A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

初音階段@タワーレコード渋谷店 B1F CUTUP STUDIO 2013.10.7(mon)

2013年10月09日 00時18分26秒 | 素晴らしき変態音楽


【タワレボ】初音階段「からっぽの世界」発売記念イベント
『生初音ミク降臨!?ボーカロイドとノイズの融合!』

出演:初音階段 (JOJO広重、T.美川、白波多カミン)
トーク司会:冨田明宏



今年は非常階段関連のリリースやライヴイベントが目白押しで、コラボプロジェクトも多岐に亘っているので、脳内時系列が混乱してしまうほど。JOJO広重の思いつきに任せた精力的な活動が人との出会いを介して次々実現に至っており、初音階段のデビュー・ライヴから始まった2013年はキング・オブ・ノイズの当り年。アイドル・コラボに続き、世界に誇るボカロ・カルチャーの象徴的ヒロインとの合体という話題性を武器に、日本ポップス界の再構築を目論む意欲作をドロップしたマル非の世界征服計画が進行中。





レコ発イベント兼タワレコ配信UST番組のトーク&ライヴ。1st『非常階段 starring 初音ミク/初音階段』が既成音源を素材としてミックスしたヴァーチャル共演だったのに対し、『からっぽの世界』はボカロの特性を理解したうえで、選曲・アレンジ・演奏・録音にこだわった、本当の意味でのコラボ作品である。忘れかけられた和ポップスの名曲をボカロとノイズの共演で蘇らすというコンセプトは、死体を継ぎ接ぎして醜悪な怪物を創造したフランケンシュタインに通じる歪(いびつ)さがある。人々を恐怖に陥れた怪物が紛れもなく美しい人間のこころと知性を備えていたという事実は、外見(醜)と内面(美)の不整合の現れだが、萌えキャラ(美)を纏ったコンピューターチップ(醜)に過ぎないミクは、その鏡像として世の真理を暴くアイコンといえる。世間一般に照らせば、抒情メロディー(美)と轟音ノイズ(醜)の対比であり、流行歌(美)とアングラ(醜)のコントラストにも倣っている。翻って地下生活者の視点に立てば、前二例の美醜は入れ替わるのも事実であり、真理はひとつではなく、「常識を変えたら、驚きが日常に」(にんじゃりばんばん)というきゃりーぱみゅぱみゅ理論の正当性を証明しているのである。「僕らは期待を裏切らないといけないし想像を絶するものをしなきゃいけない」と語るJOJO広重の思考回廊が時代の最先端とリンクして、世界中どこにもない新たな「驚き」を産み続けることは間違いない。

  

来年2月に予定されているロンドン公演に向けて初音階段の次作は洋楽カバー集を計画中。さらに年内に『VOICE & DESTROY』と題されたJUNKOのソロ・アルバムが70分超CD2枚組でテイチクからリリース予定。来年の結成35周年へ向けて、マル非の快進撃は留まるところを知らない。




初音では
合いの手と茶々で
ノイズする
(T.Mikawa)

▼親子以上、恋人未満

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二日分のカワイイに溺れた週末~HARAJUKU KAWAii!! FES 2013 10.5(sat) & 6(sun)

2013年10月08日 00時56分09秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


■イベント名
HARAJUKU KAWAii!! FES 2013

■開催日
2013年10月5日(土)、6日(日)

■開催場所
原宿全域(メイン会場:ラフォーレミュージアム、クエストホール、アストロホール他多数)

■料金
無料

■内容
ファッションショー、音楽ライブ、トークショーなど

■MC (50音順)
ニーコ、藤田琢己、星野卓也

■アーティスト (50音順)
赤い公園、アップアップガールズ(仮)、Charisma.com、吉川友、きゃりーぱみゅぱみゅ、くりかまき、CREAM、黒木渚、近藤夏子、Silent Siren、Daichi、DISACODE、でんぱ組.inc、TEMPURA KIDZ、南波志帆、ニーコマン、ねごと、NEKO PUNCH、PASSPO☆、ハナエ、春奈るな、PPP! PiXiON、PAGE、やのあんな、Una

■モデル (50音順)
AKIRA、青柳文子、赤澤奈津実、阿知波妃皇、池田彩夏、井上恭介(おしゃれキング)、岩井拳士朗(おしゃれキング)、EVA、海老原りさ、江本るり江、上岡由佳、上野瞳、荻野可鈴、小澤楓、笠原美香、金井政人(BIGMAMA)、鎌倉弘樹(おしゃれキング)、北村諒(おしゃれキング)、木村ミサ、木村優、古関れん、児玉益美、近藤亜美、後藤さくら、SAKI、佐藤さき、柴田紗希、柴田ひかり、瀬戸あゆみ、小鳥遊しほ、松拓人(おしゃれキング)、武智志穂、田中里奈、谷口朝香、とくいちょま、中川翔子、中田クルミ、野崎智子、橋田昌美、早坂夏海、ベック、星名桜子、POCHI、三科光平(おしゃれキング)、三戸なつめ、皆方由衣、宮下ゆりか、三好あんな、村上東奈、村田倫子、やのあんなゆら、YuRi、横田ひかる、米重晃希(おしゃれキング) and more!!!

■MAGAZINE (50音順)
HR、KERA、Zipper、SEDA、CHOKi CHOKi、CHOKi CHOKi girls、FRUiTS、mer、Used Mix

■BRAND&SHOP (50音順)
Angelic Pretty、WEGO、Aymmy、KAKA☆VAKA、galaxxxy、Grimoire Almadel、KINSELLA、SHIPS khaju、SPINNS、SPROUT 2nd、cepo、NADIA、HAIGHT&ASHBURY、PANAMA BOY、PIN NAP、BUBBLES、原宿SmileCamp、POU DOU DOU、PUTUMAYO、BOY、Me-Meno、Momo、MONKI、merlot、Ray BEAMS、Wonderrocket and more!!

■SPONSOR (50音順)
ASOKO、Alice Age、an、shu uemura、ZOZOUSED、tutuanna、バンタンデザイン研究所、FUJIFILM、PRiSiLA、文化服装学院、MAGASEEK、L’ecole Vantan、Loretta

■SPECIAL THANKS (50音順)
Casualle rencontre、jagzzi、palette、5iVE STAR、FACT、Mo.up

■MEDIA PARTNER (50音順)
J-WAVE、スペースシャワーTV、TBSラジオ、テレビ朝日

■後援 (50音順)
渋谷区、原宿表参道欅会、原宿神宮前商店会、原宿竹下通り商店会

■主催
HARAJUKU KAWAii!! FES 2013実行委員会

■企画・制作
アソビシステム株式会社



幼少の頃東京観光で両親に連れられて明治神宮に来たのは別として、自分で初めて原宿を訪れたのは1978年頃。雑誌『ZOO』に広告が出ていた「SMASH」というパンク・ブティック目当てだった。駅から少し歩いた路地の小さな店だったが、所狭しとロンドン直輸入のTシャツやアクセサリー、ポスターやファンジンが溢れていてドキドキした。田舎育ちの高校生にとっては、ファッションショップに足を踏み入れるだけで舞い上がってしまい、興奮状態でクラッシュのTシャツとバッジを幾つか購入した。たぶん行ったのはその一度きりだと思う。その後ラフォーレでパンクのビデオコンサートが開催されたり、ホコ天がバンド・ブームのメッカになったり、イカ天ショップがオープンしたり、毎週末バンドの練習で通ったりしたので、オレ的には原宿=ロック・タウンは恋の街(色っぽい話はなかったけどさ)という印象。90年代は妖しいブティックや露店が並び、ロンドンのカムデンやアムステルダムの蚤の市のようなフリーマーケットの雰囲気があった。

