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「預金バカ 賢い人は銀行預金をやめている」という本は、セゾン投信株式会社の代表取締役社長が書いた本です。
アベノミクスは、国の借金負担を減らすために年2%のインフレを目標としていることから、低利の郵便貯金や銀行預金は目減りするので、たとえば世界経済のGDPは年間4%程度成長していることから、そのようなファンドを保有した方が有利ということについて書かれています。
また筆者は従来の販売会社を通して売る投資信託運用で、証券会社等による販売手数料を得るための「乗り換え営業」により解約が増えて失敗してしまいますが、さわかみファンドを参考にしながら苦労を重ねて直販の長期の投資信託を創り出し、夢をかなえたのは素晴らしいと思いましたね。
その努力には涙しました。
そのほか、預貸率が下がって本来の企業への貸し出しによる経済活性化にお金が使われていない銀行の実体や、長期・分散・低コストの「バンガード」ブランド、筆者が保有している6本のファンド、NISAについても書かれていて、どれも興味深い内容でした。
「預金バカ 賢い人は銀行預金をやめている」という本はとてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・世界は、長い目で見れば確実に成長していきます。目先の株価などの上下動や短期的な経済動向に一喜一憂せず、コツコツゆっくり積み立てていくと、長い目で見た世界の緩やかな成長をとることができます。投資した資産が確実に増えていきます。結果、その間にサブプライムショックのような大きな下落局面があったとして、このようなプラスの結果をつかみ取ることができるようになるのです。これを実現するのが、積み立て、低コスト、長期、国際分散投資です。
・もう、これ以上、不良債権を抱えたくない
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新規融資は極力抑えて、すでに貸しているものも早く返済してもらおう
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でも、信用保証協会の保証付き融資は認めます
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余ったお金は、すぐに結果が出るリスキーな投資商品か国債で運用します。
どうです?これが日本を代表する銀行といわれるメガバンクの実体です。自らリスクを取って世の中に成長資金を供給するという銀行本来の姿が、そこにはまったく見られません。いまやメガバンクは、その存在意義が最も薄れている金融機関のひとつと言ってもけっして過言ではないでしょう。
・昨今の預貸率はどの程度でしょうか。東京商工リサーチによると、2013年9月期における全国の銀行113行の預貸率は、67.95%まで低下しています。つまり、100の預金を集めたとしても、このうち実際に働きに出ているのは67.95に過ぎないということです。残ったお金は、いわゆる「金余り」の状態であり、働かずに眠っているのも同然です。地方銀行の預貸率を見てみると、だいたい70%前後ですが、このうち、実際に地元経済に回っているお金がどの程度かといえば、おそらく30~40%程度です。
・銀行が投資信託を販売することによって、預金者から中抜きしている手数料がウナギ登りに上がっています。かつては、購入金額に対して2%程度だった購入手数料の料率は、いまでは3%程度まで上昇しています。デフレが進む中で、投資信託のコストはむしろインフレの一途をたどってきたのです。
・投資信託という金融商品は、きちんと設計しさえすれば、本当は経済活動にとって大いにプラスの効果を与えてくれます。銀行が金融仲介機能を担っていた間接金融が限界を迎え、徐々に直接金融へとシフトしていく中では、投資信託こそが個人資金をマーケットに供給する数少ない金融商品であり、その意味で、投資信託は無限の可能性を秘めていると言えるのです。日本にも、日本の事業活動を支えようと日本株式で運用するまっとうな株式投資信託は存在します。さわかみ投信が運用する「さわかみファンド」を筆頭に、レオス・キャピタルワークスが運用する「ひふみ投信」、鎌倉投信が運用する「結い2101」、コモンズ投信が運用する「コモンズ30ファンド」など、いわゆる「独立系」と呼ばれる投資信託会社が運用している株式投資信託がそれです。いずれも、日本企業の長期的な成長を支えるべく、個人マネーを株式市場に流すために運用されているファンドです。これらの投資信託会社が、今後の日本経済を支えていくと考える企業に資金を供給しているのです。しかも、いずれのファンドも販売手数料は無料です。運用管理費用も割安です。
・みなさんが持っているお金を振り向ける先はなにかが絞り込まれていきます。
第一に、長期投資を前提にした投資信託
第二に、付加価値の高いビジネスを展開している企業の株式です
・当時から現在に至るまで、証券会社でも銀行でも、毎月必ずと言っていいほど新しいファンドが設定され、新商品として販売されます。そして販売の現場には、新ファンドの販売予算が設けられ、それをクリアするために顧客が保有しているファンドの解約をすすめ、その解約資金で新ファンドを買ってもらおうとセールスするのです。投資信託の「乗り換え営業」、あるいは「回転売買」ともいわれる販売会社の一般的営業スタイルです。販売会社は販売手数料を得ることが最優先事項ですから、同じお客さんに何度も買ってもらいたいのです。逆に、長期投資をされてしまったら回転しなくなって、手数料を稼げなくなります。日本の投資信託がおしなべて短命なのは、こうした事情によるところが大なのです。
