「いまこそ知りたい ドナルド・トランプ」の購入はコチラ
2016年11月の大統領選挙では、泡沫候補だったドナルド・トランプ氏が大統領となって驚きましたが、「いまこそ知りたい ドナルド・トランプ」という本は、ドナルド・トランプ氏の大統領戦出馬表明からそのトランプ氏を追い続ける「アメリカ大統領選挙研究会」というリサーチ集団ががまとめたものです♪
その「アメリカ大統領選挙研究会」は、小説家・ライター・編集者・バックパッカー・弁護士・翻訳家など様々な業種からなるとのことで面白いですね♪
本書はそのトランプ氏が大統領に選出される前の2016年7月に発行されたもので、トランプ氏を賛美・批判の両方の立場に立たず、トランプ氏の入門書として分かりやすく様々な角度から分析したものとのことです♪
この本の構成としては以下となります。
(1)ドナルド・トランプとはどういう人物なのか
(2)トランプと政治
(3)トランプの暴言&迷言セレクト52
(4)トランプのビジネス術
特に本書では以下についてナルホドと思いましたね♪
世間で言われる人物像とは違って、良い人物なのかもしれません。
・トランプ氏は生粋のニューヨーカー
・身長は188cmもある
・トランプ氏のアメリカでの知名度は抜群だが、テレビ番組でホストを務めたことがあるためでお茶の間の人気者
・子煩悩
・ズルは嫌いで、正直者がバカを見る世の中も嫌いで誠実
・戦うときには徹底して戦う
・ビジネスにおいては慎重に物事を運ぶのがスタイル
・金を稼ぐことに興味があるのではなく、ビジネスそのものに強い魅力を感じている
・4度も破産を経験していて、それを前向きに乗り越えてきた
・祖父は酒に溺れたが、トランプ氏は酒を一滴も飲まない
・トランプ氏の父は11歳の時にその父を亡くすが、果物の配達や靴磨き、建築資材の運搬などの仕事をして金を稼いで母子家庭の家計を支え、夜学で勉学にも励み、5ケタの暗算を難なくこなし、頭角を現した
・トランプ氏の母は華やかなものを好み、トランプ氏はその派手好きを受け継いだのだろう
・トランプ氏の兄弟も勉学は優秀でエリート
・トランプ氏は友人は多くなく、ランチも忙しい仕事の合間を縫って手軽に済ませ、遊び歩くことがない。ビジネスに集中
・トランプ氏は3回結婚しているが全員が超美女
・トランプ氏はいたずら等で小学校を放校寸前となり、軍隊式教育の私立学校に編入されるが、成績が良かったこともあり士官候補生の隊長に任命される等リーダーである星の下に生まれている
・一流大学の上位8%に入るフォーダム大学に入学するが、超一流のウォートン校に編入する
・実は2000年に共和党から改革党にくら替えして大統領選挙に出馬していて、はるか昔から大統領の座に興味を持っていた
・トランプ氏の交渉術のセオリーは、本来の要求よりも高い要求を突きつける「ハイボール」を多用することで、それで相手が要求を飲むラインを上げる
「いまこそ知りたい ドナルド・トランプ」という本は、トランプ氏の真実に迫った本で、分かりやすく書かれていて、とてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・ドナルド・トランプは、本名をドナルド・ジョン・トランプ(Donald John Trump)という。父フレッドと母メアリの間に生まれたのは1946年の6月14日のこと。2016年でちょうど70歳となった。出身はアメリカ合衆国ニューヨーク州クイーンズ区、人種のるつぼと言われるニューヨークの中でも、特に多人種、多民族が暮らすことで知られるエリアだ。トランプは生まれも育ちもニューヨーク。生粋のニューヨーカーである。テレビを見て気づいたと思うが、トランプは立派な体格の持ち主である。その身長は188cm。アメリカ人の平均身長は176cm。多民族国家がゆえに思ったよりも平均が低いことを差し引いても、トランプがアメリカ人の中でもかなりの高身長であることは間違いないだろう。その巨体と並んでトランプの特徴として挙げられるのが、奇抜なヘアースタイルだ。その不自然さからたびたびカツラ疑惑が持ち上がるが、トランプはこれを一切否定。ときに他人に毛髪を引っ張らせて「な、本物だろう」と得意がるシーンは、もはやおなじみの光景である。趣味はスポーツ。子供のころは野球やサッカーに熱中しており、現在は主にゴルフをたしなんでいる。ハンデは3・7というから、その腕前はプロ並と言っていいだろう。
・トランプは不動産業を生業としている。それもただの不動産屋ではない。全米ナンバーワンの不動産王であり、アメリカの経済誌フォーブスの長者番付の常連でもある大富豪なのである。当然、アメリカでの知名度は抜群なのだが、それは大金持ちだからという理由だけではない。あるテレビ番組でホストを務めたことにより、お茶の間の人気者にもなったからだ。その番組こそ”見習い”を意味する「アプレンティス」。複数の参加者の中からトランプの会社で働く人材を決めるリアリティーショーだ。この中で、脱落する参加者に対してトランプが口にする「お前はクビだ!」(You're Fired!)のセリフが大受けし、トランプはテレビスターとしての人気も獲得。これが今回の大統領選挙でのトランプ旋風の一因となっている。
・演説でたびたび発する強烈すぎる言動から、まるで人格破綻者のように思われがちなトランプ。だが、過激なだけの人間にビッグビジネスを円滑に進められるはずがない。テレビ画面越しだけではうかがいしれない内面も持ち合わせている。その代表的なものが、我が子に対しての愛情深さだ。トランプは彼の自伝の中で「たとえ何をしているときであっても子供からの電話は出ることにしている」と語っている。ビジネス最優先の鬼経営者というのは、あくまでイメージ。本当は子煩悩な良きパパでもあるのだ。
・そしてトランプは曲がったことが大嫌いだ。ある友人が、彼の力をもってブロードウェイミュージカルのチケットを手配しようかと打診してきた。それに対してトランプは「そういうことはしたくないのだ」とキッパリ断ったのである。また、ある老婦人が先祖代々の農場を失いそうになった際には「正直にコツコツ生きてきた人が全てを失っていいはずがない」と立ち上がった。なんとその老婦人のために寄付を募り、10万ドルもの大金を集めたのである。ズルは嫌いで、正直者がバカを見る世の中も大嫌い。トランプについて考えるときには、過激な言動だけでなくこの誠実さも忘れないようにしたい。
