「上海 特派員が見たデジタル都市の最前線」という本は、毎日新聞社の特派員である工藤哲さんが、上海の最新状況について分かりやすく説明したものです♪
特に上海での防犯やシェア自転車、タクシー、無人コンビニ、上海ディズニーランドなど新サービスの現状、、また中国で注目を浴びる日本のキャプテン翼やスタジオジブリ、指揮者西本智実、燃えろアタックの子鹿純子、日本のカレーなど興味深かったですね♪
また九州各県は上海で想像以上に観光誘致に尽力しているということが分かりました♪
それから日本に訪れると牛乳や卵の美味しさに感動し、沖縄の「道の駅かでな」が米軍基地の戦闘機などがよく見えるので人気とは驚きましたね♪
現在は円安だし、今後九州は距離的にもかなり近いので、中国人による観光で繁栄しそうと思いました。
「上海 特派員が見たデジタル都市の最前線」という本は、上海の現状がよく理解できとてもオススメです!
以下本書のポイント等です♪
・上海で毎朝のニュースの閲覧で悩みのタネだったのが、中国のネット規制だ。中国国内では通常、フェイスブックやツイッター、インスタグラムに加え、日本のヤフーや日本の主要メディアのサイト、中国に批判的な欧米メディアや香港メディアは閲覧の規制がかかって見ることができない。日本メディアのニュースサイトはなぜか日によって見られたり、見られなかったりしていた。例えばある日は「毎日新聞」や「日本経済新聞」のニュースサイトが見られるのだが、連日見ているとある日、急にエラーの表示が出たりする。
・上海の中心地で立派なオフィスを構えれば、毎月の家賃は3万元(約54万円)は下らない。筆者がいた時期は上海の地価は上がる一方で、年を改めるごとに貸主は契約の見直しで値上げに踏み切ろうと待ち構えてきた。
・上海や中国の地下鉄で日本と違うのは、乗るたびに必要な手荷物検査だ。上海の地下鉄の駅ではすべて改札の直前に手荷物検査がある。ここで特殊機器に荷物を通し、カメラで列に並んでいる乗客の顔を撮影している。
・アプリで頼む食事は、種類にもよるが一度で40元(約700円)ほどだ。マクドナルドのセットやうどん、刀削麺、タンタンメンといった中華料理などのメニューには事欠かない。食事の配達員にとってはこの時間帯は書き入れ時で、配達予定時間に間に合わせるため猛スピードで街中をバイクに乗って走り回っていた。注文した人は、アプリで配達員の所在を確認できる。また態度が悪ければスマホで悪い評価を付けることができる。
・上海を歩けば「光る横断歩道」や「画像付き信号機」が目につくはずだ。信号機が赤なら、下の路面も赤に。また緑の表示なら緑に点滅する。信号機の上には監視カメラが置かれ、その柱には画面が備え付けてあり、歩行者が映像に記録される。もし赤信号を渡っていたら、その歩行者は自動的にカメラで撮影されて「問題あり」と認識され、顔認証で誰かを特定されることになる。いつどんな形で罰せられうかは予想できない。上海の中心地なら、歩行者はどこにいても撮影されていると考えたほうがいい。
・各地で試行錯誤していたのが「無人コンビニ」だった。スマホのQRコードや顔の登録で入口のゲートが開いて店内に入る。ジュースやお菓子などの商品を棚から取り出し、ゲートを出ると自動的にスマホから金額が引かれて決済する。レジはなく店員もおらず店は静かだ。慣れてしまえば楽だが、事前にスマホでの登録が必要だ。「無人」なのかと思ったら実際には店員が待機する店もあった。機器の不調や商品の調達の時には人の対応が必要だという。資金を持つ企業が投資し、トライ・アンド・エラーを繰り返して実用化を目指す段階だった。
・次々に開店するあちこちの飲食店も奇抜だ。スマホで注文すると、店内に張り巡らされたレールを通じてテーブルに料理が運ばれてくるレストランや、スマホをかざすだけでロボットが全自動でミルクティーをつくってくれるカフェも地下のショッピングモールなどにできている。
・2019年7月、人気サッカー漫画「キャプテン翼」の魅力を中国に伝える展示会が上海で始まった。数年間に中国の複数年で開く予定が立てられ、中国がサッカー強国を目指す中で、翼人気を象徴するイベントだった。
・筆者が上海に2018年春に赴任して間もなく、宮崎駿監督らによる数々のアニメ作品の制作で知られるスタジオジブリの中国進出が本格化した。ジブリの作品はそれまで、海賊版が爆発的に普及すrという歪んだ状況だったが、本物はこの時期になってようやく本格的に上海を起点に中国に入り始めた。中国でのジブリ作品の人気ぶりには、実際に上海に来た関係者も驚きを隠せなかった。
