A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

21世紀ヨーロピアン・ジャズの潮流と謎のカオス系リードプレイヤー、AKOSH S.(アコシュ・セレヴェニ)

2013年08月21日 00時34分54秒 | 素晴らしき変態音楽


90年代末~00年代前半にヨーロッパから様々なジャズの新しい形が出現した。その代表がドイツや北欧のフューチャージャズ。電子音響と生演奏の融合がコンセプトで、80年代の踊るジャズ・ムーヴメント以降のクラブ・シーンとジャズの親和性を推し進め、レトロなジャズのイメージを、エレクトロニカやテクノの近未来的要素で料理したスタイルだが、本格的なジャズ・ミュージシャンによる演奏は、いわゆるクラブ系アーティストがジャズっぽくやってみました的な似非ジャズとは違い、本物ならではのスウィング&グルーヴがあった。




そのおかげで北欧ジャズが注目され、ニルス・ペッター・モルヴェル(tp)やブッゲ・ヴェッセルトフト(key)などのフューチャージャズだけではなく、マッツ・グスタフソン(sax)やホーコン・コルンスタ(sax)、インゲブリクト・フラテン(b)、ポール・ニルセン・ラヴ(ds)といったフリージャズ/インプロ系にも陽が当たったことはたいへん有意義だった。現在彼らが毎年のように来日し日本の先鋭的ミュージシャンと共演を繰り返すきっかけにもなった。




アートワークもフリー系を含む旧来のジャズとは大きく違って、幾何学、抽象、モダニズム、シュールレアリズム、ダダイズム、フューチャリズムなどモダンアートの要素を取り入れたユニークなものが多く登場した。その頃CDショップでジャケットが気に入り購入したのがAKOSH S UNITだった。楔形の手書文字で綴られたクレジットは英語でもフランス語でもなく、参加ミュージシャンの名前も読めない。しかし、ジャケットに偽りなし。そのサウンドはエスノなスピリチュアル、暴力的なサックス、乱痴気集団即興、木管アンサンブルのチェンバーロック、アンビエントドローン、テープ操作によるカットアップ等がカオス状態で交錯する異境世界だった。当時はインターネットもなく、顔も国籍も謎のままだったが、彼らの偏執狂的アルバムを何枚か購入し愛聴していた。





すっかり忘れていたところ、別のジャズ・アーティストをググっていて、偶然にAKOSH S.の名前を見つけた。ジョセフ・ナジ振付・出演『カラス/Les Corbeaux』という舞踏公演の音楽担当として昨年来日していたのである。




アコシュ・セレヴェニ
1966年2月19日ハンガリー・デブレッセン生まれ。幼少よりクラシックや民族音楽を学び、17歳でジャズ・ミュージシャンとしてデビュー。1986年パリに移る。フリージャズ、即興ジャズの分野で活躍する一方、数々の舞台・映画への楽曲提供、伝説的ロックバンド ノワール・デジールのサポートメンバーを務めるなど、多方面で活動。

本人のサイトにはAKOSH S UNITの他、自己のトリオやカルテット、様々なミュージシャンとのデュオでの活動が記されている。昨年の来日は舞踏公演だったので音楽の世界ではほとんど紹介されていない。ユニークなコンセプトや演奏家としての実力は、ジャズは勿論、幅広い音楽ファンにアピールするに違いない。知られざる魔界のミュージシャン、AKOSH S.に要注目である。




世界から
ご当地ジャズが
やってくる

これだけネットが普及しても全貌が掴めない未知の音楽との出会いに心が弾む。
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きゃりーぱみゅぱみゅ/三代目 J Soul Brothers/加藤ミリヤ/RIP SLYME他@代々木体育館 2013.8.18(sun)

2013年08月20日 01時10分00秒 | こんな音楽も聴くんです


サンスター オーラツー presents
25th ANNIVERSARY J-WAVE LIVE 2000+13

三代目 J Soul Brothers from EXILE/加藤ミリヤ/きゃりーぱみゅぱみゅ/三浦大知/RIP SLYME/家入レオ

国立代々木競技場第一体育館

J-WAVEは今年、開局25周年を迎えます。
J-WAVEと縁の深い、日本を代表するアーティスト達が今年も集まってくれます。
真夏の週末を素晴らしい音楽と共に、東京のど真ん中・代々木第一体育館で一緒に過ごしましょう!さまざまな企画盛りだくさんでお待ちしています。
(ちなみに「2000+13」は「ニセンジュウサン」と読んでください)
(公式サイトより)



「真夏のど真ん中、灼熱の太陽に負けず、熱いライヴ現場で汗を流そう」企画・第2日目。1.4万人と一緒にJ-POP王道体験。

「なんだこれくしょん」リリース後初のきゃりーぱみゅぱみゅなので、対バンが誰かも確認せず迷うことなくチケット購入。改めてチェックして、2008年から続くJ-WAVE主催の一大イベントで、超人気都市型夏フェスであることを知る。J-WAVEはクラブチッタとクラブクアトロと同じく今年25周年。そもそも「J-POP」という名称自体、1988年に開局したばかりのJ-WAVEとレコード会社の合議で誕生したと言うから、このイベントこそJ-POPの頂上決戦であることが頷ける。ラインナップを眺めると、個人的にはあまり縁のないアーティスト名が並んでいる。ライヴを観たことがあるのはきゃりーとTHE BAWDIESだけだが、世間一般では誰でも知っている超メジャーな顔ぶれに違いない。

