GWの際中に、東京までインプロのパフォーマンスを見に行きました。LFP7というもので、絹川友梨さんがスーパーバイザー。出演者6人のうちのひとりは、インプロオキナワのなほさんです。なほさんのメールで知って出かけました。面白かった! でも、なぜ面白かったのだろう?
プレイバック・シアターのパフォーマンスの場合、私は共感性に乏しいのか、私自身の体験と重ならない話題には、あまり共感できないのです。ワークショップだと、語られるストーリーがすでに他人のものではなく、場を共有する人のものだから、多少自分の体験と重ならなくても、許容範囲は広くなります。だから、ワークショップの方が好き。
インプロの場合は、もともと誰かのストーリーではありません。今回のお題はひとつめが「食べる」、ふたつめが「緑」でした。二つのお題で、約1時間半演じられました。例えば「食べる」の場合、そのことばに触発されていくつかのシーンが出てくる。そして前のシーンを忘れたころにまたその続きが出てきて、前のシーンが深まっていく。前のシーンが出てきて、まったく深まらないときもありはします。打ち合わせなしの即興だから。
私にとって面白かったのは、演じられたことが結構現代風刺に通じるところがあったこと。「農薬の混入」から「症状がでた人を隔離してしまえ」というとんでもない発想が出てきたかと思うと、実際に隔離された人が中国へ船で送られるというシーンが出てきて、それはまた「難民」や「拉致被害者」への想像を刺激される…など。時には、名探偵ポアロが出てきて、これは現代風刺というわけではないが、ポアロというキャラクターを、世代を越えて共有できることに笑える。
とにかく楽しめました。これが台本のある劇だったら、もっと風刺が効いたのかも知れません。でも、この訳の分からないエネルギーは出てこないのではないだろうか。
インプロの場合、劇が始まるまでに、すでに観客が舞台に参加している感じがします。また、 演じ手の知性、教養、体験が、その芝居の内容を左右するように思えます。今回、面白いと思えたのは、滲み出るその部分が観客となにがしか重なり合ったということではないでしょうか。
これを即興と知らず、台本がある芝居だと思ってみても、同じように楽しめるのだろうか? いつでも面白いのでしょうか? また、観てみたいと思いました。
(パフォーマンスの同日、昇仙峡、仙娥滝へ)
なるほど~こんなふうにご覧になってたんですね~。
お客さんは、そもそもそれぞれの感性や解釈で舞台を味わうわけですが、即興は台本のあるものより、より多様な受け取り方をされるような気がしますね。極端なハナシ、観るお客さんによって、まったく違うお話しになるというか。10人のお客さんがいたら、客席の中では、10通りのお話が進行しているのか~…と想像したら、なんかちょっと不思議で素敵ですね。