A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ハーフコインの花園 第3回~90's UKロックの忘れられた宝石達

2013年03月08日 00時19分29秒 | ロッケンロール万歳!


昨日書いたように1990年代UKロック・シーンである程度の評価と人気を誇った割にはシューゲイザーやマッドチェスターといったムーヴメントに属さないため忘れられているアーティストが存在する。そんな忘却の宝石と言えるUKロックをBOOK-OFF250円コーナーで探してみた。

ジーザス・ジョーンズ
1989年ロンドンから登場したマイク・エドワーズ率いる5人組。テクノ、ハウス、ヒップホップ、ロックをミックスしたデジロックの元祖。91年リリースの2ndアルバム「ダウト」からのシングル「ライト・ヒア、ライト・ナウ」が全米2位の大ヒット、グラミー賞にノミネートされる。しかしシンプルなギターサウンドを旗印とするブリットポップの勃興で彼らのエレクトロビートは時代遅れとして黙殺されてしまった。マイク・エドワーズは布袋寅泰と親交がありお互いのライヴにゲスト出演したり楽曲を提供したりしている。1994年9月「W HEADLINE TOUR TOMOYASU HOTEI VS JESUS JONES」として布袋と共に武道館2daysを含む日本ツアーを果たした。



レヴェラーズ
1988年ブライトンで結成。ヴァイオリン、マンドリン、ディジリデュー等を含むトラッド色濃いフォーク・ロック・サウンドが家を持たず各地を流浪するトラヴェラーと呼ばれる人々の大きな支持を集めた。トラヴェラーは戦争や核、性や人種差別に反対する姿勢を持っており「ケルティック・クラッシュ」と呼ばれたレヴェラーズのパンク・スタイルがその象徴となったのである。レヴェラーズの活動は音楽に留まらず社会現象としてメディアに大きく取り上げられた。当然ながら当局の規制によりトラヴェラー文化が縮小するにつれ影響力を失った。しかし地道に活動を続け現在も良質な音楽を追究している。志を同じくする日本のソウル・フラワー・ユニオンと交流し1994年2マンを含む日本ツアー。「レヴェラーズ」は「水平主義者」の意味でソウル・フラワー・ユニオンの別働隊ソウル・フラワー・モノノケ・サミットの1997年作「レヴァラーズ・チンドン」に使われた(綴りはバンド名:Levellers、水平主義者:Levelersと異なっている)。



ワンダー・スタッフ
1986年バーミンガムで結成された4人組。同郷のポップ・ウィル・イート・イットセルフやネッズ・アトミック・ダストビンに通じるアグレッシヴなギター・サウンドとマイルス・ハントのシニカルな歌でヒットを放った。1991年の3rdアルバム「ネヴァー・ラヴド・エルヴィス」のヴァイオリンを加えた多彩なサウンドが高く評価され20000人キャパのスタジアム・ライヴを売り切りレディングやグラストンベリーのヘッドライナーを務める人気バンドになるが1994年「商業的成功がバンドとしての喜びを奪った」として突如解散表明。マイルス・ハントはヴェント414で活動するも上手く行かず2000年にワンダー・スタッフ再結成。以来ツアー中心に活動、2011年にはレヴェラーズの全英ツアーに同行。今年7thアルバム「Oh No It's... The Wonder Stuff」をリリース。彼らの最大の弱点は音楽的後継者を生まなかったことであろう。孤軍奮闘を絵に描いたような活動には頭が下がるがロック史的には評価の難しい存在である。



トラッシュ・キャン・シナトラズ
スコットランド出身の6人組。1990年のデビュー作「ケーキ」は瑞々しく繊細なサウンドでネオアコ/ギターポップの傑作と評価され人気を博すがブリットポップの流行とは一線を引いた彼らのサウンドはセールス面で苦戦を強いられ1996年3rdアルバム「ハッピー・ポケット」発表後には所属レーベルの閉鎖により契約が消失、バンド崩壊の危機に陥るがファンの熱い支持で持ちこたえ現在も活動を続ける。フジロックで2度来日。ネオアコ人気の高い日本ではザ・スミス、アズテック・カメラ、ペイル・ファウンテンズ、プレファブ・スプラウト、モノクローム・セットなどの系譜に繋がる存在と認知されているのが救い。