ジリジリ焼ける太陽の下、代々木体育館へ向かう。道行く人の列は異常に女性の姿が多い。母娘連れも目立つ。これは一体何事?と思っていたら、ほぼ全員がJSB(J Soul Brothers)のタオル、T-シャツ、フラッグなどを着用・持参している。確かに昨夜から「三代目とRIPが楽しみ♡」というツイートが多かった。座席に着くと周囲はほぼ♀♀♀♀♀♀♀♀。。。。かつて経験したORANGE RANGEの悪夢が頭をよぎる。10日前はモノノフに取り囲まれたし、アリーナではいつもアウェー&ぼっち状態である。とはいってもきゃりーちゃんを応援せねば、と気を引き締める。

出演順は明らかにされず、本番前にスクリーンで発表される趣向。次は誰かな、といワクワク感に会場が満たされる。アーティストのパフォーマンスも、イベント進行も、ステージの演出も、会場内外のサービス・物販・屋台も、とにかく盛り上げ客を楽しませることが至上命令として徹底されている。アーティストは常に「楽しんでますかー?」「盛り上がりましょう!」「ついてきてくれますか?」と呼びかけ、オーディエンスが「ウォーーーッ!」と大歓声で応えるのがお約束。J-POPとは大多数を盛り上げ楽しませることが使命なのだ。元気をもらうことを音楽に求めている人がこれほど多いことに驚愕する。特にRIP SLYMEと三代目 J Soul Brothersへの女子軍団の盛り上がりはハンパなく凄かった。ある意味、アイドル現場に於けるヲタの女子版といえるが、1万人以上の♀が一斉にキャーッ!と雄叫びを上げる迫力は、自然の脅威と同様に、人知を超えた超常現象である。王道J-POPの多数決パワーの前では、マイナーなアングラヲタは黙ってスマホを弄るしか術がなかろう。所詮日陰にしか咲くことが許されない悪の華である。

家入レオ


今年高校を卒業したばかりとは思えぬ堂々としたステージングに感服。メロディがしっかりした歌はパワフルでいい。




三浦大知


何かで当たったタダ券で観に行き、余りにノリが違い当惑させられた男性シンガー&ダンサー。想定外の人気にまたしても当惑。




きゃりーぱみゅぱみゅ








我らがきゃりーちゃんが前半のトリ。会場にコアなファンは少ないが、みんなが知ってる曲ばかりなので大いに盛り上がる。前日の野外フェスで熱中症でビビったとネットニュースに出て心配させたが、もったく問題なく元気な歌と踊りを披露。初めて生で聴く「み」の破壊力と呪術性にクラクラ。9月からスタートするホールツアーが楽しみでならない。



Set List
1.なんだこれくしょん
2.インベーダーインベーダー
3.きゃりーANAN
4.にんじゃりばんばん
5.み
6.CANDY CANDY
7.つけまつける
8.ファッションモンスター



RIP SLYME


ヒップホップやラップやDJがJ-POPのセンターであることに改めて驚く。盛り上げ役には絶好のお祭りバンド。知っている曲多し。




加藤ミリヤ


木村カエラは好きだが、西野カナやこの加藤ミリヤは余りイメージが湧かない。ロック風の幕開けだったので、おっと思ったが、「本当の自分を信じて頑張ろう!」という前向きなメッセージと16ビートに乗せたディーヴァな歌は120% J-POPとしか表現できない。




三代目 J Soul Brothers


人数が多すぎてAKB関係には近寄れない似非アイヲタにとっては、同様に大人数のEXILE周辺は鬱蒼と生い茂る樹海さながら。三代目ってことは初代や二代目もいるのか?調べる気はないが、盛り上げ方の妙と見事なダンスは一見の価値がある。1万人の女子の狂乱状態は滅多に体験できるものではない。




J-POP
J-LEAGUE
JeJeJet!

「J」は魔法の合言葉。



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PASSPO☆@下北沢Garden/BiS vs. This is Not a Business@下北沢SHELTER 2013.8.17(sat)

2013年08月19日 00時15分39秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


「真夏のど真ん中、灼熱の太陽に負けず、熱いライヴ現場で汗を流そう」企画・第1日目。夏祭りで賑わうシモキタでエモいアイドル2連発。

PASSPO☆「妄想ハワイフェス」@下北沢Garden


最新シングル「妄想のハワイ」で夢のハワイ旅行に連れて行ってくれたPASSPO☆の夏の感謝祭。クルー自身が風船やビーチボールでデコったエントランスを入ればそこは幻覚ワイキキビーチ。妄想ソングと夏ウタ連発のヴァーチャルハワイ便フライトにパッセンジャーはヒートアップ。焼けた肌とコパトーンの香りの代わりに、野郎の汗が飛び散る熱闘は、夏の甲子園さながらだった。






BiS「SHELTER 7 DAYS」@下北沢SHELTER


BiSが原点回帰し、以前からのホームであるシェルターでの7日間連続対バンイベント、別名「国技館赤字補填企画」の2日目。この日の対バンは加藤小判(vo)率いる負け犬(天狗)バンド、This is Not a Business。天狗の面の5人組のアゲアゲデジパンクが研究員の熱をアゲる。



BiSが始まると会場の95%を占める研究員が全員モッシュ&ケチャ&MIX&リフトのカオス状態。エモさの極致の新曲も披露され、狭い会場には萌える肌から吹き出す汗の逃げ場がなく、空気中の水蒸気が液状化現象を起こすほど。テンテンコのトイレ密閉事件が報告され、脱退を表明したミッチェルも全力投球の報告会。





