浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

『図書』1月号

2018-12-29 22:10:36 | その他
 今日、『図書』1月号が届いた。平野啓一郎の小説を読んでいたが、途中でやめて『図書』を読む。磯田道史の伊丹十三選集に関するものだった。昔ながらの技術しか持っていない私は、磯田がつかう史料が、史料とは言えない資料でいろいろ書いているので、あまり信用していないのだが、伊丹十三が書いていることについて知らなかったので、それは勉強になった。時間が出来たら『伊丹十三選集』を図書館で借りて(もうわが家は本だらけで置くスペースがない!といっても、研究しなければならないテーマの本はまだ買っているが)読んでみたいと思った。

 西出勇志の「潜伏キリシタンと世界遺産」は、なかなかよかった。長崎には二度行っているが、もう一度西出さんのこの文に書かれていたところを訪ねたいと思った。近世はいうまでもないが、明治初期にも厳しいキリシタン弾圧が行われた。それをきちんと認識しない「世界遺産」には問題あり、ということである。

 小林敏明の「若狭にて」も、若狭に行きたくなるような文であった。とりわけ、水上勉がつくったという「若州一滴文庫」へ行きたくなった。水上勉の文学は、暗く、人生の重さみたいなものを感じさせるものであるが(そういうものしか読んでいない)、いつか水上文学をすべて読み論じたいという気がする。それほど魅力ある文学である。

 『図書』は岩波書店の広報誌。私は『世界』や岩波新書など岩波の本で精神を形成してきた。岩波書店の本、むかしほど購入しないが、巻末にある「2018年刊行書一覧」にしるしをつけていったら、かなり購入していた。

 来年も良い本をだすのだろうなあ。これからも岩波と付き合いながら、人生を終えていくのだろう。
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許せない科学者!!

2018-12-29 18:52:50 | 政治
「福島の放射能は安全」と言い続けてきた早野龍五東大教授、個人被曝線量のデータを1/3に改ざんしていた

個人被ばく線量論文、同意ないデータ使用か 東大が予備調査

 科学者として、人間として、どうしてこういことが出来たのか?!
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ネトウヨの人々

2018-12-29 18:17:56 | 政治
 リテラの記事。

玉川徹が『モーニングショー』で「ネトウヨの正体」を追及!「なんで私のことを反日、パヨクというのか」

 大学でのサークルの後輩が、卒業後食品会社に勤めていた。退職して会ったとき、歴史学ではまったく相手にされていない本を持ってきて、これどうですか、などと言ってきた。それがいかに嘘偽りで覆われているかを説明したのであるが、ネトウヨ的な考えを今も持ち続けている。

 彼は、サークルであまり熱心に勉強していたわけではなかった。

 退職して暇になってからそういう本を読みはじめたようだが、歴史学的にきちんと研究されたものと、まったくいい加減なことが書かれたものと、選択する眼を持たなかったということなのだろう。
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【本】菅正治『本当はダメなアメリカ農業』(新潮新書)

2018-12-29 17:38:59 | 
 以前一回だけご一緒したことがある農業史研究者が新聞で推薦していたので読んでみた。帯に「「自由化したら日本農業は壊滅」なんて大ウソ!」とあった。

 この本を読んだ後でも、農産物の自由化がなされた場合、日本農業は「壊滅」しないまでも大きな影響を受けることは確かであると、私は思っている。

 私の周辺で農業をしているのは、多くは後期高齢者である。特に稲作をしているのは70~80代である。畑でも、私より年齢が上の人がほとんどであって、また耕作していない田畑もある。専業農家は一軒だけである。こういう状態をみると、日本農業の未来は暗い。農業だけでは食べていけないという状況が改善されない限り、若い人の新規参入はないだろう。

 本書には、アメリカ農業の困難さが記されている。日本農業が抱える問題と共通している。農業経営者の高齢化、農業による湖沼や河川の汚染、低賃金で働く農業労働者の不足(不法移民が担っている)、超大企業による農業経営の従属化による農業者の自殺など。そしてモンサントなどによる遺伝子組み換えと農薬使用(これに対してはアメリカ国民も批判的)など。

 アメリカ農業は、国内では遺伝子組み換え作物の不人気、他国との輸出競争にあえいでいる。日本はアメリカから多くの農産物を輸入している。豚肉は米国が1位、牛肉は2位、小麦は1位(遺伝子組み換えは使われていない)。他に家畜の飼料として、大量のトウモロコシ、大豆が輸入されている(ほとんどが遺伝子組み換え)。

 私は、アメリカ産の牛肉、豚肉は買わない。牛は国産かオーストラリア、豚は国産。アメリカの飼育方法に疑惑を持っているからだ。

 著者は、アメリカでは日本人が食べている短粒種のコメの生産は1%程度で、また日本の生産量の方が多いから、輸入自由化しても大丈夫のようなことを書いているが、私はとても心配である。

 アメリカ農業は、輸出がなければ存立しない。日本はアメリカ農産物の重要な輸出国である。トランプ政権がTPPから離脱したことに、アメリカの農業者は困惑しているようだ。米日の二国間の自由貿易協定の締結が遅れれば、TPP加盟の国々に負けてしまうのではという焦燥感もあるようだ。

 鶏肉生産の際、抗生物質を使用しているが、これは人体にも大きな影響を与えるので使用を控えるようにWHOなども指導しているようだ。日本でも抗生物質は使用されているはずだ。

 日本農業のあり方も見つめなければならないと思った。

 アメリカ農業は「ダメ」ではなくて、日本と同じように困難を抱えている、というのが本書の趣旨である。「自由化したら・・」日本農業は、打撃を受けることは確かであると思う。



  
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