コタツ評論

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ストックホルムでジャズを

2016-08-16 23:59:00 | レンタルDVD映画
先日、久しぶりに友人マルスと日暮里で待ち合わせ、谷中銀座から千駄木方向へぶらぶら歩き、見かけた小体な居酒屋に入った。岩牡蠣や鱧、鰹のたたき、冬瓜と蜆の煮物などを箸先に、酒は「船中八策」ほかを冷でやりながら、話題は例によって映画と本と音楽という高校生みたいなオッサン二人。

たまたま手持ちがあったので私が払ったが、後日、ありがとうメールがきた。彼にはよくゴチになったものだが、たいてい、「おっ、わりいな」で済ませてきたので、「そっかあ、親しき仲にも礼儀ありだったな」とちょっと赤面した。

>ごちそうになり、ありがとうございました。

赤面したぜ。

>早速ツタヤに探しに行きモニカの映画を見ました。

ストックホルムでワルツを」という映画について私が話したのでした。すぐに観てくれたとは嬉しいね。なかなかわるくない映画だったろ。



>ニューヨークのクラブで楽屋を与えられていない伴奏者はテディ・ウィルソンではなくトミー・フラナガン、ダグ・ワトキンス、デンジル・ベストという豪華メンバーでした。これはともかく、やけに小者のエラ・フィッツジェラルドといい、ホンマかいなというエピソードありでしたが、ま、芸能ネタ映画だからね。

スウェーデンのジャス歌手だったモニカ・ゼターランドは著名なジャズ評論家のレナード・フェザーから、NYのジャズクラブで歌ってみないかと声をかけられ、有頂天で渡米します。

ところが、楽屋に入ってびっくり。伴奏してくれる有名なピアノトリオがボイラー室のようなところで音合わせしていたのです。「俺たちには楽屋はないんだ」と明るく笑うメンバー。スウェーデンの無名ジャズ歌手である自分には楽屋が与えられたのに。彼らが黒人であり、彼女が白人だからでした。

このバックバンドのピアニストをテディ・ウィルソンと私が間違えていました。友人によれば、ほかのメンバーのダグ・ワトキンスやデンジル・ベストも名だたる人らしいが、私ははじめて聞く名前です。

>レナード・フェザーはすでに業界で力はあり、このニューヨーク滞在中にレコーディングもしたりでこんなにミジメな扱いはされていないはず。だって白人のジャズ歌手なんてアニタ・オデイやらクリス・コナーやら何ぼでもいるからね。それが理由というのはヘン。

あのとき、喉まできながら思い出せなかった名前は、音楽ドキュメンタリ映画「
モニカ・ゼターランドはスウェーデン語でジャズを歌ってヒットさせ、母国でスター歌手になります。スウェーデン語でといっても、訳詞ではありません。「スウェーデンなのにシカゴやNYを歌うのはおかしい」とスウェーデン詩人の詩にのせてジャズを歌ったのでした。

美空ひばりにジャズを歌わせたのは「私である」と<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E4%B8%AD%E5%8A%B4"><span style="font-weight:bold"><span style="color:blue">竹中労</span></span></a>は書いているが、後になって、「私は何にもわかっちゃいなかった」とも書いています。彼がたびたび口にした「俗流大衆路線」がじつは「俗流大衆政治路線」であったことへの懺悔的な言葉にも思えますが、もちろんそれとはべつに、ひばりのジャズは素晴らしいものです。

<span style="font-weight:bold"><span style="color:green">>「私は好奇心の強い女」って懐かしいよなあ。その監督とできていたというのはスウェーデンぽいか?</span></span>

「<a href="http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=26148"><span style="font-weight:bold"><span style="color:blue">私は好奇心の強い女</span></span></a> href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%B3"><span style="font-weight:bold"><span style="color:blue">ベルイマン</span></span></a>にはペコペコするくせに」となじられるところが笑えました。

<span style="font-weight:bold"><span style="color:green">>モニカは持病による車椅子生活の晩年、恐らく自分のタバコの火のせいで、独居であったアパートが火事となり焼死したということです。合掌。
ミュージカル的なコメディエンヌもこなす、スウェーデンの江利チエミみたいな存在だったんでしょうか。当方所有はビル・エバンスとのレコーディングのみですが、聴きなおしてみます。
</span></span>
なるほど、スウェーデンの江利チエミか。江利チエミも黒人ジャズメンと同棲してまで、ジャズのフィーリングを学ぼうとしていましたね。

<span style="font-weight:bold"><span style="color:green">>次回は私が払います。

次回は君がおすすめの北千住か、私がちょっと行ってみたい京成立石あたりはどうですか。割り勘で。

(敬称略)



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