Zooey's Diary

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誰かが直さなければ。

2011年04月27日 | 社会
あの大地震で、東京タワーのてっぺんがわずかに曲がってしまったということは
見聞きしていました。
その曲がった部分を修理している様子を撮影した動画が
今ネット上で話題になっているのだそうです。

この動画はしかし、あまりにも遠くて小さくて
目を凝らして見てもよく分かりません。
先端部分に、4人の人が2人ずつ向かい合わせにぶら下がっているようです。
これは丁度、庭の花の茎につく小さなアブラムシにそっくり…
時々何か光ったりして、何をどうしているのかわからないままに
曲がった先端が真っ直ぐに直っている。
こんな高くて危ないところで…



動画のコメントの中に、澤木耕太郎の文章が引用されている。
これは確か、東京タワーのてっぺんのチカチカするあの赤い光は
一体誰がどうやって換えているのだろう?と疑問に思った澤木氏が
「彼らの流儀」の中で書いている文章なのです。

”NHKのアンテナがある三百十三メートルから上は、そのハシゴすらなくなってしまうんです。航空障害灯のある三百三十三メートルのところまで行くには、三角定規のような形に­折り曲げられたパイプ状のアンテナをよじ登っていくことになります。もちろん、命綱などつけません。そんなものをつけたら邪魔で登れないからです。

といっても、私たちはトビ職人でもなければ、特別な訓練を施された専門の要員でもありません。放送用のアンテナのメンテナンスを担当している古河電工の普通の社員にすぎないんです。実際、私にしたところで、鉄塔に登るつもりでこの会社に入ったわけではありません。配属されたところがたまたまアンテナ部門だったというにすぎないんです。”
沢木耕太郎「鉄塔を登る男」


曲がったものをそのままにする訳にはいかない。
誰かが直さなければ。
こんな高くて(人間が小さなアブラムシに見えるほどの!)危ない所でそれをしてくれた「誰か」に敬意を表します。
コメント (8)
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