アベ政権の特徴は、どんな悪事を働いても、権力的に正面突破すれば何とかなる、という手法を多用することである。
こういう政策をしたい、となったら、強引に進めていく。その政策の成果が出ていなくても、あたかも出ているように数字などを捏造し、平気でウソをつく。
国家がその権力を徹底的に行使すれば、いかなる反対勢力も結局は降伏するという自信。これは中曽根内閣の国鉄分割民営化に端を発すると思う。その結果、日本の労働運動をけん引していた国鉄労働組合はとるに足らない勢力となり、労働組合のナショナルセンターであった総評を解体し、国家権力に抵抗しない、国策の協力機関的な組織と成り果てた連合を生み出した。
その結果、日本の労働者・労働組合は、何もしない、世界の先進国でも稀な存在と化した。
そして今度は住民である。抵抗する住民をなぎ倒そうとしている。とりわけ激しく抵抗している沖縄の住民に対して警察や海上保安庁などを派遣して弾圧し、さらに札束を見せて一般住民を懐柔しようとしている。その札束の威力を、名護市の選挙でも、今度の県知事選挙でも示そうとしている。
人々はカネに弱い。そこを狙って、権力が襲いかかってくる。
沖縄県民は、難しい選択を迫られている。一時のカネにつられてしまうのか、それとも沖縄のアイデンティティを守り切ることができるか。そういう選択を強いる、アベ政権が憎らしい。
しかしもし、玉城デニー候補が敗れた場合、沖縄は長期にわたり米軍基地の島となり、危険と隣り合わせの生活を余儀なくされるだろう。デニー候補が敗れるということは、100年以上の耐久性をもつ辺野古の基地(といっても軟弱地盤などの問題が解決されるかどうかということもあるが)が建設されることとなり、沖縄県民ははじめて基地建設を受容するということになる。
沖縄の経済界は、アイデンティティよりもカネを選択するだろう。住民はどうだろうか。政府がぶらさげるカネに惑わされてしまうのだろうか。