シャンプー
ロンドンのコギャル(死語)デュオで本国よりも日本での人気が高くBig In Japanの典型と言われる。マニック・ストリート・プリーチャーズの追っかけだったジャッキーとキャリーがセント・エティエンヌのボブ・スタンリーに見初められデビュー。「ディスコ・セックス・ピストルズ」と呼ばれたデジパンク・サウンドと不良少女ファッション、生意気でハチャメチャなキャラで話題になる。1994年「トラブル」が全英11位ヒット、テレビ番組でのパフォーマンスがセンセーションを巻き起こし時代の寵児に。メインストリームとオルタナティヴ両方面から支持を集めた。コギャル全盛の日本で風俗現象として大々的に取り上げられ、テレビ戦隊「パワーレンジャー」やアンジェリーナ・ジョリー主演映画のサントラで使われ大ヒットになる。本国ではすぐに飽きられ人気が急降下するが日本では持ちこたえ独自編集盤や写真集が発売された。2000年解散後のふたりの行方は定かではない。



一発屋アイドルのイメージが強いがパフィーのヒントとなったことは間違いないし2000年代はじめに世界的人気を博したロシアのお騒がせ女性デュオt.A.T.u.の先輩格でもある。2009年VAMPSが「トラブル」をカバーしてリバイバル・ヒットさせた。



UKロック
忘れちゃいけない
功労者

デジタルVSアコースティックと両極端なのが興味深い。
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夢の力を信じた恐るべき子供達~谷口宗一(BAKU)とパワー・オブ・ドリームズ

2013年03月07日 00時23分47秒 | ロッケンロール万歳!


年齢について思いめぐらしている。人間の若さ=青臭さが一番発揮された音楽は何かと考えて辿り着いたのがビートパンク。死ぬまで青春のジュンスカをはじめ1980年代末~90年代初めのバンドブーム時代のアーティストを"オレの庭"=BOOK-OFF250円コーナーで探し出し聴きまくっている。ジュンスカの作為のない青春一直線ロックもいいが個人的に再評価したいのがBAKU。全盛期には武道館公演を成功させ人気音楽TV番組にも出演していた大人気バンドでありながら活動期間3年と短命に終わりバンドブームの徒花としてロック史から完全に抹殺されている彼らの「歌える歌」をキャッチスレーズにした純真無垢なポップンロールには時代の閉塞感の突破口となるパワーがあると思うのだがどうだろう。

BAKU 「LIVE OK~ぞうきん~POWER OF DREAMS」


BAKUのオリコン3位の大ヒット作「聞こえる ~Power of Dreams~」(1991)のタイトルを見てハッとした。先日ビートパンク特集をしたときBAKUのヴォーカル谷口宗一の名前がスラッと頭に浮かんだのは何故か?その鍵は"Power of Dreams=夢の力"にあった。

パワー・オブ・ドリームズとは1980年代末にアイルランドから登場したギターロック・バンドの名前である。デビュー時の平均年齢17歳、結成時は15歳という若さに加え「思春期とは死に最も近い季節である」(デビュー・アルバム「イミグランツ・エミグランツ&ミー」日本盤解説[ロッキング・オン岩見吉朗]より)というフレーズにピッタリの大人社会への痛烈な断罪意識と思春期特有の虚無感に満ちた歌が高く評価され、特に日本で「恐るべき子供達」としてセンセーショナルに取り上げられた。現在ではブリットポップ以前1990年前後のUKロック・シーンにはマッドチェスターとシューゲイザーしかなかったような評価だが、他にもパワーズをはじめとしてジーザス・ジョーンズ、トラッシュ・キャン・シナトラズ、ワンダー・スタッフ、レヴェラーズなど個性的なバンドが多く存在しそれぞれ人気だったが結果としてひとつのムーヴメントに纏まらないので不等に無視されていることを指摘しておきたい。