BiS最新インタビューはコチラ

熱く萌え
夏の暑さ
ブッ飛ばそう

濃厚な体臭は、真夏の男子校野球部&ラグビー部の部室訪問ツアーの如し。
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Powderのお姉さん!ロシアの人気ガールズバンド、ラニェートキ・ガールズ(Ранетки)。

2013年08月18日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


Powder(Пудра)


きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」の日本語カヴァーで話題になったロシアの美少女バンド「Powder」が日本語オリジナル曲「昼と夜(DEN-NOCH)」を配信リリースする。プリプリやレベッカ、SHOW-YAといった80'sギャルバンに通じるオーソドックスな歌謡ロック。最近JUDY AND MARYのカヴァーも披露しており、王道ガールズロックへのシンパシーを感じる。




ラニェートキ・ガールズ(Ранетки)
Powderについてツイートしたところ、ロシアのフォロワーさんから「このバンドは知りませんが、プロデューサーが同じРанеткиは本当に有名なガールズバンドですよ」との返信を頂いた。早速ググってみるとなるほど!Powderを手がけるZEBRAプロダクション所属のРанетки、英語ではRanetki Girls(ラニェートキ・ガールズ)を発見。Ranetkiとは「小さな美味しい林檎」という意味。



<現メンバー>
アーニャ・バイダブレトワ(Anya Bajdavletova) - Drums, Vocals、1992年11月26日スタブロポリ生まれ
ジェーニャ・オグルツォワ(Eugenia Ogurtsova) - Keyboards, Vocals、1990年3月29日モスクワ生まれ
ナターシャ・ミニチェレンコ(Natalya Minichlenko) - Lead Guitar, Back Vocals、1990年4月6日モスクワ生まれ
レナ・トレチャコワ(Lena Tretyakova) - Bass Guitar, Vocals、1988年12月23日ポーランド、レグニツァ生まれ
(結成当時は5人組。何度かのメンバーチェンジを経て2011年11月から4人組で活動中)

<バイオグラフィー>
2005年 モスクワにて結成。
2006年 デビューアルバム 『ラニェートキ (Ранетки)』リリース。大人気テレビドラマ 『少年士官候補(Kadetstvo)』の主題歌を収録。
     収録曲「あなたについて(O Tebe)」はビデオゲームGrand Theft Auto IV(2008)にフィーチャーされた。
2008年 バンドと連動したテレビドラマ 『Ranetki』が開始され大人気に。2010年まで1年半続いた。
     Five Star and EuroSonicコンテストで優勝。
2009年 Muz-TVアワードにて「最優秀アルバム」「最優秀サウンドトラック」の2部門を受賞。
     2ndアルバム『今こそ私たちの出番 (Пришло наше время) 』
2010年 3rdアルバム『永遠に忘れない(Ne zabudu nikogda)』
2011年 4thアルバム『ロックンロールを取り戻せ!(Верните рок-н-ролл!!!)』
2012年 ベストアルバム『ラニェートキを取り戻せ(Верните Ранеток)』



ようつべにはPVや主演テレビドラマの映像と共にライヴ動画が上がっている。大規模なスタジアムかアリーナでのコンサートで、オーディエンスの熱狂ぶりから人気の凄さが判る。客席のファンは若い女性が圧倒的に多い。曲調は王道ロックからヘビメタ、フォーク、レゲエ、ディスコと幅広いが、しっかりした演奏力と各メンバーのヴォーカルの上手さが際立つパワフルなステージ。ロシア語の響きはエキゾチックな哀愁があって味わい深い。

●デビュー曲「彼女はひとりぼっち(Ona Odna)」:デビュー当時はドラマーのレーラ(現在は脱退)がリードヴォーカルだった。




●GTA IVにフィーチャーされた「あなたについて(O Tebe)」




●バンドのテーマ曲「ウィ・アー・ラニェートキ(Мы Ранетки)」(ライヴ)




●モスクワ公演フルステージ(65分)




ラニェートキ・ガールズが国民的ビッグスターに育ったので、後釜としてZEBRAプロダクションが売り出そうとしているのがPowder。主演テレビドラマ作戦はZEBRAお得意の宣伝戦略なのだろう。数年後にはPowderもアリーナに立っているかもしれない。いや、ひょっとすると武道館かも。

●音源は密林でダウンロード購入可能(試聴可)→コチラ


露西亜から
美少女旋風
襲来す

レーラレーラ(Лера Лера)のヒット曲「愉快じゃないわ(Неприятно)」。ラニェートキ・ガールズの初代ドラマー&ヴォーカルのレーラ・コズロワはソロ歌手として活躍中。


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('jjj') ('jjj') アイデン女子&ティティ娘~相対性理論/パスピエ/赤い公園/SEBASTIAN X/サイサイ

2013年08月17日 00時35分57秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


アイデン&ティティ』は、1992年に刊行されたみうらじゅんの漫画、またこれを原作とし2003年に公開された日本映画。映画では、田口トモロヲが映画監督に初挑戦し、宮藤官九郎が脚本を担当し、音楽には白井良明、遠藤賢司と並んで大友良英のクレジットがある。『あまちゃん』の種が10年前に撒かれていた、などと妄言を吐くつもりはないが、そもそも宮藤と大友は同じ世界の住人だったということ。バンドブームをテーマにみうらが描いたストーリーは、20年後の現代はアイドルシーンに舞台を移すのが自然。そう考えれば、アイデン&ティティとあまちゃんは時代を隔てた兄妹と言えるだろう。

