A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ハーフコインの花園 第5回~SHIBUYAギターロック炸裂!渋谷系特集 Part 2

2013年03月28日 00時21分54秒 | ロッケンロール万歳!


3月16日(土)キース・ティペットから25日(月)きゃりーぱみゅぱみゅまで、終わってみて10日連続ライヴという快挙(愚挙)を成し遂げたことに気付いたが、その間iPodの友はピチカート・ファイヴとフリッパーズ・ギターとコーネリアスだった。これら所謂渋谷系は90年代当時は殆ど聴かなかったが、21世紀も10年過ぎた今聴き返してその豊饒な音楽性に心酔している。何より今の気分にピッタリなのは「ながら聴き」OKということである。生活パターンの変化とテクノロジーの進歩で昔のようにステレオの前に座ってジャケットやライナーノーツや歌詞を眺めてじっくりと音楽を聴くことは殆どなくなり、パソコンをやりながらとか電車で移動中などに聴くのが当たり前になった。善し悪しは別にして「ながら聴き」の時代になったことは否定できない。とすると集中を擁する深遠な音楽よりも邪魔にならず聴いていいて心地よい音楽を求めることになる。

1990年代様々な音楽要素を手軽に剽窃する渋谷系やクラブ系の音楽が軽薄で中身のないものに思え、アルケミーレコードを核に勃興した関西アンダーグラウンドを中心にアングラ/サイケ/フリージャズ/プログレ音楽を聴き狂った。1991年に裸のラリーズの正規CDが発売され渋谷HMVのすぐ傍のインディーズCDショップに平積みされると「これが本物だ!」と信じ込んだ。同じ店にサイケやプログレの高価な廃盤LPが販売されておりレア盤=名盤という誤解のもとに大枚を叩いて買い集めた。海外ヘ行くたびに訪問先の街の電話帳のRecord Shopのページを切り取り地図を片手に中古レコ漁りをするのが一番の楽しみだった。

21世紀に入ると幻の名盤や迷盤がこれでもかと次々CD発売され「伝説」の裸のラリーズに至っては100枚近いCDが例えブートとはいえ容易に入手できるようになった。買い集めたアナログ盤はオリジナル盤はともかく数多いブート紛いの再発盤は一気に値崩れし資産価値はゼロになった。そんなときふと隣の250円コーナーに目をやると渋谷系というマニアックなのに難解さ皆無の最高のエンターテイメントがザクザク詰まっていた訳である。iPodでラリーズや灰野敬二や非常階段を聴くのも可能だが音量を上げれば周りに迷惑だし第一他の行動に支障をきたすこと必至。ラリーズは無理だがこういう濃い音楽はライヴ会場で聴くべきである。渋谷系の音楽にコンデンスされた無数の引用・パクリを聴きながら電車の中でニヤリとするのが21世紀のリスニングスタイルではなかろうか。

Part 1に続き汲めども尽きぬ渋谷系水脈からギターロックの名バンドを紹介しよう。

スパイラル・ライフ
バンドブーム/ビートパンクの究極型BAKU解散後ギタリスト車谷浩司がプロデューサー的な資質を持つ石田小吉と結成した1993年デビューのデュオユニット。マンチェスター・サウンドやネオアコ、サイケなどに強く影響を受けた洗練されたサウンドで人気を集め全盛期にはアリーナ公演を売り切った。BAKU時代の単純明快青春パンク路線から音楽性重視のサウンドに転身した車谷のスタイルはUKロックに憧れパワー・オブ・ドリームスとの共演を実現したかつての盟友谷口宗一と志の高さは共通する。人気絶頂の96年に突然の解散。以後石田はスクーデリア・エレクトロ、車谷はAIRとして活動。



ブリッジ
1989年大友真実(vo)、清水弘貴(g)、池水眞由実によって結成。カジヒデキ(b)や大橋伸行(g)らが在籍したネオアコ・ギター・ポップ・バンド。海外アーティストのオープニング・アクトやコンピ盤への参加を経て、92年メジャーデビュー。ネオアコをベースにしたフォーキーなサウンドからソフト・ロック的なアプローチへと音楽スタイルを広げていったものの95年に解散。カジはソロで渋谷系の王子様として人気を博す。瑞々しい女性ヴォーカルが醸し出すイギリスのネオアコとは一線を画すキュートさが魅力的。



エル・マロ
木村カエラ、髭(HiGE)、GO!GO!7188、スネオヘアー等のプロデューサーとして知られる會田茂一が1991年柚木隆一郎と結成したギター・ロック・ユニット。1993年デビュー、小山田圭吾や電気グルーヴとコラボしたが1997年活動休止。それぞれソロ活動の後2003年活動再開。骨太なバンドサウンドでありながらハウスミュージック/クラブ的なアプローチと再構築により渋谷系の裏番長の異名を取る。実は最近まで250円コーナー"エ行の主"m-flo(エム-フロウ)と混同していた。



ヴィーナス・ペーター
1990年に結成されたロック・バンド。メンバーは沖野俊太郎(vo)、石田真人(g)、土中康史(g)、古閑裕(b)、小松たかのぶ(ds)の5人。91年にインディーデビュー。マンチェスター・ブームと呼応するかのようにビートの効いたUKロックスタイルで日本初のネオアコバンドとして注目を集めた。92年にはロンドン、ニューヨークでもライヴを行い同年メジャーデビューを果たしたが94年に解散。2005年に1年限定で再結成、全国ツアーを行い13年ぶりの新作をリリースした。当時は単なるおマンチェかぶれという印象だったが今聴くと日本人ならではのウェット感が新鮮。



ラウンド・テーブル
1993年に北川勝利と伊藤利恵子を中心に大学のジャズ研究会で結成され1997年にインディーデビュー、1998年にメジャーデビューする。2002年からゲストボーカルのNinoを加えROUND TABLE featuring Nino( ‐ フィーチャリング・ニノ)名義での活動もしている。北川のヴォーカルが小山田圭吾そっくりでデビュー当時は小山田の覆面バンドでは?との憶測も飛び交ったらしい。ジャズ研出身らしく4ビートや16ビートも取り入れた軽快なネオアコサウンドは涼風のように心地よい。渋谷系ならではの凝った特殊ジャケットも愛らしい。



渋谷系
ギターロックの
パラダイス

リクエストがあればPart3も検討します。
コメント
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