Power Of Dreams - Stay


それはともかくBAKUがパワーズに強い仲間意識を持っていたことは明白である。日本と英国/アイルランドの社会環境・表現方法の違いはあるが、どちらも若さを武器に夢の力を信じてロック表現をしたことは共通する。1992年「バクは夢を食べ続けなければならない」というメッセージを残してBAKUを解散しソロ活動をスタートした谷口宗一はUKロックに接近し憧れのパワー・オブ・ドリームズとアルバムを共作。1995年にはパワーズをバックに武道館公演を成功させる。当時メジャー契約を切られインディーに戻って地道に活動していたパワーズにとってはデビュー時高く評価された日本のアーティストと共演し8000人の前で演奏したことはキャリア最大の出来事に違いない。90年代UKロック・バンドで武道館公演を果たしたのはブラー、オアシス、ハッピー・マンデーズ+ビッグ・オーディオ・ダイナマイト(この2マン公演は不入りでガラガラだった)くらいじゃないだろうか。2010年再結成したパワー・オブ・ドリームズのサイトには90年代の日本の雑誌記事が掲載されている。パワーズとの武道館公演の映像を観ると谷口の感性が当時の日本ロック界で如何に進んでいたかがよく分かる。当時海外ロックシーンと日本のロックのコラボはボアダムスや少年ナイフなどアンダーグラウンド系かフリッパーズ・ギターなど渋谷系に限られていたのでメジャーの谷口とパワーズの共演は画期的だった。

Soichi Taniguchi and Power of Dreams - 'Cyberwave Live', Japan 1995


谷口は1990年代後半から3LDK~The Trip White Hornet~手裏剣謹製(SHURIKEN)と活動、現在は写真家業の傍ら時折ソロライヴをしている。BAKUのギタリスト車谷浩司もSpiral Life~AIR~Laika Came Backと継続した活動を続けていることを考えるとBAKUは今こそ再評価されるべきバンドといって間違いない。

AIR - 夏の色を探しに (Live at Yokohama Arena)


夢食べて
パワー充電
突っ走れ

若さ故の夢の力で駆け抜けたパワーズと谷口宗一&BAKU。現在40代を迎えた両者が今何を思っているのか機会があったら尋ねてみたい。

ここまで書いたところで今年2月にBAKUの集大成DVDが発売されたことを発見。BAKUの音源の殆どはiTunesで販売されている。いよいよBAKU復活の予感?
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浅井健一@渋谷AX 2013.3.4 (mon)

2013年03月06日 00時14分48秒 | ロッケンロール万歳!


浅井健一
『Pocky in Leatherboots Tour』
Vo.G/浅井健一
G.Cho/加藤隆志(東京スカパラダイスオーケストラ、LOSALIOS)
B.Cho/渡辺圭一(JUDE,HEATWAVE)
Dr.Cho/茂木欣一(東京スカパラダイスオーケストラ、FISHMANS)

新作ソロ・アルバム「PIL」レコ発ツアー。ベンジーを好きな割にはブランキー、JUDE、シャーベッツを含めワンマンは初めてだったりする。1ヶ月に亘る"ブーツの中のポッキー"ツアー最終日のチケットはソールドアウト。革ジャン+テンガロンハットのちょいワルオヤジから前髪パッツン10代女子まで日本ロケンローの兄貴らしい幅広い年齢層のファンで熱気溢れる客席からは開演時間になるとベンジーコールが沸き上がる。期待感に溢れた会場の雰囲気にワクワクする。



映画「バグダッド・カフェ」の主題曲「コーリング・ユー」のSEにのって黒服姿の4人が登場。「PIL」収録ナンバー中心にソロ、ブランキー、シャーベッツの代表曲を網羅したセトリ。いつも通りのクールな口調で「今日は盛り上がろうな」とMC。Bad Teacher Kill Club(悪徳教師やっつけ隊)と称するトリオの演奏はシャープかつダイナミックにベンジーの世界を彩る。トレードマークのグレッチが発するヘヴィーな音色のギタープレイにトム・ヴァーラインに通じるガラスのような繊細さを感じる。ストレートにエイトビートのロック道を突き進むクロマニヨンズに比べベンジーの映像を喚起させるドラマティックな起伏に富んだ物語性にはロケンローのグルーヴに加え男っぽい哀感が満ちている。拳を突き上げシンガロングしながら胸に込み上げる感情の迸りに身を任せた2時間強。ベンジーにしては珍しいWアンコールが終わっても観客のベンジーコールは暫く鳴り止まなかった。



