コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

更新が遅れている

2007-08-14 02:32:45 | ノンジャンル
1週間に一度は、と思い決めているのだが、お盆休みの「節句働き」でままならぬ。

いずれは書きたいなという物件。

『幸福のちから』(DVDレンタル映画)。

レーガノミクスの光と影の間で悪戦苦闘するウイル・スミス。光側は、俗物の白人エスタブリッシュメントというのではなく、影側も心優しい貧乏人というわけでもなく、従来のハリウッド映画文法とは微妙に違う。

『グレート・ギャッツビー』(村上春樹新訳)。

影はけっして光には入れず、光が影に落ちることもない残酷な世界。後者の方がより残酷だろう。ギャッツビーが主役たる栄光は、伴奏者ニックによって担保されている。無惨な結末ではなくハッピイエンドと読むべきだろう。読了して、デイジーの背信とつまらなさに愕然とするから。ギャッツビーが登場する場面と退場した後の静寂が美しいから。

R・レッドフォードがギャッツビーに扮した映画は残念ながら未見だが、さすがに映画ではデイジーをこれほどひどく扱ってはいないだろう。小説では、デージーをわずか一行でトムと同類と片づけている。しかし、だからこそ、ギャッツビーが追い求めた幻影の悲しさが浮かび上がる。通俗小説に徹しながら高貴な魂を描ききった。恥ずかしながら、初読。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