あまちゃんが後半のハイライトを迎えた真夏に狙いを定めたように、自己同一性(Identity)を追求する個性派女子アーティストの新作が出揃ったのは、偶然ではなかろう。一方で個性を追い求めるうちに部族化し、アウトサイダー転じてオフサイドと成らぬようお気をつけ願いたい。そんな危険を侵すことを厭わない勇気ある女流冒険家を見てみよう。

相対性理論


クールな脱力感でゼロ世代の重心を(関)西から(関)東へ遷都させた相対性理論=theory of relativityが、3年3ヶ月ぶりのスタジオ・アルバムをリリース。彼等を初めて聴いた時は愛想の無さとフラットな演奏が好みではなかった。しかし春に出たやくしまるえつこのソロアルバム『RADIO ONSEN EUTOPIA』を聴いてガラッと印象が変わった。大友良英、木暮晋也、永井聖一、吉田匡、山口元輝らのセッションで聴くやくしまるの歌は、驚くほど表情豊かで人間味に溢れており、一発で惚れてしまった。過去作品を聴き返し彼女のヴォーカルが最初から魅力的だったことに気付く。存在感の希薄さは否めないが、その非在性故にテン年代オルタナ・ポップカルチャーのセンターになったのだから面白い。メンバーチェンジを経てもレアな空気は変わらない。やくしまるの無表情の奥から漏れるヒューマニズムが暖かい。






パスピエ


「21世紀流超高性能個人電腦破壊行歌曲」を自称する理論派バンド。東京藝術大学でクラシックを学んだ成田ハネダが夏フェス経由でドロップアウト、大胡田なつきをヴォーカルに2009年に結成。印象派を意味するバンド名、メディアに顔を晒さない戦略が功を奏して話題を撒き、今年6月『演出家出演』というお茶漬け海苔的アルバムでメジャーデビュー。大胡田が手掛けるイラストも相まって、ポスト相対性理論のイメージがないわけではないが、ボッサな要素を備えた抑揚に富んだスタイルは、フォロワーの誹りを退ける独自性を発散する。






赤い公園


2010年結成の4人組。ハードコア/プログレ/ポストロック/歌謡曲など様々なジャンルをスクイーズしたごった煮サウンドは、単なるミクスチャーを超越した作為と含蓄に満ち、4人別々の方向に走り出すように目まぐるしい。「のぞいちゃいな!」と言われて恐々覗いた穴の向こうに白装束の妖精が舞っていた。半信半疑で再度目を凝らすと、実は物干し竿に掛かった4体の藁人形だったという謎。ヴォーカルがありがちな絶叫・恫喝系ではなく、伸びやかな歌のお姉さんなのが逆に怖い。SMAPに曲を提供するという罪を犯したため、お茶の間にも侵入する貞子のようなオカルト趣味。






SEBASTIAN X


2008年結成の男女4人組ギターレス・ロックバンド。永原真夏の意気のいいヴォーカルに渡辺美里や中村あゆみを思い出す。最新作『POWER OF NOISE』も弾けるハッピーオーラと120%の元気が爆発する爽快作。ギターがいない分、キーボードとベースとドラムが三つ巴で絡み合う演奏は瞬発力に富み、ライヴでは飛距離の分からない未知のパワーが内包されている。80年代J-POPが持っていた明るい希望を取り戻すポジティヴノイズが火花を散らす。






Silent Siren


アイデンティティの確立のためには、別に奇人変人である必要はない、ということを証明するHARAJUKU KAWAii!!4人組。読モの夢が現実に転じたので、カメラ映えの見事さは流石デルモンテ。奇を衒わないまっすぐな純情が、この時代には逆に個性的。今でも"ハピルン"が合言葉かは分からないが、フロント3人が手を挙げてシンガロングする天心爛漫な女子力は「あなた方の心の中に黒く色どられていない処があったらすぐ電話をして下さい」と訴えているかの様。






愛のため
遺伝父に
恋せよ乙女

I LOVE I-DeN & TiTi.

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the HIATUS@ZEPP TOKYO 2013.8.14(wed)

2013年08月16日 00時19分12秒 | ロッケンロール万歳!


the HIATUS
Horse Riding Tour 2013

Zepp Tokyo

the HIATUS(ザ・ハイエイタス):
細美武士(ELLEGARDEN)/ ボーカル・ギター・プロデュース
masasucks(FULLSCRATCH/元・Jサポートメンバー)/ ギター
ウエノコウジ(元・thee michelle gun elephant / Radio Caroline / DAD MOM GOD)/ ベース
柏倉隆史(toe/木村カエラサポートメンバー)/ ドラムス
伊澤一葉(元・東京事変/あっぱ)/ キーボード
一瀬正和(ASPARAGUS)/ ドラムス



ミッシェルガンのウエノコウジが参加しているのでR&Rカオス友の会と繋がりがある筈のthe HIATUSだが、今までなんとなくスルーしてきた。というのも、デビュー作がオリコンNo.1の大ヒット、夏フェスやイベントで騒がれ、ロキノン系の顔といわれる大人気ぶりが、元来判官贔屓のR&Rヲタには、ちょっと眩し過ぎたのである。ミッシェルガン以降のウエノの活動は、ベンジー&チバを中心としたカオスの竜巻から一歩距離を置き、GLAYやBUCK-TICK、THEATRE BROOK等のメジャー系とリンクしたり、GYOGUN REND'SやNEATBEATS、MAD CUPSULE MARKETSといった若手と意気投合したりして独自路線を辿った。ミッシェルガン風R&Rスタイルから離脱しようとしているわけではないのは、Radio Carolineのガレージロックを聴けば明らか。チバやクハラカズユキとの差別化を図っているのかも知れない。