21世紀に入り自然と足が遠のき、テン年代にきゃりーぱみゅぱみゅが登場するまで疎遠だったが、原宿ガールズにこの街伝統の自由で開放的な空気が継承されているのが素晴らしい。「カワイイ」を日本文化の象徴として世界に発信するHARAJUKU KAWAii!!は、オトナの押しつけではなく、街のコドモたちの自己主張を起点としているので、誠に痛快な説得力がある。外圧により強制的に門戸解放が成し遂げられ、浮世絵やジャパノイズのように海外の評価により自国文化の価値を教えられてきた我が国の歴史において、滅多に起ることの無い草の根からの文化革命運動を心から応援したい。

今年のHARAJUKU KAWAii!! FESは6つの会場を拠点に街全体を巻き込み二日間に亘って開催され約15000人を動員した。カワイイがテーマだから女子中心と思うかもしれないが、現場によっては熱い男子主導で異種文化交流が実践された。カワイイに先駆けてグローバルに拡散するゲーム/アニメ/ボカロ文化の聖地アキバとの共闘はオルグには欠かせない。



◆10月5日(sat)
入場パス引換で訪れたクエストホールは大混雑のカオス状態。無料フェスだから殺到してるのか、と思ったらエントランスでのPASSPO☆握手会の列だった。掻き分けて引換所で楽勝でパス代わりのトートバックを入手。派手なピンクでロゴが大きくプリントされ、普段持つのはこっ恥ずかしいが、この街ならば憚ることはない。早速クラブ系アクト中心のアストロホールへ向かう。他の会場は出入り自由だが、アストロホールはライヴハウスなのでドリンク代が別途かかる。

●くりかまき


アイドルDJユニット、くりかまき。フロアはほぼ全員ヲタ系男子。カワイイ女子は後列に佇んでいる。前半はDJセット。サカナクション、いきものがかり、Men With A MissionなどのJ-POPときゃりーぱみゅぱみゅ、Perfume、ももクロのアイドルソングに乗せてOi!Oi!と過熱する。J-POPの三大原則「盛り上げ・楽しませ・元気を与える」がエクストリームに実践されている。DJで盛り上げておいて、後半は歌と踊りのライヴセット。ますますヒートアップした狂騒状態に、クラブ仕様PAの大音量が油を注ぐ。この熱さは原宿や秋葉原じゃなくても場所を問わず通例に違いない。




その足でラフォーレミュージアムのでんぱ組.inc&中川翔子へ向かう。6Fの会場エントランスから階段沿いに入場待ちの列が続き、B1に達したところで、定員オーバーで入場不可とのアナウンス。開場1時間半前に入場規制になる状況に、こりゃあかんと作戦変更、クエストホールへ向かう。

●Una(ゆうな)


熱く萌えるアストロホール、入場規制のラフォーレミュージアムに比べ、クエストホールは空いてて居心地がいい。SPECIAL LIVEのトップは女性シンガーのUna。裏原宿のカリスマショップ出身の青文字系モデルとして活躍する彼女は8月に歌手デビューしたばかり。カワイイだけじゃなくクール&なセクシーな持ち味が、エレクトロな中にディーヴァ性のある歌にも発揮さている。クラシックバレエが得意という凛とした立ち振る舞いは、次世代カワイイ戦隊の精神的リーダーとしての可能性を秘めている。




●南波志帆


熱狂的ファンというわけではないが、時々無性にライヴが観たくなる、抵抗しがたい魅力を感じるアーティストがいる。バンドでは割礼、ノイズではメルツバウ、ジャズでは広瀬淳二、アイドルではバニラビーンズといったところだが、女性シンガーでは南波志帆にとどめを刺す。「乙女失格」というタイトルや写真が気になり、CDを聴いてウィスパーヴォイスに痺れた。初めて観たライヴで生声に魅了されると同時に、どこか不自然な振り付けとピントのズレたMCになんだこれ?と首を傾げた。イベントやフェスで何度か観るうちに、天然不思議キャラの中毒に。盛り上げ必至のJ-POP勢の中でひとりクエスチョン・マーク(&ザ・ミステリアンズ)の如く96粒の涙を撒き散らすSHIHO-Changを女神と崇める宿命に甘んじるしかない。




●ねごと


数あるガールズ・バンドの中でも何だかほんわかした曖昧模糊なイメージがあるのは「ねごと」という名前のせいだろうか?最初に聴いたときの印象は「何だかいい」というもの。大規模フェスのステージに立つ人気バンドにも拘らず、小さなライヴハウスの海外バンドの現場に全員で参戦し、ついでに本人手渡しビラ撒きしてしまうフットワークの軽さ。一生音楽大好き女子のトキメキが反映されている演奏の潔さ。「ファンタジックオルタナティブ」というキャッチが言い得て妙。新曲「シンクロマニカ」もノリのいいアニメ主題歌でファンタジック!




  

◆10月6日(sun)
この日のメインアクトはきゃりーぱみゅぱみゅだったが、前日の経験から断念し、一日クエストホールに居を定めることにした。

●アップアップガールズ(仮)


はじまりはアイドル・ステージ。日曜日なので前日より出足が早く、開演前に入場規制に。出る人がいれば入れるので、入り口で待つ。アップアップガールズ(仮)が始まってすぐに、気分が悪くなった女子が出てきたので会場内へ。後列までぎっしり、サイリウムが乱舞する典型的アイドル現場。Oi!Oi!コールが熱い。常に「いっぱいいっぱい」になりながらも「上へ上へ」目指していくアプガの上昇志向が眩しい。隣の胸に(仮)アプガTの少年がぴょんぴょん飛び跳ねる。ヲタに囲まれると非ヲタは肩身が狭い。




●PPP! PiXiON(ピピピ・ピクション)


一組終わると民族大移動するのが対バン・イベントの常。アプガ・ファンが一挙に退出し、多少呼吸がしやすくなる。PPP! PiXiONは結成1年に満たない出来立てほやほやのアイドル・グループ。中高生のメンバーは見るからに若い。若いだけにナイフのようなキレ味鋭いパフォーマンスが痛快。テーマパークがコンセプト、夢と希望の楽園を届けてくれる6人に心の琴線がピピピ!っと反応する。




●吉川友


「グループアイドル全盛時代にひとりで戦うきっかのわがままボディを褒めてください!」と吉川友本人は言うが、「楽屋がずっと一緒だった吉川友。 いつもソロだからなのか、大人数にずっとはしゃいでました笑 今後もわがままボディと絶妙なトークに乞うご期待!」とアプガが暴露ツイート。うんうん、寂しいんだよね~と人として慰めたくなるが、きっか「しーろくーろつっけない」⇒観客「カフェオーレッ!」のコール&レスポンスを武器にぼっちアイドル道を貫いてもらいたい。




●PASSPO☆


アイドル・ステージの〆は空と旅をコンセプトとするガールズロックユニット、PASSPO☆。激しいパフォーマンスにオーディエンスはアプガ以上の盛り上がり。PASSPO☆をプロ野球に例えると「楽天」と言われていたが、本家が見事リーグ優勝を果たした今こそ、PASSPO☆がアイドル界の天下取りする絶好のチャンス。原点回帰ナンバー「Growing Up」での爆発に期待したい。




●Una
アイドルに続き、モデル出身アーティストのライヴ・ステージ。アイドル・ファンがほとんど退場、原宿ガールズと入れ替わり、やっとカワイイ・フェスらしい雰囲気に。ステージ前は80%女子なので、ステージが良く見渡せる。前日に続きUnaが登場。持ち歌4曲をパフォーマンス。特にニュー・シングルのカップリング曲「スケーターガール」の♪スケボー・ボッ・ボッ♪というサビがツボ。

●Silent Siren


読者モデル出身バンド、Silent Siren(サイサイ)の原宿カワイイ女子の支持の高さは圧倒的。昨年末に体験した現場は男女半々で、どちらかと言えばアイドルノリ男子が目立っていたが、10カ月のうちに女子人気が急速に高まったことを実感する。デビュー以来のハピルン全開のステージは相変わらず元気いっぱい。場数を踏んだことでパフォーマンスへの自信と確信を持った4つの発光体は更なる高みを目指す。