・トランプは戦うときには徹底して戦う男でもある。「僕は折れるよりは戦う。一度でも折れるとたちまち弱気という評判が立つからだ」とは自伝の記述。トランプは大統領選予備選挙の段階から、自分が大統領になったあかつきにはアメリカの国益を最優先にすると民衆の前で公言している。彼の選挙スローガンは「強いアメリカをもう一度」である。彼がアメリカのトップに立ったら、決して引かず、勝つために手段を選ばない外交政策で他国のリーダーたちに戦いを挑むことだろう。
・数々のタフな交渉を勝ち抜いてきたトランプだが、ビジネスにおいては慎重に物事を運ぶのが彼のスタイル。自伝には「常に最悪を予想して(中略)最悪の事態に対処する方法を考えておけば(中略)何があっても大丈夫だ」と書いており、彼が石橋を叩いて渡る繊細さを大事にしていることがわかる。「融通性を持つことでリスクを少なくする」のも、トランプのポリシーのひとつ。ビジネスにおいてはひとつのやり方に固執せず、ありとあらゆる可能性を模索する。状況が変われば臨機応変にその手札を切る、というわけだ。そしてトランプが特に大事にしているのが、物事を大きく考えることだ。小さくまとまってしまっては、それ以上の成果は決して得ることができない。だから、大きく考えるのだ。
・これも意外に感じられるかもしれないが、トランプはこれまで重ねてきた成功や得てきた資産に執着していない。なぜか?彼は金を稼ぐことに興味があるのではなく、ビジネスそのものに強い魅力を感じているからだ。つまり、仕事を楽しんでいるのである。サブプライムローンによる大不況などの影響で、トランプはこれまで4度も破産をしている。そのたびに身の破滅寸前まで追い込まれるが、彼は必ず復活して、いまもアメリカの不動産王に君臨している。その理由こそが、仕事を楽しみ、自分を偽らない生き方にあるのは明白だ。大統領選予備選挙において、トランプは決して自分を偽らなかった。嫌なものは嫌、欲しいものは欲しい。そのストレートさはよくバッシングの対象になったが、決してポリシーを曲げないその姿は多くの熱狂的な支持者を生んだのである。
・トランプはこれまで、自らの名「TRUMP」を冠した豪奢な建物を、数多く手がけてきた。マンハッタン・ミッドタウン区の5番街に建つ202mの高層ビル「トランプ・タワー」をはじめ「トランプ・プラザ&カジノ」「トランプ・マリーナ」などなど。だが、このうちトランプ・プラザ&カジノとトランプ・マリーナは、トランプの所有物ではなくなっている。度重なる破産で手放さざるを得なくなったからである。彼のビジネスがこれまで順風満帆であったかといえば、そうではない。トランプはこれまで4度も破産を経験しているのである。そのたびにトランプは自らの実力、そして不動産ブームなどの運も味方につけて、復活を遂げてきた。逆境に強いタフさ、決して諦めないしぶとさ。これこそがトランプを超一流ビジネスマンたらしめたことは疑いのないところであろう。
・父フレッドがニュージャージーで生まれたのは1905年。フレッドの父は繁盛しているレストランを経営していたが、生活は荒れていた。フレッドの父は酒に溺れて、アルコール中毒になっていたからだ。トランプの兄フレッド・ジュニアはアルコール中毒により早世しているが、祖父も同じく酒に憑かれていたのである。トランプが一滴も酒を飲まないのは、これらのことが一因かもしれない。フレッドは彼の父と違って、とても働き者の男であった。11歳のときに父を亡くすや、果物の配達や靴磨き、建築資材の運搬などの仕事をして金を稼ぎ、母子家庭の家計を支えたのである。仕事に勤しむ一方、フレッドは勉学にも励んだ。高校生のとき夜学に通って建築を学び、16歳のときに隣人のための木造ガレージを建てた。これが後に不動産王ドナルド・トランプの父親になる男の最初の建築物だった。フレッドは高校を卒業すると、住宅建設業者に就職する。5ケタの暗算を難なくこなすという頭脳と、夜学で蓄えた知識、そして持ち前の向上心で、めきめきと頭角を現していった。
・母メアリは、フレッドと違って華やかなものを好む性格だった。エリザベス女王の戴冠式が放送された際、スコットランド人であるメアリはうっとりとした顔を浮かべてテレビの前から離れようとしなかったという。派手好きな面は母親か受け継いだものだろう、とはトランプの弁である。確かにトランプの建設物の派手さを見る限り、母親の血を強く引いているのは、間違いないところだろう。そんな母メアリは、夫のフレッドをよく支えた。トランプをはじめ5人の子供の面倒を見るかたわら、地元の病院のボランティアにも参加していたとか。経済的には裕福であったものの、トランプ家はぜいたくをよしとせず、1ドルを大事にする質素な生活を送ったという。ビリオネアにも関わらず、実はトランプの食事が質素だったりするのは、両親の教えの影響があるのかもしれない。
・8歳年上の兄フレッド・トランプ・ジュニアにも苦悩はあった。その優しさが災いしたのか、ビジネスには向いていなかったのだ。父と一緒に働くも、ひと癖もふた癖もある顧客を相手にするタフな精神は持ち合わせておらず、フレディはたびたび父と衝突。そしてほとんどのケースにおいて折れるのはフレディの方だった。ほどなくしてフレディは夢であったパイロットとして働き出す。しかしフレディは酒に溺れ、43歳という若さでこの世を去ってしまう。「トランプ家独特のプレッシャーに耐えられなかったのだろう。それにもう少し早く気づいていれば・・・」とトランプは痛恨の念にかられたそうだ。トランプ兄弟の最年長者、上の姉のメアリアン・トランプ・バリーは大学卒業後に結婚。息子が大きくなると再び学校へと戻って法律の勉強を始める。優秀な成績で卒業後、民間企業を経て、連邦検察官となり、後に連邦判事となった。下の姉のエリザベス・トランプ・グラウもメアリアン同様に優秀であったが野心はそれほどでもなく、マンハッタンの銀行に勤めた。そしてトランプよりも2歳年下の弟ロバート・トランプ。ガキ大将だったトランプと違い、ロバートは温厚な性格だったという。どのくらい温厚かといえば、子供のころトランプになかば強引におもちゃのブロックを取り上げられ、あまつさえ糊付けされてしまったというのに、そのエピソードを嬉々として話すほど。このときすでにロバートは、トランプがどのような人生を送るかがわかったというから聡明だったようだ。
