グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

台風26号調査に、またまた同行しました。

2013年10月24日 | 火山・ジオパーク
昨日、東大地震研究所の中田節也氏(火山専門家)の現地調査に同行させてもらいました。
(東大地震研究所は1986年噴火の時も伊豆大島に滞在して観測を続け、その後も伊豆大島で継続的に火山観測を続けている研究所です。)

山頂駐車場から歩いて下り、土砂流の発生現場に向かいました。

舗装道路の上には崩れた岩や樹木が転がっていますが、私が歩いた範囲では道路自体は壊れていませんでした。

道路上に転がっているのはほとんどが、樹高6mほどのハチジョウイヌツゲ、ヒサカキなど、噴火後すぐに生えてくるタイプの常緑樹たちでした。


根の部分はどれも50cm~80cmぐらいで、あまり深くまで根を張っていなかったようです。


細い根が複雑に絡み合ってはいるけれど、ほとんどが横に伸びています。

この状態で体を支えていたのですね…。

崩れはじめの地点を見上げてみると、溶岩流が見えるところもありますが…


ほとんどが、粘土っぽいような茶色がかった地面です。


そして道路上に流れて溜まっているのは、全て海岸の砂のような粒子の荒い黒い火山灰です。


右が斜面の表面を覆っている土。
左が道路に落ちている黒い火山灰です。

全然質感が違います。

この現場を見ると「黒い火山灰の層が、その下の水が染みにくい層の上を滑った」という説が、納得できる気がします。

道路脇には斜面をコンクリートの枠で覆うのり面保護の工事が行われていたようです。
そして、このコンクリートの壁の向かい側が特に広範囲に崩れています。

これを見たとき最初は、この法面が滝のようになり、土砂を下流に流したのでは?と考えました。
でも…

良く観察すると、崩れはじめはいつももっと高いところからで、コンクリートの部分からではありませんでした。それどころか…

コンクリートの柵は丈夫で全然崩れておらず、大島の森に多いオオシマカンスゲがここでは流されずにポツポツ残っていました。

土砂流の始まりの、一番多いパターンはこのような感じでした。

上で崩れはじめ、コンクリートで固められた枠の中の樹木を削ぎ落して真下に流れる、というパターンです。

枠の1つ1つが小さな滝のような役目をしたのか、それとも少しでも崩れはじめた土砂が下流に流れる時間を遅らせてくれたのか、今の段階では私にはわかりません。

東大地震研の方達が、斜面を登っていって調査を始めました。

傾斜もけっこう急だし雨にぬれて滑りそうだし…見ていてハラハラしましたが、斜面の上からは土砂流発生の原因を話し合う皆さんの真剣な声が響いてきました。

目の前で観察した結果「地面が滑りはじめたのは、地表から約50~80cmの表層部分。大島にたくさん見られる黒い火山灰の層が多量の水が原因で滑りはじめた」ということが、より確実になったようです。

調査はこれからも続くようなので、時間と共にもっと色々なことがわかってくるでしょう。
火山観測のデータから土砂流発生を知ることができる可能性もあるようです。

私たちも各分野の専門家の方たちから学び「身を守れる力」を身につけたいと思います。

(上記写真の土の上に、iPhone 5sが落ちていました。元町警察署に届けてくれたそうなので、お心当たりの方は警察署にご連絡ください)

(カナ)









コメント (6)
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