A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

Aural Fit/二階のマウンテン/解体飼育団@新宿URGA 2013.10.3 thu

2013年10月05日 00時47分34秒 | 素晴らしき変態音楽


山崎春美が9月22日池袋での出版記念トークショーで、その日の昼間坂口卓也のLAFMS関連イベントに顔を出したと語った。春に大阪ギャラリーノマルで開催された.es(ドットエス)のレコ発イベントで坂口がピナコテカ・レコードについてのトークショーを行う企画があり、是非とも行きたかったが都合がつかず断念。FBを通じて坂口に「ぜひ東京でも開催を」と要請したにもかかわらず、今回のイベントはノーチェックだった。せめて資料だけでも、とメッセしたところ、ちょうど東京に行くので会いませんか、と嬉しい返事、宿泊ホテルで待ち合わせすることにした。さらに夜に新宿URGAで知り合いのライヴがあるので行かないかとのお誘い。誰かと聞くと内田静男とのこと。あぶらだこの長谷川裕倫とのユニット長谷川静男で観たことがある。URGAのサイトをチェックすると、ASTRO=長谷川洋と共演で、対バンはAural Fit。これはナイスな組み合わせ。運命の巡りあわせに感謝した。

初めて会う坂口とは予想以上に話が弾み、LAFMSや80年代地下音楽の興味深い話をいろいろ伺った。手作りの小冊子も入手。来年夏に東京でLAFMS展開催の計画が進行中とのこと、楽しみでならない。そんな話をしながら先月UP-TIGHT&庭のライヴで5年ぶりに訪れたURGAに到着。2番手の内田のバンドがちょうど始まるところだった。

FLAG OF NOTHINGNESS 87
Aural Fit/二階のマウンテン/解体飼育団 (長谷川洋[electronics: a.k.a.ASTRO] 佐々木悟[as] 内田静男[b])/aka-jam feat.ジャジャ(スカラベリーズ)

●解体飼育団

(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

長谷川洋(ASTRO)がエレクトロ、内田がベース、佐々木悟がアルトサックスのトリオ。ドローンノイズが撒き散らされる中で、アルトが突き刺すように咆哮する。次第にASTROのスペーシーな電子ノイズが空間を侵食し、サックスとベースを飲み込んでゆく。寄せては返す波のようにトリオの演奏が絡み合い、ひとつの有機生命体のように脈動する。堅固なノイズの壁を作り出し、最後に壁を破壊するストイックなASTROの演奏スタイルとは違い、バンドならではの鼓動が脈打つしなやかな演奏が心地よい。

解体飼育団とは、80年代初頭に長谷川と佐々木ともうひとりで結成されたバンドの名前で、長谷川はドラムを担当、彼にとって最初のバンドだったという。29年ぶりにそのバンド名を冠したユニットで始動、この日が記念すべき初ステージ。これから本格的に活動する予定だというから、要チェックである。




●二階のマウンテン


対バン・イベントの楽しみは、未知のバンドとの出会いである。特にURGAはハードコアとノイズ系に特化しており、ユニークなアクトが多い。2nd Floor Mountainを名乗るこの男1女2トリオは期待以上の笑撃だった。石川浩二(元たま、現パスカルズ)似のベーシストはどこか見覚えがある。女性ドラマーの奔放なプレイも凄いが、何といってもぽっちゃり型ボディを曝け出す下着女性ヴォーカルの存在がカオス。デス声で叫びながら肉体をぷるぷる揺さぶる。こちらも貫禄ボディのベーシストもデス声で応酬。「ロッケンロー!カモン!」の連呼に笑いが起こる。下着嬢は以前は全裸を披露していたとの噂。

200%というデスメタル・バンドもやっている彼らの出演歴には、肉ミート・ザ・マム、ぬ界村、ANAL SECURITY SQUAD、膣痙攣、マグダラ呪念など名前だけで腰が砕ける謎のバンドが並ぶ。もしかしたら殺害塩化ビニール以上にコアなシーンなのかもしれない。




●Aural Fit


"LOUD PSYCHEDELIC ROCK SOUND"を標榜するAural Fitは水晶の舟、阿呆船、樋口寿人などと智に、ゼロ年代東京地下ロックシーンを牽引した。PSFのサイケ・コンピ『Tokyo Flashback』に参加し、海外でも高く評価された。2000年代後半のCD不況とネットの進化により地下シーンが崩壊しつつある中でバリバリ現役で活動する貴重な存在。5・6年前に観た覚えがあるが、その頃と寸分違わない轟音即興ロックに惚れ直す。特にパワー全開連打ドラムの迫力には、狂気の深淵に飛び込むことも厭わない鑢の魂の摩擦熱に焼かれる思いがした。

手加減・容赦といった言葉はAural Fitの辞書には存在しない。シーンがあろうがなかろうが、フォロワーがいようがいまいが、ロックに身を捧げた者の心の炎は永遠に消え去ることはない。




新宿と大久保の
間に横たわる
魂の崖っぷち

大都会の魔界転生に身震いした10月はたそがれの夜だった。
コメント
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