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幸福立国ブータン(大橋照枝)

2010年10月15日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 この「幸福立国ブータン(大橋照枝)」という本は、GDPの成長をめざすことではなく、GNH(Gross National Happiness)すなわち「国民総幸福」を目指し、2005年の国勢調査では国民の97%が幸福と答えているヒマラヤ山脈の東側にあるブータンという国について書かれたものです。

 著者は麗澤大学経済学部教授である大橋照枝さんです。

 ブータンでは、高齢者や子供をいたわり、互いに助け合うことでセーフティネットを確立しつつも、インターネットや携帯電話などICTにも力を入れているようです。

 犬はみんなで育て、放牧された牛は自分で家に帰り、子供たちが道端を歩いていると車で通りかかった人は家や学校まで送り届けるならわしとは驚きました。

 特に仏教の教えが脈々と生きているようです。

 これからの日本を考える上でも、とても参考になると思います。


 とてもオススメな本です!

 以下はこの本のポイント等です。

・先進国が、あるべき社会進歩のあり方を求めてもがいている中で、もう30年以上も前から、GDPの成長をめざすことではなく、GNH(Gross National Happiness)すなわち「国民総幸福」をめざすことを国王みずから決意し、それを国是として憲法にうたい、政治・行政の中で実践している国がある。ヒマラヤ山脈の東側の内陸国で人口約67万人の小国、先進国的基準から見て、金銭面ではけっして豊かとは言い切れないブータンである。国土の72%が山林で、その山林面積は憲法で60%以下にしてはならないと定められている。緑の丘陵の中にブータン様式の独特の木造建築がそこかしこに点在し、公式の場では男性は「ゴ」、女性は「キラ」と呼ばれる民族衣装を必ず身につけ、小中高生の通学服もそれに準じている。このように伝統文化を大事にしつつ、一方でインターネット、テレビなどの情報通信技術(ICT)も1999年に解禁され、携帯電話は2003年に解禁。世界の先端的情報も共有している国である。道端にねそべっている犬をみかけて「野良犬?」と聞くと、「いえ、私たちみんなの犬です」との返事。みんなで餌をやり世話をしているのだ。またブータンでは子供たちが道端で歩いていると、車で通りかかった人は、家や学校まで送り届けるならわしになっている。こういう行動様式は「ディグラム・ナムジャ精神」と呼ばれている。これは仏教の価値観を共通のベースにしていて、家庭・職場・学校でこれを意識的に心がけて、家族の崩壊を防ぎ、社会通で高齢者をいたわり、互いに助け合うことでセーフティネットにしていこうという考え方である。このように、ブータン社会には、日本ではすっかり忘れられている仏教の教えが現在も脈々と生きている。ヒマラヤの小国で、資源も乏しく、水力発電による電力をインドへ売る収入が国家歳入の40%を占める。また、農林業やトレッキングなどの観光業が主な産業で、国民の多くは自給自足経済である。しかし、幸福感や満足度は高く、2005年の国勢調査では「あなたは幸福ですか」との問いに、97%が「はい」と答えている。これだけでも日本との大きな違いが感じられる。

・このような高い幸福感を国民がいだくまでに導いていったのが、先代の国王、ジグメ・シンゲ・ワンチュク第4代国王である。彼は1972年に16歳で即位し、17歳の戴冠式のころ「ブータンはGNPよりGNHで行くべきだ」と発想し、その考え方を1976年12月、まだ21歳のときにスリランカのコロンボで開かれた第5回非同盟諸国会議後の記者会見で発表した。こうしてGNHという考え方が初めて国際的に知られるところとなった。第4代国王は、即位後、全国の村々を歩いて国民とふれあい、ますますGNHの大切さを確信していった。北に中国、南にインドという大国・強国に囲まれたブータンは、半世紀前までは鎖国同然であった。近隣のチベットやネパールが大国にゆさぶられたり、国内が混乱したりするのを反面教師とし、国の平和と安定をはかる目的もあったのだ。しかし、GNHをかかげ国民の平安を維持していく中で、そのユニークな文化と価値観が国連や経済協力開発機構(OECD)、国連開発計画(UNDP)、世界銀行など、国際機関の目を引きつけていった。

・ブータンはヒマラヤ山脈の東側の内陸国で、人口67万人。ほぼ鳥取県の61万人、島根県の76万人に近い。面積は九州の0.9倍にすぎない小国である。ブータンを訪れる者の心をまずとらえるのは、その風景。山すそから田園地帯にかけて、白壁に木の窓枠をはめ込んだ独特のブータン様式の建物が、緑の中に沈み込むように点在する。家並の中には広告塔やネオンのようなものはいっさいなく、高台から見ると、民家の屋根にブータンに不可欠な食材、赤いとうがらしが干してあったりして、実にのどかだ。首都ティンプーの王宮タシチョ・ゾンのたたずまいもこの風景の中に華麗におさまっている。

