カンアオイだと思うが、もしかしたら、やや小型のヒメカンアオイかもしれない。東山植物園に他の花を見に行った時、ついでに撮ったものだが、カンアオイだと思い込んでいて、うっかり名前を確認してくるのを忘れた。いずれにしても、地面の直ぐ上にある黒い色をした壷のようなのが花である。厳密に言えば、これは花弁ではなく咢(がく)で、この“壷”の中に小さな花がある。カンアオイは、葉が葵に似ていて、冬でも葉が枯れず寒い時期に花が咲くことから「寒葵」と名づけられたそうだ。
カンアオイや近縁種のフタバアオイは、希少な蝶の一つであるギフチョウの幼虫の食草として知られている。余談だが、徳川家の家紋である“三つ葉葵”は実在の植物ではないそうだ。お馴染みの水戸黄門の“決め台詞”に出てくるあの印籠の“御紋”であるが、あれはフタバアオイの葉を3枚並べて図案化したものだそうだ。