<Set List>
1.見た事もない鳥
2.原爆とミルクシェイク
3.BPR
4.OLD PUNX VIDEO
5.危険すぎる
6.GALAXY HEAD MEETING
7.FRED & SUSAN
8.MORRIS SACRAMENT
9.そーゆーこと
10.Locker Room's Mirror
11.ガソリンの揺れかた
12.人はなぜ
13.エーデルワイス
14.Mad Surfer
15.SWEET DAYS
16.DEVIL
17.WAY
18.SALINGER
19.LOVE LIVE LOVE
------------------------------
20.Mona Lisa
21.SKUNK
22.チキチータブーツ
------------------------------
23.SEA SIDE JET CITY

観ようと思いつつ観逃した「BLANKEY JET CITY・VANISHING PIONT」を何とかして観なければならないと決意した。
ベンジー最新インタビューはコチラ

ベンジーに
グレッチで
ぶたれたい

心を鷲掴みにする歌がある。
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下山(Gezan)/嘘つきバービー/打首獄門同好会/The Acid House.@下北沢Garden 2013.3.3 (sun)

2013年03月05日 00時23分15秒 | 素晴らしき変態音楽


Beat Happening!MAX!
LINE UP:下山(Geazan)/嘘つきバービー/打首獄門同好会/The Acid House.(下津光史 from 踊ってばかりの国)

Beat Happening!参戦は2011年10月以来1年半ぶり。ビーハプは若手中心の4~6バンドの対バン・イベントで通算900回を超える息の長い企画。客層も10~20代の若者ばかりで特に女性客が多い。物販コーナーで出演メンバーがファンと交流したりミュージシャン仲間が観客に交じって観戦したりしていて気軽なコミュニケーションの場でもある。今回は下山と嘘つきバービーというどちらもビーハプで観たことのある曲者の組み合わせが絶妙なので参戦したが未知のバンドとの出会いも楽しみだった。

最初は踊ってばかりの国の下津光史(Vo,G)と林宏敏(G)のデュオThe Acid House.。神戸出身の踊ってばかりの国は2009年のデビュー以来個性的な歌とフラワーミュージックを標榜するユニークなサウンドで異彩を放つ4人組。昨年ベースが脱退し現在活動休止中。下津のソロユニットとしてスタートしたのがこのデュオ。クラブ系っぽい名前だが下津の歌とアコギに林のサイケデリック・ギターが絡むサウンドは踊ってばかり~のアンプラグド版といえる。親しみ易い大阪弁のMCとポップなメロディとシニカルな歌詞がイベントの雰囲気をもり立てる。「今日のイベントは後半に行くに従って爆音になる構成」「下山いいよネ」と語った下津は下山の時客席で大暴れしていた。




2番目はお楽しみの初見バンド打首獄門同好会。首タオル&「獄」Tシャツ姿のファンが前列を固める。結成8年目のベテランだけに根強い人気。TV紀行番組のテーマ曲のSEでお遍路姿で登場。番組DVDの発売記念だそう。お笑いMCをかましての演奏は本格派グランジハードコア。ヘドバン女子ベーシストのぶっとい低音が腰に来る。生活密着型重低音スリーピースバンドと呼ばれるコミカルかつアグレッシヴな演奏はとても面白い。ひなあられ代わりにうまい棒を配る演出も良。「カモン諭吉」「私を二郎に連れてって」のシンガロングが最高だった。

(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)



続いてお久しぶりの嘘つきバービー。2年前メジャー・デビュー・アルバム「ニニニニ」にぶっ飛んで以来彼らの楽曲はiPodの定番となりライヴも何度か通ったが昨年初頭Vo,B岩下優介の緊急入院で半年間活動休止。夏にワンマン「あたらしい嘘つきバービー」で再始動しキノコホテル、八十八ヶ所巡礼、BiSなどと対バン。少し太り妖怪性が増した岩下と椅子ギターの千布寿也、パワードラムの豊田茂の変態ロックを観るのは1年半ぶりなので懐かしくも新鮮な気分。新曲はなかったが何度も聴いて頭にこびりついた楽曲の数々に感動。アメリカの変態バンド、ディアフーフに通じるポップと前衛の融合を実践する彼らの復帰はテン世代ロックシーンのいい刺激になるに違いない。




