2016/8/6
・見ず知らずの10人の男女が無人島にある別荘に集められ、童謡の歌詞になぞらえて一人ずつ殺されていく話。
・アガサ・クリスティの代表作を福田逸さんが翻訳、イレブンナインの納谷真大さんが翻案している。
・登場人物など、固有名詞はほとんど日本の設定に置き換えられている。
・小説は学生時代に一回読んだきり。
・結末すらウロ覚えの中途半端な記憶を抱えたまま見てしまう。
・劇場に入ると、まず舞台装置に見とれてしまう。
・別荘とは言え、人の住居なのでそんなに変わったことはできないはずなのに、のっぺりせず奥行きも高低もしっかりあってかっこいい。
・人が入るとちょっと無機質すぎる感じもするけど、出ハケ口もたくさんあって豪華。
・大人数の会話の掛け合いが音として気持ちいい。下手な役者が一人もいない安定感。
・敵に許しを乞う人がいてもいいけど、闘えるはずの人も声を荒げて自己弁護しているのがうまく飲み込めず。
・「罪を認めること」と「裁かれる(殺される)こと」は必ずしも一致しないはず。何か宗教的な価値観が違うのかも。
・京極さんの死にっぷりが素敵。
・どうしても人形がなくなる瞬間が気になってしまう。あの短い暗転でどうやって消しているのか、途中から気になってずっと凝視してしまう。
・あとで種明かししてもらったけど、舞台で「あれ、どうやったの!?」って思える瞬間があるのは、ほんとにワクワクする。楽しい。
・ただ、人形を消す係には絶対になりたくない。とてもじゃないがプレッシャーに耐えられない。
・『十二人の怒れる男』のときも思ったけど、こういう異論の余地のない「名作」を舞台でしっかり見られるのはほんとにありがたい。
・そういえば、「怒れる男」のほうも、登場人物の沸点が妙に低かったような。
・ラストがちょっと共感しにくく、「最後の生き残りが、自分自身、舞台の登場人物であることに気付いてしまって、タイトルどおりに物語を終えなくてはいけないプレッシャーに負けて首をくくった」という解釈を試みたが、台無しかもしれない。