評判の高い『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平 小学館)を読んだ。ザラ紙で分厚い、いわゆるコンビニ本の一冊で、「サラリーマンくん」編だった。医療機械メーカーの営業マン板橋が、裏パチスロや出会いカフェにはまり闇金地獄に転落していく有様と、その一歩手前で踏みとどまる親友・小堀の姿を通して、「人なみ以下のクズ」(ウシジマくん)の劣敗感がこれでもかとばかりに描かれる。
エンゲルスが1845年に発表した『イギリスにおける労働者階級の状態』に対して、0年代の「東京における労働者階級の状態」の超現実的ルポルタージュといえ、同じくエンゲルスの古典的論文である『家族・私有財産・国家の起源』にならえば、超高度資本社会において、「家族・私有財産・国家の崩壊」に瀕したルンペンプロレタリアートが私たちの姿の一面であり、日本伝統の「プロレタリア文学」の系譜は、こうした一部のマンガに継承されていると思えた。
(敬称略)
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