トリは下山。新しい入場SEはマヒトによるサウンドコラージュか。いつも通りのキレキレのサイコデリシャス・ハードポアが炸裂。十分温まっていたオーディエンスがそれに応じて大爆発、微粒子のブラウン運動を思わせる激しいモッシュが起こる。演奏者と観客が真剣勝負で応酬しあう一体感。うぉぉぉっ!やっぱりこうじゃなくちゃね!1月のワンマン以来心の奥にわだかまっていたモヤモヤが一気に霧散する。生贄の儀式さながらに激しく身悶えし飛び回る4人の姿がスローモーションのように浮き上がる。壮絶な殺戮空間に身を浸す喜び。客席のエネルギーを吸い込みどこまでもヒートアップする演奏はどんどん輝きを増し眩く燃え上がる火の玉と化して客席に飛び込むマヒトの姿にロック究極の曙光を見た。




ロックとは
やさしさとは
何だろう

山を下りれば答えが見つかるかもしれない。
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DREAMS COME TRUE/リンゴ・スター/Perfume/KARA etc.@幕張メッセ 2013.3.2 (sat)

2013年03月04日 03時37分36秒 | こんな音楽も聴くんです


「are U ready ?」をキャッチコピーに「U=ユニバーサル ミュージック」と 「U=YOU(オーディエンス)」で「コンサート開催までのわくわくする気持ち」や「演奏が始まる瞬間の心地よい緊張感」などを共有し、イベントを通して出演者とオーディエンスが一緒になって心地よい空間や新たな感動を創りだすイベントを目指す「U-EXPRESS LIVE 2013」。
"日本と世界のリアル・エンタテインメント"をお届けするグローバルなライブイベント。2013年3月、いよいよ初開催!
<出演アーティスト>
DREAMS COME TRUE/RINGO STARR & HIS ALL STARR BAND/KARA/Perfume/キム・ヒョンジュン/ナオト・インティライミ/FAR EAST MOVEMENT

幕張メッセはやはり遠いなと思いながら海浜幕張駅に着くと大勢の人がメッセへ向かっている。前回人波についていったらアニフェスに行っちゃったので用心しながら歩くが看板やパネル等の表示はない。仕方なく流れに乗ってゆくと無事目的の会場へ。サマーソニックやFREEDOMMUNE 0とは違う会場で10000人収容の大ホールの広さに圧倒される。子供連れを含む幅広い客層でほぼ満席。丁度Perfumeが始まるところだった。

Perfume
パフュームは「ポリリズム」の頃からずっと好きだったが中田ヤスタカ仕事ではMEGちゃんを応援していたのでライヴを観たことはなかった。機械仕掛けロボットダンスに心惹かれていたのでやっと観れて嬉しい。だだっ広いステージに3人だけ。ピンクのフワフワの衣装でテレビで観る通りの姿。大会場に響きわたるテクノビートがド迫力。40分のステージだったが「P.T.A ~パっと、楽しく、遊んじゃおう~ のコーナー」や振付け指南コーナーもあり手抜きなしのステージ。ドリカムやリンゴ・スターなど大物に比べれれば若手だが多くのロックフェス出演の実績は伊達じゃない堂々としたパフォーマンスが素敵だった。



KARA
K-POPには何故か興味を持ったことはない。曲はいいし歌も上手く容姿端麗、これ以上望めない完成度なのだが三ツ星一流レストランのフルコースのように贅沢過ぎて安食堂の定食を好むB級グルメにとっては遠い存在。打ち込みビートはパュフームや日本のアイドルと共通するのではと思っていたが日韓文化の違いだろうか微妙にずれた感触。K-POPは90年代の小室サウンドの影響が濃い。K-POPブームで割を食うのはアイドルじゃなくて安室奈美恵や浜崎あゆみのようなR&B/ディーヴァ系なのではなかろうか。辿々しい日本語がK-POPならではのエキゾチック感を醸し出す。



