極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

LED漁船を科学する。

2010年12月14日 | WE商品開発



来年の 体制固め まとまらず 夕食時も 自宅待機かな

 

志賀の海人の釣りし燭せる漁り火の
          ほのかに妹を見むよしもがも

                         万葉集/3170


【世界初、LED漁灯フル装備】

食卓に並ぶ秋刀魚、烏賊、鯵、鯖、鰯の
魚は実は漁船の上または海の中で膨大な
量の光をともすことで漁獲される。省エ
ネ性に優れたLED漁灯が登場している。
第一太喜丸の燃油消費量とサンマ水揚げ
量の年別比較(LED漁灯の導入前と導入後)
したところ、何と魚獲効率30倍!だった。

 

04年

07年

08年

漁灯の光源

従来灯

LED

LED

漁灯燃油消費量/L

4,420

281

234

燃油消費量/L

12,540

8,399

8,844

漁灯割合/%

35.2

3.3

2.6

燃料代/man

50

59

87

水揚げ量/㌧

59.4

75.4

94.7

水揚量kg/漁灯燃油L

13.4

268

405

その効果の要因はなんだったのか。

「魚と人は違う。人間にとって明るさと、
水の中の魚にとっての明るさは同じでは
ない」稲田博史東京海洋大学准教授)。
さまざまな漁法がある中で、光を使うの
は、秋刀魚棒受け網と烏賊釣りが代表的
だ。秋刀魚棒受け網では、秋刀魚の群れ
を見つけ、船上で漁灯をともし、秋刀魚
の群れを集め網で捕獲する。餌釣りでな
く光に向かって突き進む秋刀魚の特性を
利用した漁法。

 稲田博史


問題は、そこで消費されるエネルギーの
量。漁業関係者の間では「光が強ければ
強いほど魚が捕れるJとの考えが根強く、
このため漁船はより強い光を出す競争を
繰り広げてきた。イカ釣り船が日本海で
照らす光は人工衛星の画像にも映るほど
明るい。

漁船にとっては原油高騰の懸念がある中
で漁灯の省エネ化はもはや避けて通れな
い。日本の海面漁業生産量は約440万㌧
(07年)だが
、このうち1/4の約11O万㌧
が漁灯を使った漁業。国内の漁業からの
CO2排出量は約800万㌧(日本全体の温室
効果ガスの排出量は約12億㌧)の0.
7%を
占める。

発光ダイオードLED漁灯を使えば、秋刀
魚の漁期全体で経費を約1,000万円削減で
き、加えて、LEDは玉切れの心配が無く、
白熱電球の交換の為に掛かっていた500
万円の経費も要らない。ところが、普及
は進んでいないという。その理由が「見
た目」。見た目が暗く不安という理由だ
がこれは実績で払拭できる。つぎにの『
LED漁灯導入の初期費用が高い』という
理由だが、初期投資に約4千万円もかか
るというハードルと製造過程から排出さ
れるCO2排出量が大きいという理由。

前者はについては、『秋刀魚は青緑色を
好む
』ことだが現行の白熱灯やハロゲン
ランプの使用時を上回る成果が出ている
ので問題はクリアされた。残された、初
期投資をどれ程抑えられるか、製造エネ
ルギーの削減はどの程度かという課題が
残る。

ERG(網膜電図)測定器

この事例から見えてくることが3つある。
その1つが、漁法の研究開発であり『灯
光に対するアカイカの網膜運動反応と虹
彩の遮光機能』の様に「漁獲対象生物の
光感覚・対光行動と 漁場海水の光学的特
性漁灯利用の観点から、漁場の光環境と
対象種 の光感覚・対光行動を直接対応さ
せた総合的な研究例は少なく、現時点で
は断片的な情報を推察で繋ぐ必要がある
」(
稲田博史「楽水会メールマガジン」)
の指摘に加え、視覚、聴覚、臭覚、触感
などの総合的な作用機能のシステム解明
であり、2つめはLED灯の初期投資負担の
軽減政策(→例えば、環境税の配分事業
の実行明示)であり、3つめは実績成果
の世界的共有という、制度設計を含めた
漁法環境システム工学』の早期確立と
いうことになる。


尚、環境税について補足すると、明らか
に二酸化炭素削減効果が期待できるもの
に対しては、集中的に政府(執行機関)
は経済活動に梃子入れ(≠英米金融資本
主義の「強欲の塊のレバレッジ」)を行
いつつ、排出負荷の大きい経済活動に環
境税を課税する(例えば、牛肉などの食
肉畜産業→牛のゲップや内燃機関産業な
ど)。





LED漁法だけでなく、LED植物工場も期待
されるところだがその特徴を下記に列記
してみる。

□ 季節や天候によらない安定生産が可能
□ 生産場所を選ばない
□ 単位面積当たりの生産性が高い
□ 無農薬
□ 栄養成分や機能成分を強化できる
□ 作業の平準化、快適な労働環境を実現
  できる(農閑期もなく雇用対策として有効)
□ 異業種のノウハウを取り込むことができる(
□ 閉鎖型の植物工場の中ではLED照明の
  ほうが螢光灯を使うより省エネ
□ 洗わずにそのまま食べられる
□ 歩留まりが高い

■ イニシャルコストが高い
■ 消費者のイメージが良くない

まぁ~~~こんなところで筆を置かざる
を得ない。何しろ年末、師走と心を失っ
ている毎日なのだ。


                                        

コメント
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