・トランプは友人が多い方ではない。というより、極端に少ないと言ってしまっていいだろう。そもそもトランプは人付き合いというものを大事にしない。ヤリ手のビジネスマンならばパワーランチと称して、昼食時にも仕事の打ち合わせを入れたり、新しい交友関係を築こうとしたりするのが普通だろう。一方のトランプといえば、そもそもが外に昼食を取りにいくことがめったにない。忙しい仕事の合間を縫って、ごく手軽に済ませる。ランチがトマトジュース1缶というのも日常茶飯時だ。もちろんトランプのオフィスには多くの人が訪れるのだが、そのほとんど全てがビジネスだけのパートナーだ。仕事が終わってからも、トランプは遊び歩くことがない。自宅に戻ってもあちこちにビジネスの電話をかけ続け、それが眠る寸前まで続くのである。では休日はどうかといえば、これが一日中電話をっけ続けるとのこと。趣味であるゴルフはたまに行くようだが、それもビジネスがてらにというのが大半なようだ。元々少ない友人は、今般の大統領選におけるトランプの過激な言動に嫌気が差し、彼と距離を置くようになったという。
・トランプはこれまでに3回結婚しているが、その全員が超のつく美女である。1人目の妻の名はイヴァナ。トランプが彼女と結婚したのは1977年のことだ。チェコスロバキア出身のイヴァナは札幌冬季オリンピックのスキーチームの補欠だったアスリートで、引退後はカナダでモデルとして活躍するなど、大富豪トランプの妻にふさわしい多才な女性。結婚後すぐにトランプの事業を手伝うようになった。元従業員の話ではビジネスにはかなり厳しかったようだが、トランプの会社の屋台骨を支えた優秀な人材であることは間違いないだろう。だが、その激しさにトランプは徐々に嫌気が差していったようだ。公には夫婦の体裁を保ちつつも、トランプは愛人にうつつを抜かすようになったのである。相手は女優のマーラ・メイプルズ。年齢は当時のトランプより17歳年下の24歳で、プロポーション抜群の金髪美女だ。トランプの2度目の結婚相手は、そのマーラである。そう、マーラは見事略奪愛に成功。トランプとイヴァナの離婚が成立した翌年の1993年、ついにトランプの正妻の座を射止めたのである。さに娘ティファニーをもうけたトランプ夫妻だったが、結婚から6年後の1999年にあえなく離婚してしまうのであった。ちなみに娘のティファニーは2016年にモデルデビューを果たしている。そして3度目の結婚で結ばれた現在の妻が、24歳年下の元モデル、メラニア・ナウス。トランプとメラニアが結婚したのは2005年のことだが、実はこのときの披露宴には今回の大統領選のライバルであるヒラリー・クリントンが出席している。まったくもって皮肉な話もあったものである。
・彼女の名前はイヴァンカ・トランプ。トランプが1人目の妻であるイヴァナとの間にもうけた実の娘だ。イヴァンカが生まれたのは、トランプとイヴァナの結婚9年目にあたる1981年。父親と同じく生まれも育ちも生粋のニューヨーカーである。母のイヴァナは元モデルであったが、イヴァンカはそのDNAを引き継いだ。180cmのスレンダーなプロポーションと美貌を生かし、多くのセレブを輩出した名門校ショパン・スクール在学中にモデルデビュー。16歳でファッション誌「seventeen」の表紙を飾り、後に有名ブランドのショーでも活躍した。だが、彼女がすごいのはその美しさだけではない。芸能活動のかたわら勉学に励み、名門のジョージタウン大学に入学するのである。イヴァンカは後に父トランプの母校でもあるペンシルバニア大学ウォートン校に編入している。優秀な成績で卒業後、幼い頃からの夢であった不動産業に就く。父と同じ道を歩み始めたのだ。周囲はトランプの娘であるイヴァンカに対して、親の七光りであると揶揄したそうだが、彼女の熱心な仕事ぶりを目の当たりにしてその考えを改めたという。現在は父の会社トランプ・オーガナイゼーションの重役を務める彼女もまた億万長者であり、その総資産は日本円にして180億円と言われている。もうすぐ35歳とは思えない若々しいイヴァンカは、実は二児の母親でもある。夫のジャレッドも不動産業を営む実業家で、しかも俳優張りのイケメンだ。才色兼備にしてビジネスセンスがあり、家族にも恵まれたスーパーウーマン。トランプの大統領選における最強のカードと言われるのもうなずける話である。
・現在の姿から想像がつくとおり、幼少期のトランプはガキ大将だった。本人いわく自己主張の強い攻撃的な子供で、人から非常に嫌われるか好かれるかであり、それは今も変わっていないと語る。しかしながら仲間内では人気が高く、常にリーダー格であったとか。なるほど、確かに大統領選におけるトランプは大量のアンチを生みつつも、熱狂的なファンも多く獲得している。すなわちトランプのカリスマ性は、ガキ大将のそれと同じだったようである。自他ともに認めるヤンチャ坊主だったトランプは、もっぱらいたずらに明け暮れていたそうだ
・いたずらや暴力事件を繰り返したトランプは、当時通っていた小学校を放校寸前になってしまう。それを見かねた父親が行動に出た。トランプをある学校へ編入させたのだ。入学したのは、ニューヨーク・ミリタリー・アカデミー。19世紀後半に開校した軍隊式の教育で知られる歴史ある私立学校である。統制を乱す者は容赦なく鉄拳制裁される環境でトランプが学んだのは、暴力教師には力で逆らわず、うまく付き合うことだった。具体的には、教師に敬意を払いつつも、恐れている素振りを見せないこと。つまり、はったりである。軍隊的教育によって規律を身につけ、強者と渡り合う方法を学んだトランプは、成績が良かったこともあって士官候補生の隊長に任命される。ガキ大将が編入した先でもリーダーに。どうやらトランプは常にリーダーである星の下に生まれたようである。
・ニューヨーク・ミリタリー・アカデミーを優秀な成績で卒業後、トランプはフォーダム大学に入学した。同大学は全米大学のランキングの上位8%に入る一流大学である。一時期映画に強く興味を持ったトランプは南カリフォルニア大学の映画科に入ろうかとも考えたそうだが、家から近いという理由でフォーダム大学を選んだそうだ。一流大学に入ったにもかかわらず、トランプは入学から2年後、編入を考えるようになる。どうせ教育を受けるのであれば、最高のところで学びたいと考えたからだ。そしてトランプはペンシルベニア大学のウォートン校に編入する。フォーダム大学が一流なら、ペンシルベニア大学は超一流。しかもウォートン校といえば、全米でも屈指の名門スクールである。トランプはウォートン校について、「ハーバード・ビジネス・スクールは多くの経営者を輩出しているが、本物の企業家にはウォートン校出身者が多い」と自著に書いている。このウォートン校でトランプは後の人生でも役立つ重要な物を得た。ウォートン校の学位である。これがあるだけでビジネスの相手はトランプに敬意を払い、いたく尊重してくれたというから、フォーダム大学からの編入は大成功だったと言えるだろう。