・2019年の上海は、音楽分野では日本トン距離が最も近づいていたともいえる。筆者の駐在期間には、RADWIMPSや米津玄師、あいみょん、きゃりーぱみゅぱみゅといった日本でもチケット入手が難しいミュージシャンやアイドルの訪中が相次いだ。
・西本智実さんは、中国国家交響楽団から最も魅力的な指揮者の1人と評されている。中国のインターネットでは西本さんについて「かっこいい」といった言葉が並ぶ。
・日本の流行に対する中国人の敏感さには驚かされたが、シニア層の間では過去のスターを懐かしむ声も多かった。中国人の心に長く残っていたのが日本の少女「子鹿純子」をめぐる逸話だ。ステージ中央に俳優・荒木由美子さん(60歳)が立った。姿を見た中国人からは歓声が上がった。1979年〜1980年に日本で放送されたドラマ「燃えろアタック」の主役だ。バレーボールに打ち込む少女を描いたこのスポ根ドラマは80年代に中国でも放送され、視聴率は50%超と日本を上回ったという。荒木さんが演じたヒロインの名前は「子鹿ジュン」、中国では「子鹿純子」と呼ばれた。中国人の50代以上の多くの人達の記憶に刻み込まれている名前だ。
・上海の家庭の台所を調査して回ったハウスの社員らは、食材にとどまらず、年収や子の年齢、親の帰宅時間まで細かく尋ねた。すべては「中国人が求めるカレーとはどんなものか」を知るためだった。その末につかんだ答えが、スパイスの「八角」を加えたものだった。東南アジアの市場に漂うような甘くて濃厚な香りが特徴だ。
・筆者が駐在中に注目したテーマの一つが、日本の地方自治体の関係者の動きだ。実は上海には多くの日本の地方自治体の連絡事務所が置かれている。その動きから、北京では普段なかなか見えなかった「中国と日本の地方都市」の動きが見えてくる。そしてそれは政府の動きとは違っていた。このあたりが日中関係の幅広さや層の厚さでもあり興味深かった。
・この中で特に上海と縁が深いのが、友好都市、あるいは友好交流関係を結んでいる横浜市、大阪市、大阪府、長崎県の4つだ。
・佐賀県と上海は2012年から中国の格安航空会社(LCC)の春秋航空の空路でつながっている。2018年だけで4万人近くが利用した。春秋航空の王正華会長夫妻は何度も佐賀を訪れ交流してきた。山口祥義知事は「ここ数ヶ月で福建省、貴州省を訪れた。毎週のように中国に来ている」と語った。佐賀は和牛やバルーンフェスタが人気で、その宣伝を続けているが、タイやフィリピン映画のロケ地としても知られており、アニメや化粧品を通じた魅力作りも進めている、と紹介した。また知事は、秋の祭り「唐津くんち」や潮の満ち引きがある大魚神社の鳥居、京都の清水寺よりも舞台の高さがある祐徳稲荷神社についても紹介し、「外国人旅行者のリピーター率は非常に高い。お待ちしています。佐賀、最高!」とこぶしを握った。
・上海日本総領事館によると、2019年に上海市や周辺四省を訪問した首長は延べ30人を超えた。地元の空港を活性化させようと、上海との直行便増便について上海の航空会社に働きかける訪問も目立った。日韓関係や香港情勢が不安定な中、地方自治体の独自外交の現場の一つが上海だった。
・総領事館で驚かされたのが、日本各地の地方自治体が主催する「地元紹介イベント」だった。一般の中国人を募って日本各地の土地柄や産品を紹介するのだが、筆者が知らない、いったことがない日本各地の情報がとにかう多かった。たとえばこんなキーワードだ。
「玉造温泉 美肌、姫神の湯 1300年前から玉湯川沿岸には約400のソメイヨシノ」(島根県)
「出雲地方の風景と伝統駅な日本庭園・由志園」(島根県)
「瀬戸内海物語 探訪之旅、芸術の島でクルーズ船に直島や豊島、女木島、小豆島のエンジェルロード」(香川県)
「潜水捕魚発祥の地、カキ小屋 修験道の山 沿海に建つ竹崎温泉」
・日本に行く上海人が日本で飲んでいたというのがコンビニの牛乳だ。これは何人もが口をそろえた。中国人は中国の牛乳の質は信用していないが、日本の牛乳は「おいしい」という。どこにいても食事がおいしいことに、年配の中国人は驚いていた。
・30代の上海のキャリアウーマンの独身女性は、父母を初めて日本に連れていった時のことを教えてくれた。父は地元の党幹部、母は医者だったが、既に定年。関西を中心に京都や大阪にも足を伸ばした。「行った先で毎日口にしていたのが卵と牛乳だった」という。日本では味が全然違っていた。また、父がじっと眺めていたのは高速道路の柱だった。「こんなに太い柱で支えているのか」と驚いていた。街のベンチも綺麗だった。ホテルにはトイレットペーパーの予備がある。「どこまでも安心。こんな社会は見たことがない」と話していたという。母は帰りがけにふと「人生を無駄にした」とつぶやいた。「自分と同世代の60代の日本人は、こんなにいい生活をしていたのか。自分たちは文化大革命などで苦労を重ねたのに。若い時、本当は外国にも行きたかったけど、行けなかった」さらに母親は「これまでの自分の苦労や人生は一体何だったのか」と悔しそうに語った。娘はそれを聞いて、返す言葉がなかったという。これは上海の一般家庭の少なからぬ人たちの率直な思いかもしれない。