FAR EAST MOVEMENT
日中韓系アメリカ人によるヒップホップユニット。殆ど予備知識のないバンドだったがイケイケのビートにメイシー・グレイそっくりの女性ヴォーカリストやダンサーを引き連れて「パーティーにようこそ」と言うステージはまさにお祭り状態。「ポジティヴなヴァイブレーションを感じてくれ」と煽るステージはヒップホップ好きじゃなくても踊れるグルーヴに溢れる。全米チャートNo.1ヒットを放つ人気バンドだけにどの曲も聴き覚えがある。フェスの盛り上げ役にはピッタリ。



キム・ヒョンジュン
F.E.M.のライヴ中女性トイレに長い列が出来ていた。確かに客席には女性ファンが異様に多い。彼女たちの目当がキム・ヒョンジュンだったことは暗転した途端に一斉に立上がり緑色のサイリウムが掲げられたことで判明。10年前「冬ソナ」による韓流ブームではヨン様(ペ・ヨンジュン)の優しい笑顔とファンを家族と呼ぶ大きな愛におばさまたちがイチコロだった訳だがヒョン様?はマッチョな肉体でマイケル・ジャクソンばりのダンスナンバーを聴かせる。ファンも20~40代まで幅広い。ギタリストがタトゥー入りのメタラーでベースが花柄ワンピースの女性だったのに感動。ファンの宗教的ともいえる陶酔ぶりにアーバンギャルに通じるものを感じた。



ナオト・インティライミ
世界中を旅して歩くことで知られるサッカー好きのシンガー。自らお祭り男と称するだけあり祝祭的なアゲアゲビートと軽妙なトークの面白さは流石売れっ子。ステージ中を走り回り飛び跳ね客席乱入までするパフォーマンスはまるでSMAP+ドリフという感じ。観客全員による1万人ジャンプは壮観だった。4月に主演ドキュメンタリー映画が公開されるとのこと。



RINGO STARR & HIS ALL STARR BAND
スティーヴ・ルカサー(TOTO)、リチャード・ペイジ(Mr.ミスター)、トッド・ラングレン、マーク・リヴィエラ、グレッグ・ローリー(サンタナ&ジャーニー)、グレッグ・ビゾネットからなるオール・スター・バンドを率いてのリンゴ・スター来日ツアーの最終日。矍鑠(かくしゃく)を絵に描いたようなリンゴは45年前と変わらず悪戯っ子そのままで歌いドラムを叩く。常にピースサインで「Peace & Love」とMC。「イエロー・サブマリン」をはじめとしたビートルズ・ナンバーと各メンバーの持ち歌を披露。演奏力は素晴らしく安心して聴けるし「ウッドストックでサンタナとやった曲だ」というロック史の生き証人の生歌には素直に感動する。華やかなステージはアメリカの人気テレビ番組「デヴィッド・レターマン・ショー」やグラミー賞を観ているような本場感を醸し出していた。



DREAMS COME TRUE
生吉田美和を観る日が来るとは予想だにしなかった。日本歌謡界の大スターらしく堂々としたスタージだが吉田の自然なため口MCと歌の途中に感極まったように漏らす「フゥ」っというため息が面白い。この日のセットリストは裏ドリ・ダイジェストというレア曲中心だったが元々余り知らないので違和感なく楽しめる。アンコールに大ヒット曲「何度でも」を歌い客席を大合唱の渦に巻き込む求心力に本当のエンターテイナーの神髄を観た。



ジャンルもファン層もバラバラのイベントでどうなるかと思ったが音楽=音を楽しむという本質にはジャンルも国境も関係ないことを実感した7時間だった。

何度でも
観てみてみたい
音楽を

短い人生食わず嫌いはもったいない。
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かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう~早川義夫&カッコマン歌合戦

2013年03月03日 01時20分17秒 | 音楽ちょっといい話


早川義夫がジャックス解散後URCレコードのディレクターの傍ら1969年に発表した初のソロ・アルバムが「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」である。死体のような人形を抱いた少女のイラストが印象的なジャケット裏に書かれた早川自身による能書は「僕はこのレコードをどうしても流行に乗り遅れてしまうような方に捧げようかと思う。多分に時代遅れぎみのこれらの詞曲は、けっしてかっこよくはなくなんともみじめな歌ばかりなのである。」と始まり「僕は、回転数を間違えたようなこれらの詞曲を、甘えたくて甘えたくてしょうもない人に聞いてもらいたい。」と終わっている。早川自身の生ピアノとオルガンだけの弾き語りは深く胸に染み入るメロディとジャックス時代を引き摺った声が静かな狂気をはらんだ類い稀な名作である。1曲目の「わらべ歌」を聴いただけでこの作品が単なるフォークソング集じゃないことが判る。ドグラマグラな日本古来の怨念に満ちた歌詞が底知れぬ深みのあるヴォーカルで歌われ、能書にあるかっこわるさのみじめさを感じさせる。

