尾張旭市の愛知県森林公園の枝垂れ桜である。例年なら、花は順番に咲いていくのに、今年は急に暖かくなったので、春の花はどれも同じ時期に一斉に咲いてしまったように思う。何処に何の花を見に行こうかと迷いながら、散歩がてらについ近場で済ませてしまっている。
香流川は、「愛・地球博」の会場があった長久手町三ヶ峯あたりから名古屋市東部を流れる小さな川であるが、名東区に入ったあたりは、両岸に植えられた500本の桜並木が見事で、隠れた桜の名所となっている。名古屋市内では有名な山崎川や、近郊の五条川にも負けないくらいではなかろうか。
去年はこのあたりでカワセミをよく見掛けたが、最近の護岸工事で何処かへ他所へ行ってしまったかもしれない。
散歩道の一つである香流川のソメイヨシノは5分咲きくらいだろうか。木によっては7分咲きくらいのもあるが、まだ蕾が多いのもあるようだ。名古屋に開花宣言が出てから1週間が経ち、この週末は満開だろうと思っていたら、このところの朝晩の冷え込みで、一気に満開という訳にはいかないようだ。天気はやや下り坂のようだから、満開にはもう数日かかるかもしれない。開花はやや早かったものの、満開は例年並みのようだ。
コブシとよく似ている同じ仲間にタムシバがあるが、コブシには花の直ぐ下に小さな葉が1枚付いているのに、タムシバには花弁の下に葉が全くない。これがコブシとタムシバやハクモクレンとの相違点だそうだ。葉は陰に隠れて見えないが、これはコブシである。
コブシは、九州から北海道にまで自生しているが、不思議なことに、四国にはコブシは自生していないらしい。もしあったとしても、それらは移植されたコブシで、野生種ではないそうだ。その代わり、徳島県にはコブシの近縁種で「コブシモドキ」という珍しい木があったが、野生のものはすでに絶滅したそうだ。
シデコブシは、主に愛知県と岐阜県、三重県の一部の湿地にしか自生していない貴重な樹木で、絶滅危惧種に指定されている。特に、渥美半島に自生しているシデコブシは国の天然記念物だそうだ。これは岐阜県各務原市に自生しているシデコブシ群落だ。
公園や個人の庭の傍を通ると、ハクモクレンが満開だ。少しクリーム色をした白い花だから、満開で咲いていると遠くからでもよく目立つ。花はやや大きめで上向きに閉じたような形で咲くが、これが同じ仲間のコブシと違うところだ。暖かい日が続けば蕾から1~2日で満開になり、満開の後は数日で直ぐに散ってしまうので、花期は短く儚い。