いつかはチェックしなければ、と思っていたところ、ZEPP TOKYO 2DAYSを発見。お盆休みの夏枯れで他にめぼしいライヴもないのでナイスチャンスと参戦した。サマソニ~フジロックでお疲れのロックファンが集まるかどうか?と思ったら、2F最後列までビッチリ満員。オーディエンスは極めて若い。The BirthdayやKENICHI ASAI&Bad Theacher Kill Clubの客層より5歳は下だろう。ヤンチャなスケボー男子と割とフツーの女子が多い。



演奏が始まるといきなりハイテンションで盛り上がる。指差しポーズで片腕を高く掲げ前後に振る「鶴の首ケチャ」(筆者命名)が起こり、その上を人間サーフィンが同時多発的に転がる様は、夏フェスのモッシュピットの如し。ほぼ全編英語詞なので、来日バンドを観ている気分になる。J-ROCKで英語詞で人間サーフィン、と言えば90年代末のメロコアブームを思い出すが、それはマチガイではない。フロントマン細美武士のバンド、エルレガーデンはエモコアバンドで、アリーナクラスでワンマンを成功させたほどの人気者。RadioheadやWeezerを好む細美はエルレ結成前にサンフランシスコに滞在していたため、英語で作詞するのが自然体。その細美が他の人気バンドのメンバーと結成したスーパーバンドだから、デビュー時から人気沸騰したわけだ。



音楽性はロケンローというよりオルタナロック。アコギも使ったドラマティックなサウンドと歌い上げるヴォーカルにパール・ジャムやストーン・テンプル・パイロッツといった名前が浮かぶ。演奏の上手さは海外ロックバンド並み。エモいメロディは心に染みるが、歌詞の意味がわからない分、サウンド全体のパワーに身を任せて暴れまくる観客。「オマエ等今日は最高だな!」と笑顔を見せる細美の社会派MCが印象的。100分の演奏を最後までハイテンションで通したバンドとオーディエンスに、ロートルはとても適わんな、という感想。兄貴と呼ばれるウエノは、徹頭徹尾無口でニヒルな男を演出し、ひとりだけ濃厚な空気を纏っていた。やはりR&R混沌世界の出自は隠し得ない。



中断と
いう名のバンド
踊らせて

Radio Carolineもひとつ。


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BO NINGENワンマン@代官山UNIT 2013.8.13(tue)

2013年08月15日 00時15分15秒 | 素晴らしき変態音楽


UNIT 9TH ANNIVERSARY
BO NINGEN HEADLINE LIVES 2013~SPECIAL!

ロンドンを拠点に活動する日本人サイケデリックロックバンド。ロンドンのアートカレッジで出会い、結成。2009 年に限定EP『Koroshitai Kimochi』を発表、瞬く間に完売させる。The Horrors のファリスに “2009 年に見た最 もエキサイティングなバンド”として紹介され、一気にイギリス国内で注目を集める。またグラストンベリーを筆頭にUK のフェスに多数出演、その破天荒かつ驚くほど快楽的なパフォーマンスが話題となる。最新作は2012 年イギリスでオリジナル発売された 2nd アルバム『Line The Wall』。 日本盤が今年2月に発売となり、更に日本国内においても大きな反響を巻き起こしている。 世界中が熱狂し始めている全く新しい概念をもった彼らの音楽を体感できる貴重な来日公演を逃す手は無い!(代官山UNIT公式サイトより)




BO NINGENを初めて観たのは2011年2月。それ以来、年に2回の来日ツアーで、毎回数公演づつ観ているから、もう20回近く彼らのライヴを観たことになる。灰野敬二(1回目2回目)、メルツバウ、RUINS aloneギターウルフMASONNA、MO'SOME TONEBENDERなどのベテランから、八十八ヶ所巡礼下山GezanTHE NOVEMBERS、PLASTICZOOMS'N夙川BOYS、でんぱ組.incなどの若手まで、様々なアーティストとの対バンイベント、2度のタワレコインストア(1回目2回目)、メンバーの別プロジェクトなど、いろんなシチュエーションを経験した。



何度目の来日ツアーになるのだろうか、この夏の<BO NINGEN HEADLINE LIVES 2013>はバンドにとって初体験尽くしのツアーになった。フジロックとライジングサンという日本の夏フェス参戦、そして初の試みとなるロングセットの単独公演である。

明日のBo Ningen代官山UNITでのワンマン公演は、新曲、懐かしい曲、忘れ去られた曲、Bo Ningenの過去と未来、そして現在に触れることのできる、今までかつて見た/見られたことのない稀有なライブになります。遊びにきてね。
(斜体はTaigen KawabeのTwitterより。以下同)

前方は小柄な女子ファンが多いのでステージの観晴らしが良い。SEはクラブミュージックとJ-ROCKとアイドルソングのメドレー。なかなかエグいMIX、と思ったらTaigenの選曲だった。