早川義夫/わらべ歌


多くの歌手に歌い継がれる名曲「サルビアの花」はGSに通じる「花」「教会」「愛」といった言葉が散りばめられたナルシスティックな歌詞を感情を抑えた淡々としたメロディに乗せ早川ならではのからっぽの世界を展開している。山本精一やJOJO広重の愛唱歌であることも頷ける。

早川義夫/サルビアの花



10数年ぶりにこのアルバムを聴いていたらかっこいい歌とかっこわるい歌がいくつか頭に浮かんできたので"かっこいいかわるいか"歌合戦開始!

○ダウンタウンブギウギバンド「カッコマンブギ」:今思えばつなぎにリーゼントがカッコいいかどうか疑問だがツッパリはカッコマンじゃなきゃね。

ダウンタウンブギウギバンド「カッコマンブギ」



×フレンチ・キス「かっこ悪い I love you!」:「片思い中のみなさん、フレンチ・キスが味方です」がキャッチコピー。AKB48の派生ユニットによるTVアニメ主題歌でオリコン2位のヒット。

フレンチキス/かっこ悪い I love you!



○電気グルーヴ 「かっこいいジャンパー」:様々なトラブルを抱えた電気が「電気グルーヴをなめてる世間に対してリベンジをしてやる」と言って制作した7作目のアルバム「A(エース)」(1997)の1曲目。砂原良徳は本作を最後に電気を脱退。

電気グルーヴ 『かっこいいジャンパー(Short Ver.) from 「お母さん、僕たち映画になったよ。』


×大江千里「格好悪いふられ方」:TVドラマ「結婚したい男たち」主題歌(1991)。50万枚以上を売り上げた大江最大のヒット曲。

大江千里「格好悪いふられ方」



○THE HIGH-LOWS「彼女はパンク」:4thアルバム「バームクーヘン」(1999)収録曲。「曲が一曲足りなかったので急いで作った」(ヒロト)のでライヴでは演奏されたことはない。

THE HIGH-LOWS「彼女はパンク」



×BABYMETAL「イジメ、ダメ、ゼッタイ」:「アイドルとメタルの融合」をテーマに結成されたダークヒロインのメジャーデビュー曲(2013)。ヘドバンしながら世直し出来る文部省推薦曲(嘘)。

BABYMETAL「イジメ、ダメ、ゼッタイ」



△沢田研二「勝手にしやがれ」:ジュリー19thシングル(1977)。「時の過ぎゆくままに」と並ぶ代表曲。果たしてカッコいいのか悪いのか立場によって意見が分かれるところ。

沢田研二 - 勝手にしやがれ



かっこよさ
追求したら
かっこわるい

キモカワイイとかエロカワイイとか...

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残り時間の過ごし方~アンチエイジングと大人のロックとリンゴ・スターとプログレ天国

2013年03月01日 00時25分32秒 | 妄想狂の独り言


5回に亘って連載したロック数え歌は自分史を辿るような経験だった。半世紀という月日を懐かしむと共にこの先待ち受ける年月に想いを馳せて残された時間の短さに愕然とした。人は何歳までロックを聴き続けることが出来るのだろう。日本人男性の平均寿命は79.44歳(2011年実績)。仮に80歳とするとあと30年の寿命である。身体も耳も丈夫だとしても音楽を聴くことが出来る時間は30年しかない。つまりこういうことだ。15歳で聴いたセックス・ピストルズは65年間聴くことが出来るが、今日amazonから届いたBO NINGENは残り30年間しか聴けない。何と35年の差がある訳だ。購入するCDやDVDの枚数は15歳の時より数十倍に増えているから聴く頻度も大違い。改めて考えると恐ろしくなる。若い内に色んな経験をしておけというが、歳を取れば必然的に経験出来る時間は減ってくる。限りある時間を如何に過ごすかが人生の重大テーマになる。余命宣告された訳じゃないが刻々とおさらばの時が迫っていることは間違いない。

