旗に注目です。手前の鎌に金槌の赤い旗は、ソ連空軍旗です。その横の黄色にブルーはウクライナ国旗です。第二次世界大戦のとき、ナチスドイツはソ連に侵攻しました。独ソ両軍合わせて約1600万人の戦死者を出した、凄惨な独ソ戦の最前線であり主戦場だったのは、ウクライナでした。ソ連空軍旗とウクライナ国旗を両立して行進したのは、ともにヒトラードイツと闘い斥けた戦友だったじゃないか、我々は。そういうメッセージです。
ベルベック基地から行進してくるウクライナ軍兵士に、基地の入り口を固め待ち構えたロシア軍兵士は、興奮して怒号を上げ威嚇射撃をしています。両軍の兵士が睨み合う間で、ベルベック基地司令官とロシア司令官は、言葉を交わしはじめます(Exchange of words)。
Ukraine crisis: Exchange of words in Crimea airbase stand-off
ちなみに、stand-off は「孤立」の意です。投降の最後通告を受けているベルベック基地司令官は、ロシア軍司令官に対し、こう要求しました。「基地の入り口に、ウクライナ軍からも10人の歩哨を立たせるべきだ」と。基地を共同で守ろうということです。「電気とガスの供給を止めるぞ」はブラフと踏んだのです。もちろん、プーチンにまでこの要求は伝えられ、結局、ロシア軍はその要求を呑み、あわやの事態は収拾し、ガスも電気も止められていないそうです。
(敬称略)