中原昌也展ウィークエンド・ライヴの最終回。
3回目だから通いなれたギャラリーへ行くとまだ誰もいない。開演が30分変更になったという。仕方なく階段に座ってツイッターをチェックしていたら中原昌也氏のツイートが。購入したばかりのシンセを紛失したらしくパニくってる様子。今日のライヴのことも直前まで忘れていたらしい。大丈夫かな~と思っていたら共演者の東野祥子嬢とカジワラトシオ氏が到着。ダンス・カンパニーBaby-Qを主宰する東野嬢はとても小柄で華奢な可愛らしいお嬢さん。カジワラ氏は初めてだが1990年代ニューヨークでクリスチャン・マークレーと共に活動していた日本のターンテーブル奏者の第一人者。鼻の感じがフランク・ザッパを思わせる風貌。10分程して中原氏が到着。ギャラリー満員のお客さんの見守る中セッティングを始める。バタバタしている中原氏の携帯が鳴る。紛失したシンセが見つかったらしい。しきりに「良かった~ホッとした~」と呟いている。想像するに酔っぱらって飲み屋に忘れてきたんじゃなかろうかw。いずれにせよ中原氏が冷静さを取り戻せて良かった。
この日は東野嬢のダンスのスペースを空けて前の方の観客は床に座って鑑賞。前回同様セット出来た順に音を出し始める。最近使ってなかったヴィンテージのEMSシンセを使用。カジワラ氏は2台のターンテーブル。左右からの電子音が絡み合う中、東野嬢が登場、柔らかい身体のバネをフルに使ってパフォーマンスを始める。その動きは予測不可能な意外性に満ちていて目が離せない。東野嬢のダンスはいつ観てもキビキビしていて気持ちがいい。暗黒舞踏をはじめとするいわゆる「Botoh」が日本古来の怨念や湿っぽい情念を内包しているのに比べ、彼女のダンスは一切の意味性を排除してあくまでムーヴメント(運動)としての肉体性を提示するもので、精神的な煩わしさなしに純粋に楽しめる。中原氏とカジワラ氏の演奏も彼女の動きに呼応するように鋭さを増していく。特に中原氏の音の際立ちは今回の3回の連続ライヴの中で最も才気溢れるものだった。
約1時間のパフォーマンスに充分満足。刷り上がったばかりの中原氏の新著「悲惨すぎる家なき子の死」を早速購入しサインをしてもらう。「機材が少ない方がいい演奏になるんじゃないの?」と聞いたら「そうかも知れないですね~」と中原氏。次は10日の渋谷O-nestでの湯浅湾のレコ発で会おうと言って別れた。
身体の
可能性を
思い知る
清澄白河の駅の側の中華料理屋で友人と食事をしていたら、中原氏を含むギャラリー関係者が打ち上げにやってきた。確かにこの近くに食事が出来る店はここしかないからな~。
SPROUT Curationでの中原昌也展は4/14までやっているのでぜひ観ていただきたい。中原氏の絵画作品も購入出来るよ。