・「よくわかっただろ?既存の業界の中で長期投資をやろうと思ったって、無理なんだよ」と言うのです。まさにおっしゃる通りです。それを身にして感じたからこそ、こんなに悩んでいたのです。「だから俺は、自分でこの会社を立ち上げたんだよ。そして、さわかみファンドを作ったんだ」そう言って、さわかみファンドは業界のしきたりの埒外で、既存会社との関係を持たず、みずからダイレクトに個人のお金を集めてファンド運用をしていることを説明してくれました。証券会社や銀行の販売力にいっさい頼らず、投資信託会社が投資家に商品を直接販売する「直販」というやり方だったのです。「自分で資金を集めれば、自分の思い通りの長期投資ができるんだよ」直販という仕組みは知っていましたが、「投資信託は証券会社か銀行が販売するもの」という固定観念しかなかった私にとって、みずからが販売者になることなど思いもよらぬことでした。直販による長期投資の実現!完全に目からウロコでした。そして、この日の澤上さんとの出会いが、次の私の進路を定めることになりました。
・バンガードは、1975年にジョン・ボーグル氏が創業した米国の独立系運用会社で、現在の運用資産総額は2兆8000億ドル超と世界最大級。日本の公募投資信託全体の3倍もの規模を誇っています。同社の運用哲学は「長期・分散・低コスト」。この理念を徹底して貫いています。とりわけコストは業界他社の追随をまったく許さない低水準で、ボーグルさんは運用資産が積み上がって利益が出るようになる都度、どんどん運用報酬を引き下げていったのです。「バンガード社は、顧客である投資家が株主であることと等しい仕組み」ともいわれますが、それを可能にしたのは会社の所有構造です。バンガード社は、株主が自社のファンドなのです。各ファンドがちょっとずつバンガード社の株式を保有している、つまり顧客である投資家が株主であることと等しい仕組みを作ったのです。したがって、顧客=株主ですから、利益相反なく低コストが実現できたわけです。これは画期的で、まさに運用会社として顧客志向を実践できる理想的な形態です。いまもって他に類を見ないスタイルの会社です。バンガードはインデックスファンドを中心に、運用資産が増えるたびコストを下げ続け、圧倒的な低コストで顧客支持を拡大させ、とうとう世界最大規模の運用会社になりました。私が目指したいのは、本当に顧客・投資家のための運用会社ですが、バンガードはまさにその理念を実現させ、驚異的なビッグビジネスになったのです。
・「セゾン投信がやろうとしていることは、まだ世の中の流れになっていないことだ。でも、正しいお金の流れを作るビジネスで。世の中、明らかに間違ったビジネスにお金が流れているが、こんなことは長く続かない。いつ正しい方向に流れるかは私にもわからない。5年後かもしれないし、10年後かもしれない。でも、10年かかったとしても必ず変わる。そのとき、世間から「セゾンは10年も前から正しいことをやってきたんだ」と言わせようじゃないか。だから、いまやろう」こうして私は、2007年3月に再びセゾン投信に復帰し、その4月には正式に社長に就任しました。セゾン投信は3月に設定され、運用が始まりました。私の紆余曲折の体験を経て、現在につながる長期投資の航海が始まった瞬間でした。以来7年。設定当初、わずか8億円だった預かり資産は、880億円を超え、口座は7万に迫るまでになりました。「いそがないで歩こう」をモットーに、長期投資の旅はまだ道半ば。これからも、お客様といっしょに成長していきたい。日本に長期投資の文化を根付かせたい。その思いが、今日も私を突き動かしています。
・1ドル=75円から103円まで円安が進んだ時点で考えれば、円はドルに対して27%目減りしたことになります。この影響は、とりわけ自分の資産を円建ての現預金で保有していた人にとって、顕著に表れました。1645兆円の個人金融資産のうち、現預金は874兆円。ドルベースで考えると、230兆円を超える価値が、わずか半年程度の間に失われたのです。ただ、これはなにもせずに円建ての現預金で資産を保有していた人のケースです。そうではなく、資産の一部を外貨や、あるいは日本株を組み入れて運用する投資信託や株式そのもので保有していた人は、こうした価値喪失のリスクをある程度、軽減できたはずです。つまりアベノミクスは、”なにもしなかった人”にとって非常に厳しい結果になると言えるでしょう。
・デフレ経済からの脱却を最重要課題に掲げている以上、安倍政権はなにがなんでもインフレを誘発させようとしてくるはずです。なぜなら、日本がいま抱えている過去最大の財政赤字を軽減させるのに必要だからです。インフレが進めば、借金の負担が軽減されます。年2%の物価上昇を堅持っできれば、10年間で20%の物価上昇ですから、一方で政府が抱えている借金も、今後10年間で20%目減りすることになります。だからこそ、私たち一人ひとりが将来のインフレリスクを想定したうえで、自分の資産を守るための方策を考える必要があります。その答えは簡単です。デフレ経済の下では現預金が最強の資産でした。なにも運用しなくても物価がどんどん下がってくれるので、相対的に現金の価値が高まっていったのですから。しかし、これからインフレが進むとなれば、話は大きく変わっていきます。少なくとも、保有資産の大半を円建ての現預金で保有していると、どんどん資産価値が目減りしてしまいます。だからこそ、しっかりした運用を心がける必要があるのです。