●CREAM


最後の枠はJ-POP&バンド系SPECIAL LIVE。最初は1ヴォーカル&1MCからなるNEW J-POPユニットCREAM。ヒップホップ/ラップがJ-POPのセンターになったのがいつ頃なのか分からないが、スチャダラパーと小沢健二がマヘル・シャラル・ハシュ・バズもカヴァーした「今夜はブギーバック」をヒットさせた90年代に比べれば、ラッパーへの待遇が遥かに向上したのは間違いない。観客を踊らせ唱和させる流暢なラップとディーヴァ系女性ヴォーカルの組み合わせは、まさにJ-POP現在形を体現していた。




●ハナエ


存在としては南波志帆に似た非アイドルのソロ・シンガー、ハナエ。相対性理論が切り開いた新世代オルタナ・ポップの種子を宿しているが、オトナとコドモの中間の19歳のガジェット感覚溢れるアンバランスな存在感は唯一無二。シュールな歌詞とテクノな微笑で、聴き手のこころをワープさせる。




●Daichi


Daichiは全アーティスト中で唯一のピン男子。というか、シンガーでもミュージシャンでもないヒューマンビートボックスは、何処へ行ってもアウェー状態。生涯アウェー人生のDaichiにとっては起死回生は極自然の営みである。観るたびにため息モノの至高の芸術を旬のネタで聴かせる見事なパフォーマンスは、お金に代えることは出来ない最高のエンターテインメント。テレビやようつべで観ても凄さはわからない。是非とも現場で経験していただきたい。




●南波志帆
●ねごと

両者ともに二日連続出演。観客が多いこともあり、どちらもノリに乗ったステージを披露。南波ちゃんの不思議ぶりは5割増し。

●赤い公園


カワイイフェス@クエストホールのトリを務めるのは、原宿には殆ど来ることがないというオルタナ女子、赤い公園。変態チックであることが、好きな自分のままでいられる原宿スピリットにピッタリ。満場の観客から熱い歓声が起こる。彼女たちの強みは、予想不可能な展開の曲中に、覚えやすいポップなメロディーが貫かれていること、そして激しいアクションが独りよがりにならず、周りを巻き込む磁力を持っていること。後身のtricotにも通じるモダン・オルタナ精神が、時代のセンターになるのも時間の問題だろう。




   

[10/13追記]
★イベントすべての写真付レポートはコチラ

ハラジュクで
カワイイ人に
会いました

Freedommuneと並んで日本が世界に誇るべきフリー・フェスティバルである。
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倉地久美夫/マヘル・シャラル・ハシュ・バズ@東京キネマ倶楽部 2013.10.4(fri)

2013年10月06日 00時16分26秒 | 素晴らしき変態音楽


遠藤賢司


開演まで間があったので時間つぶしに立ち寄ったCDショップで偶然にエンケンのインストアイベントに遭遇。初期ライヴ集『遠藤賢司実況録音大全第一巻 / 完売記念 濃縮盤』の発売記念でトークに続いて2曲演奏。アコギ一本でバンドを蹴散らす強烈な演奏を聴かせた。三上寛、友川カズキと同じ一生現役フォーキーの真骨頂に痺れた。大森靖子との共演キボンヌ。






サウンド・ライブ・トーキョー
倉地久美夫+マヘル・シャラル・ハシュ・バズ




曲ごとにギターのチューニングをカスタマイズし特異な世界観を込める異能のシンガーソングライター・倉地久美夫、「弾き間違い」をも豊かで複雑な集団演奏に昇華する不定形にして神出鬼没のマヘル・シャラル・ハシュ・バズによる一夜限りのコンサート。
ゲスト出演:triola(波多野敦子vn、手島絵里子vla)+ 千葉広樹cb。

倉地久美夫


最近誰かに倉地久美夫をススメられた覚えがある。その時は角谷美知夫(腐っていくテレパシーズ)や渡邉浩一郎(まとめてアバヨを云わせてもらうぜ)のような夭折したアングラ音楽家だと思い込んだ。先日の「東京都初耳区」を企画したサウンド・ライヴ・トーキョーのチラシで倉地の名前を見て、存命どころかバリ現役のシンガーソングライターだと知った次第。福岡出身の倉地は、80年代半ば東京地下シーンや忘却のDDレコードや第五列で活動し、90年代には京浜兄弟社やOZディスク、高円寺円盤と連動した。菊池成孔・外山明とトリオも組んだというが、何故か今まで私の領海には侵犯しなかった。

初めて観る演奏は一見極めて正統派という印象。ギターのチューニングを曲ごとに変えるのは不可解だが、朗々とした真っ直ぐなヴォーカルや、細かい装飾音を交えたギタープレイに躊躇いは無い。歌い方はヒカシューの巻上公一とくじらの杉林恭雄の系譜に繋がる。しかし、波多野敦子vn、手島絵里子vla、千葉広樹cbの弦楽三重奏を加えた中盤から倉地の特異さが発揮される。エレガントなストリングスに包まれて場違いな程明朗で堂々とした歌声がくっきりと「浮いて」いるのである。近づいてステージ脇から観ると、遠目に楽々と歌っているように見えたのが、実は裸足の足を絶え間なく上下して全身でパフォーマンスしていることが判る。その迫力には鬼気迫るものがある。普段歌っている小規模のライヴハスだと倉地の身体から発するオーラがひしひしと空間を侵犯し、聴き手を圧倒するに違いない。特に小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」のカヴァーに篭められた空前絶無の情念に、80年代アングラ精神が脈々と息づいていることを実感した。




●マヘル・シャラル・ハシュ・バズ


倉地は80年代半ばに上京したばかりの頃、参加した即興イベントで工藤冬里にドヤされてトラウマになったという。工藤が80年代末に近所の若者を集めて結成したマヘル・シャラル・ハシュ・バズは、四半世紀の活動歴にも関わらず、まったく定義しようがない不思議なユニットである。よく言われる「究極のアマチュアリズム」「間違いから始まった音楽」という形容詞は当たらずとも遠からずという程度で、誰もマヘルとは何かを説明できないに違いない。そもそも工藤冬里自体が70年代半ばから地下音楽の中心で活動を続ける割に、今もって謎だらけの存在であり、本人も理解されたいと思っていない様子。たまに雑誌に掲載される工藤のインタビューは悪ふざけとはぐらかしと肩透かしの重ね塗りで、インタビュアーも解明する努力を放棄せざるを得ない。

90年代末から00年代半ばにかけて「歌もの」のオリジネーターとして国内外で高い評価を得たが、それもどこ吹く風で不確定スタイルで飄々と流転する。3.11大震災後は言葉への執心を全面に打ち出し、津波のような言葉の奔流がトレードマークになった。一方で工藤はマヘルを「劇団としての音楽」と位置づけ、気分次第でパフォーマンスを予想不可能なカオスに陥れる。実際に演奏が始まるまで誰にも何が起るか判らない。その不確定さが工藤とマヘルの魅力だと、ライヴに通い続けるファンも少なくない。

この日の演奏は、スクリーンに投射した詩を工藤が読み上げ、倉地を含む総勢12人のメンバーが即興演奏を繰り広げる、というスタイル。自由連想法や自由筆記に近いが、心理学のように隠された心の内面を暴き出す訳ではなく、ひとつの学問・学術・講義・教典には収まらない。書かれた文字をひたすら読み上げ、勝手に楽器を鳴らすだけの単純作業。唯一メロディのある「休日出勤」とスチャダラパーの「今夜はブギーバック」のカヴァーを除けば、どの場面も金太郎飴のように等価だった。砂を噛むような特異な空間が増幅中。笑みのひとつも浮かべずステージを凝視する400人の観客も異形である。マヘルとは異常発生病原体の感染源なのかもしれない。