・トランプは大学で勉強するかたわら父フレッドの仕事を手伝っており、収入を得ていた。父は裕福であったが子供に多くの信託資金を与えないという信念の持ち主で、トランプが受け取ったのもそれほど多い金額ではなかったようだ。それでも大学卒業時のトランプは、20万ドルの財産を保持していた。ちなみにそのほとんどは不動産に投資をしていたというから、すでに優れたマネー感覚を身につけていたようである。
・ペンシルベニア大学ウォートン校を卒業したトランプは、父フレッドが経営する会社「エリザベス・トランプ&サン」に就職する。子供のころから父の後をついて建設現場に赴き、学生時代には実質的な右腕となっていたトランプにしてみれば、これは自然な流れだったと言えるだろう。トランプは単なる手伝いというだけでなく、自分自身も不動産業というものに大きな魅力を感じていた。なにしろ学友たちが新聞の漫画やスポーツ欄に夢中になっているとき、自身は連邦住宅局の抵当流れ物件のリストを読みふけっていたほどだ。
・晴れて一国一城の主となったトランプは、ビジネスを拡大させるため精力的に動いた。まずおこなったのは、人脈を広げることだった。トランプが目をつけたのが、当時ニューヨークで最も人気のあったクラブ「ル・クラブ」。多くのセレブが集まるこのクラブに入会すれば、自分のビジネスにとって好ましいパートナーが見つかるだろうと目論んだのだ。パーティー嫌いで知られるトランプだが、自分の利益のためなら喜んで社交場に顔を出す。損得に忠実なトランプらしい行動といえるだろう。最初、ル・クラブ側はトランプの入会を認めなかった。当時のトランプは駆け出しの実業家に過ぎないのだから当然だ。それでもトランプは諦めなかった。そして持ち前の行動力と強引さでついにクラブへの入会を果たしたのであった。ル・クラブでトランプは様々な人と出会った。大金持ちの男と談笑を交わし、ときには美女とデートを重ねたという。
・実はトランプは2000年に長年支持してきた共和党から改革党にくら替えして、大統領選挙に出馬している。このときは今回のような高い支持率を得られず、カリフォルニア州では勝利をおさめたものの結果は敗北した。その後、大統領になる目標は引っ込めたものと誰もが考えていた。しかし実際は違っていた。トランプは虎視眈々と機をうかがっていたのである。そしてその機は選挙戦敗北から12年後に訪れることになる。
・低中所得層の白人たちがトランプを熱狂的に支持する理由は、アメリカが抱えている失業問題にある。アメリカには毎日のようにメキシコから大量の不法移民がやってくる。彼らはとても安い賃金でも仕事を受けるため、多くの白人層が仕事を奪われてしまう。年収200万円台など珍しくなく、中には年収が10万円単位まで落ち込む者もいるほど激減しているのが実状だ。トランプは不法移民は即刻強制送還するべきだと公言しており、メキシコ人がこれ以上アメリカに入ってこれないよう国境に万里の長城を築くという政策も掲げている。仮にこれが実現すれば不法移民はアメリカを追放され、彼らに奪われていた仕事が白人たちの元に戻ってくる。だから仕事を奪われて苦しい生活を送るプアホワイトたちは、トランプを強く支持するのである。一方で高収入の白人層はトランプを支持していない。トランプが大企業に有利な税制改革をすると言っているにもかかわらずである。その理由はいたって単純。公約どおりの税制改革がなされた場合、アメリカ経済が破綻することをわかっているからだ。
・トランプにとって交渉時の最大のタブーは「何が何でも成功させたい」という素振りを見せることだという。自分が必死になると相手はそれを察知する。そうなれば相手に有利な取引が進んでしまうからだ。だからこそ、彼はレバレッジを重視する。交渉時、相手が”望むもの”、相手が”必要なもの”、そして相手が”なくては困るもの”を用意すれば、交渉の主導権を握り、有利な取引ができるのだという。
・トランプは交渉術のセオリーとして有名な「ハイボール」も多用している。ハイボールとは、本来の要求よりも高い要求をつきつけることで、相手が要求を飲むラインを上げるという交渉法だ。「メキシコの国境に壁を建設」「イスラム教徒の入国禁止」など、極端ともいえる発言をハイボールだと考える有権者も多く、そんなトランプに頼もしさを感じる人も少なくない。
・不動産王と称されるトランプだがそのビジネスキャリアは決して順風満帆ではなかった。いや、むしろ波瀾万丈と言ってもいい。なぜなら、彼はこれまでに4度も破産申請を行っているからだ。1990年当時、世間的には大富豪と思われていたトランプだが、実は深刻な財務トラブルに陥っていた。本人とその会社は34億ドルの債務を抱え、返済に苦しんでいたのだ。しかし、彼は財務的に「死に体の姿」よりもデベロッパーとして「生き体の姿」を見せることで破綻危機を乗り越えようと考えた。自信満々に事業再編案を語り、債権者たちの合意を取り付け、5年の猶予と銀行から当面の手当資金として6500万ドルの信用枠を与えられた。この結果、1993年までに3軒のカジノはすべて破産を切り抜けたことで、債権者はトランプの手腕を高く評価することとなった。30億ドル以上の債務は、剛胆な彼でも絶望的な数字だったはずだ。しかし、否定的な考えに陥ることを拒み、問題解決に集中するように努めた。メディアは「トランプはもう終わった」と書き立てたが、頑なに認めなかった。この強靱なメンタリティこそが、幾度となく訪れた破綻危機を乗り越えた要因である。
・彼は勝者に必要は条件として「頑固者であること」を挙げている。決してあきらめないこと、勝とうとする姿勢を持ち続けること-言葉にするのは簡単だが、維持するのは容易ではない。しばしば彼は自信の武器として「取引のセンス」を挙げている。しかし、多くの敗者・凡人との決定的な差は、どのような状況でも自分を見失わない精神力ではないだろうか。事業に失敗したとしても復活すれば再び認められる風潮がアメリカ資本主義には根付いている。「4度の破産申請」は日本人から見たらマイナスイメージかもしれない。だが、アメリカでは「4度も甦ったタフな男」という見方をする人が多い。そんな不死鳥のような男が、大統領選で「強いアメリカの復活」を掲げている。もしも彼が大統領になったら、アメリカをどのように導くのか。興味深く見守っている人は決して少なくないはずだ。
良かった本まとめ(2016年下半期)
<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。
