コタツ評論

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言葉の綾

2018-05-11 18:27:00 | ノンジャンル
「なぜ日本は直接言ってこないのか」金委員長 拉致問題で発言
https://www.fnn.jp/posts/00391688CX

直接、尋ねてくれれば消息を教えるのに、という意味だろう。日朝首脳会談が開かれれば、拉致日本人が帰ってくる可能性は高いが、そうはならない場合もある。

現在33歳とされる金正恩がまだ子どもだったときに起こされた、一連のテロ事件や日本人拉致にはまったく無関係だ。また、世襲前の2002年の日朝平壌宣言や蓮池さんらの帰国にも関与していない。

したがって、いずれにも責任がない無責任な立場をとれるから、拉致日本人を解放して帰国の道を開くこともできるはずだ。

しかし、それができない可能性もあり、その場合も、金正恩に実質的な責任を問えないことが怖ろしい。

有責の場合ですら、こんな具合なのだから、金体制がつづく限り、すべてうやむやにされる可能性さえあり得る。

北の”ジョーク”か…金英哲氏、韓国取材陣に「天安沈没事件の”主犯”と呼ばれる者です」と自己紹介
https://bravegreeting.jp/blockchain/article/75986

天安沈没事件とは、2010年3月26日に韓国の軍艦・天安が北朝鮮の魚雷攻撃を受け、沈没し、乗組員104名のうち46名が行方不明になったものだ。

46人もの人が犠牲になった事件について、有責者の一人がこんな「ジョーク」を飛ばせる感覚と対応の国なのだ。

天安沈没事件当時はまだ金正日時代であり、世襲の指名を受ける前後とはいえ、これも金正恩に責任を問うことは難しいだろう。

「アメリカや韓国から話は聞いているが、なぜ日本は直接…」というこの金正恩発言について、ツイッターなどでは、「外交の安倍」「拉致問題は最重要課題」などといいながら、告げ口ばかりで北朝鮮には直接言ってもいないのか、と安倍首相を批判する向きが多い。

だが、直接、金正恩に言い、その答えを聞いてしまうほうが政権にとってダメージが大きい場合がある。その答えに予測がつく場合にはなおさらである。

安倍首相は金正恩とは異なり、日朝平壌宣言時には小泉政権の拉致問題担当であり、誰よりも拉致問題の解決に努力する責任があると、事あるごとに公言してきたのだ。

今回だけは、安倍外交が「無能無知」であることを私は祈っている。

財務省でセクハラ研修 講師「世の中の常識とズレてる」
https://www.asahi.com/articles/ASL593R84L59ULFA009.html

「麻生(財務)大臣は、このセクハラ研修に参加されたのですか?」と新聞記者は尋ねるだけでよいのだが、誰もしなかったのだろう。鋭い質問とか、的を射た質問とか、そんなに難しいものではない。当たり前のことをごく手短かに問うて、言質をとればよいのだ。

お金の若者離れ 朝日新聞5月5日投稿欄



これは若者が書いたものではない、といいたいくらい、おっさん筆致である。かなり、投稿欄の編集記者の手が入っているのではないか。「あれくらいなら、俺にも書ける」とばかりに、天声人語や編集手帳を彷彿とさせる「名文」に仕上げた。

もし、これを大学生が書いたのなら、その方がもっと気色が悪い。天声人語や編集手帳と同様に、具体的な問題提起は何もない、言いっぱなしの判断停止に終わっているからだ。

この投稿は、「その通り!」「甘ったれるな」と老若それぞれから声が上がり、話題になっているようだが、「お金の若者離れ」で検索したあげくのコピペ投稿ではないかと思えるくらい、若者らしい憤りや痛みがまるで伝わってこない。

あるいは、「お金の若者離れ」というもじりに飛びついた、自称大学生、じつは常連じじい投稿者のなりすましという線も捨てがたい。誰の手によるものにせよ、気色の悪い「名文」である。

(敬称略)