★マヘル・シャラル・ハシュ・バズに関する証言:その1その2その3

不定形
隣は何を
定形外

発想を変えるしか無いね。
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Aural Fit/二階のマウンテン/解体飼育団@新宿URGA 2013.10.3 thu

2013年10月05日 00時47分34秒 | 素晴らしき変態音楽


山崎春美が9月22日池袋での出版記念トークショーで、その日の昼間坂口卓也のLAFMS関連イベントに顔を出したと語った。春に大阪ギャラリーノマルで開催された.es(ドットエス)のレコ発イベントで坂口がピナコテカ・レコードについてのトークショーを行う企画があり、是非とも行きたかったが都合がつかず断念。FBを通じて坂口に「ぜひ東京でも開催を」と要請したにもかかわらず、今回のイベントはノーチェックだった。せめて資料だけでも、とメッセしたところ、ちょうど東京に行くので会いませんか、と嬉しい返事、宿泊ホテルで待ち合わせすることにした。さらに夜に新宿URGAで知り合いのライヴがあるので行かないかとのお誘い。誰かと聞くと内田静男とのこと。あぶらだこの長谷川裕倫とのユニット長谷川静男で観たことがある。URGAのサイトをチェックすると、ASTRO=長谷川洋と共演で、対バンはAural Fit。これはナイスな組み合わせ。運命の巡りあわせに感謝した。

初めて会う坂口とは予想以上に話が弾み、LAFMSや80年代地下音楽の興味深い話をいろいろ伺った。手作りの小冊子も入手。来年夏に東京でLAFMS展開催の計画が進行中とのこと、楽しみでならない。そんな話をしながら先月UP-TIGHT&庭のライヴで5年ぶりに訪れたURGAに到着。2番手の内田のバンドがちょうど始まるところだった。

FLAG OF NOTHINGNESS 87
Aural Fit/二階のマウンテン/解体飼育団 (長谷川洋[electronics: a.k.a.ASTRO] 佐々木悟[as] 内田静男[b])/aka-jam feat.ジャジャ(スカラベリーズ)

●解体飼育団

(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

長谷川洋(ASTRO)がエレクトロ、内田がベース、佐々木悟がアルトサックスのトリオ。ドローンノイズが撒き散らされる中で、アルトが突き刺すように咆哮する。次第にASTROのスペーシーな電子ノイズが空間を侵食し、サックスとベースを飲み込んでゆく。寄せては返す波のようにトリオの演奏が絡み合い、ひとつの有機生命体のように脈動する。堅固なノイズの壁を作り出し、最後に壁を破壊するストイックなASTROの演奏スタイルとは違い、バンドならではの鼓動が脈打つしなやかな演奏が心地よい。

解体飼育団とは、80年代初頭に長谷川と佐々木ともうひとりで結成されたバンドの名前で、長谷川はドラムを担当、彼にとって最初のバンドだったという。29年ぶりにそのバンド名を冠したユニットで始動、この日が記念すべき初ステージ。これから本格的に活動する予定だというから、要チェックである。




●二階のマウンテン


対バン・イベントの楽しみは、未知のバンドとの出会いである。特にURGAはハードコアとノイズ系に特化しており、ユニークなアクトが多い。2nd Floor Mountainを名乗るこの男1女2トリオは期待以上の笑撃だった。石川浩二(元たま、現パスカルズ)似のベーシストはどこか見覚えがある。女性ドラマーの奔放なプレイも凄いが、何といってもぽっちゃり型ボディを曝け出す下着女性ヴォーカルの存在がカオス。デス声で叫びながら肉体をぷるぷる揺さぶる。こちらも貫禄ボディのベーシストもデス声で応酬。「ロッケンロー!カモン!」の連呼に笑いが起こる。下着嬢は以前は全裸を披露していたとの噂。

200%というデスメタル・バンドもやっている彼らの出演歴には、肉ミート・ザ・マム、ぬ界村、ANAL SECURITY SQUAD、膣痙攣、マグダラ呪念など名前だけで腰が砕ける謎のバンドが並ぶ。もしかしたら殺害塩化ビニール以上にコアなシーンなのかもしれない。




●Aural Fit


"LOUD PSYCHEDELIC ROCK SOUND"を標榜するAural Fitは水晶の舟、阿呆船、樋口寿人などと智に、ゼロ年代東京地下ロックシーンを牽引した。PSFのサイケ・コンピ『Tokyo Flashback』に参加し、海外でも高く評価された。2000年代後半のCD不況とネットの進化により地下シーンが崩壊しつつある中でバリバリ現役で活動する貴重な存在。5・6年前に観た覚えがあるが、その頃と寸分違わない轟音即興ロックに惚れ直す。特にパワー全開連打ドラムの迫力には、狂気の深淵に飛び込むことも厭わない鑢の魂の摩擦熱に焼かれる思いがした。

手加減・容赦といった言葉はAural Fitの辞書には存在しない。シーンがあろうがなかろうが、フォロワーがいようがいまいが、ロックに身を捧げた者の心の炎は永遠に消え去ることはない。




新宿と大久保の
間に横たわる
魂の崖っぷち

大都会の魔界転生に身震いした10月はたそがれの夜だった。
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たそがれの10月・秋の女子バン祭り~Perfume/SCANDAL/tricot/でんぱ組/ひめキュン/バンもん

2013年10月04日 01時09分35秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


Octoberの語源ははラテン語で「第8の」という意味の "octo"に由来する。紀元前46年まで使われていたローマ暦では、現在の3月が年始であり、3月から数えて8番目という意味である。日本名は神無月。「神は存在しないGod is not exist」ではなく、神な月(かみなづき/神の月)、または雷無月(かみなしづき/雷のない月)が語源である。ネ申は毅然としてここにおられる。

●10月の国(October Country)


"October Country"はSFの叙情詩人レイ・ブラッドベリの代表的短編集。邦題は「10月はたそがれの国」。松尾由美が「束の間の明るさが闇の深さをきわだたせるような作品集」と評したように、E.A.ポーの影響の濃い怪異と幻想と夢魔の世界がなまなましく息づいている。特に「疑いはない。ぜったいにまちがいはない。十月というふしぎな生きものがやってきたのだ!」と始まる病弱な少年と忠犬を描いた『使者』は、読者をタイトル通り不可思議な黄昏の国に誘い込む。昨年92歳で亡くなったブラッドベリの世界を秋の夜長に堪能するのもいいだろう。



ブラッドベリにインスパイアされたのが、ロサンゼルス出身のサイケバンド、オクトーバー・カントリー。1968年の唯一の作品『October Country』は叙情的で繊細な旋律、甘酸っぱさと切なさを感じさせるメロディ、透明感があり瑞々しいコーラスに溢れた秀逸なソフトロック。仕掛け人はWest Coast Pop Art Experimental Bandのマイケル・ロイド。ロイドはSidewalk Productionという如何わしい制作プロダクションで幾つもの架空のバンドを手掛けており、このバンドも実質はスタジオ・ミュージシャンの覆面ユニット説が根強い。Sidewalkには全米ポップス界一のインチキ・プロデューサー、キム・フォーリーも所属していた。サイケ・ポップの名曲「October Country」はロイド&フォーリーによる別の架空プロジェクト、The Smokeのアルバムにも収録されている。聴き比べるとオケがほとんど同じなので、使いまわしかもしれない。




そんな怪奇と幻想の10月に相応しい女子バンドの新作を紹介しよう。

●Perfume


Perfumeがレコード会社移籍後初の2年ぶりの新作アルバム『LEVEL 3』をリリース。タイトルの意味は本人たちも説明できず、逆にサイトでタイトルの定義を募集するという後付のわけわからん作戦がPerfumeらしい。一説によればLEVEL 1=「リニアモーターガール」(2005年メジャーデビュー)、LEVEL 2=「Dream Fighter」(2008年武道館ワンマン)、そして本格海外進出を果たした現在がLEVEL 3だという。年末には初の東京・大阪での2大ドーム公演も控え、難易度3にチャレンジする3人の歩幅が1mmというのも謙虚でよい。
  