2016年11月の大統領選挙では、泡沫候補だったドナルド・トランプ氏が大統領となって驚きましたが、「いまこそ知りたい ドナルド・トランプ」という本は、ドナルド・トランプ氏の大統領戦出馬表明からそのトランプ氏を追い続ける「アメリカ大統領選挙研究会」というリサーチ集団ががまとめたものです♪
その「アメリカ大統領選挙研究会」は、小説家・ライター・編集者・バックパッカー・弁護士・翻訳家など様々な業種からなるとのことで面白いですね♪
本書はそのトランプ氏が大統領に選出される前の2016年7月に発行されたもので、トランプ氏を賛美・批判の両方の立場に立たず、トランプ氏の入門書として分かりやすく様々な角度から分析したものとのことです♪
この本の構成としては以下となります。
(1)ドナルド・トランプとはどういう人物なのか
(2)トランプと政治
(3)トランプの暴言&迷言セレクト52
(4)トランプのビジネス術
特に本書では以下についてナルホドと思いましたね♪
世間で言われる人物像とは違って、良い人物なのかもしれません。
・トランプ氏は生粋のニューヨーカー
・身長は188cmもある
・トランプ氏のアメリカでの知名度は抜群だが、テレビ番組でホストを務めたことがあるためでお茶の間の人気者
・子煩悩
・ズルは嫌いで、正直者がバカを見る世の中も嫌いで誠実
・戦うときには徹底して戦う
・ビジネスにおいては慎重に物事を運ぶのがスタイル
・金を稼ぐことに興味があるのではなく、ビジネスそのものに強い魅力を感じている
・4度も破産を経験していて、それを前向きに乗り越えてきた
・祖父は酒に溺れたが、トランプ氏は酒を一滴も飲まない
・トランプ氏の父は11歳の時にその父を亡くすが、果物の配達や靴磨き、建築資材の運搬などの仕事をして金を稼いで母子家庭の家計を支え、夜学で勉学にも励み、5ケタの暗算を難なくこなし、頭角を現した
・トランプ氏の母は華やかなものを好み、トランプ氏はその派手好きを受け継いだのだろう
・トランプ氏の兄弟も勉学は優秀でエリート
・トランプ氏は友人は多くなく、ランチも忙しい仕事の合間を縫って手軽に済ませ、遊び歩くことがない。ビジネスに集中
・トランプ氏は3回結婚しているが全員が超美女
・トランプ氏はいたずら等で小学校を放校寸前となり、軍隊式教育の私立学校に編入されるが、成績が良かったこともあり士官候補生の隊長に任命される等リーダーである星の下に生まれている
・一流大学の上位8%に入るフォーダム大学に入学するが、超一流のウォートン校に編入する
・実は2000年に共和党から改革党にくら替えして大統領選挙に出馬していて、はるか昔から大統領の座に興味を持っていた
・トランプ氏の交渉術のセオリーは、本来の要求よりも高い要求を突きつける「ハイボール」を多用することで、それで相手が要求を飲むラインを上げる
「いまこそ知りたい ドナルド・トランプ」という本は、トランプ氏の真実に迫った本で、分かりやすく書かれていて、とてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・ドナルド・トランプは、本名をドナルド・ジョン・トランプ(Donald John Trump)という。父フレッドと母メアリの間に生まれたのは1946年の6月14日のこと。2016年でちょうど70歳となった。出身はアメリカ合衆国ニューヨーク州クイーンズ区、人種のるつぼと言われるニューヨークの中でも、特に多人種、多民族が暮らすことで知られるエリアだ。トランプは生まれも育ちもニューヨーク。生粋のニューヨーカーである。テレビを見て気づいたと思うが、トランプは立派な体格の持ち主である。その身長は188cm。アメリカ人の平均身長は176cm。多民族国家がゆえに思ったよりも平均が低いことを差し引いても、トランプがアメリカ人の中でもかなりの高身長であることは間違いないだろう。その巨体と並んでトランプの特徴として挙げられるのが、奇抜なヘアースタイルだ。その不自然さからたびたびカツラ疑惑が持ち上がるが、トランプはこれを一切否定。ときに他人に毛髪を引っ張らせて「な、本物だろう」と得意がるシーンは、もはやおなじみの光景である。趣味はスポーツ。子供のころは野球やサッカーに熱中しており、現在は主にゴルフをたしなんでいる。ハンデは3・7というから、その腕前はプロ並と言っていいだろう。
・トランプは不動産業を生業としている。それもただの不動産屋ではない。全米ナンバーワンの不動産王であり、アメリカの経済誌フォーブスの長者番付の常連でもある大富豪なのである。当然、アメリカでの知名度は抜群なのだが、それは大金持ちだからという理由だけではない。あるテレビ番組でホストを務めたことにより、お茶の間の人気者にもなったからだ。その番組こそ”見習い”を意味する「アプレンティス」。複数の参加者の中からトランプの会社で働く人材を決めるリアリティーショーだ。この中で、脱落する参加者に対してトランプが口にする「お前はクビだ!」(You're Fired!)のセリフが大受けし、トランプはテレビスターとしての人気も獲得。これが今回の大統領選挙でのトランプ旋風の一因となっている。
・演説でたびたび発する強烈すぎる言動から、まるで人格破綻者のように思われがちなトランプ。だが、過激なだけの人間にビッグビジネスを円滑に進められるはずがない。テレビ画面越しだけではうかがいしれない内面も持ち合わせている。その代表的なものが、我が子に対しての愛情深さだ。トランプは彼の自伝の中で「たとえ何をしているときであっても子供からの電話は出ることにしている」と語っている。ビジネス最優先の鬼経営者というのは、あくまでイメージ。本当は子煩悩な良きパパでもあるのだ。
・そしてトランプは曲がったことが大嫌いだ。ある友人が、彼の力をもってブロードウェイミュージカルのチケットを手配しようかと打診してきた。それに対してトランプは「そういうことはしたくないのだ」とキッパリ断ったのである。また、ある老婦人が先祖代々の農場を失いそうになった際には「正直にコツコツ生きてきた人が全てを失っていいはずがない」と立ち上がった。なんとその老婦人のために寄付を募り、10万ドルもの大金を集めたのである。ズルは嫌いで、正直者がバカを見る世の中も大嫌い。トランプについて考えるときには、過激な言動だけでなくこの誠実さも忘れないようにしたい。
