浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

『琉球新報』社説

2018-12-15 23:45:28 | 政治

<社説>今日辺野古土砂投入 傍若無人の一語に尽きる
2018年12月14日 06:01

 「丁寧な説明」も、「県民に寄り添う」こともなく、法や規則の解釈をねじ曲げて今日まできた。政府は、米軍普天間飛行場の移設先とする名護市辺野古の新基地建設に向け、14日に埋め立て予定地へ土砂を投入すると明言した。

 玉城デニー知事は13日、菅義偉官房長官と面談し、土砂投入の中止を求めたが、菅氏は工事強行の姿勢を崩さなかった。沖縄の民意に耳を貸さず、県の行政指導も意に介さない姿勢は傍若無人の一語に尽きる。

 沖縄防衛局は土砂を積んだ台船を辺野古の護岸近くに停泊させた。県は国土交通相の埋め立て承認撤回の執行停止は違法で無効だとして工事の中止を行政指導した。

 そもそも土砂搬入に至る経緯も国は必要な手続きを踏んでいるとは言えない。県による埋め立て承認撤回で工事の法的根拠は消えたが、政府は行政不服審査制度を使って工事を再開した。審査は沖縄防衛局が国交相に申し立て、同じ政府内で申し立てを認めたもので、行政法研究者110人が「違法行為」「制度の乱用」と指摘した手法だ。国は県と約1カ月の集中協議の間も工事を止めずに準備を進めた。

 その後、県に提出した計画で搬出場所としていた本部港が使えないことから計画の変更申請をせずに名護市安和の琉球セメントの桟橋から土砂を搬出した。土砂の採取場所は「本部地区」と指定しているにもかかわらず、防衛局は採取場所を県に報告していない。さらに安和から搬出された土砂は有害物質の検査結果が示されていない。まさに「何でもあり」だ。

 沖縄の声を無視し、遮二無二、新基地建設を進める政府が、言い訳として使っているのが辺野古か普天間の固定化かの二者択一論だ。

 政府は「世界一危険な」普天間飛行場を返還させるのは辺野古への移設しかないと主張する。本当にそうだろうか。

 普天間は主に海兵隊ヘリコプターの運用基地だ。危険を除去するには即刻、運用を止めることしかない。その上で訓練の分散移転など策は多くある。

 仮に辺野古新基地が完成しても、普天間の即時返還にはつながらない。米政府は、辺野古新基地の滑走路の短さなどを理由に、那覇空港滑走路の使用など八つの条件をつけている。満たさなければ普天間飛行場は返還されないと、稲田朋美防衛相(当時)も国会で明言しているのだ。

 政府は土砂投入を見せつけることで県民の諦めを誘い、米国に対しては年内の工事進展を強調しようとしている。
 今のような高圧的姿勢をとり続けるならば、県民の反発はさらに強まり、ほかの在沖米軍基地の存続さえ危うくなる。政府は土砂投入をやめて、基地負担の軽減という普天間返還の原点に戻って、形だけではない本当の意味での対話を県との間で進めるべきだ。


<社説>辺野古へ土砂投入 第4の「琉球処分」強行だ
2018年12月15日 06:01

 この光景は歴史に既視感を覚える。沖縄が経験してきた苦境である。

 政府は、名護市辺野古沿岸に米海兵隊の新基地を造るため埋め立て土砂を投入した。昨年4月の護岸着工以来、工事を進める政府の姿勢は前のめりだ。9月の知事選で新基地に反対する玉城デニー知事誕生後わずか約1カ月後に工事を再開し、国と県の集中協議中も作業を進めた。手続きの不備を県に指摘されても工事を強行し土砂を投入したのは、基地建設を早く既成事実化したいからだ。

 県民の諦めを誘い、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票に影響を与えたり、予想される裁判を有利に運ぼうとし
たりする狙いが透けて見える。

 辺野古の問題の源流は1995年の少女乱暴事件にさかのぼる。大規模な県民大会など事件への抗議のうねりが沖縄の負担軽減に向けて日米を突き動かし、米軍普天間飛行場の返還合意につながった。

 ところが返還は県内移設が条件であるため曲折をたどる。関係した歴代の知事は県内移設の是非に揺れ、容認の立場でも、使用期限や施設計画の内容などを巡り政府と対立する局面が何度もあった。

 5年前、県外移設を主張していた仲井真弘多前知事が一転、埋め立てを承認したことで県民の多くが反発。辺野古移設反対を掲げる翁長県政が誕生し玉城県政に引き継がれた。県内の国会議員や首長の選挙でも辺野古移設反対の民意が示されている。

 今年の宜野湾、名護の両市長選では辺野古新基地に反対する候補者が敗れたものの、勝った候補はいずれも移設の是非を明言せず、両市民の民意は必ずしも容認とは言えない。本紙世論調査でも毎回、7割前後が新基地建設反対の意思を示している。

 そもそも辺野古新基地には現行の普天間飛行場にはない軍港や弾薬庫が整備される。基地機能の強化であり、負担軽減に逆行する。これに反対だというのが沖縄の民意だ。

 その民意を無視した土砂投入は暴挙と言わざるを得ない。歴史的に見れば、軍隊で脅して琉球王国をつぶし、沖縄を「南の関門」と位置付けた1879年の琉球併合(「琉球処分」)とも重なる。日本から切り離し米国統治下に置いた1952年のサンフランシスコ講和条約発効、県民の意に反し広大な米軍基地が残ったままの日本復帰はそれぞれ第2、第3の「琉球処分」と呼ばれてきた。今回は、いわば第4の「琉球処分」の強行である。

