グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

地球はガラス

2013年10月13日 | ツアー
今日は大手の進学塾の先生達が来年以降の下見もかねて、ツアーに参加してくれました。

歩きはじめた時から「すげ~!」を連呼し、メチャメチャ楽しそうでした。

道ばたの溶岩を手に持って「軽い~」と、この笑顔です。

そして歩きはじめから「いいね!」と思うポイントが、全員一緒でした。
たとえばこの景色。

ゴツゴツ溶岩とススキが上下に並んでいるなぁ~と思っていたら、お2人も写真を撮っていました。

小さな植物やキノコにも足を止めて観察していました。
5mmぐらいの真っ赤なキノコ。

「かわいい!」と、全員の意見が一致しました。

盛りを過ぎたナンバンギセルの花も、自ら見つけてしっかり観察。

「男の人たちなのに、ずいぶん小さな植物やキノコに興味があるんだなぁ~」と思っていたら、
1人は美術系を教えているとのこと。

「〇〇の方法で押し葉にすると、きれいに色が残るんですよ。
「でも、これだけ色々なものがあれば、ただスケッチするだけでも楽しいかも。」

2人の会話は「どうやって子ども達に目の前の素材を使って楽しく学ばせるか」ということに行き着きます。

休憩時間には、溶岩をひっくり返り返してイタドリの根の観察。

「すごい!本当に水滴がついてる。こうやって水を吸うんだ。」byお客様。
「え?、水滴がついてますか?どれどれ?」by私。

「ついてますよ、ほらここ!」

指し示されたペンの先には0,2mmぐらいの水滴が確かに存在しました。
ものすご~く小さくて、「ここ」と言われて見ても、なかなか見えてきませんでした。
(イタドリの細い根に乗った小さな小さな水玉、見つかりますか?)

細い根は,こんな小さな水滴を取り込んで行くのですね。
スゴイ観察力です!脱帽~。

お2人の実験&観察は続きます。
三原新山の下の窪地で…

「こだまするかな?ヤッホーって言ってみよう。」

「ヤ~…」
ちょっとだけ、こだましました。

火口でも…
「ヤ~…」

ここでも木霊が返ってきました。

でも一番キレイに木霊したのは山腹の割れ目火口でした。
火口によって木霊の響き方に違いがあるということを、今日初めて認識しました~。

遠景の景色の中にも、色々見つけてくれました。
ススキの山の真ん中にスクッと立つ、孤高の(?)オオシマザクラ。

「存在感、ありますね。」
確かに!(写真、わかりにくくてスミマセン)

「あれ、何の木ですか?『この木何の木』みたい」
確かに言われてみれば,溶岩地帯に1本の木が成長していました。

仲間達に先駆けていち早く溶岩地帯に生きはじめた、たくましいオオバヤシャブシです。
着眼点が素敵です。

広い景色を歩きながらの嬉しい何度か「生徒達を連れてきたいよな」とも言ってくれました。

「地球の勉強だな。地球に生きているんだから。」
この言葉を聞いて、こういう先生達に習える生徒さんたちは幸せだなぁ~と思いました。

ところで今回参加してくれた美術系の先生は、ガラスの組成とか、めちゃめちゃ詳しい人でした。
溶岩の中に時々混ざるキラキラ光るブルーが、なぜ光るのか質問したところ…

「急冷されるとこうなるんですよ。他より軽くて薄いから急に冷えて、よりガラスっぽくなったんです。よくこうなりますよ。」なるほど、ガラス工芸などの実体験からの語り…妙に納得です。

それからガラスについて、たくさんのことを教えてくれました。
「地球の成分はほとんどがガラスの成分と同じなんです。地球はガラスなんですよ。」
 
「以前海岸で ヒジキとホタテ貝と海岸の砂からガラスを作る実験をして成功しました。」
「溶かしたガラスに大根を入れると,泡がくっついて泡のないガラスができますよ」
「溶岩も結構簡単に溶けると思いますよ」
「ガラスは味に影響を与えない究極のエコ素材なんです。」←瓶ビールや瓶の牛乳が美味しいという話しから。

さらに「ススキにもガラスの成分が含まれているんですよ。」とも教えてくれました。
「へえ~!!だからススキってキラキラするんだ!」

私が目の前の穂を、感心したように見ていたら
「穂ではなくて葉の先の方ですよ。」と声がしました。

何でも畳6帖分ぐらいのススキから、石ころ1個ぐらいのガラスがとれるのだとか。

他の植物にもガラス成分は含まれているけれど、ススキが一番多く含んでいるとのこと。
…う~ん、今までガラスについて、こんなに色々考えたことはありませんでした。

ガラスというと,私たちは窓ガラスやコップのガラスを想像しますが、実は形状に関係なく、急冷されて原子が結晶を作る前にバラバラの状態で固まったものを「ガラス」というようです。

これをわかりやすく説明しようとしてもなかなか難しいので,普段私はガラスには触れないことにしているのですが…。今日ガラスについて熱く語る人に出会って、「これって、いいかも!」と思いました。

難しいガラスの定義や、組成の理論をわかりやすく説明しようとしなくても「ガラスはスゴイ!面白い!」ということが伝われば、その先は自然に勉強するような気がします。

別れ際の、お客様の一言です。
「地球はガラスですよ。三原山もガラスです。忘れないでくださいね~。」

はい、忘れません。
 
そして、とっても楽しい時間を、ありがとうございました。

(カナ)

コメント (3)
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