(初回限定盤/通常盤/US通常盤)



★最新インタビューはコチラ(YAHOO!ニュース)とコチラ(ナタリー)


●SCANDAL


テクノアイドルに対抗するのがギャルバン女番長、SCANDAL。アルバム・タイトルが『STANDARD(標準)』というのもライバル意識の表れか。日本武道館、大阪城ホールと大舞台でのLIVEを即日ソールドアウト、アジア圏を中心とした海外ツアーも成功させる勢いを「やっと世界水準に追いついた」と定義する彼女たちもPerfumeと同じお謙虚ギャル。一方で「ガールズバンド、世界代表」と謳う勇気はバンド系雑誌の表紙総ナメの自信ゆえ。ストレートな歌謡ロケンローを衒いなく突き詰める4人は最近はやりのサブカル系オルタナ女子を圧倒する。
   
(初回限定盤/通常盤/渋谷丸井メンズ館)



●tricot


サブカルオルタナ女子の代表が京都出身のtricot(トリコ)。中嶋イッキュウ(v)、キダ先輩(g)、ヒロミ・ヒロヒロ(b)、Dr komaki♂(ds)の女3+男1の四人組。「おもしろい事がしたい、ゆとり教育世代! ゆとり世代の音楽を聴いてください!爆裂したい盛りです!」と新世代宣言。変拍子が炸裂する耳から離れない中毒性の高いサウンドと、可憐で繊細なヴォーカルが融合したカオス感は同世代の共感を呼んでいる。よかったね、赤い公園さん!君たちは孤独じ
 
(初回限定盤/通常盤)



★インタビューはコチラ

●でんぱ組.inc


アイドル村発、でんぱ組.incの新曲は今年1月の6thシングル「W.W.D(ワールド・ワイド・でんぱ組)」の第2章「W.W.D II」。ここまで赤裸々に歌っていいのか?と思うほど分かり易い痛い歌詞が涙腺を直撃する問題作。前作「でんでんぱっしょん」の明快なカタルシスを期待すると見事に裏切られる。この曲ででんぱ組を知った人は、なんて自虐的なアイドル!と驚くかもしれない。初っ端の「よっしゃぁ、いけないぞぉぉぉ......(泣)」でメゲなければ、ハッピーエンドへと走り出すお!となる。ALL FOR ONE, ONE FOR ALL!!という呪文の唱和によりLEVEL 3へレベルアップできるかも。REMIX盤に収録のBO NIGEN REMIXはBiS階段以上の極悪ノイズ炸裂で必聴!
   
(初回限定盤A/初回限定盤B/初回限定REMIX盤/初回限定ナゾカラ盤) 





●ひめキュンフルーツ缶


愛媛のご当地アイドル、ひめキュンフルーツ缶は『情熱、エモーション。~REAL IDOROLL GIFT~』でメジャー・デビュー。2011年のデビュー以来、PASPOO☆と並ぶロッキン・アイドルと定評のあるエモコア・チューンに磨きをかけた暴走サウンド満載。当初たくさんいたメンバーが引退し5人組にシェイプアップ、フットワークも軽く全国区に参戦したみかん娘。の活躍に期待。
 
(初回限定盤/通常盤)





●バンドじゃないもん


新メンが加わった新生バンドじゃないもんの初音源は「UP↑ぷらいむ/タカトコタン-Forever-」(ライヴ/イベント会場限定)。リリース・イベントを続ける中、オリジナル・メンバーの"かっちゃん"こと金子沙織が卒業を表明、4人となってしまったバンもんの全国流通シングル「雪降る夜にキスして」は12月リリース。ドラム女子の面目躍如のドカドカ・ナンバーを期待したい。




10月の
茜空に
馬肥ゆる

10月の歌、お誕生日に。



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THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのネ申ライヴDVD化!+『象物語』ロックとゾウのパオパオな関係

2013年10月03日 00時27分56秒 | ロッケンロール万歳!


解散から10年を経たロケンローレジェンド、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT(以下TMGE)が2003年9月25日に京都磔磔で行ったライブ映像が『BURNING MOTORS GO LAST HEAVEN II LAST HEAVEN TOUR 2003.9.25 at KYOTO TAKUTAKU』としてDVD化された。この解散ツアーのラストギグは幕張メッセに37000人動員したというから、その百分の一のキャパでのギグはすぐに伝説となりファンや関係者の間で語り草になっていた。とにかく90年代後半から解散までのTMGEの人気は凄まじかった。1998年のフジロックを含め何度か観た中で最も印象に残ったのは、フジロックと同年にMTV JAPAN主催で再開発中の湾岸地区の空き地で開催された野外フェス。ザ・シャーラタンズがトリを務めたフェスでトリ前に出たのがTMGEだった。会場でのアルコール販売がなく、散々文句を垂れてふてくされてた観客がTMGEの登場と共に一気に爆発し津波のように前へ押し寄せた。形だけの柵やフェンスはなぎ倒され、ブロック指定も何もなくなり、暴徒化したモッシュの渦はカオスそのものだった。シャーラタンズ目当てだった我々は呆気にとられたままそれを眺めるしかなかった。TMGE終了と共に殆どの観客は会場を去り、おかげでトリは最前列で楽しめた。



このDVDに収められたのはそれから5年後、突然の解散ショックが駆け巡る中でのステージ。熱狂を超えた狂騒状態が画面から熱波の如く伝わってくる。冒頭から休むことなく大きく波打つ観客の海。バンドのテンションも異常にハイ。記憶に刻まれた人生の忘れられないいち場面のように、TMGE12年のヒストリーに輝く記念碑に違いない。





【論考】ゾウさん(Elephant)が結ぶロケンローの輪
エレファントカシマシ


TMGEと並ぶゾウさんロックの雄が宮本浩次率いるエレカシ。結成・デビューはTMGEよりかなり早いが、年齢は2・3歳しか違わない。盛り上がる客を「うるせぇ」と一喝し、バカと毒づく宮本の切れキャラが、男の怒りのロックと評価されたが、徐々に内に籠る情念を吐露するようになり、怒りよりも男のロマンを歌って大ヒットする。日本のロックの頼れる兄貴的存在。難聴のため現在ライヴ活動休止中。初期の傍若無人ぶりは町田町蔵みたいでカッケー。




●ケイジ・ジ・エレファント


ケンタッキー出身の現役ロックバンドがゾウの檻ことCage The Elephant。個人的にはゾウの敬二と呼びたい彼らは2005年結成の5人組で、レッチリやメタリカらを手がける大手マネージメント=Qプライムに所属。フーファイ(Foo Fighters)、ストテン(Stone Temple Pilots)、ブラキー(Black Keys)、シルピ(Silversun Pickups)らとのツアーや、ロラパルーザ、ボナルー、フジロックなどのフェスに参戦。ステージ・ダイヴや壁をよじ登るなど当たり前のハイエナジー且つ過激なライヴ・パフォーマンスで知られる荒くれロックンロール・ハリケーン。2011年の2ndアルバム『Thank You, Happy Birthday』は全米2位の大ヒット、ローリング・ストーン誌の年間最優秀新人に輝く。間もなく3rd『Melophobia』がリリースされる。彼らにインスパイアされて日本にもエレカシ、TMGEに続くゾウさんバンドが登場することに期待したい。