・ヒマラヤの美しい花々に恵まれているブータンには、驚いたことに花屋がないのだ。その背景には、力いっぱい生をまっとうして咲いている花の命を断ち切って、売り買いすることは、仏教の教えに反する、というブータン人の考え方があるのだ。時たま最初に咲いたしゃくなげの花を仏壇にそなえることはあるが、通常は仏壇にも生花はそなえない。だからブータンの寺院の仏像に飾る花は、なんとすべて造花である。街中では、鉢植えの花が売り買いされることはあるが、切り花の売り買いはない。花は自然の中でめでて楽しむものなのだ。このように、仏教文化が生活に浸透しているために、私たち日本人が常識と思っていることがくつがえされる事例は少なくない。例えば、お茶のカップにハエが入ったとする。ブータン人は「大丈夫?」と聞く。ところがこの大丈夫は、お茶が大丈夫かでなく、ハエが大丈夫だったかと聞いているのだ。そして、すぐ「ハエを(救い)出せ」となるのである。ハエ一匹殺生することは許されないのである。夕方、牛が一頭、アスファルトの道のわき道をテクテクと、誰に引かれるでもなく、家路に向かっている。牛はムチで打ったりしないと、横道へそれていくのが我々の常識と思うが、このような「自立した牛」の姿はほほえましい。

・公式の場での民族衣装の着用は、1989年1月6日に、前国王ジグメ・シンゲ・ワンチュク第4代国王が出した布告による。なぜか。ブータンでは文化を大切にしている。ブータン固有の文化こそ、ブータンのアイデンティティであり、小国ブータンが、周囲の列強とりわけ北の中国、南のインドに互して自立していくには、軍事力や経済力には頼れないので、文化の固有性で対応しようとの考えもあるようだ。ブータンを単なる普通の国にしないための政策だと思われる。しかし若者は普段着としてトレーナーやGパンを持っていて、夕食に招いたりすると、女性はきらびやかなキラで現れるが、男性はTシャツ、Gパン姿も少なくない。夕方の首都ティンプーの街のそぞろ歩きや映画、買物、食事などでのにぎわいに、ゴやギラ姿は少ない。

・「ブータンでは性別ギャップはありません。統計や記録には十分現れていない面がありますが、男女は国の法律、ルールで完璧に平等になっています。男女は人口もほぼ同じです。可能性をもった国の人口の半分(女性)が幸せでなければ、GNHの国とはいえないし、国家も衰退します。教育面では、小学校への進学率は女子の方が高い。ブータンの識字率は60%といわれていますが、これは欧米的尺度で言った場合で、実は、村には、お坊さんが独自の教育をしており、仏教や精神面の教育で文字を教えるので、実際の識字率は80%といえます。家族の遺産相続も平等になっています。

・ブータン人の97%が国勢調査で「幸福」と答えた背景には何があるのであろうか。ブータン最大の収入源はインドへ売っている水力発電の電力で、歳入の40%を占めている。水力発電所は、インドの援助とアジア開発銀行などからの借款による1986年のチュカ水力発電所に始まり、2001年操業開始のクリ・チュ、2006年のタラ、現在建設中のプナツァン・チュと大型プロジェクトが続き、慢性の電力不足に悩むインドとのうまい補完関係ができている。ブータン第二の収入源は、観光とじゃがいも・リンゴなどの農業とチーク材などの林業(歳入の30%)、第三が国際援助(同30%)となっている。基本的に農業人口が約60%を占めているが、本職が農業でなくても、農にかかわりをもつ人も少なくない。農村では、物々交換もあり、自給自足や助けあいのセーフティネットも駆動する。その上、教育と医療は無料。しかし、このための国家支出は歳出の約3割を占めている。英語教育に関しては、ブータンは徹底している。小学校1年生から英語を教え、授業も国語(ゾンカ語)以外の科目は英語で行っている。以前はインド人の先生が多かったようだが、いまはブータン人の先生も少なくないと聞く。つまり、ゾンカ語を主とするブータンの母国語を理解する人は世界にきわめて少ない。英語であれば、世界とコミュニケーションができる。これは、ブータンの国のアイデンティティを世界へ広め認めてもらうのに有効な政策であろう。つぎに医療を見ていこう。ブータン国内の病院でカバーできない場合、インドなどの大病院へ送られるが、費用はすべて国が持つ。福祉に優先的に支出するというブータンの政策は、GNHを実践するという意味で非常にわかりやすい。経済先進国は、教育と医療に思い切って予算の約3割も投入することは少ないのではなかろうか。