ほぼ定刻にメンバー登場。プロレス好きの彼らだが入場のファンファーレはなし。さりげなさがロンドン流なのだろうか。歪んだベースのパルスでスタート。ちょっと音圧が低いかな?と思ったが、ドラムが入った途端にクラブ仕様のPAからバスドラの連打が怒濤のように溢れ出し、空気を揺るがしボトムを刺激する。2台のギターは空間に拡散し音の奔流(Flow of Music)になる。ヴォーカルがクリアで聴き取りやすい。今までの4人が塊になって押し寄せる強引なまでの切迫感とは一味違い、彼らがロックより影響を受けたというベース・ミュージックに通じる、重低音と楽音と歌声の分離が良い風通しのいいサウンド。ニューコンセプトのサウンドワールドが産み出す陶酔感は、聴き手を別次元の未体験ゾーンにワープさせる魔法の儀式そのもの。


(写真・動画は無断撮影・無断掲載・無断転載です。以下同)

3曲目でオーディスンスが爆発、凄まじいモッシュの渦がフロアを飲み込む。BO NINGENの魔法に幻惑された(Dazed and Confused)聴衆は、身体をぶつけ合い、腕を突き挙げ、叫びを上げる。ロックにしてロックに非ず、サイケにしてサイケに非ず、カオスにしてカオスに非ず。棒人間の神髄が剥き出しになった瞬間のエクスタシーが終わることなく続き、ラストナンバーの20分に及ぶ大快晴電撃バップGSBB(Giga Sunny Blitzkrieg Bop)の末に、目も眩むカタルシスに至る。前代未聞のメイクラブだった。



<Set List>
01 Soko
02 Yurayura Kaeru
03 Henkan
04 Nichijyou
05 Mitsume (新曲)
06 Slider (新曲)
07 Inu (新曲)
08 Koroshitai Kimochi 
09 Makimodoshi (新曲)
10 Maguro
11 Shin Ichi
12 Yuruyakana Ao
13 Daikaisei pt1,2&3
-Encore-
E1 △
E2 Natsu No Nioi

今日のワンマンライブ、本当に本当にありがとうございました。途中両手の指が動かなくなったり、満身創痍でもう今はただ、空っぽです。でもそれはまったくマイナスの意味とかではなくて、体力も感情も、全て出し切れたのだと思います。これからもBo Ningenは絶対にとまりません。今日は空っぽのまま、ぶっ倒れさせて下さい。お風呂で腕のケアしてから、寝ます。身体的にも精神的にも、自分の中がこんなに空っぽになったのは、はじめてかもしれません。自分の中で色々なものが整理されているような感覚です。



刻まれた
大気の中に
棒四本

フジロックに出演したサヴェージズとの対談インタビューはコチラ








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ノルウェーの変態ジャズコンボ、ラッブルラッブル9月初来日決定!

2013年08月14日 00時47分37秒 | 素晴らしき変態音楽


『Robblerobble/Robblerobble 1』


Drollehala DH9604
 
1. Part I
2. Part II
3. Part III
4. Part IV
5. Part V
6. Part VI

John Lilja: double bass
Petter Frost Fadnes: alto and baritone saxophone
Dominique Brackeva: trombone
Vidar K. Schanche: electric guitar
Stale Birkeland: drums

Produced by John Lilja
Recorded live at Tou Loft, Stavanger Norway 24 April 2010 by Steven Grant Bishop and John Lilja
Live sound: Steven Grant Bishop
Mixed by Margaret Luthar
Mastered by Thor Legvold, Sonovo



ノルウェー第4の都市スタヴァンゲルは、"ノルウェー最大の《スモール・タウン》"と呼ばれ、海岸沿いの美しい街並みと、住民の温かい人柄と、港町ならではのコスモポリタンな雰囲気が特徴。長年に渡りノルウェーで最も即興音楽家を輩出している都市でもある。この街にキッチン・オーケストラという一風変わった楽団が存在する。ジャズ・アーティストから交響楽団のメンバーまで幅広いフィールドで活躍する20数人のプロ演奏家の集合体で、リーダー不在の回転体という形態のユニークなオーケストラである。アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ、エヴァン・パーカー、キース・ティペットなどヨーロッパ即興界の重鎮と共演を重ねてきた。

そのメンバー10人が昨年5月に初来日し、六本木スーパーデラックスで5日間日替わりで日本のミュージシャンと共演を繰り広げた。筆者が観たのは公演初日5月15日スーパーデラックスのレギュラーイベント「Test Tone」での、鈴木學 (electronics)、広瀬淳二 (sax)、高岡大祐 (tuba)、Kelly Churko (guitar)、鈴木郁 (drums)との初顔合わせのセッション。日本側もノルウェー側もお互いの手の内が全く分からない状態での共演だった。それぞれ個性的な日本人演奏家に対して、まったく臆することなく、ヨーロッパらしいユーモアを交えての演奏に、30年前のミシャ・メンゲルベルク&ICPオーケストラの初来日公演を思い出した。

中心メンバーであるJohn Liljaは1970年ニューヨーク生まれのベーシスト/作曲家。バークリー音楽院で作曲を学んだ後、1997年にノルウェーに移り、Frode GjerstadやArve Henriksenなど地元のミュージシャンやエヴェン・パーカー、マリリン・クリスペル、ポール・ニルセン・ラヴなどヨーロッパを代表する即興演奏家と共演するとともに、作曲家としてノルウェー国営放送やオランダ・メトロポリタン・オーケストラ等に作品を提供している。
Johnがキッチン・オーケストラにも参加する演奏家たちと2010年に結成したクインテットがラッブルラッブル(Robblerobble)。ユニークなバンド名はマクドナルドのキャラクターのキャッチコフレーズに由来する。その音楽性は公式バイオに「チャールズ・ミンガスがジョン・ゾーンのネイキッド・シティのソリストとブラック・サバスのリズム隊からなるユニットの為に作曲したようなサード・ストリーム・ストーナー・ロック」と表現され、ノルウェーのプレスではアート・アンサンブル・オブ・シカゴやデューク・エリントンを引き合いに評価されたという。