●エレファンツ・メモリー


ちょっと古いが元祖ゾウさんバンド。60年代末にニューヨークで結成されたアングラ・バンドだったが、政治運動繋がりでジョン・レノンとオノ・ヨーコと交流し、1972年ジョン&ヨーコの『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』に参加し、そのままプラスティック・オノ・エレファンツ・メモリー・バンドとしてステージでバックを勤めることに。有名な1972年8月30日マジソン・スクエア・ガーデンでの「ワン・トゥ・ワン」チャリティー・コンサートにも出演し、その模様は1986年に『ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ』としてリリースされた。単体ではホーンを含む女性ヴォーカルのサイケデリック・ロックが心地よい。ジョン&ヨーコ・プロデュース作『エレファンツ・メモリー』(1972)は未CD化。




ーーーー続いてはゾウさんソング。ーーーー
●キング・クリムゾン


ゾウさんロックと聞いて真っ先に頭に浮かぶのが当時「再結成クリムゾン」と呼ばれた80年代前半ディシプリン期キング・クリムゾン。アメリカ人のエイドリアン・ブリューが参加し、変態ギミック・ギターと飄々としたヴォーカルを聴かせるラインナップは、「クリムゾンがトーキング・ヘッズ化した」と非難され、ジョン・ウェットンも英国人以外が参加しているこのラインナップをクリムゾンとして認めていない旨の発言をしている不遇の時期だが、当時の若いロック・ファンにとっては、プログレへの入り口だったし、MTVの影響で次々ポップ化する他の大物バンドに比べれば、真の前衛性を体現していたのは確かである。ブリューの人気と影響力は絶大で、プロアマ問わず多くのギタリストがトレモロアームとフランジャーを駆使してゾウの鳴き声を再現しようとした。私の得意技は、コーラスを2個かませたライオンの咆哮だった。




●トイ・ドールズ


元祖ファンパンクのトイ・ドールズは、ハードコア中心に政治色の高まるパンク・シーンに、Enjoy Punk Rock!と声高に宣言して、コミカルなルックスとサウンドで笑いをもたらした大バカものだった。「Yul Brynner Was A Skinhead」(ユル・ブリンナーはつるっパゲ)、「My Girlfriend's Dad's A Vicar」(俺のガールフレンドの親父は教区牧師)といった人を食ったタイトルのオリジナル曲もよかったが、誰でも知ってる有名曲のパンク・カヴァーが最高だった。デビュー・アルバムからの大ヒットが童謡「Nellie the Elephant」、邦題「ネリーだゾウ」。元気いっぱいの行進曲が面白く自分のバンドでカヴァーしてオープニング・テーマとして演奏していた。後にメンバーのオルガが今年結成25周年を迎えるロリータ18号のプロデュースをしたのも懐かしい。




●ストーン・ローゼズ


ゾウさんソングはクラブでも大ウケ。おマンチェの象徴、石と薔薇のSTONE ROSESが1988年にリリースしたのがゾウ石こと「エレファント・ストーン」。ニュー・オーダーのピーター・フック・プロデュースのカワイイ曲だが、エクスタシーをキメてクラブで踊る24時間パーチーピーポーにはマタタビの様な中毒性を発揮した。日本でもアゲ曲としてクラブDJ必携ナンバー。最近シューゲと並んで関連書籍の発行が続くマンチェ・スタイルが復活したら、押し入れの奥の当時の洋服が役に立つかも。




●少年ナイフ


大阪の脱力パンク娘。少年ナイフのデビューEP『Burning Farm』(1983)の収録曲が「象のパオパオ」。バナナ・フィッシュや亀の子タワシ、オウムのポリネシアなど非パンク的なテーマを歌った異色の手作りロケンローが海外で大評判になり、日本で一番無名な世界的人気バンドの地位を譲らず30余年、全日本ロケンロー御長寿バンド女性の部の優勝間違いなし。




以上の考察の結果、ゾウを歌うことのは海外での成功の大きなチャンスに結びつく可能性がある。ただし海外にうつつを抜かしている間に、日本国内での知名度・人気が急速にダウンする可能性があることを肝に命じていただきたい。ONE FOR ALL, ALL FOR ONE(一人はみんなのために、みんなは勝利のために)を心に刻んでロケンローに生きて死ぬのが夢です。

エレファント
ジャイアント
ペンダント

ぞうきんとは似てるけど別モノであう。ざんねーーーん!!!!!!!


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マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン/相対性理論@東京国際フォーラム ホールA 2013.9.30(mon)

2013年10月02日 00時57分20秒 | 素晴らしき変態音楽


DOMMUNELIVE PREMIUM "NEW TRACKS"
「my bloody valentine - World Premium Live with 相対性理論」

My Bloody Valentineが、バンド史上最も貴重な全席指定のホール公演を9月30日東京国際フォーラムホールAで行う!!!このワールドプレミアム・ライブを宇川直宏主催ファイナルメディア=DOMMNEが全面プロデュース!!!!!!! ケヴィン・シールズの要望に忠実に、DOMMUNEが独自のシューゲイザー・サウンドシステムをこの日の為に構築!!!!!!! ライヴ音響は、LIVE PAの草分けであり、日本最高峰サウンド・エンジニアの浅田泰が監修!!!!!!! My Bloody Valentineを存分に堪能するための完璧な環境作りで、一夜限りのプレミアムLIVEが現実のものとなる!!!!!!! また、NEW ALBUM「mbv」からの楽曲を中心に、新たにレコーディングを果たした未発表トラックの演奏も世界初パフォーマンス?!!!!!!! そして、日本からはNEW ALBUM「TOWN AGE」発売後、東京初ライブとなる相対性理論が、GUEST ACTとして新曲も盛り込んだライブを披露!!!!!!! この前代未聞のWワールドプレミアム"NEW TRACKS"は、未踏の音像世界を降臨させる為の"オルタナ儀式空間"になるだろう!!!!!!!
from DOMMUNE



ゴッド・オブ・シューゲの2月の単独ツアー、7月のフジロックに継いで、今年3度目の来日公演。最初に友人から聞いた時に幕張メッセと勘違いし、いくら何でも無茶!と思ったら国際フォーラムだった。それでもキャパ5000人。お客さん入るかなぁと余計な心配をしてしまった。蓋を開ければSOLD OUTでは無かったようだが、2階席後ろまできっちり入っていて、マイブラが人気ロック・バンドとして確実に認知されたことを実感。20年間の空白がバンドの地位向上に役立った稀な例である。

かく言う私は、オレ的再評価著しい相対性理論との対バンじゃなかったら行ったかどうか?宇川直宏が音響に拘った最高の環境を作ると言うのに期待を賭けるしかない。スタジオコーストでのホロコーストの衝動を再度味わいたくもある。JAPAN TIMESが今回の再来日の経緯を詳細に記事にしていて、次第に期待が募る。最後のラリーズ云々はともかくとして、宇川の心意気は大いに支持したい。不可能を可能にする時代に先鞭を切ったパイオニアの宣言である。

相対性理論


初めて観たのが2008年10月8日だから、出会いから5年経って初めてやくしまるえっちゃんの魅力に気づいた奥手なオレにとっては、萌え体験後の初ライヴである。座席は1階席後ろから4列目なので、表情どころかステージ上で何が行われているのかも判別できない。えっちゃんはクロに身を包んでいる様子。他のメンバーを含め、演奏中は殆ど動かない。後半dimtaktを操作しOPTRONかサイリウムのような光の明滅でノイズを操る魔法少女えっちゃん。大友良英らとのセッションでの人間味は発揮しなかったが、声のヤヴァさに脳内神経が麻痺。しかし、躍動的なリズム隊には感心したが、平坦な顔ナシ楽曲に堪えきれず舟を漕ぐ。立体的な音響の素晴らしさが心地よい眠りに誘ってくれた。えっちゃんの「耳栓、交換しよ」とのMCで目を覚ます。ワンマン「幾何 I」に行くかどうか迷うところではある。



●相対性理論 Setlist
1. キッズ・ノーリターン
2. 上海an
3. YOU&IDOL
4. BATACO
5. 帝都モダン
6. ムーンライト銀河
7. たまたまニュータウン


●マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン


30分の休憩中に、映像投射用のスクリーンが用意される。驚くのはギターアンプの山。ざっと数えただけで100ワットのマーシャルが10台以上積まれている。最近はヘビメタでもない限りこんなアンプの山を見ることは無い。照明がついたままのステージに黒い人影が現れる。ゆっくり楽器を構え、ハローとひと言、ドラムのカウントで演奏開始。コースト同様ギターの音が大き過ぎてヴォーカルが聴き取れないが、PAは最高なので、これが彼らの意図通りなのだろう。スタジオコーストは満員電車並みの混雑だったので、ゆったり座って観れて贅沢な気分。



次第に音が整理され聴き易くなると同時にヴォリュームもアップする。徐々に絶頂へ導く巧みな愛撫に脱力。新曲中心の中間部は正直言って眠くなったが、「This is the last song」とのMCについに来たよ!という安堵と不安に入り交じった緊張が会場中に走る。疾走ガレージロック・チューンを二周りやったところでスイッチオン。ゴゴゴゴというストームが遠雷のように鳴り響く。最初はこの程度?という音量だが、雷が近づくように徐々に圧力が増し、厚いクッションのような音波に全身が包まれる。空気の重みを肌で感じるが耳栓は必要ない優しい轟音。ステージ上では4人がPAから出る音とは無関係な動きを繰り返している。夢の中で壊れかけのテレビの画面を眺めているような気がする。目を瞑り音の毛布に潜り込むと、途端にビートが浮き出て遠い昔に聴いた覚えのあるリフが始まる。トンネルを抜けたら、そこはロックだった。この至福体験は、レコードやCDやDVDでは体感不可能。文字通りライヴそのものの生命体験(LIFE EXPERIENCE)に「生きてて良かった」と思えた奇蹟の夜だった。



●My Bloody Valentine Setlist
1.Sometimes
2.I Only Said
3.When You Sleep
4.New You
5.You Never Should
6.Honey Power
7.Cigarette in Your Bed
8.Only Tomorrow
9.Come in Alone
10.Only Shallow
11.Thorn
12.Nothing Much to Lose
13.Who Sees You
14.To Here Knows When
15.Wonder 2
16.Soon
17.Feed Me With Your Kiss
18.You Made Me Realise

★マイブラのケヴィン・シールズ、もっと作品を作っておくべきだったと後悔してると語る→コチラ

生命は
無駄に使って
構わない

<JAPAN TIMES 9/25記事日本語訳>
DOMMUNEは、マイ·ブラッディ·ヴァレンタインのギグで新たな方向性を探る
文・ジェームス・ハドフィールド



ノイズ - 広大な、包み込むノイズ -が、 マイ·ブラッディ·ヴァレンタイン(以下MBV)の音楽の中核にある。「ユー・メイド・ミー・リアライズ」の途中で四人は単一コードの攻撃で、感覚を撹乱するディストーションの嵐に巻き込む。1988年録音のシングル・ヴァージョンでは、この「ホロコースト・セクション」はわずか40秒間だけだったが、ライヴでは30分に引き延ばし、音量は130デシベルにも到達することで知られている。

それは単に大音量でプレイするということだけではない。1988年から1991年の僅か3年間の短い全盛期にインディーロックを再構成してしまったMBVは、音響について執拗なまでに凝り性であることで知られる。1991年の傑作『ラヴレス』は、メロトロンや渦巻く大嵐のようなギターの音を作るために、非正統的な演奏テクニック、エフェクト・ペダル、サンプラーやスタジオ実験を駆使した作品だが、そのテクスチャーを再現しようと数十年を費やしてきたバンドは他にはいない。

再結成したバンドが2008年にフジロック・フェスティバルのヘッドライナーで出演したときは、サウンドッチェックに前夜遅くまで費やした。今年再度フェスで演奏したときは、きちんとした事前準備なしにステージに立ったため、彼らの強力なソニックが薄っぺらく弱々しい泣き声に減少され、酷いものになってしまった。「ニュー・ユー」のとりわけ情けない演奏のあとに、グループの事実上のリーダーのケヴィン·シールズは、ステージ上では沈黙を守るという慣習を破り、「今のヴァージョンは最低最悪だ」と述べた。

「他のバンドと一緒に出演するフェスティヴァルでは、望む通りの正確なセッティングを得ることはできない」と浅田泰は述べる。彼は1970年代初頭にサイケデリック・ロッカー、フラワー・トラヴェリン·バンドのレコーディングで忙しく高校を落第した経歴を持つベテランのサウンドマンで、MBVの今回の日本公演がもっと上手く行くようにすることを任務付けられている。 「8月中旬以降、このために準備してきた」と彼は認める。

今年3回目の来日となる今回のコンサートでは、 日本のメタ·ポップ·アクト、相対性理論をサポートに、9月30日東京国際フォーラムで5000人の着席の聴衆に向けて演奏する。『ラヴレス』の長時間経った次作である今年の『m b v』に収録されていない新曲の初披露を含む興味深いショーが予定されている。

浅田は、ギグに於ける自分の役割を船大工に喩えて説明する。 MBV側のエンジニアがショーの間にサウンドデスクに専念する一方で、浅田は8月中旬から、機材を調達し、スタッフを捜し、コンピュータ・シミュレーションを行い、 最適な動作環境が確実に得られるよう準備してきた。「現場ではMBVのエンジニアが実権を握るが、私はそれを操縦し易い簡単な船にしておきたい」と彼は言う。



公演は既存のプロモーターではなく、オンライン・ストリーミング・スタジオのDOMMUNEが主催する。平日夜放送のDOMMUNEは、政治的な議論から、国際的なDJによるゲスト・セットに至るまで、今、東京で起こっている最もエキサイティングなものの一つである。千葉の幕張メッセで募金のための無料オールナイト・イベントFreedommuneを二年に亘り開催してきたが、今回はDOMMUNEが主催する初の通常公演になる。

「Freedommuneからは収入を一切得ていない 。すべてを災害救援に使った」。 DOMMUNEの創設者であり、マルチメディア専門家の宇川直宏は言う。「それを続けていく限り、 DOMMUNEは一切お金を稼ぐことは出来ない。来年もフェスティヴァルを開催するには、ビジネスとしての行動を開始する必要がある。すなわち他のイベントをオーガナイズする、と言うことだ」。

宇川は、 7月にFreedommuneが行われた頃、MBVの公演に関してアプローチを受けた。他のプロモーターから断られたのである。「 ケヴィン·シールズは、日本で最適なサウンドが得られる場所でショーをしたかったが、今年3度目の来日公演なので、オーガナイズしようとするプロモーターを見つけられなかったんだ」と彼は言う。 「日本の音楽界は、既存のシステムが確立されており、新しく参入することは難しい。しかしDOMMUNEは、それが可能だということを証明した。二度のフリー・フェスティヴァルを成功させ、サウンドも良かったので、我々に話が来たんだ」。

宇川は、2006年に渋谷にMixroofficeという秘密クラブを設立して以来、サウンドマン浅田と共同作業してきた。 このPAの教祖はDOMMUNEの重厚なインハウス・サウンドシステムを応用し、テクノDJから、J-POPプロデューサー小室哲哉から、サイケデリック実験主義者のボアダムスと91人のドラマー による壮大な音響儀式(これは、当然のことながら、浅田にとって最大のチャレンジとなった)まで幅広い範囲の出演者のキャストによる二度のFreedommuneフェスでサウンドの総監督を務めた。

「典型的なDOMMUNE風にするために何ができるかを考えたとき、音に全てがあることに気づいた」と宇川は述べる。彼は今回、とても特別なことを約束する。「MBVのライヴでは、入場者に耳栓が配られる。ノイズが大き過ぎる場合にオーディエンスが使えるように。それは保険やシートベルトのようなものだ。しかし、今回は人々が耳栓の必要なしに、座ったまま轟音の中に耽溺できるショーにしたかった」。