 歴史から見えるのは、政府が沖縄の人々の意思を尊重せず、「国益」や国策の名の下で沖縄を国防の道具にする手法、いわゆる植民地主義だ。

 土砂が投入された12月14日は、4・28などと同様に「屈辱の日」として県民の記憶に深く刻まれるに違いない。だが沖縄の人々は決して諦めないだろう。自己決定権という人間として当然の権利を侵害され続けているからだ。


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暴走

2018-12-15 23:43:42 | 政治
 『東京新聞』社説。


辺野古に土砂 民意も法理もなき暴走

2018年12月15日


 群青の美(ちゅ)ら海とともに沖縄の民意が埋め立てられていく。辺野古で政権が進める米軍新基地建設は法理に反し、合理性も見いだせない。工事自体が目的化している。土砂投入着手はあまりに乱暴だ。

 重ねて言う。

 新基地建設は、法を守るべき政府が法をねじ曲げて進めている。なぜそこに新基地が必要か。大義も根底から揺らいでいる。直ちに土砂投入を中止し虚心に計画を見直す必要があろう。

 辺野古工事の根拠となっているのは二〇一三年、当時の仲井真弘多知事が公有水面埋立法に基づき防衛省沖縄防衛局に与えた埋め立て承認だ。しかし、県はその後の工事の進め方に約束違反があるとしてこの八月、承認を撤回した。この処分は生きていると言える。

 防衛局は、国民の権利保護のための行政不服審査法をいわば脱法的に利用。撤回の効力停止を身内の国土交通相に申し立て、国交相は当然のように認めた。県は国地方係争処理委員会に国交相の決定は違法だと訴えており、結論はまだ出ていない。

 さらには、埋め立て用土砂の性質や搬出場所、経路なども当初計画や県の条例、規則に反する疑いが続出。県は十二日、防衛局に工事即時中止の行政指導をしたものの、国は無視している。

 岩屋毅防衛相は十三日、玉城デニー知事との会談で工事を急ぐのは「普天間飛行場の危険性除去」のためと述べ、中止要請を突っぱねた。だが、新基地建設=普天間返還との相関論は破綻寸前だ。

 土砂投入を始めた辺野古崎南側海域だけでも、埋め立てに必要な土砂は約百三十万立方メートルという。

 防衛局は詳しい工事手順を示していないが、地元の土木技術者は陸揚げ土砂をダンプカーで投入地点まで運ぶ方法では、休みなしに作業を続けても終了に四年を要するとみる。県が新基地完成まで十三年と試算したのもうなずける。

 県が算出した工費は約二・六兆円。普天間に駐留する海兵隊の役割も、東アジアの安全保障情勢も変化している。途方もない時間と税金を使った末の普天間返還にどれだけ意味があるか。県民は待つだけか。その労力を米国との交渉に用い、普天間の無条件返還につなげる方が現実的だ。

 あらゆる民主的な主張や手続きが力ずくで封じられる沖縄。そこで起きていることは、この国の民主主義の否定でもある。

 これ以上の政権の暴走は、断じて許されない。



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節度なき人々

2018-12-15 22:16:08 | 政治
 安倍政権になってから、安倍晋三という人物とつながっている人びとに、節度というものがなくなっているように思う。

 いろいろな人間関係は、それぞれの立場を考慮し、相互に節度をもって相対する、それが一般的である。

 しかし安倍とつながる人びとは、節度なんか気にせず、やっちまえとばかりに猛進する。安倍晋三という人がそういう人なので、その人に続け、というわけだ。

 この場合もそうだ。神社本庁というのは、戦前のいわゆる国家神道の本丸の後継組織である。天皇を尊崇する人びとの集まりかと思っているとそうではなく、一部の神職らが私的利益を貪るものとなっている。天皇を尊崇するのは表向きであって、天皇が私的利益を擁護する手段になり得るかどうかによって彼らの態度は変わるのだ。

 だから彼らは本物の天皇主義者ではない。私的利益を追求する俗物どもである。

天皇の甥にあたる“神社本庁の最高権威”に内部から怪文書攻撃! 不正追及された主流派が居座りのため反撃か
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無法国家

2018-12-15 07:20:40 | 政治
 カミソリ付きの鉄条網の写真を見たとき、私は驚愕した。これほどまでに、安倍政権は、そしてその周辺で金儲けをしている企業群は、平気でカミソリを突き立て、庶民に敵対してるのだということを実感した。

 辺野古への土砂投入は、無法そのものである。国家権力は法を無視して、あの美しい海を破壊した。韓国のように三権分立も働かずに、ひたすら行政権力にすりよる判決しか出さない。公文書改ざんなどの権力の悪を断罪せずに、辺野古で奮闘している山城さんのまったく犯罪にもならないような行為を犯罪として刑罰を科す。

 安倍政権は、異常な権力である。安倍晋三という個性が、権力全体に波及してしまっているようだ。権力とそれにつながっている者たちは、何をしても良い、カネを儲けたければ儲けなさい、そのために権力は便宜を図る。強姦しても見逃してやる。自分の友人には税金を欲しいだけ投入する。政権にへつらう者どもには、「出世」させる。

 道義も正義もない。

 しかしそういう政権が、道徳を子どもに押しつけようとする。その本質は、権力への従順である。とにかく権力には従い、権力者に忖度し、権力者のために働きなさい、というものである。

 だがそれにしても、それに抵抗する人びとは多くはない。

 そして抵抗する人びとも、家父長的な組織やグループのなかで動くだけである。グループを率いる者には、謙虚さもない。グループ員は、ひたすら指導者に従う。関係者が話し合って決めていくというあるべき姿が見られない。

 どこでも、専制的になっている。

 自立的な人間は、ほんとうに少ない。やはり日本は、「個」をつくりださなかった。どこでも隷従がはびこる。

 
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