デビュー・アルバム『Robblerobble 1』はバイオに記された通りの雑多な音楽性が同居している。冒頭の不穏なフォルテが無音に近い静寂に転じ、ごそごそいう物音ノイズから、ハード・ロック風8ビートに乗せたドローンに突入。テリエ・リピダルやフレッド・フリスを思わせる非イディオマティックなフレーズを繰り出すギター・ソロは、プログレ/チェンバー・ロック・ファンにもアピールしそう。再び一転してアトモスフェリックなムードの中トロンボーンが情感豊かなソロを披露、同郷の作曲家グリークに通じる叙情的な世界を描き出す。そのままの雰囲気でウッドベース・ソロが始まる。確かなテクニックに裏付けられた調性のあるインプロはバール・フィリップス譲りか。後半のホーンとギターの絡みにはフランク・ザッパ的ユーモア感覚がある。入れ替わりでアルト・サックス・ソロに場面チェンジ。徐々に調性から逸脱していくフリーキーな演奏は、ドラムの細かいストロークと呼応してアルバム終盤のクライマックスへ上り詰める。エンディングは、再び初めの静寂演奏に帰結し、いつまでも続く余韻を愛おしむように消えていく。6つのトラックが異なる場面を描く音楽劇のような作品である。フィヨルドの静謐さからムーミンのメルヘンまで兼ね備えた豊饒な音楽性には、北欧のローカル都市で人知れずじっくりと育まれたユニークな才能の閃きが満ち溢れている。



Robblerobble "Robblerobble 1"streaming link→コチラ

既にセカンド・アルバムが完成し今秋リリース予定。9月の初来日ツアーでどのような演奏が繰り広げられるのか、楽しみでならない。

ムーミンの
国から変態
やってくる

Robbblerobble Japan Tour


9/18 TOKUZO, 名古屋
9/19 KOBE LIVE HOUSE BIG APPLE, 神戸 Robblerobble(ノルウェー)& GTSVL(ゲイツビル)
9/20 AT HALL, 大分
9/22 NAVARO, 熊本
9/23 YOJIGEN, 福岡
9/26 SUPERDELUXE, 六本木 八木美知依トリオ&Robblerobble

後援:The city of Stavanger, the Norwegian Jazz Forum, and the Norwegian Department of State/Music Norway
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Negicco@新宿BLAZE 2013.8.10(sat)+【論考】アイドルの存在意義とは?

2013年08月12日 00時37分54秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


Negicco「Melody Palette」~お気に入りのパーティーへ~
第1部「10th Anniversary Party」


結成10周年にして初のオリジナルフルアルバム『Melody Palette』をリリースした新潟出身のアイドルグループ、Negiccoの10周年&レコ発記念ワンマンイベント。2部構成で昼の第1部がこれまでの10年を振り返る内容、そして夜の第2部がこれからを示唆する内容。その第1部に参戦した。その前に渋谷109 Men'sに寄り、BiS階段×RAGEBLUEコラボTシャツでんぱ組.inc×YONE×DOWBLコラボPHOTO BOOKをGETというDDアイヲタ行動を決行。ヲタクで結構コケコッコー(死語)。



BLAZEは歌舞伎町にあるキャパ800人のホール。以前DCPRGを観て、見晴らしと音響がいいのに感動した。場所柄ヴィジュアル系・アイドル系・ダンス系のイベントが多い。炎天下に大勢のファンが待っている。アイドル戦国時代は終わり、多様性の時代が来たと言われるが、それに応じてファンも多種多様である。BiSがノイズと合体したことはBiSファン=研究員にパンクやハードコアのファンが多いので熱狂的に迎えられた。でんぱ組.incはガチアキバ系なので萌え系アイドル&アニヲタの多大な支持を誇る。バニラビーンズはモデル顔負けのオサレさんなので、ギョーカイ系にファンが多い。で、Nigiccoはご当地アイドル&10年の活動歴&レアグルーヴ&渋谷系のスタイリッシュな音楽性により、真面目な音楽好きのファンが多いように思える。年齢層は比較的高く、あとで考察するように単なる憧れの対象=偶像を超える愛情を抱いている。すなわち温かいアットホームなムードが会場に満ちている。初参戦者も多いようだが、肝いりファンに囲まれても気後れすることはない。



物販で先行発売のアナログ盤を購入。ももクロ、BiS階段に続くアイドルLPは、30センチ大のジャケットが愛おしい。Negiccoの長年のパートナーconnieのDJは8・90年代アイドルソングのノンストップミックスで、楽曲の良さと踊れるビートが現在のアイドルブームの礎であることがよく分かる。ビートに合わせて身体でリズムを取っていれば退屈しない。メンバー自身の噛み噛みの前説が微笑ましい。時間になり照明が落ちると、スクリーンに日記風のヒストリービデオが投射される。2003年新潟の名産品「やわ肌ねぎ」のPRキャンペーンで期間限定で結成されたユニットがレギュラー化し、紆余曲折を経て現在に至るまでの歴史が、その時々の楽曲のライヴパフォーマンスを交えて披露される。何度も全国進出の機会がありながら、その度に地元新潟に根付いた活動を続けたことで、大都会の影響に毒されずアイデンティティを確立できたことは特筆に値する。ガラパゴス的進化とも言えるが、フルアルバムまで10年待ったことは、極めて有意義だった。これから全国的にブレイクするかどうかは運次第だが、10年目のデビューアルバム『Melody Palette』はアイドルを超えて、日本のポップスの歴史に残るハイクオリティな作品に仕上がった。Negiccoのユニークさがよく理解できて、とても充実した気持ちで熱波の中会場を後にした。唯一の心残りは金欠でネギライトが買えなかったこと。アイドル現場を100%楽しむためには応援グッズは欠かせない。






ライヴレポートはコチラ



【考察】アイドルの存在意義とは?