・撮影スタッフがでかけたのは、天神から博多川にかけて並ぶ屋台だった。足を運ぶと、多くの人が酒盛りをしていた。店に入ってみると「北京から来た」と話す中国人の個人旅行客がいた。こうしたにぎわいも含め「博多らしさを存分に味わえることが魅力になる」と袁さんはいう。福岡市では街が一望でき、韓国人カップルも足を運ぶ福岡タワーやきれいな海の風景が見られる糸島などが注目スポットになっていた。袁さんはこう話した。「上海の人は九州で「癒やし」を求めています。一昔前は、上海から気軽に遊びに行くとすれば行き先は香港でしたが、いずれはそれが福岡や東京になる可能性を秘めているのです。長い目で見れば、ビザの手続きもスマホで手軽にできるようになるかもしれない。実際、一部の国では中国の信用システムの数値が高いと簡単にビザが取れたりもできるようになりつつあります。10年前と比べれば、九州の知名度は中国で格段に上がりました。蘇州や杭州などでも、どこの旅行会社も九州を扱っている。まずフライトがわずか約2時間。上海から北京に行くような値段で行けます」
・「九州の強みは、鉄道やバスなどの交通が圧倒的に便利で、日本の東北や四国よりもずっと動きやすい。規模がコンパクトなので車を運転しなくても移動できる。この規模感がとても快適なんです。この先デジタルが発展すれば、買い物も郵送できるようになって言葉の壁もなくなります。福岡が気に入って「不動産を買いたい」という中国人も周囲に珍しくありません」
・佐賀県の鹿島市にある祐徳稲荷神社などがタイの映画「タイムライン(2014年)」のロケ地になり、その後多くのタイ人が訪れる人気スポットになっていた。周囲はのどかな田園だが、やってくる人はますます国際化してきたという。近くで桜やツツジ、新緑が見られる地域で、シャトルバスは任意で100円という安さだった。中国国内では有名観光地に行けば入場料は100元(約1800円)などもざらなことに慣れている中国人にとってはおそらく信じられない額だ。
・次に向かったのが有田焼の著名な職人の工房だ。入口には5千円を超える高級な器が並ぶ。近年は中国からも客が見せるようになった。工房によると、中国人が足を運ぶようになったのは上海万博があった2010年ごろからだ。それまでは日本市場向けに作っていたが、さまざまな器に関心を示しているのは肌で感じるようになった。「中国人はあずき色の器を即決で買う。10年前は上海の人で、最近は深圳の人が増え、深圳に販売の拠点ができました」という。
・那覇市と県北部を結ぶ幹線道路沿いにある「道の駅かでな」(嘉手納町)。激しいごう音を立てて戦闘機が基地から離陸した。4階の屋上には中国人観光客が押し寄せ、隣接する嘉手納基地の写真を撮影していた。「中国では軍事施設は近づけないので、こんな場所はまず自由に撮影できない」「道の駅かでな」は、米軍のアジア太平洋の重要拠点・嘉手納基地を一望できる唯一の場所だ。沖縄では「安保が見える」とも言われる場所で、報道関係者なども常駐し、離発着する戦闘機の動きに常時目を光らせていた。ここを「スパイ・ビル」と呼ぶ米軍関係者もいるという。基地を抱える負担の重さを伝えようと、中には基地関係の展示スペースもあるが、ここを中国人の団体旅行者が見入っていた。地元住民によると、ここを見に来る中国人は2016年から増えてきた。中国から寄港するクルーズ船の乗客が乗り込むバスツアーの立ち寄り・休憩場所になっている。この建物の出入りは自由で無料。中国人が最も行きたがる行き先の一つになっていた。中国では軍事施設の撮影は禁止されている。ここは中国人にとって、巨大な米軍基地が最も間近で見られる珍しい場所だ。
・2017年に中国人が日本で何を体験したいかを調べた結果、
1グルメ
2買い物
3健康診断
4文化
5声優・アニメ関係
の順でトップは食だった。
2018年9月には日本の美食レストランのリストが発表された。いわば中国版「ミシュランガイド」で、西洋人ではなく中国人が見定めたものだ。そのくらい日本の食への関心は高いという。
・もし日本に投資していくとすればどの地域に注目するのか?