・トランプは戦うときには徹底して戦う男でもある。「僕は折れるよりは戦う。一度でも折れるとたちまち弱気という評判が立つからだ」とは自伝の記述。トランプは大統領選予備選挙の段階から、自分が大統領になったあかつきにはアメリカの国益を最優先にすると民衆の前で公言している。彼の選挙スローガンは「強いアメリカをもう一度」である。彼がアメリカのトップに立ったら、決して引かず、勝つために手段を選ばない外交政策で他国のリーダーたちに戦いを挑むことだろう。
・数々のタフな交渉を勝ち抜いてきたトランプだが、ビジネスにおいては慎重に物事を運ぶのが彼のスタイル。自伝には「常に最悪を予想して(中略)最悪の事態に対処する方法を考えておけば(中略)何があっても大丈夫だ」と書いており、彼が石橋を叩いて渡る繊細さを大事にしていることがわかる。「融通性を持つことでリスクを少なくする」のも、トランプのポリシーのひとつ。ビジネスにおいてはひとつのやり方に固執せず、ありとあらゆる可能性を模索する。状況が変われば臨機応変にその手札を切る、というわけだ。そしてトランプが特に大事にしているのが、物事を大きく考えることだ。小さくまとまってしまっては、それ以上の成果は決して得ることができない。だから、大きく考えるのだ。
・これも意外に感じられるかもしれないが、トランプはこれまで重ねてきた成功や得てきた資産に執着していない。なぜか?彼は金を稼ぐことに興味があるのではなく、ビジネスそのものに強い魅力を感じているからだ。つまり、仕事を楽しんでいるのである。サブプライムローンによる大不況などの影響で、トランプはこれまで4度も破産をしている。そのたびに身の破滅寸前まで追い込まれるが、彼は必ず復活して、いまもアメリカの不動産王に君臨している。その理由こそが、仕事を楽しみ、自分を偽らない生き方にあるのは明白だ。大統領選予備選挙において、トランプは決して自分を偽らなかった。嫌なものは嫌、欲しいものは欲しい。そのストレートさはよくバッシングの対象になったが、決してポリシーを曲げないその姿は多くの熱狂的な支持者を生んだのである。
・トランプはこれまで、自らの名「TRUMP」を冠した豪奢な建物を、数多く手がけてきた。マンハッタン・ミッドタウン区の5番街に建つ202mの高層ビル「トランプ・タワー」をはじめ「トランプ・プラザ&カジノ」「トランプ・マリーナ」などなど。だが、このうちトランプ・プラザ&カジノとトランプ・マリーナは、トランプの所有物ではなくなっている。度重なる破産で手放さざるを得なくなったからである。彼のビジネスがこれまで順風満帆であったかといえば、そうではない。トランプはこれまで4度も破産を経験しているのである。そのたびにトランプは自らの実力、そして不動産ブームなどの運も味方につけて、復活を遂げてきた。逆境に強いタフさ、決して諦めないしぶとさ。これこそがトランプを超一流ビジネスマンたらしめたことは疑いのないところであろう。
・父フレッドがニュージャージーで生まれたのは1905年。フレッドの父は繁盛しているレストランを経営していたが、生活は荒れていた。フレッドの父は酒に溺れて、アルコール中毒になっていたからだ。トランプの兄フレッド・ジュニアはアルコール中毒により早世しているが、祖父も同じく酒に憑かれていたのである。トランプが一滴も酒を飲まないのは、これらのことが一因かもしれない。フレッドは彼の父と違って、とても働き者の男であった。11歳のときに父を亡くすや、果物の配達や靴磨き、建築資材の運搬などの仕事をして金を稼ぎ、母子家庭の家計を支えたのである。仕事に勤しむ一方、フレッドは勉学にも励んだ。高校生のとき夜学に通って建築を学び、16歳のときに隣人のための木造ガレージを建てた。これが後に不動産王ドナルド・トランプの父親になる男の最初の建築物だった。フレッドは高校を卒業すると、住宅建設業者に就職する。5ケタの暗算を難なくこなすという頭脳と、夜学で蓄えた知識、そして持ち前の向上心で、めきめきと頭角を現していった。
・母メアリは、フレッドと違って華やかなものを好む性格だった。エリザベス女王の戴冠式が放送された際、スコットランド人であるメアリはうっとりとした顔を浮かべてテレビの前から離れようとしなかったという。派手好きな面は母親か受け継いだものだろう、とはトランプの弁である。確かにトランプの建設物の派手さを見る限り、母親の血を強く引いているのは、間違いないところだろう。そんな母メアリは、夫のフレッドをよく支えた。トランプをはじめ5人の子供の面倒を見るかたわら、地元の病院のボランティアにも参加していたとか。経済的には裕福であったものの、トランプ家はぜいたくをよしとせず、1ドルを大事にする質素な生活を送ったという。ビリオネアにも関わらず、実はトランプの食事が質素だったりするのは、両親の教えの影響があるのかもしれない。
・8歳年上の兄フレッド・トランプ・ジュニアにも苦悩はあった。その優しさが災いしたのか、ビジネスには向いていなかったのだ。父と一緒に働くも、ひと癖もふた癖もある顧客を相手にするタフな精神は持ち合わせておらず、フレディはたびたび父と衝突。そしてほとんどのケースにおいて折れるのはフレディの方だった。ほどなくしてフレディは夢であったパイロットとして働き出す。しかしフレディは酒に溺れ、43歳という若さでこの世を去ってしまう。「トランプ家独特のプレッシャーに耐えられなかったのだろう。それにもう少し早く気づいていれば・・・」とトランプは痛恨の念にかられたそうだ。トランプ兄弟の最年長者、上の姉のメアリアン・トランプ・バリーは大学卒業後に結婚。息子が大きくなると再び学校へと戻って法律の勉強を始める。優秀な成績で卒業後、民間企業を経て、連邦検察官となり、後に連邦判事となった。下の姉のエリザベス・トランプ・グラウもメアリアン同様に優秀であったが野心はそれほどでもなく、マンハッタンの銀行に勤めた。そしてトランプよりも2歳年下の弟ロバート・トランプ。ガキ大将だったトランプと違い、ロバートは温厚な性格だったという。どのくらい温厚かといえば、子供のころトランプになかば強引におもちゃのブロックを取り上げられ、あまつさえ糊付けされてしまったというのに、そのエピソードを嬉々として話すほど。このときすでにロバートは、トランプがどのような人生を送るかがわかったというから聡明だったようだ。