・すぐに「年金は破綻する」などと早とちりする人がいますが、今後、年金財政が厳しくなるとしても、日本国が存在している限り、年金制度が破綻して、まったくなにも受け取れなくなる事態にはまずなりません。この点は、安心していただいてもいいと思います。日本政府は、年金が完全に破綻するまで放置しておくほど、バカではありません。だから、破綻させず、なんとか継続できる方法を考えてくるでしょう。どうするか。答えは簡単です。まず、年々少しずつ年金の保険料負担が増えていきます。一方、年金の受給額が徐々に減少します。年金支給開始年齢が現行の65歳から70歳に引き上げられるということも、十分に考えられます。年金ばかりではありません。健康保険の負担も重くなっていくでしょうし、国には社会保障コストを税金で賄っていこうという発想がありますから、税金の負担も重くなっていくでしょう。
・現在、私が保有しているファンドは、全部で6本です。
セゾン投信「セゾン・バンガード・グローバルバアランスファンド」
セゾン投信「セゾン資産形成の達人ファンド」
さわかみ投信「さわかみファンド」
レオス・キャピタルワークス「ひふみ投信」
コモンズ投信「コモンズ30ファンド」
鎌倉投信「結い2101」
というラインナップですが、いずれも独立系投資信託会社のファンドばかりです。もちろん、私がセゾン投信という独立系投資信託会社を経営しているので、他の独立系投資信託会社に対する仲間意識があるのは事実です。とくにさわかみ投信は、私がセゾン投信を立ち上げるきっかけとなった澤上篤人さん(会長)の会社ですし、レオス・キャピタルワークスの藤野英人さん(取締役CIO)やコモンズ投信の渋澤健さん(会長)とは、投資の必要性について説きながら日本全国を行脚している「草食投資隊」の仲間ですから、なんとなく贔屓目があるように思われる方もいると思います。でも、日本企業の株式に投資しているファンドで現在、長期投資を厳然と標榜しているファンドと言ったら、おそらくこれら独立系の4本に限られるといっても過言ではないでしょう。
・セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは、世界中の株式と債券に分散投資している文字通り、グローバルバランス型のファンドで、30カ国以上の株式と、10カ国以上の債券に分散投資して運用されています。株式と債券の比率は50%対50%です。したがって、このファンドは、自分のポートフォリオのベースとして保有しています。言うなれば、このファンドを保有していれば世界の経済成長の波に乗れる、という考え方です。現在、世界経済のGDPは、年間4%程度で成長を続けていますから、このファンドを保有しているだけで、それに近いリターンを期待できることになります。
・なぜ、投資信託がおすすめなのかというと、大きく3つの理由があります。第一の理由は、「少額資金でできること」です。投資に関しては、「お金持ちじゃないとできない」と思いこんでいる方が大勢います。たしかに、株式投資でポートフォリオを組もうとしたら、10万円や20万円の資金では無理です。少なくみても100万円、できれば1000万円くらいの軍資金がほしいところです。この点、投資信託なら1万円程度から投資できます。投資信託をおすすめする第2の理由は、少額資金でも十分な分散投資ができることです。投資信託の中には、特定の国や地域、あるいは特定のテーマに関連した企業など、集中投資の傾向が強いタイプもありますが、その一方で、幅広い資産に分散投資しているファンドもあります。もちろん、集中投資型のファンドでも、その中には複数の株式や債券が組み入れられていますから、その意味では一定の分散投資が行われていると言えます。それが、1万円程度の資金で購入できるのですから、いかに投資信託が便利なツールであるか、おわかりいただけるのではないでしょうか。第3の理由は、ファンドマネジャーという運用の専門家が、ポートフォリオの管理を行ってくれることです。「ファンドマネジャーは運用のプロであり、高いリターンが期待できる投資対象を発掘する能力に長けている」などと言うつもりはありません。そのような要素が求められるのは事実ですが、それ以上に大事なことは、ファンドマネジャーがみなさんの代わりに、資産運用をするうえで重要なポートフォリオの管理をする点です。たとえば、株式と債券に50%ずつ投資するファンドがあるとしましょう。運用開始から1年が経過した時点で株式が大きく値上がりする一方、債券が値下がりしたため、両者の比率が株式60%、債券40%になったとします。こうなると、当初の運用コンセプトから離れたポートフォリオになってしまうので、株式を10%売却するとともに、債券を10%買い増ししたりする対応が必要です。このようにして、定期的にポートフォリオの比率を見直すことを「リバランス」と言います。リバランスを行うのと行わないのとでは、最終的なリターンに大きな差が生じる可能性があります。価格が上がったものの一部を売却して利益を確定させる一方、値下がりしたものを買い増すことで、平均の買いコストを下げる効果が得られたりするからです。でも、これを個人が定期的に行おうとすると、なかなか面倒です。ところが投資信託のファンドマネジャーは、まさにそれが仕事。定期的にリバランスをしてくれます。この作業を専門家に任せることによって、資産運用をするうえでの個人の負担は大きく軽減されるはずです。
良かった本まとめ(2014年下半期)
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