コタツ評論

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手巻きの話

2010-12-10 00:36:00 | 一服所


小さな子どもがいる家庭を訪ねて食事どきになると、手巻き寿司を食わされる羽目になることがある。わあ、手巻き寿司かあ! いろんな具があって、好きなのを合わせて巻けて、楽しそうだな、いただきます! なぞというわけがない。あ~あ、そんなにたくさん具を使ったら、味がわかんなくなるじゃないか、あんまりいいマグロじゃないな、なんでもマヨネーズをニュルしやがって、ガキがウニやイクラなんぞ食うな! ああ、めんどうくさいな、顎が痛くなってきたよ、巻きすで巻いたのを食いたいな、とか思わなくね。

寿司屋で手巻きを注文する奴も、ろくなもんじゃないね。何が、「手巻きでね」だよ。寿司職人に失礼じゃねえか。手巻きなんてものはなあ、客や出前が立て込んでいるときに、常連の相手ができず、注文が後回しになっていることへ、「すんませんね」と鉄火巻きなんぞ、ちょちょいとつくって手渡しするもんだ。常連でも、すこし軽んじていいのに当てがうもの。いいんだよ、俺なんざ、うっちゃっといてくれ、ガリ囓りながら、そろそろ帰るかと腰を上げる潮どきって合図が、「手巻き」なんだよ、このヒョーロクダマ!

おっと、手巻き寿司の話しじゃなくて、手で巻いて吸うやつな。タバコが値上がりして4OO円超でしょ。手巻きタバコが流行してんだってさ。100本分の刻み煙草と巻き紙とフィルターで1000円くらいだそうだ。半分以下の値段になるね。今日、1本作ってもらって服んでみた。いける。これにしようかなと考えている。ポケットからおもむろに刻み煙草の袋を取り出し、巻紙に葉を乗せて慎重に丸め、舌で湿らせ糊付けして、先っぽをひねって火をつける。器用にできても、不器用に真剣でも、なかなか絵になりそうじゃないか。「荒野の用心棒」のクリント・イーストウッドみたい、キャーッ、ってか。金のない学生の間じゃ、煙管が流行っているらしい。



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