購読している『中日新聞』の書評欄は、日曜日である。日曜日の朝、最初に目を通すのが、書評欄である。
今日紹介されていたもののなかで、梯久美子の『狂う人』(新潮社)は、読みたいものの一つである。梯の著作に失敗作はない。亡くなった黒岩比佐子も同様であると、付け加えておこう。
島尾敏雄の『死の棘』の印象が強く、島尾ミホには関心がある。時間ができれば読んでみたいと思う。この与那覇惠子の書評もなかなかよい。ただし、660ページだそうで、果たして読むことができるかどうか。
その下には、『犯罪・捜査・メディア』(法政大学出版会)の紹介がある。この本が刊行されたのは知らなかったが、19世紀から20世紀にかけての犯罪と捜査、そしてメディアがそれをどう報道したのかを詳細に論じているという。これも読みたいと思うが、4320円。果たして読めるかどうか。
以前は、次々と新刊を読破していたものだが、最近は依頼された仕事をこなすための読書が多くなり、なかなか自由がきかない。
右のページに、「出版この一年」という、出版界の現状を書いたものがあった。本が売れない。「堅めの書籍の売れ行きが厳しい」と記されていた。そういう本を読む者は少数であろうと思う。
大学生の多くは、本も読まずに卒業していく。それでも卒業できるようなシステムになっているからだ。学生が来てくれないと大学の運営ができなくなるだけではなく、教員の生活もままならなくなる。だから、入学させ、勉強しなくても卒業させる。そして、最近は書物に頼るのではなく、学生に行動させる講義が増えているようだ。アクティヴ・ラーニング。胡散臭いネイミングではある。
老人は、古き良き時代の追憶にふけるのだ。
その目の前には、いつも本がある。今のその本は『シャルリとは誰か?』(文春新書)である。著者はエマニュエル・トッド。この人の『帝国以後』(藤原書店)は読んだことがあるが、最近トッドのこの本と『グローバリズム以後』(朝日新書)がよいと言われたので購入した。