・ここで、日本について、どんなイメージを持っているかについて概観してみよう。近代化された先進国で、高層ビルとロボット、テクノロジーが発達しているとの理解には驚くほどである。「和服を着た美しい人、サムライと忍者」がいるとの意見は、テレビの影響であろうか。ブータンでもNHKの国際放送を観ることができるから。東京ディズニーリゾートやポケモンやゲーム、アニメは知っている子が多いが、日本語の「マンガ(Manga)」の語にはなじみがないのであろうか。またアキハバラも全員無回答であった。しかし、ブータンの中学生が日本について知っていることは、日本人の子供のブータンについての知識よりはるかに多いことは確かである。自分の宝物は全員が何がしかもっており、ブータンの子供の世界の健全さを感じさせる。


<目次>
はじめに-この本のめざすこと
 GDPでは幸福は計れない
 国民の97%が「幸福」と回答するブータン
 GNH(国民総幸福)の誕生と実践
 世界で最も新しい立憲議会制民主主義国
第1章 愛と郷愁の国ブータン
 日本人のDNAを刺激する風景
 ロハスの極み
 ブータンには花屋がない
 オグロヅルを守るために電気を我慢した村
 「ディグラム・ナムジャ精神」
 人々に深く浸透する「ディグラム・ナムジャ」
 徹底した互助の精神
 民族衣装で固有の文化を守る
 自然体が心地よい
 ブータン流時間の使い方
 パウデェル氏へのインタビュー
 学校教育でもGNH(国民総幸福)を教える
 雷龍王国のルーツ
 国全体が祈りの場
 08年はお祝いの年
 環境問題への具体策を練る環境庁
 地方や男性に環境教育
 首都ティンプーも温暖化が進んでいる
 いくつかの問題点
 ラプテン氏へのインタビュー
 貧困撲滅という大きな課題
第2章 GNPからGNHへ
 GNHの誕生
 GNP批判の歴史
 GDPを超えて
 ワシントンのウェブ新聞もGNHを知っていた
 GNHの4本柱と9つの指標
 GNHの実行部隊長ティンレイ首相
 国民議会の発足と憲法
 GNHのイメージリーダー第五代国王
 第4回GNH国際会議の成果
 9つの指標から見た提出論文
 オックスフォード大学との共同論文
 ミレニアム開発目標の実践
 仏教文化の互助の精神
 従来の国際的貧困プロジェクト
 単なる施しでなく自立へ導く
第3章 制度の進化と国際化
 「ブータン2020」
 南アジア随一の福祉国家
 人間開発中位国
 2つの総選挙と選挙管理委員会
 第10次5ヵ年計画と情報通信技術(ICT)
 ICTの充実もGNHの向上に
 官民一体でICTパークを推進
 具体的実施項目
 2011年6月の開業をめざす
 動き出しているコールセンター
 国連開発計画(UNDP)と第10次5ヵ年計画
 活発な「小さな国際国家」
第4章 持続可能な社会指標として有効なGNH
 将来世代にワリを食わせてはならない
 トリプル・ボトムラインの帳尻を合わせる
 世代間の公平-持続可能な憲法
 「社会」「環境」「経済」を折り込んだHSM
 NNW(国民純福祉)はセミ・サステナブル
 ISEW/GPIはサステナブル指標
 HDI(人間開発指数)とジェンダー
 HPI(地球幸福指数)に欠ける経済指標
 サステナブルなGNHとジェンダー
 国際比較の可能性
 GNH値算出のユニークさ
第5章 ブータン人の幸せ感
 通用しない西欧的な貧困尺度
 男女平等は当たり前
 ブータンの良い所-文化的制約がない
 自由時間はテレビでハリウッド映画を観る
 女性は男性より多くの権利をもっている
 ブータン女性は結婚後も働き続ける
 ブータンでは人々は幸せで、国は平和
 理想の結婚はやはり恋愛結婚
 ジャーナリスト、経済評論家になりたい
 ビル・ゲイツのように有名になりたい
 世界のあらゆるものを尊敬する心を仏教から学ぶ
 まず結婚をして愛する妻と将来を分かち合いたい
 休日は弓(ダツェ)で過ごす
 ブータンのデモクラシーには仏教の教えが入っているから強い
 ブータンの有職者の「理想の社会」イメージ
 ブータンの8年生(中学2年生)へのアンケートによる幸せ感
 中学生とは英語でコミュニケーションがでいる
 日本のイメージとは
終章 ブータンモデルの可能性
 GNH実現のサポートをしている日本のJICA
 日本の自治体を勇気づけるブータン
あとがき

面白かった本まとめ(2010年上半期)

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2 コメント

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すごい国ですね。 (ヒッキー)
2010-10-16 08:31:33
すごい国ですね。
早速、この本を手配いたしました。
ぜひ、読んでみたいと思います。
返信する
ヒッキーさんコメントありがとうございます! (nyanko)
2010-10-17 10:42:08
ヒッキーさんコメントありがとうございます!
お役に立てれば幸いです。

幸福って何だろう、と考えさせられる良い本だと思います。ブータンという国も良さそうです。
返信する

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