宇川は、大きなノイズを表すふたつの日本語を区別する。爆発の音を意味する「爆音」と、あらゆる雷鳴を包括する「轟音」。彼はMBVのショーでは、後者を目指している。 「ジェットエンジンよりも大きな音だろうが、耳に心地良い音」と彼は言う。「 それをみんなに体験して欲しい」。

「もちろん、最後には耳鳴りがするだろう」と浅田はいたずらっぽく付け加える。決して最もヘヴィなバンドとは言えない相対性理論とMBVとの共通点は、と問われて、宇川の応えは「何もない」という率直なもの。1998年の『ラヴレス』再発盤と昨年の『EP's1988-1991』コンピのライナーノーツを書いた音楽ライター伊藤英嗣に同じ質問をしたら、ふたつのバンドは共に「パンクまたはポストパンクのアティテュード」を持っている、と答えた。「相対性理論の最初の(ミニ)アルバム『シフォン主義』は、パンク、ポストパンク、80'sインディー/オルタナティヴ・ミュージックの彼ら自身の解釈だと思う」と伊藤は言う。「それはMBVにも当てはまる」。



もちろん宇川は、少なくとも5000人キャパの会場をソールドアウトする助けになる、相対性理論の出演に満足しているが、もともと心の中では別のバンドを想定していたことを認める。「MBVが好きな人は間違いなく裸のラリーズを気に入るはず」。この長期間活動していない日本前衛ロック・バンドを、灰野敬二やハイライズ、ボリスなどのサイケデリック・アーティストの影響源として語る。「二つのバンドの雷を組み合わせたいと考えていた」。

裸のラリーズがは1996年以降プレイしていないし、リーダー水谷孝にはFAXでしか連絡がとれない(「FAXだよ!」信じられない、とばかり宇川が繰り返す)ことは気に留めず、次のコンサートは間違いなく彼らをフィーチャーする、と強調する。これを記事に書いてもいいか、と尋ねた。結果として、水谷が読むかもしれない。

「ああ、読んで欲しいね」と彼は言って笑った。

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屹立ロケンロー&屹立エグジスタンス(存在)そろい踏み~Drop's/灰野敬二 2013.9.29(sun)

2013年10月01日 00時14分45秒 | 灰野敬二さんのこと


●Drop's


「NEW TOWER GENERATION 2013」
出演:Drop's / THE NAMPA BOYS / ドラマチックアラスカ / トレモノ
@CUTUP STUDIO(タワーレコード渋谷店B1)

タワーレコードおススメの新人バンドを紹介するライヴシリーズNew Tower Generation三大都市ツアーの最終日。出演バンドの最新CDを購入すれば無料で観られる。本年度上半期、あまちゃんよりもハマった札幌女子ブルースロックバンドDrop’sを初体験。7月のヴォーカルの中野ミホのアコースティック演奏は衝撃的だったが、フルメンバーで観るのは、憧れの学園のマドンナと非現実(非合法)的なデートをしているような感動に包まれる。

赤い水玉ワンピのミホの堂々とした歌やマラカスを振る姿に悶えもしたが、他のメンバーが心の底から楽しそうにパフォーマンスに陶酔する様子が実に新鮮だった。理想のロケンローを演るために全身で歌と演奏に打ち込む5人はエレキギタアを初めてアンプにつないで音が出た時の一瞬の感動をずっと保ち続けているに違いない。それは皆で一緒に音を出したときの興奮であり、オリジナル曲が見事にキマッた時の歓びでもある。よく言われる初期衝動とは微妙に違うような気がする。「初期」だけではなく「いつでも」ある(はずの)閃きと熱狂。それを感じられるのはひとつの才能である。一生感動しながら生きることが出来れば最高だろう。Drop’sのイノセントな感受性の曙光(Dawn)の前では、「盛り上げ・楽しませ・元気を与える」というJ-POP三大命題も退散せざるを得ない。

あまりに無垢な5つの魂は、指さしケチャ(指さしポーズの片腕を掲げて前後に振るノリ方)の似合うJ-Rockバンドに囲まれても全く動じることなく屹立していた。




●灰野敬二



「東京都初耳区」
サウンドインスタレーション: モノlith
ライブ: 鈴木昭男、イチオン、A.N.R.i.、電子海面、灰野敬二
@六本木 Super Deluxe

時代を切り開き続ける音楽家達と未だ見ぬ才能を秘めた新人達の表現が交差し、躍動する未知の一夜が実現!
この日「東京都初耳区」は新しい未来へと続く音楽の解放区として誕生します。



東京文化発信プロジェクト、サウンド・ライブ・トーキョー、東京クリエイティブ・ウィークスといくつかのキーワードを冠して開催中の一連のイベントのひとつ。サイトやフライヤーを見てもいまいち全体像およびイベントの相互関係が分からない。前売チケットは購入していなかったが、Drop’sが早く終わったので駆けつけた。入場時に配布されたフライヤーに不失者ワンマンの告知があり興奮する。スーデラは満員。シンセ・トリオがアンビエントな電子音を奏でている。

ミュージアムのようなクールでインテリジェントな雰囲気の中、ラストの灰野敬二がハーディーガーディーを抱えて登場。エフェクターを並べたテーブルの後ろに座り、照明が落ちると同時に黒い砲丸型ボディの端のハンドルを回す。仄かなギイィィという摩擦音が流れ出し、空間に拡散していく。DJの時と同様に灰野本人の激しいアクションがない代わりに、ミラーボールが無数の水玉で会場を彩る。光を目で追うとまたもや幽体離脱しそうになるが、今回は何時間も続くわけではないので、魂はかろうじて頭蓋に留まったまま。ホイルで弦をミュートさせる掟破り奏法も炸裂。一台の楽器からオーケストラを思わせる多重旋律が流れ出すさまは、やはりギターやエレクトロやDJと同じ灰野敬二の世界。最後は立ち上がってシンバルと銅鑼を持ってパーカッション&ダンス。暗闇で踊り跳ねる影は異界の降霊の儀式さながらだった。

灰野と同じくゲスト参加の鈴木昭雄を含め、他の出演者は観ていないが、終演後の会場のざわめきには、屹立する灰野の存在感に浄化されたような残響が漂っていた。






屹立は
STANDING TALL
TOWERING

ただし、「屹立」「孤高」のひとことで灰野敬二を語ることは、人間としての思考能力の放棄に他ならないので心してほしい。

●灰野敬二 Live Schedule
Peter Brötzmann & Keiji Haino
2013.10.07(Monday) Keiji Haino: SOLO@Barnevelder Movement/Arts Complex, Houston,TX
2013.10.09(Wednesday) Peter Brotzmann/Keiji Haino: DUO@Rice Media Center, Rice University,Houston,TX

FUSHITSUSHA
2013.10.26-27 Keiji Haino project@Skanu Mezs(Riga,Latvia)
2013.10.28(Monday) FUSHITSUSHA@Corsica Studios(Units 4/5, Elephant Road SE17 1LB London, UK)

2013.11.09(土) 静岡騒弦 「spin excitation」 出演 opening act 伊藤大樹 headliner 灰野敬二
2013.11.21(木) 六本木 Super Deluxe 不失者ワンマンライブ
2013.11.25(月) 新宿 PIT INN 『やんてらの企画Vol.10』 酒井俊vo 灰野敬二vo,g 瀬尾高志b
2013.12.05(木) 高知 カオティックノイズ "CHAOTIC NOISE" 七周年記念暴走夜 [WALK ON THE WILD SIDE!!] 灰野敬二
2013.12.13(金) 秋葉原 CLUB GOODMAN SANHEDOLIN:灰野敬二/ナスノミツル/吉田達也
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