・トランプは友人が多い方ではない。というより、極端に少ないと言ってしまっていいだろう。そもそもトランプは人付き合いというものを大事にしない。ヤリ手のビジネスマンならばパワーランチと称して、昼食時にも仕事の打ち合わせを入れたり、新しい交友関係を築こうとしたりするのが普通だろう。一方のトランプといえば、そもそもが外に昼食を取りにいくことがめったにない。忙しい仕事の合間を縫って、ごく手軽に済ませる。ランチがトマトジュース1缶というのも日常茶飯時だ。もちろんトランプのオフィスには多くの人が訪れるのだが、そのほとんど全てがビジネスだけのパートナーだ。仕事が終わってからも、トランプは遊び歩くことがない。自宅に戻ってもあちこちにビジネスの電話をかけ続け、それが眠る寸前まで続くのである。では休日はどうかといえば、これが一日中電話をっけ続けるとのこと。趣味であるゴルフはたまに行くようだが、それもビジネスがてらにというのが大半なようだ。元々少ない友人は、今般の大統領選におけるトランプの過激な言動に嫌気が差し、彼と距離を置くようになったという。
・トランプはこれまでに3回結婚しているが、その全員が超のつく美女である。1人目の妻の名はイヴァナ。トランプが彼女と結婚したのは1977年のことだ。チェコスロバキア出身のイヴァナは札幌冬季オリンピックのスキーチームの補欠だったアスリートで、引退後はカナダでモデルとして活躍するなど、大富豪トランプの妻にふさわしい多才な女性。結婚後すぐにトランプの事業を手伝うようになった。元従業員の話ではビジネスにはかなり厳しかったようだが、トランプの会社の屋台骨を支えた優秀な人材であることは間違いないだろう。だが、その激しさにトランプは徐々に嫌気が差していったようだ。公には夫婦の体裁を保ちつつも、トランプは愛人にうつつを抜かすようになったのである。相手は女優のマーラ・メイプルズ。年齢は当時のトランプより17歳年下の24歳で、プロポーション抜群の金髪美女だ。トランプの2度目の結婚相手は、そのマーラである。そう、マーラは見事略奪愛に成功。トランプとイヴァナの離婚が成立した翌年の1993年、ついにトランプの正妻の座を射止めたのである。さに娘ティファニーをもうけたトランプ夫妻だったが、結婚から6年後の1999年にあえなく離婚してしまうのであった。ちなみに娘のティファニーは2016年にモデルデビューを果たしている。そして3度目の結婚で結ばれた現在の妻が、24歳年下の元モデル、メラニア・ナウス。トランプとメラニアが結婚したのは2005年のことだが、実はこのときの披露宴には今回の大統領選のライバルであるヒラリー・クリントンが出席している。まったくもって皮肉な話もあったものである。
・彼女の名前はイヴァンカ・トランプ。トランプが1人目の妻であるイヴァナとの間にもうけた実の娘だ。イヴァンカが生まれたのは、トランプとイヴァナの結婚9年目にあたる1981年。父親と同じく生まれも育ちも生粋のニューヨーカーである。母のイヴァナは元モデルであったが、イヴァンカはそのDNAを引き継いだ。180cmのスレンダーなプロポーションと美貌を生かし、多くのセレブを輩出した名門校ショパン・スクール在学中にモデルデビュー。16歳でファッション誌「seventeen」の表紙を飾り、後に有名ブランドのショーでも活躍した。だが、彼女がすごいのはその美しさだけではない。芸能活動のかたわら勉学に励み、名門のジョージタウン大学に入学するのである。イヴァンカは後に父トランプの母校でもあるペンシルバニア大学ウォートン校に編入している。優秀な成績で卒業後、幼い頃からの夢であった不動産業に就く。父と同じ道を歩み始めたのだ。周囲はトランプの娘であるイヴァンカに対して、親の七光りであると揶揄したそうだが、彼女の熱心な仕事ぶりを目の当たりにしてその考えを改めたという。現在は父の会社トランプ・オーガナイゼーションの重役を務める彼女もまた億万長者であり、その総資産は日本円にして180億円と言われている。もうすぐ35歳とは思えない若々しいイヴァンカは、実は二児の母親でもある。夫のジャレッドも不動産業を営む実業家で、しかも俳優張りのイケメンだ。才色兼備にしてビジネスセンスがあり、家族にも恵まれたスーパーウーマン。トランプの大統領選における最強のカードと言われるのもうなずける話である。
・現在の姿から想像がつくとおり、幼少期のトランプはガキ大将だった。本人いわく自己主張の強い攻撃的な子供で、人から非常に嫌われるか好かれるかであり、それは今も変わっていないと語る。しかしながら仲間内では人気が高く、常にリーダー格であったとか。なるほど、確かに大統領選におけるトランプは大量のアンチを生みつつも、熱狂的なファンも多く獲得している。すなわちトランプのカリスマ性は、ガキ大将のそれと同じだったようである。自他ともに認めるヤンチャ坊主だったトランプは、もっぱらいたずらに明け暮れていたそうだ
・いたずらや暴力事件を繰り返したトランプは、当時通っていた小学校を放校寸前になってしまう。それを見かねた父親が行動に出た。トランプをある学校へ編入させたのだ。入学したのは、ニューヨーク・ミリタリー・アカデミー。19世紀後半に開校した軍隊式の教育で知られる歴史ある私立学校である。統制を乱す者は容赦なく鉄拳制裁される環境でトランプが学んだのは、暴力教師には力で逆らわず、うまく付き合うことだった。具体的には、教師に敬意を払いつつも、恐れている素振りを見せないこと。つまり、はったりである。軍隊的教育によって規律を身につけ、強者と渡り合う方法を学んだトランプは、成績が良かったこともあって士官候補生の隊長に任命される。ガキ大将が編入した先でもリーダーに。どうやらトランプは常にリーダーである星の下に生まれたようである。
・ニューヨーク・ミリタリー・アカデミーを優秀な成績で卒業後、トランプはフォーダム大学に入学した。同大学は全米大学のランキングの上位8%に入る一流大学である。一時期映画に強く興味を持ったトランプは南カリフォルニア大学の映画科に入ろうかとも考えたそうだが、家から近いという理由でフォーダム大学を選んだそうだ。一流大学に入ったにもかかわらず、トランプは入学から2年後、編入を考えるようになる。どうせ教育を受けるのであれば、最高のところで学びたいと考えたからだ。そしてトランプはペンシルベニア大学のウォートン校に編入する。フォーダム大学が一流なら、ペンシルベニア大学は超一流。しかもウォートン校といえば、全米でも屈指の名門スクールである。トランプはウォートン校について、「ハーバード・ビジネス・スクールは多くの経営者を輩出しているが、本物の企業家にはウォートン校出身者が多い」と自著に書いている。このウォートン校でトランプは後の人生でも役立つ重要な物を得た。ウォートン校の学位である。これがあるだけでビジネスの相手はトランプに敬意を払い、いたく尊重してくれたというから、フォーダム大学からの編入は大成功だったと言えるだろう。