伝統があって自然豊かな伊豆や箱根のあたりだろう。広くはないがこのあたりなら短時間でかなりいろいろ回れる。日本の豊かな四季は伊豆半島あたりに凝縮されている気がする。九州も中国からのアクセスが良くて悪くはない。だが福岡や九州は規模がコンパクトではあるが「高級路線」という感じとはやや違う。「プチ富裕層」あたりの人たちに適しているのではないか。京都にも関心があって物件は数十見たがどんどん値上がりしている。10年以上前は手頃だったが、ホテルも多くて競争が激しい。これ以外だと、軽井沢や兵庫県の有馬温泉、神戸の六甲山、大分の湯布院あたりが魅力的だ。北海道には既に中国企業から投資もたくさん入って値段は上がっている。東北も悪くはないが、地震のリスクや福島の原発の安全性への懸念が残る。親子連れになると、子どものことを考えて避けがちになってしまうかもしれないので、開発するリスクは若干高い。経済の波を考えると大規模開発は非常にリスクが大きくていい選択とは言えないのではないか。投資しやすいのは比較的小さな旅館だ。文豪とか作家がよく滞在したとなれば価値は上がる。また大都市圏から車で行きやすいことも付加価値になる。
・トイレの変化も早い。都市部を中心に温水洗浄便座などの普及が進むが、ここでも「日本式」の人気は根強い。地方でも習近平氏が推し進めた「トイレ革命」により、仕切りがないかつての「ニイハオトイレ」などは次々に姿を消している。
・日系トイレメーカーの幹部によると、設置の需要は主にホテルや高級集合住宅だ。上海では中心部の新築需要はほぼ一巡したが、近年需要が大きく伸びたのは広東省深圳市だ。中国の有力企業がここに拠点を移しており、学歴や給与水準の高い住民が急増し、それに伴い高級トイレの需要も増えたという。これまでは主に北京や上海、広州といった大都市が需要の中心だったが、内陸部にも広がっている。
・最近ではビッグデータやインターネットを活用した公衆トイレである「スマートトイレ」も各地で出始めた。中国メディアによると、利用者数や使用頻度んデータを集積し、掃除すべき時間を担当者に通知したり、悪臭が一定の基準値を超えると自動的に換気して清潔な空気を保ったりするシステムも備えたものまで登場している。
・中国は世界最大規模のゲーム天国だ。幾多のあらたなゲームが日々生み出され、上海ではゲームのスポーツeスポーツも盛んだ。上海はeスポーツの世界の中心都市を目指しており、大規模な大会が頻繁に開かれている。チャイナジョイといった娯楽がテーマの展示会には巨大なゲーム展示場もあり、そこにはいつも人だかりができていた。
・eスポーツは酒を飲んだり、ゴルフをしたりするより安い。若者にとっては最も安い娯楽だと言っていい。この分野は親の世代からはあまり好ましく思われていないが、その抑圧感がさらに発展の原動力になった面もある。
・中国は歴史的に兵士家の孫氏を生んだ国で、総じて戦略を研究するのが得意だ。策略を立て、組織で行動する。この点では中国人は絶対に他国に負けない。またゲーム人口もとてつもなく大きい。そしてデジタル分野で発展した上海はeスポーツには最も適した都市だ。環境も整っている。政府もeスポーツの発展を後押ししている。選手の収入は増えており、トップ選手だと年収は1億円を超えるという。次第にサッカーやバスケットボールのプロ選手のレベルに近づいている。
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