浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

蚕食

2018-12-06 09:38:52 | 政治
 かなり以前になるが、長野県の養蚕農家を訪れたことがある。蚕が桑の葉を食べているところに行って説明を受けた後、静かにそれを見ていたら、ざわめきがきこえてきた。無数の蚕が桑の葉を食べる音であった。しかしその音は、静かにしていないと聞き取れないほどのざわめきであった。

 今、静かにしていると、同じようなざわめきがきこえてくる。それは、金儲けを企む者どもが、次々と獲物を求めて動きまわる音、そして獲物を見つけて食べている音だ。

 しかしその音は静かに耳を傾けないと聞こえてこない。

 今、彼らが獲物としているのは、公共的な財産である。人びとが税金というカネを出して様々な財産をつくり守ってきたものだ。

 その一つが林野である。国有林、公有林に目をつけた者どもが、そこから儲けようと、政府を抱き込んで「未来投資戦略」なるものを作成した。そのなかには竹中平蔵という、「規制緩和」(「規制撤廃」)により新たな事業への投資が可能になるとそこへ進出して金儲けをしてきた人物が座っている。

 金儲けが出来る分野が狭くなってきた彼らが、今目をつけているのが「公共」である。「公共」がになってきたもの、図書館、道路、飛行場、上下水道、医療、教育など「公共」的なものに進出することが出来るように「規制緩和」して、そこで金儲けしようとしているのである。

 彼らは、あけすけに語る。民間、つまり私企業に開放して、自由に儲けることができるようにしよう。なぜなら、日本は世界で一番企業が活動しやすい国、そうした国にするのだから。

 「公共」が彼らの獲物となっている。果たしてそれらを守ることが出来るかどうか。新自由主義との闘いは、正念場を迎えている。

 「公共」を蚕食している音が、聞こえないか?!


コメント
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