Negiccoをはじめ、LinQ(福岡)、ひめキュンフルーツ缶(愛媛)などご当地アイドルの全国進出が著しい。終盤にさしかかってますます人気の『あまちゃん』で潮騒のメモリーズや地元系アイドルユニットGMT47が話題になり、ご当地アイドルへの注目が今までになく高まっている。NHKは「全国『あまちゃん』マップ! あなたの町おこしキャンペーン」で"リアルGMT"として48組(東京のみ2組)のローカルアイドルをサポーターに任命した(記事はコチラ)。LinQやひめキュンをはじめ、こんなに多くのアイドルが全国で活躍しているのか!と驚くのはまだ早い。本当に驚くべきは、この48組はあくまで代表であり、それぞれの地域でもっと多くのアイドルが活動しローカルアイドルシーンを形成しているという事実である。例えば7月14,15日二日間金沢で開催された「北陸アイドルフェスティバル」には40組のアイドルが出演、来場者はのべ5000人に上った。出演者一覧を見ると北陸・東海・関東中心にご当地アイドルが集合し、まるで高校野球を思わせる活況ぶりである。

とちおとめ25(栃木)





おやゆびプリンセス(石川)





きみともキャンディ(香川)





今や「アイドル」は芸能のいちジャンルではなく、遊びやスポーツと同じ意味合いで子供たちの生活に根付いている。昨年度から中学校でヒップホップを含むダンスが必修科目になったことは大革命だった。学校で踊ることを教えられて育つ子供たちにとって、アイドルのように歌って踊ることは特別なことではなく、当たり前どころか、いい成績を取るために必要な活動というわけだ。アイドルブームはもうすぐ終わるとか、かつてのアイドルに比べて質が低下したとか、アイドル商法はけしからんとか、いろいろな批判が聞かれるが、ご当地アイドルを必要とするローカル志向と義務教育での必要性を考えれば、アイドル現象が現代日本社会にとって極めて重要であることは火を見るよりも明らかである。

【参考CD1】JAPAN IDOL FILE:ローカルアイドル70組以上を集めた5枚組コンピ。かつてのバンドブームとは比較にならないほどクオリティが高い。


Negiccoのライヴ現場に流れる和やかな雰囲気が、小学校の学芸会や運動会に似ていることに気づいた。我が子の成長を見つめる父兄と同じ気持ちを、歌い踊る三人に感じているのだ。ご当地アイドルをサポートするジモティの気持ちも同じだろう。「オラが街のアイドル」を地元一丸となって応援する親心。それこそ人と人の心のふれあいが希薄化する現代社会に於ける「アイドル」の存在意義に他ならない。

【参考CD2】あまちゃん 歌のアルバム:あまちゃんオールスターズによる歌の祭典。ご当地アイドル讃歌「地元へ帰ろう」収録。


ご当地アイドル情報が詳しいブログ「KEN爺の小言(KKGT)」はコチラ

アイドルを
応援するため
地元へ帰ろう

●おまけ:ご当地GMT紹介
イギリス→グリニッジ標準時(Greenwich Mean Time)
東京→おはよう東京(Good Morning Tokyo)
カタール→グランド・マート・トレーディング(株)(Grand Mart Trading co.):1970年創業の大手商社。小売店チェーンも経営する。





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浅井健一@下北沢GARDEN 2013.8.9(fri)

2013年08月11日 00時40分05秒 | ロッケンロール万歳!


浅井健一『COLD MINK NIGHT VOL.8 ~Kenichi Asai Acoustic Night~』

浅井健一(vo,ac-g)
皆川真人(key,b)
岡村未央(vn)



6月に続くファンクラブ限定スペシャル・ライヴ。再びアコースティック・セットである。直前になってベンジーのカレーHAMMER HEAD CURRYが会場で販売されることになり、開場時間が1時間早まった。開演前に腹ごしらえ、と思ったが仕事を抜けられず下北に着いたのは開演時間ギリギリ。ホールの中はスパイシーな香りが立ちこめエキゾチックな気分。

前回は福士久美子を中心とするバンドがオープニングを務めたが、今回はベンジーのアコースティック・トリオだけ。ベンジーの歌をたっぷりと聴けて大満足。皆川と岡村とのコンビネーションもバッチリ熟れてきた。ベンジーの口からこの編成で秋にちっちゃなツアーをやることが発表された。「最近誰と会ってもカレーの話が出るけど、カレーとは関係ないから」と言うがツアータイトルは『ガラムマサラナイト』。バリカレーぢゃん!どんなニヒルなロケンローラーもアラフィフになると好きなものは好きと言って何が悪い、という悟りの境地に至るものである。



今回はセットリストが入手できなかったのでこれでレポ終わり。ベンジーの素晴らしい演奏をFC以外の一般ファンも楽しめる最高の機会なので『ガラムマサラナイト』をお見逃しなく。

この番組、ためになるので観てケロ。
    ↓ ↓ ↓ ↓



カレーから
魔性の香り
放たれる


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