おぢのニセコ山暮らし

山暮らしと世間のあれこれを書き綴ります

郵政民営化法案の本質とは

2005年10月12日 | Weblog


郵政民営化法案が衆院を通過し、参院での審議が始まった。
小泉チルドレンはお勉強会で「これで郵政民営化法案がよくわかりました」とバカタレな発言をしておった。
法案の内容判らんで、賛成して、当選かい、呆れて口あんぐりじゃ。

一方、反対派のジャンヌダルク、野田聖子はゴロンと寝返って「賛成」だと。
根性なしめ!!チ○ポコ付いてんのかい?
あっ、元々ないかぁ!?

その点、同じ反対派でも平沼赳夫は男を上げた。
郵政民営化反対で当選したんだから、当たり前といえば当たり前。
とはいえ、みっともない連中がぞろそろ出てくると、カッコよく見えてくるから不思議だ。
「主義主張に殉ずる」ってのがまともな政治家。
野田聖子のみっともなさが際立つね。

さてその民営化だ。
ニッポン人こぞって「改革しきゃ」と思っておるのは、おぢも含めて間違いない。
ただし、今回のこの法案が100点満点の20点でしかない理由の一端は以下の通り。
お暇な方だけ読むように。
長いのよ…




民営化後の新会社の大きな問題点の一つは、この会社が巨大過ぎること。
なにせ郵貯の残高は、4大銀行グループを合わせた預金残高に匹敵する超ド級。
民営化しても、民主党が「分割すべき」といった理由に、この民営化後の巨大銀行出現による「民業圧迫」の問題がある。

世界的に例のない巨大な国営金融機関を、適正な規模に圧縮する必要がある、というのが当初の出発点。
しかし、そうはならなかった。
なぜなら、自民党内で反対派を取り込むため、民営化しても、実質的に現在と同じ郵便局の姿を維持するように、法案が修正されたからだ。
つまりは「ずるずるの妥協で骨抜き」の法案になっちゃった。

国鉄民営化の際は、JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州に6分割された。
道路公団の民営化でも、6分割された。
もっとも、道路公団の場合、道路族議員や国土交通省の抵抗で「改革」は骨抜きだがね。

今回は、郵便は日本郵便事業会社、貯金は郵便貯金銀行、簡易保険は郵便保険会社、郵便局は郵便局会社に分けて民営化するのが建前だ。
だけど、国がすべての株式を持つ「日本郵政会社」を設立、この四つの会社を子会社にしてスタートするという。
スリム化も、効率化もサッパリ進んでおらんのよ。

しかも、今回の郵政民営化法案では、2007年度にやっと民営化が行われ、その時点では政府が100%の株主というヘンチクリンな民営化にしか過ぎない。
本来トットと行うべき「改革」を、民営化後の「市場原理の作用待ち」に先送りするものだ、という見方もある。

一方、郵便保険(簡保)もかえって肥大化する“焼け太り”も心配されている。
簡保の資金量を表す総資産は、いまでも4大生命保険の合計とほぼ同じというから、こちらも超ド級。

竹中大臣は「民営化後は、運用できない預金を集めなければいい。それによって適正規模になる」と言うけど、眉唾じゃ。
リストラ恐れる元公務員の郵政社員は、しゃかりきに頑張って金を集めるんじゃないの?

また、「天下り禁止」もこの「郵政民営化法案」には盛り込まれていない。
したがって野放図な天下りが横行することになる。
民営化にあたって、「天下り禁止」を盛り込まないのは、法案を「官僚に丸投げ」した結果じゃね。

日本郵便逓送(赤い郵便局の車にはNITTEIと書いてある)という会社は、ほぼ独占的に郵便の配送を行っているという。
この日本郵便逓送と同社が出資する会社が全国に15社あるそうだ。
これらの取締役・監査役計約80人のうち、半分以上は郵政OBだという。

「国が民間に事業委託するのであれば、競争入札が当然だ。
安定輸送を言うなら国営事業にすべきで、天下りを多数受け入れているファミリー企業に独占させるのは論外。
透明性が求められる民間委託について、請け負う企業に発注する側の役人が天下っていること自体が異常なことで、こうした体質が事業を硬直化させ、コスト増に結び付いている」と松原聡・東洋大学教授は言う。

そもそも、政府の債務(借金)の4割近くが郵貯・簡保の資金だ。
つまり、郵貯・簡保という皆さんの「家計」からお金を集めて「政府」に貸すという構造だ。
その資金をどうやって民間に流れるようにするのか、その手順がさっぱり明確になっていない。
「官から民へ」は正しいが、それをどうやってやるのか、まるで決まっていないというお粗末さだ。

2007年度、郵貯・簡保では「財投債」の直接引き受けが終了し、自主運用に切り替わりるという。
これを額面どおりに受け取れば、資金の流れは変わるんでないかなぁ~という気もする。
つまり、国の借金だけを買うんじゃなくて、自分たちでも自由に運用できるようになるんだね。

もちろん、それに合わせて、特殊法人や国の改革が行なわれて、行政のスリム化で小さな政府に変身できるならば、郵貯・簡保の資金も、民間に流すことできる。
だけどこの最も大事な「小さな政府」への具体的な道筋が、全く見えていない。
小さな政府への道筋が見えない中で、民営化による郵貯・簡保の資金の流れが、はたして変えられるかねぇ。
無理だわなぁ。

一方、郵貯・簡保資金を実際に民間で運用することになったとき、本当に民間金融機関として利益が上げられるのかも、大問題だ。
なにせ「金融」に関しては元公務員につき、大ド素人集団なのだ。
郵貯・簡保の民営化はいいけど、巨大銀行をド素人集団が運営できるもんかねぇ。
その道筋さえ、キチンとしておらん。
あまりに乱暴だ。
大銀行が何も文句を言わないのも、「元役人に何ができるの」と思っておるからだ。

仮に無理をして国債や地方債などを売却すれば、金利が急騰し、経済に悪影響を与えかねないという問題もある。
ことほどさように、むにゃむにゃ、わけわからんままの郵政民営化法案なのじゃ。

最後に、郵便の民営化だ。
郵便は民営化の大先輩、米国でも国営だ。
フランスでも、ドイツでも国営だ。

民主党は「郵貯・簡保は民営化」し、「郵便は国営」と言っておった。
だれも知らんがね。
結果的にはニッポン国は世界でもあまり例のない郵便システムを持つ国となる。

民主党は今回選挙で、こうした法案の不備を追求するつもりだったけど、小泉あんちゃんの「民営化法案反対=民営化反対」の図式に乗せられて大敗した。
岡田あんちゃんも大スーパーチェーンの息子にしては、庶民の空気を読めぬ甘ちゃんのタコスケじゃった。

自民党の大勝利で民営化は既定路線となった。
しかし民営化の中身についてはさっぱり見えない、のが実情だ。
完全に民営化される予定の10年先、何がどう変わっているものやら、だれも見当がつかないのがこのお粗末法案の実態さ。