A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

残り時間の過ごし方~アンチエイジングと大人のロックとリンゴ・スターとプログレ天国

2013年03月01日 00時25分32秒 | 妄想狂の独り言


5回に亘って連載したロック数え歌は自分史を辿るような経験だった。半世紀という月日を懐かしむと共にこの先待ち受ける年月に想いを馳せて残された時間の短さに愕然とした。人は何歳までロックを聴き続けることが出来るのだろう。日本人男性の平均寿命は79.44歳(2011年実績)。仮に80歳とするとあと30年の寿命である。身体も耳も丈夫だとしても音楽を聴くことが出来る時間は30年しかない。つまりこういうことだ。15歳で聴いたセックス・ピストルズは65年間聴くことが出来るが、今日amazonから届いたBO NINGENは残り30年間しか聴けない。何と35年の差がある訳だ。購入するCDやDVDの枚数は15歳の時より数十倍に増えているから聴く頻度も大違い。改めて考えると恐ろしくなる。若い内に色んな経験をしておけというが、歳を取れば必然的に経験出来る時間は減ってくる。限りある時間を如何に過ごすかが人生の重大テーマになる。余命宣告された訳じゃないが刻々とおさらばの時が迫っていることは間違いない。

「アンチエイジング」という言葉がいつから使われているのか判らないがついこの間まで自分とは無関係の漠然とした一般名詞だった。しかしいつからかCD解説書の文字が読みにくくなり長時間立見ライヴの翌日に疲れが残るようになりCDショップの棚の前で探すバンド名が出てこなくなった。アンチエイジングとは「いつまでも若くいたい」という願望であり「抗老化」「抗加齢」と訳される。そのために運動したり食生活を改善したり睡眠を取ったりサプリを摂ったり趣味を持ったりして「抗う」訳だ。

老化現象一般を語るのは無理だからロック生活にテーマを絞る。
何を目的にロックを聴くのかという問いには答えられないが理由は簡単「好きだから」である。何故好きなのかは判らない。ロックという(大抵は)激しく(大抵は)大音量で(大抵は)反抗的な音楽を選んだのは「Hard&Loud&Anti」を求めたからなのか?確かに15歳の頃はそうだった。特にパンク世代はなおさらそうだろう。しかしピーターパンじゃないから永遠に子供ではいられないし永遠に「FUCK!」と言い続けられないのは事実だと思う。いや俺は永遠の反逆者だという人もいるだろうが物理的な肉体と精神の老化は止められない。ロックを聴くことで老化の進み方を遅らせることは可能かもしれないが。

最近若手ロックバンドのライヴで世代交代の嵐を感じることが多い。オーディエンスが若いのは勿論だが表現の核心が掴み切れない=共感できないことがママある。それは当然。YOUTH CULTUREとは「大人は判ってくれない」から生まれるものでありオヤジを頷かせる理由も必要もない。逆に自分たちの世代にしか共感し得ないものを求めたのではなかったか。そこに口出すおせっかいな大人こそ排斥すべきFUCKの対象だったのでは?

疎まれ拒否された行き場のないオヤジたちの心の拠り所はいずこ?
我々には失われざる過去と経験に彩られた記憶がある。年功序列制が崩れた現代日本社会では経験値が無視され逆にお荷物&ゴミ扱いされるがロックの世界なら貴重なEXPERIENCEを発散することが出来る。過ぎ去った青春を取り戻すことは出来ないが記憶を取り戻す旅に出ることは簡単である。CDショップやネットには永遠に歳を取らない若き日の姿が褪せることなく真空パックされている。「大人のロック」と呼ばれるのが当然でありだんだん居心地がよくなってきた。無理して若人にちょっかい出すことは止めてオヤジロックの甘美な世界に身を任せようか。ロックが誕生して60年近い。歳を重ねなければ表現出来ないロックがあることは明らかである。

72歳のリンゴ・スターがベテラン・ミュージシャンを引き連れて18年ぶりに来日ツアー中である。母と変わらない年齢でロックンロールを演りにきたリンゴの姿を目に焼き付けておきたい。誰もが共感出来るスタンダード・ナンバーにオーディエンスが大合唱で盛り上がることは間違いない。



2013年春はプログレ好きには嬉しくも受難の季節となった。3月クリムゾン・プロジェクトキース・ティペット、4月イアン・アンダーソンマサカーイタリアン・プログレッシヴ・ロック・フェスティバル(マクソフォーネ/ムゼオ・ローゼンバッハ/ロヴェッショ・デッラ・メダーリャ/フォルムラ・トレ/マウロ・パガーニ/アレア)、アンジュ、5~6月アルトー・ビーツスティーヴ・ハケットグレッグ・レイク。プログレ全盛期の1970年代には来日はもちろん映像や下手をすると音すら入手できなかった伝説のアーティスト達が続々とやってくる。お金と時間の問題があるからどれを観に行くか選ぶのが悩ましいがどれを選んでも構わない。アーティストもリスナーも確実に歳を取り来年無事にライヴに参加出来るかどうか判らないのだからひとつひとつの機会を大切にして悔いのないロック人生を送りたいものである。









思い出のメロディー
好きだった父は
既に亡く

の子なら「マジかよ?」と訊くだろうがたまにはマジになるんだよね大人って。

コメント (4)
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