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「V字回復の経営(三枝匡)」という本はとてもオススメ!

2013年06月21日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 この「V字回復の経営」という本は、著者が関わった日本企業5社で実際に行われた事業改革をベースに、架空の太陽産業という会社のアスター事業部が、2年で事業をV字回復するまでをドキュメンタリー風にまとめたものです。

とても感動しましたね。

 具体的には、問題を他人のせいばかりにする等のダメ会社の症状を挙げ、そして事業を短期的にV字回復させる考え方・手順等を時系列的に分かりやすく説明し、また実在の社員から寄せられた文章も組み込まれています。

 また、不振事業の症状50は見に覚えのある内容もあって考えさせられますし、改革を成功へ導くための要諦50もあり、よくまとめられていると思います。

 特に、「創る(開発)」「作る(生産)」「売る(販売)」というサイクルを早く回すことが大切ということにはとても納得しましたね。

 それから経営改革には、スポンサー役・力のリーダー・智のリーダー・動のリーダーがそろわない限り、成功を収めることができないですね。

 また改革のためには以下の8つのステップをきちんと踏むことが大切なようです。
逆に改革がうまく進まないときは、この8つのステップのどこかで障害が発生していると考えると良いようです。
 
(1)成り行きのシナリオを描く
(2)切迫感を抱く
(3)原因を分析する
(4)改革のシナリオを作る←→(5)戦略の意志決定をする
(6)現場へ落とし込む
(7)改革を実行する
(8)成果を認知する

そして、組織変革のためには以下の10がポイントのようです。

①事業責任が明確な組織に
②損益が見えやすい組織に
③「創って、作って、売る」が融和して速く回る組織に
④顧客への距離感が縮まる組織に
⑤少人数で意志決定のできる組織に
⑥社内コミュニケーションが速い組織に
⑦戦略を明確にしやすい組織に
⑧新商品育成が促進される組織に
⑨社内の競争意識が高まる組織に
⑩経営者的人材の育成が早まる組織に

それから、改革を成功へ導くための要諦50は以下とのことです。

要諦1 改革チームの人選は、改革の成功・失敗に決定的な影響を及ぼす
要諦2 組織カルチャーの変化は、必ず組織内で起きる「事件」を触媒にして進展する。
要諦3 改革シナリオを検討する初めの段階では選択肢を規制しない。
要諦4 人間も組織も「カオスの縁」に立たされたときに、新しい変化への適応がもっとも早く進む。
要諦5 改革リーダーは、初めからある程度「最悪のシナリオ」を計算しておく
要諦6 経営行動は、厳しい「現実直視」と問題を「自分で扱える」大きさに分解することから始まる
要諦7 停滞している状況をその会社の「社内常識」で分類しても、抜本的解決の糸口は見えない
要諦8 解決策を探し出すには、社員が共有すべきコンセプト・理論・ツールをトップが示さなければならない。
要諦9 「創って、作って、売る」をスピードよく回すことが顧客満足の本質
要諦10 仮説検証の手法をうまく使えば、分析やシナリオ作りの時間を大幅に短縮することができる。
要諦11 「組織の再構築」と「戦略の見直し」はワンセットで検討することが不可欠
要諦12 セオリーや原則論を外部から学んで初めて、ようやく内部の問題が見えてくる。
要諦13 事業活性化には、商売の基本サイクルを貫く「5つの連鎖」の抜本的改善が必要
要諦14 「強烈な反省論」は「改革シナリオ」の出発点であり、裏腹の関係にある。
要諦15 スピードに関する組織カルチャーを最初にリセットしないと勝利の方程式は動き出さない
要諦16 改革リーダーは、社員を厳しい現実直視に追い込み、そこからのジャンプを考えさせる
要諦17 改革シナリオ作りでは、あらゆる選択肢についてオープンに考える権限を与える
要諦18 改革シナリオ発表前に起きる小さな出来事は、よほどのものでない限り相手にしない
要諦19 前向きに進もうとしている人々を守るのは改革リーダーの最大の責務である。
要諦20 事業再生の道がない「悪性の赤字」は、恥も外聞もなく早期に撤収すべきである。
要諦21 計画を組む者と、それを実行する者は同じでなければならない。
要諦22 改革先導者は「覚悟」を決め、それを人生の貴重なチャンスととらえ、ひたすら足を前に出す。
要諦23 人々に「強烈な反省論」を迫るには、徹底的な事実・データに基づく追い込みが不可欠
要諦24 特定の個人や部署を責めずに、古いシステムの問題点をクールに指摘し続ける
要諦25 戦略マップでトップの考えを幹部に徹底する。マトリックスにするのが効果的。
要諦26 基本に忠実な組織を「愚直」に作っていけば、会社は原意になる。
要諦27 営業マンの頭の中をいつもスッキリさせておく。彼らの心理的集中を確保することに留意する。
要諦28 戦略の内容よりも、トップによるしつこいフォローのほうが大きな影響を与えることが多い
要諦29 戦略指針を与えても、その実行をモニターするシステムがなければ戦略は「骨抜き」になる。
要諦30 改革が「人減らし」だと受け取られてしまうと、改革に対して社員は防御的になる。
要諦31 改革シナリオのプレゼンテーションは、聞き手の表情が分かる少人数を相手に行う。
要諦32 「強烈な反省論」と「解決案」は抱き合わせで発表するのが常道。
要諦33 改革シナリオ発表後に意図的な反対運動が現れたら、改革の修羅場に突入する可能性がある。
要諦34 いったん改革をスタートさせたら、改革者は徹底的に意志を貫徹する。
要諦35 「気骨の人事」なくして、改革の仕掛けは人々を熱く動かすところまで行けない。
要諦36 「気骨の人事」の実現は、企業トップがその改革に本気かどうかの踏み絵になる。
要諦37 強い経営者的人材プールを社内で作るには、組織内部の競争原理を抜本的に高める必要がある。
要諦38 一般に経営改革では、「突撃しない古参兵」よりも、今は能力不足だが潜在性の高い「元気者」を投入すべきである。
要諦39 力量に不安のある人材を投入しすぎると、改革のリスク総量は初めから限界を超える可能性がある。
要諦40 「危ない橋」の中央で迫ってくる不安には、「打つべき手はすべて打った」と腹をくくって自分を支えるしかない。
要諦41 組織や戦略の矛盾が解決されずに順送りされると、営業と顧客の接点にしわ寄せが現れてくる。
要諦42 改革1年目に現れる劇的な成果の半分以上は、社員の「やる気」の高まりによるものが多い。
要諦43 社員の「やる気」の高まりによる効果が出ている間に、「仕組みによる強さ」の構築を急ぐ
要諦44 社員の「頑張り」は、「仕組みによる強さ」のストーリーが明確な場合に生まれてくる。
要諦45 早期の成功は、改革抵抗者の猜疑心を解きほぐす最大の武器になる。
要諦46 改革を始めた後は、新しいことを手がけるたびに新手法(具体的ツール)を埋め込んでいく。
要諦47 突出した改革テーマに絞り込んで、ボトムまで一気に鋭く切り込む。リスクを限定する。
要諦48 早期の成功が出たら皆で目一杯祝う。飲み屋のツケはあとで何とかする。
要諦49 沈滞企業では競争の悔しさや痛みを感じる機会が少ない。元気な組織は感情の起伏が激しい。
要諦50 改革や新戦略を得意になってマスコミに喋りすぎない。よけいなことは言わない。