「アンチエイジング」という言葉がいつから使われているのか判らないがついこの間まで自分とは無関係の漠然とした一般名詞だった。しかしいつからかCD解説書の文字が読みにくくなり長時間立見ライヴの翌日に疲れが残るようになりCDショップの棚の前で探すバンド名が出てこなくなった。アンチエイジングとは「いつまでも若くいたい」という願望であり「抗老化」「抗加齢」と訳される。そのために運動したり食生活を改善したり睡眠を取ったりサプリを摂ったり趣味を持ったりして「抗う」訳だ。

老化現象一般を語るのは無理だからロック生活にテーマを絞る。
何を目的にロックを聴くのかという問いには答えられないが理由は簡単「好きだから」である。何故好きなのかは判らない。ロックという(大抵は)激しく(大抵は)大音量で(大抵は)反抗的な音楽を選んだのは「Hard&Loud&Anti」を求めたからなのか?確かに15歳の頃はそうだった。特にパンク世代はなおさらそうだろう。しかしピーターパンじゃないから永遠に子供ではいられないし永遠に「FUCK!」と言い続けられないのは事実だと思う。いや俺は永遠の反逆者だという人もいるだろうが物理的な肉体と精神の老化は止められない。ロックを聴くことで老化の進み方を遅らせることは可能かもしれないが。

最近若手ロックバンドのライヴで世代交代の嵐を感じることが多い。オーディエンスが若いのは勿論だが表現の核心が掴み切れない=共感できないことがママある。それは当然。YOUTH CULTUREとは「大人は判ってくれない」から生まれるものでありオヤジを頷かせる理由も必要もない。逆に自分たちの世代にしか共感し得ないものを求めたのではなかったか。そこに口出すおせっかいな大人こそ排斥すべきFUCKの対象だったのでは?

疎まれ拒否された行き場のないオヤジたちの心の拠り所はいずこ?
我々には失われざる過去と経験に彩られた記憶がある。年功序列制が崩れた現代日本社会では経験値が無視され逆にお荷物&ゴミ扱いされるがロックの世界なら貴重なEXPERIENCEを発散することが出来る。過ぎ去った青春を取り戻すことは出来ないが記憶を取り戻す旅に出ることは簡単である。CDショップやネットには永遠に歳を取らない若き日の姿が褪せることなく真空パックされている。「大人のロック」と呼ばれるのが当然でありだんだん居心地がよくなってきた。無理して若人にちょっかい出すことは止めてオヤジロックの甘美な世界に身を任せようか。ロックが誕生して60年近い。歳を重ねなければ表現出来ないロックがあることは明らかである。

72歳のリンゴ・スターがベテラン・ミュージシャンを引き連れて18年ぶりに来日ツアー中である。母と変わらない年齢でロックンロールを演りにきたリンゴの姿を目に焼き付けておきたい。誰もが共感出来るスタンダード・ナンバーにオーディエンスが大合唱で盛り上がることは間違いない。



2013年春はプログレ好きには嬉しくも受難の季節となった。3月クリムゾン・プロジェクトキース・ティペット、4月イアン・アンダーソンマサカーイタリアン・プログレッシヴ・ロック・フェスティバル(マクソフォーネ/ムゼオ・ローゼンバッハ/ロヴェッショ・デッラ・メダーリャ/フォルムラ・トレ/マウロ・パガーニ/アレア)、アンジュ、5~6月アルトー・ビーツスティーヴ・ハケットグレッグ・レイク。プログレ全盛期の1970年代には来日はもちろん映像や下手をすると音すら入手できなかった伝説のアーティスト達が続々とやってくる。お金と時間の問題があるからどれを観に行くか選ぶのが悩ましいがどれを選んでも構わない。アーティストもリスナーも確実に歳を取り来年無事にライヴに参加出来るかどうか判らないのだからひとつひとつの機会を大切にして悔いのないロック人生を送りたいものである。









思い出のメロディー
好きだった父は
既に亡く

の子なら「マジかよ?」と訊くだろうがたまにはマジになるんだよね大人って。

コメント (4)
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