・トランプは大学で勉強するかたわら父フレッドの仕事を手伝っており、収入を得ていた。父は裕福であったが子供に多くの信託資金を与えないという信念の持ち主で、トランプが受け取ったのもそれほど多い金額ではなかったようだ。それでも大学卒業時のトランプは、20万ドルの財産を保持していた。ちなみにそのほとんどは不動産に投資をしていたというから、すでに優れたマネー感覚を身につけていたようである。
・ペンシルベニア大学ウォートン校を卒業したトランプは、父フレッドが経営する会社「エリザベス・トランプ&サン」に就職する。子供のころから父の後をついて建設現場に赴き、学生時代には実質的な右腕となっていたトランプにしてみれば、これは自然な流れだったと言えるだろう。トランプは単なる手伝いというだけでなく、自分自身も不動産業というものに大きな魅力を感じていた。なにしろ学友たちが新聞の漫画やスポーツ欄に夢中になっているとき、自身は連邦住宅局の抵当流れ物件のリストを読みふけっていたほどだ。
・晴れて一国一城の主となったトランプは、ビジネスを拡大させるため精力的に動いた。まずおこなったのは、人脈を広げることだった。トランプが目をつけたのが、当時ニューヨークで最も人気のあったクラブ「ル・クラブ」。多くのセレブが集まるこのクラブに入会すれば、自分のビジネスにとって好ましいパートナーが見つかるだろうと目論んだのだ。パーティー嫌いで知られるトランプだが、自分の利益のためなら喜んで社交場に顔を出す。損得に忠実なトランプらしい行動といえるだろう。最初、ル・クラブ側はトランプの入会を認めなかった。当時のトランプは駆け出しの実業家に過ぎないのだから当然だ。それでもトランプは諦めなかった。そして持ち前の行動力と強引さでついにクラブへの入会を果たしたのであった。ル・クラブでトランプは様々な人と出会った。大金持ちの男と談笑を交わし、ときには美女とデートを重ねたという。
・実はトランプは2000年に長年支持してきた共和党から改革党にくら替えして、大統領選挙に出馬している。このときは今回のような高い支持率を得られず、カリフォルニア州では勝利をおさめたものの結果は敗北した。その後、大統領になる目標は引っ込めたものと誰もが考えていた。しかし実際は違っていた。トランプは虎視眈々と機をうかがっていたのである。そしてその機は選挙戦敗北から12年後に訪れることになる。
・低中所得層の白人たちがトランプを熱狂的に支持する理由は、アメリカが抱えている失業問題にある。アメリカには毎日のようにメキシコから大量の不法移民がやってくる。彼らはとても安い賃金でも仕事を受けるため、多くの白人層が仕事を奪われてしまう。年収200万円台など珍しくなく、中には年収が10万円単位まで落ち込む者もいるほど激減しているのが実状だ。トランプは不法移民は即刻強制送還するべきだと公言しており、メキシコ人がこれ以上アメリカに入ってこれないよう国境に万里の長城を築くという政策も掲げている。仮にこれが実現すれば不法移民はアメリカを追放され、彼らに奪われていた仕事が白人たちの元に戻ってくる。だから仕事を奪われて苦しい生活を送るプアホワイトたちは、トランプを強く支持するのである。一方で高収入の白人層はトランプを支持していない。トランプが大企業に有利な税制改革をすると言っているにもかかわらずである。その理由はいたって単純。公約どおりの税制改革がなされた場合、アメリカ経済が破綻することをわかっているからだ。
・トランプにとって交渉時の最大のタブーは「何が何でも成功させたい」という素振りを見せることだという。自分が必死になると相手はそれを察知する。そうなれば相手に有利な取引が進んでしまうからだ。だからこそ、彼はレバレッジを重視する。交渉時、相手が”望むもの”、相手が”必要なもの”、そして相手が”なくては困るもの”を用意すれば、交渉の主導権を握り、有利な取引ができるのだという。
・トランプは交渉術のセオリーとして有名な「ハイボール」も多用している。ハイボールとは、本来の要求よりも高い要求をつきつけることで、相手が要求を飲むラインを上げるという交渉法だ。「メキシコの国境に壁を建設」「イスラム教徒の入国禁止」など、極端ともいえる発言をハイボールだと考える有権者も多く、そんなトランプに頼もしさを感じる人も少なくない。
・不動産王と称されるトランプだがそのビジネスキャリアは決して順風満帆ではなかった。いや、むしろ波瀾万丈と言ってもいい。なぜなら、彼はこれまでに4度も破産申請を行っているからだ。1990年当時、世間的には大富豪と思われていたトランプだが、実は深刻な財務トラブルに陥っていた。本人とその会社は34億ドルの債務を抱え、返済に苦しんでいたのだ。しかし、彼は財務的に「死に体の姿」よりもデベロッパーとして「生き体の姿」を見せることで破綻危機を乗り越えようと考えた。自信満々に事業再編案を語り、債権者たちの合意を取り付け、5年の猶予と銀行から当面の手当資金として6500万ドルの信用枠を与えられた。この結果、1993年までに3軒のカジノはすべて破産を切り抜けたことで、債権者はトランプの手腕を高く評価することとなった。30億ドル以上の債務は、剛胆な彼でも絶望的な数字だったはずだ。しかし、否定的な考えに陥ることを拒み、問題解決に集中するように努めた。メディアは「トランプはもう終わった」と書き立てたが、頑なに認めなかった。この強靱なメンタリティこそが、幾度となく訪れた破綻危機を乗り越えた要因である。
・彼は勝者に必要は条件として「頑固者であること」を挙げている。決してあきらめないこと、勝とうとする姿勢を持ち続けること-言葉にするのは簡単だが、維持するのは容易ではない。しばしば彼は自信の武器として「取引のセンス」を挙げている。しかし、多くの敗者・凡人との決定的な差は、どのような状況でも自分を見失わない精神力ではないだろうか。事業に失敗したとしても復活すれば再び認められる風潮がアメリカ資本主義には根付いている。「4度の破産申請」は日本人から見たらマイナスイメージかもしれない。だが、アメリカでは「4度も甦ったタフな男」という見方をする人が多い。そんな不死鳥のような男が、大統領選で「強いアメリカの復活」を掲げている。もしも彼が大統領になったら、アメリカをどのように導くのか。興味深く見守っている人は決して少なくないはずだ。
良かった本まとめ(2016年下半期)
<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。