「V字回復の経営」という本は、会社経営を成功させるポイントや、企業再建するためのポイントが分かりやすく説明してあり、とてもオススメです!!

<目次>
プロローグ 不振事業をいかに蘇らせるか
第1章 見せかけの再建
 再び業績悪化
 不発だった改革
 若手ミドルのぼやき
 日陰にいた切り札
 三枝匡の経営ノート1 自然死的衰退への緩慢なプロセス
  日本企業に改革者はいるのか
  辺境で育った軍鶏
第2章 組織の中で何が起きているか
 出席者の多い会議
 管理者たちのすくみ合い
 競合他社の話はどこへ
 真の赤字要因を追わず
 多すぎるプロジェクト
 戦略不在が招く不信感
 被害者意識の営業マン
 はびこる組織官僚
 葬り去られた変革型人材
 組織全体を貫くストーリーの欠如
 三枝匡の経営ノート2 改革の推進者と抵抗者のパターン
  改革先導者
  改革追随者
  改革抵抗者
  人事更迭者
  傍観者
第3章 改革の糸口となるコンセプトを探す
 埋もれていた人材
 なんでもあり
 強烈な反省論
 500枚のカード
 コンセプトの必要性
 深夜の孤独
 〔改革のコンセプト1〕事業の原点
 なぜ米国企業は蘇ったか
 一気通貫の組織効果
 一網打尽の解決
 肥大化した機能別組織の欠陥
 シナリオを描く
 〔改革のコンセプト2〕戦略の連鎖
 各部署固有の問題
 〔改革のコンセプト3〕事業変革の原動力
 危険な吊り橋
 三枝匡の経営ノート3 「経営の創造性」に負けた日本
 米国による「日本解体新書」作り
 日本に学ぶ
 読み取られてしまった日本
 日本の経営者は何を創出したか
 知的創造性の完敗
第4章 組織全体を貫くストーリーをどう組み立てるか
 組織のスピード感応性
 漂う孤独感
 本当につぶれるなんて思っていない
 改革者をどう守るか
 トップの関与
 改革を本物と思わせる事件
 修羅場の教育効果
 知られざる赤字
 杜撰な現場経営
 撤退か改革か
 分社化のシナリオ
 シナジーという幻想
 ヒエラルキーを崩す
 事業の「絞りと集中」
 営業活動の「絞りと集中」
 攻めの人員削減
 トップの共感
 三枝匡の経営ノート4 改革シナリオの説得性
  改革作業の時間軸
  二つの心理環境
  改革シナリオの仕掛け
第5章 熱き心で皆を巻き込む
 淡々たる退場者
 過激派の出現か
 拗ねと甘え
 すべて他人事だった
 気骨の人事
 ろう断
 覚悟の連鎖
 旧組織の崩壊
 史上最大の落ち込み
 三枝匡の経営ノート5 改革・8つのステップ
  成り行きのシナリオ
  切迫感
  原因分析
  シナリオ作り
  決断
  現場への落とし込み
  実行
  成果の認知
第6章 愚直かつ執拗に実行する
 覚悟のスタート
 組織のスピード化
 顧客への接近
 驚きの変化
 新しい「販売ストーリー」
 具体的仕掛けの埋め込み
 単月黒字化の大騒ぎ
 内部の競争
 黒字達成!
 次の一手
 魂の伝授
エピローグ 事業変革の成功要因
あなたの会社でもこうした症状が見られませんか?
改革を成功へ導くための要諦50

面白かった本まとめ(2012年下半期)

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